Wave of dimensions — страница 104 из 111


姉さん、アンタ鬼か!


「ねーウサウニーってこの子達でしょ? かなり見た目良いからノジャに嫌がらせしたら雇用出来ないとか噂を広めれば良いんじゃ無いの?」


まあ……ウサウニーとペックルの雇用窓口はそれぞれの領地だろうし、ブラックリストに入れればウサウニーの雇用は難しくはなりそう。


「残念ですが絆さんのファンはペックルを雇用する取り決めがあるようです。リスーカの時にそう決めたそうですよ」


……そこまで俺縛りで行く事に何の意味があるのか理解に苦しむよ本当。


「お姉ちゃんが呼んだんでしょ? 全責任をお姉ちゃんになすりつければ良いんじゃない?」

「ちょっと紡!? マジで鉄拳制裁するわよ!?」


あ、でも姉さんが原因だってのは間違いないよね。

俺を呼ぶように提案したのは姉さんなんだし。


「あ、あのねノジャ子、ここはアレよ。絆と親友ってアピールするのよ! 下手に攻撃したら絆が悲しむってファンの連中に思わせるの! それが一番よ」

「姉さんが命乞いとばかりに無理やり案を言い出した」

「黙りなさい! 私もアイツらに絡まれるのは嫌なのよ! 誰が男よ! 私は死んでも謝らないわよ!」


しっかりと根にもってるな姉さんも。


「ノジャ子! 何が何でも絆と友達アピール!」

「わ、わかったのじゃ! 手段を選ばず島主と友達アピールをするのじゃ!」


それもどうなんだ?

というか既に友達ではあるとは思うけど……弟子って感覚でもあるけどさ。


「島主よ! しっかりとわらわと友達であるアピールなのじゃ! サインの書き方を教えようかの! 握手もじゃ! しっかりとファンを喜ばせる握手というのがあるのじゃぞ!」


なんでサイン? それと握手ってなんで顔文字さんそんな事を知ってるんだろ?

アイドルオタなのかな?

こう、イケメンアイドルの握手会とかの常連とかさ。

絶妙にドルオタっぽい所あるし、その可能性が高いな。

顔文字さんはアイドルオタクで農業に憧れているんだろう。


「がんばると良いね」


って思いっきり俺の方に話題が飛び火してるだろ。


「自己紹介してる最中なんだしファンクラブに関しては後にしてさ。アルトが要するに合法ギリギリ風俗経営までしてたって事だろ?」


何処まで手を広げてんだよ。


「そうなるね」

「事業整理って事で切り捨てれば良いだろ。クレイさんもそこはノータッチみたいだし」

「まあね。さすがにそんな事をするつもりはないよ」


金になるならなんでもするって商人はいるけどクレイさんは理性のある商人だから出来る事の限界はある。


「絆さん達には恩もあるからね。その代わりに頼まれてくれれば良いさ」

「わかってるって。むしろこの辺りはロミナやアルトが専売特許だと思うけどね」

「なんだい? まあ、何かは予想が出来るけど」


ロミナも話くらいは聞いた事があるんだろう。


「一体何ですか? アルトさんの仕事の一部を手伝って下さるのでしたら私も協力しますよ?」


硝子も快く協力してくれるつもりで何より。

俺より顔は広いし、すぐに件の娘さんは見つかるかも知れない。


「ああ、この人がオルトクレイさんであっちがミリーさんね。オルトって略で呼ぶとアルトと被るからみんなクレイさんって呼んでるのはわかるだろ? で――」


と、俺が闇影やしぇりる等、人見知りする連中にクレイさん達の事情を掻い摘まんで説明する。

なんか会社の社長で忙しいけど娘と一緒に楽しい時間を確保したいとゲームに参加を決めた。

ここで部下が娘にサプライズをして驚かせようとしてゲーム内で逃げられた事、家族団らんの為に影武者を使って逃げた娘を探している事、娘の設定を守るために開拓に立候補した事などをだ。


「え……本当に、中身は斡旋された者じゃないでござるか?」


さらば闇影



ここで人見知り全開とばかりに黙り込んで距離を取っていた闇影が問うように口を開いてクレイさん達に尋ねる。


「ん……?」


みんなの視線が闇影へと集中し始める。

闇影はゆっくりとクレイさん達の方へと歩き始めたぞ。


「小学生で人見知り、ゲームが上手で中二、楽器演奏が上手な娘」


ん? なんか改めて思うけど随分と闇影と特徴が重なるな。

何せプレイヤーネームが闇影なんて名前な訳だし。

俺達と出会うまでずっとソロプレイをしてたもんな。

って考えてみればゲーム開始直後不機嫌だったとか言ってた。

何か約束をすっぽかされたとか。


おい! 思いっきり闇影と特徴が被ってるじゃないか!


ヨヨヨ……と悲しんでいるミリーさんと慰めるクレイさん。

かなりお茶目に化石集めしてるのを開拓中に見たけど娘さんは随分と大事にしてるのは伝わってくる。

発掘中の雑談で娘さんの事を結構話してたし。


「嘘じゃないでござる?」

「ああ……私たちはあの子と一緒に過ごしたいだけなんだ」

「そう……だったんだ」


フッと、ミリーさんとクレイさんが顔を上げて闇影を見つめる。

闇影がアイテム欄からバイオリンを出して手短に曲を奏でる。

経験則で覚えるとか言ってたけど本当に演奏出来る様になるんだな。

結構上手というかスキルLvが上がってる様に感じる。

なんか聞き覚えのあるクラシックな曲だったような?

クレイさんとミリーさんは闇影の演奏に目を見開き、喜びの表情になる。


「本当に、楽しみにしてたんだよ。だけど急に仕事が入って来れないって……」

「……申し訳ないと思ってるよ」

「ああ――!!」


っとミリーさんが闇影に抱きつき、闇影が何やら小声で囁く。

たぶん、クレイさんとミリーさんのリアルネームとかかな? なんか人名っぽいのが聞こえたし。

で、クレイさん達も闇影に同様の事を小声で言い合っていた。


「パパママ……!」

「やっと逢えたわ! やっと……貴方の決めた設定を守って、話をした通りに頑張って来たわ」

「そうだとも、これからは一緒だ」


おお……感動の再会って奴だな。

というかマジかー……闇影が件の娘だったのか。

誰だったか記憶が混ざってて思い出せなかったけど闇影だったんだな。

で、そんな家族水入らずの空間に入れる訳も無く、俺は空気を読んでその場を足早に去る。

そんな俺をキョロキョロと見ていた硝子も後に続き、しぇりるも俺に付いてくる。


「うーん?」

「良いから来なさい」


で、空気が読めない紡を姉さんが引っ張っていき、ロミナが続く。


「ふむ……感動の対面じゃな」

「おー闇影の嬢ちゃんだったんだな」

「灯台もと暗しとはこのことねー」


と顔文字さん達が再会を喜ぶ一家に付き従う形で話をしている。

家出忍者は家族水入らずの楽しい日々が始まるんだな。

長い家出だったな。半年くらいになるか?

何はともあれゲーム終了まで楽しい親子の生活になるのだ。


さらば闇影。

これからは家族仲良く、達者で暮らすのだ。


と、俺達は完全にその場を後にした。

こう……空気的にね。

邪魔者は足早に去るのが常識という奴だな。


「闇ちゃんあっちのギルドに移籍って感じ?」

「と言うより家族水入らずでゲーム生活だな。これから寂しくなるな。闇影をあっちのギルドに移籍出来る様に追放っと」


そっと立ち去ってからプラド草原の街で話しをしながら闇影をギルドから追い出しておく。

この後どうするかね。

硝子に新しい釣り場で釣ったヌシの話とか聞こうかな。


「あの……絆さん? 先ほどから闇影さんから凄いチャットのコールが響いてるのですが……」

「絆どのたちぃいいいい! 何処でござるかぁあああああああああああ!」


なんか凄い剣幕で町中を走っているぞ。

思わず隠れてしまった。


「ご丁寧にギルド追放までしなくて良いでござるぅうううう! 早く出てくるでござる!」


うーん……アレが感動の対面をした直後の奴がする事なんだろうか?

コール音がもの凄い。

連打するなよ。システムに警告とかされかねないぞ。あそこまでの連続チャット要望って。

まだプレイヤーが到着してないからって騒ぎすぎだろうに。


「空気で去る展開じゃない? アニメとか物語だとさ」

「そうよね。流れだと去るのが相場よね」

「言わんとしてる所はわかるような気がしますが……闇影さんは違うようですよ」

「……闇、寂しがり屋。仲間はずれ嫌がる」

「これは仲間はずれではない。親子の時間を大事にしようとした配慮だ」

「イエス……けど闇、呼んでる」

「どうしたんだろうね?」


しょうがないので再度合流する事にした。


「闇影、俺達は家族水入らずの所に割り込む程、野暮な奴だと思われたら心外だぞ」

「勝手においてかないでほしいでござる! 流れで行くならカルミラ島の城に拙者が先回りするのが無難でござるのは分かるけど面倒でござる」

「だからって鬼の形相と叫びまでするなよ」


まったく、寂しがりのお嬢様だ。


「そうじゃな。島主一行の動きは自然と言えば自然じゃったな」

「このパターンでも違和感は無いって感じだったぜ」

「闇影ちゃん、気付いたら凄い勢いで走って行っちゃったのよね」

「で、闇影。俺達に何の用? 両親と楽しくゲームやるんだろ?」

「絆殿達も一緒に遊べば良いだけでござるよ! まだまだゲーム時間は続くでござるから!」


そんな大声出さなくても良いだろうに。

とりあえずクレイさん達の方に顔を向けるとミリーさんと一緒に苦笑してるぞ。


「そんな訳だから娘とこれからよろしくお願いするよ。私たちもね」

「わかったけど……闇影、お前は俺と顔文字さんのどっちのギルドに所属する気だ?」

「拙者は絆殿、父上と母上は顔文字殿の所に所属するでござる!」

「別に俺達は構わないが」


良いのか? 親子で別ギルドとか……。


「パパママじゃないのか?」

「い、良いのでござる!」


どうにも闇影のこだわりという奴かな。


「顔文字さんの所を一家専用ギルドにするってのも手ではあるぞ。他の面子は全員こっちが受け持ってさ」

「抜けられないわらわの気持ちを考えよ! ギルドチャットが一家の雑談で垂れ流しになるのだぞ!」


それはそれで辛い。自分の家なのに他人の一家が我が物顔で使って居て居候気分を味わう環境になりそう。


「チャットをするのは元より一緒に冒険とかすれば良いだけでござるよ」

「感覚で言えば……バカンス中の現地の友達と遊んで居る感じが近いんじゃないかな?」

「そう……」


クレイさんの補足にしぇりるが納得した様に頷いてる。

わかるわけ?


「まあ、クレイさん達の話だと短い休暇をゲームで引き延ばした感じだから近いと言えば近いか」

「何より優先順位は娘が第一だからね。仕事は無く、趣味で商売を嗜んで居る訳だし」


ゲーム内での商売はあくまで趣味だもんな。

生活に直結する問題では無い。


「そうか」

「そんな訳だから置いて行かないでほしいでござる!」

「はいはい。わかったよ」


俺は闇影にギルド申請を送って再加入させておく。


「そんな訳だからこれからも贔屓によろしく頼むよ」

「了解。こっちも……あ、そうだ闇影」

「なんでござる?」

「フフフフ、お肩でも揉みましょうかお嬢様……こう、どうかゲーム終了後には色々とよくして頂きたいです。フヒヒヒ!」


あえて誰とは言わないが、せめてここに居ないアイツの演技をしようと思う。


「何の真似でござるか!」


闇影の背後に回ってゴマすりをしつつ肩を揉むモーションをしたら気色悪がられる。

思惑通りだ。


「チッ! お兄ちゃんに先を越された!」

「アンタねー……」


とは言いつつ姉さんも紡と同じ表情をしてるのでやろうと考えては居たんだろう。


「絆さんは本当、変わらないですね。お茶目と言って良いのでしょうか」

「まあ、ここに居ない奴だったらやるだろうなって思ってさ。本音は、別にリアルまで持ち出す気は無いかな」

「拙者のリアルを知ったらアルト殿がやりそうだとは思うでござるが、ここでネタに走らなくても良いでござる!」


再会記念

「絆ちゃんはね……」

「そうじゃな……枯れた仙人じゃからな」


てりすと顔文字さんが何か黄昏れて頷いてるけど、おかしい事は言ってないじゃないか。


「姉妹以外の全てのリアルを子供部屋おじさんという前提で相手をしておるのじゃぞ」

「こ、子供部屋おじさんじゃないでござる!」


闇影が突っ込んで来た。

本当、お前はツッコミキャラが様になってきたな。


「子供部屋おじさんとは?」


硝子の方は小首を傾げている。

純粋で真面目な君で居て欲しいね。


「子供部屋おじさんって言うのはだね……」


ロミナ、別に解説しなくて良いから。

しぇりるもパッと出てこなくて小首を傾げてたけどね。


「子供部屋おじさんはともかく、絆の嬢ちゃん達って本当、芸人みたいな一族だな」


らるく、なんでそうなるんだよ。

ここには居ないアルトの美味しい役所を再現してやっただけだろうに。


「彼なら素でやり遂げる位には商人であるのは否定のしようがないね。確かに居ないのが惜しい所ではある」

「個人的には教えないでほしいでござるな。アルト殿のリアルで関わると面倒そうでござる」


闇影もその辺りは理解して居るのね。


「まあ、アルトの代わりにうちのギルドの管理をクレイさんに委託お願いして良いか? 闇影」

「良いでござるよ。こういう管理も好きなのを知ってるでござる」


金勘定も趣味なのね。クレイさん。

アルトの抜けた穴がどんどん塞がっていくな。

もう死の商人はお払い箱となるか。

早く帰ってこないと冗談じゃ済まなくなってくるぞ。アルト。


「少し話は戻るけど、そうだね。絆さんを含めてエクシード家の者たちにはリアルで私の企画に参加検討しても良いとは思ってるよ?」

「ち、父上!?」


闇影がクレイさんの言葉に驚きの声を上げる。


「それくらい面白い所を持って居ると思っているだけさ、具体的には顔文字さんと絆さんで田舎生活をさせてみるとかね」

「……」


闇影、深く考えなくて良いから。


「確かにそれだけの能力があるのだったら編集次第で上手く行くかも知れないでござる」

「納得しちゃうのかー」


俺は農家になる気は無いんだけどなー。


「のじゃ?」

「ノジャの農業欲求が尽きてなければ行けるんじゃないの?」

「俺はー?」

「アンタの根気が尽きると言う概念は無いわ」


そこまでじゃないと思うのだけどなー。


「話が脱線してるけど闇影、お前は今後はどういった方針で行きたいんだ?」

「そうでござるな。出かける時は相談して場合によっては一緒に冒険したいでござるが常時じゃなくてもイイでござる」

「その心は?」

「父上と母上も休暇が必要でござる。拙者の相手だけをしてるとそれはそれで疲れてしまうと思うでござるよ。休暇の意味でこのゲームをプレイしているでござるからな」


おお、なんか随分と配慮が行き届いた考えだな。

子供らしくない返事とも言える。


「そんな訳だから必要だったら何時でも誘ってくれて良いからね」

「そうね。出来れば一緒に遊びましょうね」

「うん……」


闇影が演技をせずに両親の言葉に頷いている。

本当に子供なんだなー。

……ある件に関してとりあえず闇影に手招きをしておこう。


「?」


闇影が小首を傾げながら俺に近づいてくるので内緒話をするように耳打ちを行う。


「とりあえず闇影、お前の設定したキャラクターをあの二人は演じているのはわかったな?」

「うん。父上と母上をイメージモデルに作ったでござる」

「その件で母親のキャラ造形にちょっと口出しするぞ? 主に妖艶って所。ミリーさん、絶対に間違って認識してるからその辺りのキャラ設定はしっかりと話し合っておけ」


と、俺は闇影にミリーさんと二人きりになったときの悪乗りに関して報告しておいた。

クレイさんは聞き流してたけど今後の事を考えると非常に悪い事になりかねない。


「わ、わかったでござる。後で母上にしっかりと話をしておくでござる」

「それと母親はかなりの恐竜マニアだな。楽しみにしてろよ?」


きっとこれから闇影はミリーさんに博物館に案内されて色々と化石談義を聞かされるぞ。

システム以上に詳しいから間違い無く化石マニアだ。

思えば中々面白い家族をしてるな闇影は。


「そこは知ってる。家に恐竜の本がある」


ああ、そうなのね。


「何にしても一件落着だな。みんな自己紹介をした後、今度ともよろしくお願いする」

「なのじゃ」

「ええ、よろしくお願いしますね」


って事で俺達は改めて自己紹介をした。

同盟関係なんで移動に関しちゃそこまで不便じゃ無いな。


「そんじゃ絆の嬢ちゃんのところの連中とも合流したし、パッと派手にパーティーをしようぜ。社長夫妻と娘さんの再会に乾杯! ってね」

「もー、らるくったら……ま、私も良いと思うわよ。闇影ちゃんとクレイさん達の為に頑張っちゃうわよー」

「ま、面倒な娘さんがサクッと見つかって良かったわ。それじゃ私たちが料理するからやって行くわよー!」


そんな訳で俺達は再会記念と言うわけで開拓地にプレイヤーが来ても城で賑やかにパーティーを開催したのだった。




もちろんプレイヤー達も到着し新たな街での出来事を堪能し始めた。

同盟都市なのでアクセスが良く設定されているとか。


「おー! これがウサウニーか」

「素直に可愛いデザインしてるー」

「ペンギンかリスかウサギか……」


ペックルからウサウニーの雇用に鞍替えするプレイヤーは結構多いらしい。

まあ、その辺りは個人の好みかな。

で、来訪したプレイヤーは……多いと言えば多いがカルミラ島の頃よりは心なしか少なめだ。


「思ったより人が来てないな」

「まだまだ各地を探索しているプレイヤーが居るからでしょうね」

「カルミラ島は中継地としての側面が強かったのが大きいと思うよ。第四都市も似た感じで思ったよりプレイヤーが来てなかったし」


ふむ……その辺りは色々と問題としてあるのかな?


「カルミラ島も人の出入りは安定してきましたよね」

「でも四天王との再戦ダンジョンがここにもあるんでしょ? カルミラ島は行きづらいって感じでバランス取ってるみたいだし」

「一応な。カルミラ島にはそう言った難点があるのか」


後で確認しなきゃ行けなさそうだ。


「ならいずれ来ると思うよ。他にも行ける範囲が大幅に広がるのが分かってるし、今は行ける所が多すぎになってるだけだよ」


そんな物なのかね。

世界は冒険で溢れてるって事でよさそう。


「お兄ちゃん! 私たちも四天王の再戦ダンジョンに行ってみたい」

「俺は島主だから行けなかったんだよな。後で行こうか」

「ええ、是非とも連れて行って欲しいです」


硝子と紡も色々と堪能しているようで何よりかな。


「それじゃあ皆さん。この草原の名物になる博物館を案内しますねー」


ミリーさんの案内で俺達は博物館へとやってきた。

俺は時々出入りしてるので目新しい要素はあんまり無いけどね。

顔文字さん達は各自別行動で見てまわるそうだ。


「当博物館へようこそピョン。あ、領主様のお友達ピョン? ではフリーピョン。どうぞお楽しみにピョン」


受付のウサウニーがそう答えて俺達は博物館へと入る。


「博物館か……」

「一応博物館だけど展示物には植物館のコーナーも併設してるな」


顔文字さんが育てた野菜なんかも博物館のコーナーの半分を占めている訳だし、正確には博物館なのかというと怪しい所は大きいか。