Wave of dimensions — страница 108 из 111


「流れからしてノジャくんが先かな?」

「わらわは基本サポート専用な所があるからのう。装備はそこまで重要では無いから島主の仲間である硝子の得物を作って貰うのが良いと思うのじゃ」

「いやいや、絵的にノジャちゃんも持ってる方が映えるわよ」

「確かにワラの嬢ちゃん。絆の嬢ちゃんも領主なんだぜ? 見た目で張り合うためにも四天王の武器はワラの嬢ちゃんも持ってる方が良いぜ」

「そうだね。ノジャさんは絆さんに匹敵する立場なのだから所持して居るのが良いと思うよ。どうやらアクヴォル装備を絆さんが装備しているとなると開拓地に適した四天王装備という意味で因縁めいていて楽しいじゃないか」


顔文字さんの提案をてりすを筆頭にした仲間達が拒否してくる。


「じゃが悪い気がするのじゃ」

「遠慮なんてしなくて良いわよ。どうせ周回してみんな揃えるでしょ」

「姉さんの場合さ……」


俺と紡がこう……揃ってとある考えが脳裏に過ぎる。


「……何よ?」

「ビッグブレイブペックルがダインブルグ装備の盾を付けるってのも因果なものでしょ?」

「そうそう」

「どういう理屈よ!」


そりゃあダインブルグにトドメを刺してしまったブレイブペックルが浮かぶと言うか。


「後はアレじゃない? お姉ちゃん、剣も使ってるけど槍も少し使えるでしょ?」

「まあ、武器種は全部触るのが私のプレイスタイルだからね。だけど槍ってどういう事よ?」

「ならウサウニーの着ぐるみとかからブレイブウサウニー装備とかも出てきそうでしょ」

「……。紡、アンタは私をなんだと思ってるの? 着ぐるみマニアとでも?」


姉さんが殺気を放ちながら俺達に詰問してくる。

けど姉さん、アンタ実はまんざらでも無いんじゃない? って顔してる気がする。


「お姉ちゃん。さっきの間は如何せん見過ごせないよ? 効率の為なら見た目度外視するでしょ」

「う……」


確かに、俺もスルーするには微妙になる間が姉さんにあった。

アンタ、ブレイブペックルの着ぐるみの性能気に入ってるでしょ?

だって波のフィールドでガッチガチだったもんな。


「そもそもお兄ちゃんには後で絶対に取得して貰わないと今後プレイヤーが困るスキルがあるんだし、その影響を受ける可能性高いよ。その関係を考えるとプギャーちゃんにも同様のスキル所持が求められると思う」

「わらわもかの?」

「ちょっと待て、俺達にも飛び火するのはどうなんだ? 姉さんだけの笑いもの枠じゃないのか」

「絆……後で城の裏に来なさい」


ゲ! 姉さんの怒りの矛先が俺に来る事になるの?


「何のスキルを所持して欲しいのじゃ? と言うかわらわをその呼び方するのはやめて欲しいのじゃが」

「えー? まあいいや。じゃあ顔文字ちゃんの方であるんじゃないかと思うけどウサウニー使いってスキルをできる限り育てると良いよ。お兄ちゃんは必須で取得ね」


え? あのスキルを絶対に取れって?

嫌だなぁ……とりあえず理由を聞こうか。


「なんで?」

「あのスキルね。雇用してるペックルの能力と行動頻度がかなり上がるんだよね。取れる最大までスキル成長させると中身入りの人には少し劣るけどそれでも強くてパーティーの穴を埋める位には戦えるんだって」


だから最近はガチガチの固定パーティーじゃなくて緩めのパーティーでも色々と行けるくらいには楽になってきてるそうだ。


「最高効率を求めてる人達も妥協出来るくらいには戦力にカウントされてるから最近じゃ臨時公平パーティーでも良くペックルとリスーカで穴埋めしてる人居るよ」


プレイヤーが円滑に遊べるようにするシステムアシストって事で良いのか?

VRMMOのユーザビリティというのはなかなか良いのかもしれない。

過去のMMOとか今のプレイヤーはとても出来ないくらい難解で面倒だったと聞くけどさ。


「まあ開拓妖精の強さは雇用主の強さの補正が大きいけど、お兄ちゃんの場合、影響範囲が大きいからね」

「そりゃあ……サンタ帽子が固定化させられて戦場に行かせられるからな」


今も固定で装備しているクリスからドロップしたサンタ帽子だもんな。

顔文字さんもサンタ帽子を被ってる。

領主はこの装備を外すことが許されないとでも言うかのように。


「ほう。そこまでなのかの」

「うん。お兄ちゃんが使ったら絶対に凄い事になると思うよ」

「いやじゃ! ペックル達は俺の配下だけどペックル使いにはなりto night!」

「同じネタを何度もやっても通じないよ」


く……さすがに同じネタは受けないし流されてしまうか。


「いいかもしれんの。ちょっとウサウニー使いのスキルを使って狩りに行ってこようと思うのじゃ」


顔文字さんは該当スキルを見つけて取得してしまったようだ。

そりゃあ顔文字さんはウサウニーの雇用主でカモンウサウニーの所持者だから習熟は恐ろしく早いだろう。

だがそれで良いのか顔文字さん。そのスキルはぼっちへの入り口だぞ。

トッププレイヤーを自他共に認めて居た顔文字さんがぼっちプレイヤーとして転向する事になってしまうんだぞ。


「その恩恵を私が着ぐるみを着用して得られるって事ね。ブレイブペックルは守り一辺倒だけどウサウニーの方は攻撃が上がりそうね」

「お姉ちゃんにぴったりでしょ?」

「紡、私が好んでこんな格好をしてると思ってるなら後でげんこつよ」


姉さんは手段を選ばず効率を追い求めて居るだけである。

ただ、その結果に見た目を度外視しているだけで。


ペックル使い



「一応、私は今の所タンクとして戦ってるから槍を使うにしても片手槍だけど切り替えで使うのは悪く無いかも知れないわね。リスーカも視野に入れるけど……絆とノジャ子を考えるとペックルとウサウニーでスイッチが良いかしらね」


盾と槍ってか?

ブレイブウサウニー着ぐるみの発見は時間の問題か。


「そんな訳だからお兄ちゃん、ペックル使いのスキルは取得しておいてね。プレイヤー同士での重複はしないけど効果が高い人の性能が優先されるから」

「絆殿がペックル使いのスキルを最大まで取得しておくと波のフィールドでの貢献度が高いはずでござるな」


居るだけで貢献するから取得してくれって……それで良いのか?

……領地持ち故の制限なのかな。


「それじゃお兄ちゃんも、波の戦場でペックル達の強化の為に取得してよ。そうすればお兄ちゃん達に暴れて貰えるし」

「く……」


非常に不服だけどペックル使いを所持する事にした訳だけど……元々使役し続けている影響か速攻で最大値まで取得出来てしまった。


ペックル使いⅩ。

ペックルを雇用したプレイヤー専用スキル。

雇用したペックルを有能に使いこなすスキル。

ペックル達のあらゆる行動にプラス補正を掛け、能力、行動頻度、判断力を引き上げる。

毎時間消費2000エネルギー消費、ペックルの雇用素材の消費1,2倍。

所得に必要なマナ 消費済み

ランクアップ条件 ―


雇用消費素材はスキルLvが上がる毎に下がるタイプだった。最初は性能の割に低そうだったけどこれだとかなり強力そうだ。

消費エネルギーがそこそこ重いけど……。


「そう言えばペックル装備も一部あるようにウサウニー装備もレシピで出てくるかね? リスーカ装備も一応依頼されて作る事があるね」


ロミナが開拓妖精装備のレシピを探している。

倉庫からウサウニーの毛玉という素材を見つけてレシピを発見してしまった。


「着ぐるみは鉄板であるだろうね」

「他にありそうなのはブレイブウサウニーの武器からして槍じゃな」

「ほう……キー素材はなんだろうね。おや? かなりのネタ装備の槍があるじゃないか、お約束の人参の見た目だが……キホーテキャロットと言う野菜が必要なようだ」

「おお! 知らん野菜じゃな! 研究して作るのじゃ!」


顔文字さんの農業欲を刺激してしまったようだ。

目当ての野菜が出来るのも時間の問題かな。


「ちなみにペックルの武器に関しちゃ絆くんは心配しなくて良いよ」

「いや、俺は何も言ってないけど……」


なんで心配ないんだよとツッコミを入れたいけど大方既に釣り上げてるって事か。


「少し話が脱線してしまったけれど、ダインブルグ装備が欲しいと言う人の装備を作っておくよ」

「何時もありがとうなロミナ」

「お互い様さ。絆くん達は無茶な装備過剰や使用をせずに面白い素材を持ってきてくれるし恩恵は十分貰ってるさ」


ロミナの寛大な態度には何時も助けられるね。


「装備はロミナに見繕って貰う何時もの流れなんだけど……この後はどうしたもんかな? 無難にダインブルグのクエスト周回?」

「今の所、希望者分の装備は十分だよ? むしろ絆くんはこれまで開拓業務をしていたんだから他に行きたい所に行くのが良いのではないかい?」

「まだここのダンジョンにあるマグマで釣りしてないんだけど……」


実験にダインブルグの砦の堀で釣りしてただけだし。


「そんなのはすぐに終わるだろう? どうせこの後行ってくるのではないかい?」

「まあ……ヌシとか居るといいけど」

「行ける場所でめぼしいのだとセン地方とかミカカゲの奥、カルミラ島近海に出たアクヴォルに挑戦と絆さんしか出来そうにないクエスト、他に第四都市ノースフェラトに行くと言う手もありますね」


俺の留守中に色々と行ける所が見つかってきてるもんだ。

どこから手を付けるのが良いかな。


「お? 絆の嬢ちゃんアクヴォルとか他の四天王退治するのか? するなら俺も見てえ!」


らるくがてりすと一緒に立候補してきた。

そんな珍しいもんじゃないと思うけどなぁ。


「流れ的に怪しいメールが来て隠しの攻略方法が分かるのと四天王が妙な反応するだけだと思うぞ? むしろブレイブウサウニーを連れてった時のダインブルグの反応はどうだったんだ?」

「『ヒィ!? ブレイブウサウニー!?』って言ってたぜ?」

「そんな精神害虫みたいな反応なのはどうなんだ?」


どんなポジションなんだよブレイブウサウニーは。

怯えられるってのは何なんだ?


「攻撃範囲に入ると『その槍で私の何処を突き刺す気だ!』って変な回避モーションをダインブルグがしていたのじゃ」

「……らるく、俺が居なくても面白い事は起こってるから顔文字さんのところで我慢しようぜ?」


優しい目でらるく達を宥めてやろう。

顔文字さん達だけでも十分面白い事が起こってます。

多くを求めてはいけません。


「お兄ちゃん、顔をキラキラさせて宥めに入ってるね」

「ネタに走るわねー絆」

「嫌だぜ! 今度こそ絆の嬢ちゃんの面白イベントを直に見るんだぜー!」

「そうよそうよー絆ちゃん、てりす達とあそびましょー」


このカップルは本当に大人なんでしょうかね?

ってぐらい駄々を捏ねられてしまう。


「俺達は見世物でも芸人でもない!」

「ここまで説得力の無い台詞は無いでござる!」


なんだと闇影! 俺の何処が芸人だ!


「エクシード一家はネタによく走るからねー」


クレイさんまで苦笑気味に同意してくるとはどういう事だ!


「心外ねー」


着ぐるみ装備を着用する姉さんが何かぶっ放してる。


「私たちの何処が芸人なんだろうねー」


ネタに走る筆頭の紡が言っても説得力は無い。


「これは間違い無く他二人は芸人だけど私(俺)は違うって流れでござる!」

「「「う……」」」


もしや事実なのか? 俺達芸人なのか?

違うと言いたい。流れを変えるのだ。


「とりあえず確認だけどノースフェラトで戦える四天王って?」

「火のクリムレッド……」


ぽつりと、それでありながら何か強めの口調でしぇりるが言った。


「……」

「……」


合わせるようにそっと、硝子達全員が顔を逸らした。

……何があった?

闇影はともかくあの紡までもが同じ動きだったぞ。


「闇? どうしたの?」

「どうしたんだい?」


闇影の両親が娘の様子がおかしい事に気付いて語りかける。


「しぇりる殿のやり遂げる意志は絆殿に匹敵するのを知った出来事でござるな」


うーむ……この流れ、ぼろ負けしたしぇりるの因縁の相手だったのは想像に難しく無い。

おそらくスイッチの入ったしぇりるによって火の四天王クリムレッドは串刺しかハチの巣にされたのだろう。


「お? 火って事はアイツか、是非ともあいつの醜態を見てやりてえぜ」


らるくが悪巧みする子供みたいな笑みを浮かべている。


「水、土、火となると残りの四天王はまだって事ね。じゃあてりすの仕返しは先って事になるわねー」

「と言う事は四天王イベントでらるくは火でてりすは風の四天王と戦ったのか」

「ええ、風のクーフィリカって名前だったかしら」


へー……これで再戦ボスは全部揃うと。

魔王との戦いはそれが終わってからなのかな?


「父上達は戦ったでござる?」

「クレイさんが参戦してたら勝ってそうだけどな」


少なくともダインブルグサンドワーム戦を思い出すと顔文字さんを凌駕しかねない指揮能力を所持してるだろう。

この人に任せて置けば大体安定して勝てるって位には能力高いぞ。

闇影の親って改めて考えるとスペック高いな。


「生憎とノジャさん達のギルドの人と拗れ始めた時期でもあってね。後方で物資支給をしていたよ。前に出るのを嫌がられてね」

「なんで?」

「ノジャくんの後任に指揮を私がするのを嫌がられてね……」

「あいつね……本当、見栄しか頭にない奴だったとしか言いようが無いわ」


あ、姉さんが愚痴モードに入ってしまった。

ノジャさんの後任でリーダーをしていたプレイヤーって相当碌でなしだったんだろうなぁ。

ギルド内の立場を維持する為にクレイさんにまで塩対応してたのか。

ミリーさんも同じく待機組って事だったんだろうなぁ。

ロミナと同じく不参加というか物資支給で貢献してたんだな。


第四都市ノースフェラト



「正直さ……そこまで四天王が狩られてると新鮮味無いな。ロミナが買い取りとかしてる物資とかで四天王装備とか揃えてもらえそうだし」

「そうだね。急務で挑まないといけないかどうかは怪しい所ではあるね。もちろん全ての四天王を倒す事で何らかのフラグがありそうではあるけど」


うーん……そりゃあ四天王を一人一人倒して行くのも面白くはあるけど既に他のプレイヤーがやり遂げている点で魅力が薄い。


「ぶっちゃけ後回しにしてダンジョンのマグマに釣り竿を垂らしたいな。四天王は何時でも挑めるし」

「絆さんらしいですね」

「確かに絆殿が居れば正面からでも問題無く勝てる気がするでござる」

「そう……」

「それこそ面白ギミックでコメディチックに倒される四天王を見て笑いましょうって感じだねお兄ちゃん」


なんか四天王達が哀れに感じてきた。


「俺は火のクリムレッドをボコしに行きたいぜ? やられっぱなしってのも悔しいしよ」

「そこは行きたい奴でパーティー組んで行けば良いんじゃ無い? なんだかんだ人は居るし攻略はどっちかというと顔文字さん向けだよ」


その辺りの正当な攻略は俺より顔文字さんの方が向いてる。


「わらわも農業で未知の作物の発見をしたい所なんじゃが……」

「ノジャくんじゃないと見つからない四天王作物とかもあるかも知れないね」

「なるほど、畑にダインブルグ素材を植えて見るのも面白そうなのじゃ。クリムレッドかの……ちょっと興味が湧いてきたのじゃ」


あーなんかそういうのありそうではあるね。

勿体ないと思うかも知れないけど素材買い取りが出来る位には俺達は金を持っているのだ。

何よりクエスト報酬でそこそこダインブルグの素材はある。

実験に植えても問題は無い。


「俺の場合、四天王……アクヴォル辺りは釣り上げてみたいかな」


引っかかりそうで引っかからなかったんだよなー。


「絆殿がとんでもない事をぶっ放してるでござるよ」

「確かに釣れそうなボスですね」

「ファンクラブが居る程のボスだけどね。お兄ちゃんのライバル認識されてるよ」

「あー聞こえない」


なんで俺がアクヴォルと人気で勝負しなくちゃ行けないのだ。


「まあ……ファンクラブの人達がお兄ちゃんが開拓中、アクヴォル様は行くの大変だけど何時でも見る事が出来るから尊さはお兄ちゃんだとか言ってたけどね」

「本当そいつら何なの? 俺の何がそんなに萌えるの?」


本気で理解出来ないんだけど。

俺の何処に萌えを見出してるの? あんまり表には出ない釣りオンリーの釣り人を捕まえてさ。


「心当たりが全く無い。歌って踊ってる訳でも無いのに」

「想像が一人歩きして居るのではないかのう? 得てしてファンというのは本人が何かした訳でもないのにそう動くものじゃ。番組の収録で男性と話しただけで嫉妬して妙な予告を出して捕まるものも居るのじゃ」


隠れアイドルオタクの顔文字さんはその辺り詳しいなー。


「ゲームだから美男美女になりやすい所だと強烈な個性ってのは武器になるもんだぜ? 絆の嬢ちゃんはやるときはやるから人気あるのは分かるぜ」

「前にも似たような話をしたような気がする。な? 闇影」


ここは俺のファンクラブよりも各イベントで毎度上位入賞している且つクレイさん達の件の娘だったという事実から闇影をアイドルに担ぎ上げるのがいい気がしてきた。


「闇影ちゃんファンクラブに改名するように勧めよう」

「絆殿のファンクラブで良いでござるよ! カリスマプレイヤー絆ちゃんが今度はプラド草原を開拓したと言うのがタイムリーなニュースなのでござる!」

「いやいや、超々人気プレイヤー闇影ちゃん、アルトのライバルである大商人クレイさんの娘という情報に比べたら俺なんて小さい小さい。ちゃん付けが嫌なら闇影様ファンクラブでもいいぞ?」

「いやいや――」


っと俺と闇影でアイドル枠の譲り合いと言うなのなすりつけ合いを続ける。


「お二人とも嫌なんですね」

「気持ちは痛いほど分かるのじゃ」


顔文字さんが何故か俺と闇影の立場に関して強く理解を示している。

合わせるようにクレイさんとミリーさんが笑ってるような気がするけど……。


「絆の嬢ちゃん達は見てて面白えからファンの気持ちは分かるぜ」


それは分からないぞ俺は。


「硝子は何かお勧めの場所とか無い?」

「そうですねー……あ、ノースフェラトには絆さんにお勧めな点がありますね」

「なに?」

「鮭とブラックバスが釣れます」


ほほう。




「ここがノースフェラトかー」


そんな訳で俺はノースフェラトへとやってきた。

第四都市ノースフェラト、開拓済みではあるけれど道中は森に囲まれた山奥の都市……小さな町って感じの場所だ。


建物はログハウスで、なんて言うか……キャンプ場みたいな雰囲気があるかな?

こう、海外の映画にあるカントリーな田舎って感じの場所のようだ。


おお……湖まである。

住みやすさで言うと島のカルミラ島、草原のプラドとはまた別の良さがあって人気はありそう。

付いてきたメンバーは硝子、紡、姉さん、闇影、顔文字さん、らるくにてりすだ。

闇影の両親とロミナは商売関係での会議というか友人知人との情報交換をするとの話で別行動となった。しぇりるも何かあるそうでカルミラ島に戻ってしまった。


「ノースフェラトへようこそ! チュチュ!」


で、帽子を被ったリスの妖精……リスーカが都市のNPCとして配置されている。


「アレがリスーカかー……」

「そうそう」

「尻尾がくるっとしてて可愛いわねー」

「そうだな!」


てりすの評価にらるくが同意してる。

わかって言ってるのだろうか?


「このノースフェラトから少し移動した川で鮭が釣れるそうです。湖ではブラックバスが釣れるとの話でしかも定期的に釣り大会が開催されるイベントもありますね」

「おー……カルミラ島じゃ釣り大会なんて無いのになー」


ノースフェラトにはそう言ったイベントもあるのか。