参加するしないに問わず、情報を得ておくのは重要だろう。
「絆お兄ちゃん、第一の方に来れる?」
「今向かってる」
「じゃあ第一に着いたら広場で合流しましょう」
「わかった。じゃあ一度チャット切るな」
――チャットが終了しました。通常会話に戻ります。
チャットを終了して、硝子達に振り返ると三人がこっちを凝視していた。
いや……普通に電話、じゃなくてチャットしていただけだが。
「な、なんだ?」
「紡さんからお電話ですか?」
「ああ、姉さんと紡からだった」
「お姉さんもいるのですか」
「そういえば言ってなかったな。三人でやってるんだ」
「どうして別々に行動しているのでござるか?」
「そういえば、どうしてだろうな」
確かに姉妹三人でやっているのに何故か全員別行動だ。
言われてみれば三人でパーティーを組んでも良かったかもしれない。俺は最初から釣りをする事を公言していたので、二人が察してくれたんだろうけど。
「第一に着いたら一度合流する事になった」
「ご兄弟の安否ですから、とても大事な事だと思います」
「硝子殿の言う通りでござるな。この際絆殿だけでも先に第一に行くのはどうでござるか?」
「いや、二人とも大丈夫だったし、そんなに急いで合流する程でもないだろうよ」
これが創作物に良くあるデスゲームって訳でもあるまいし。
家族の贔屓目だが、あいつ等ゲームは俺よりも上手いからな。実際、ディメンションウェーブの直撃を受けて自分達は死んでないよっぽいオーラ出してたし。
心配してないかと言われれば嘘になるが、今直ぐ会わなきゃダメって程でもない。
「……そうでもない」
「大丈夫だろ。一応前線組だしな」
「違う。絆には第一へ帰還。情報収集してほしい」
なるほど。一理あるな。
海から船で帰れば距離の関係、帰還アイテムを使うよりは時間が掛かる。
その点、パーティーメンバーの誰かが情報収集に先行するのは十分ありだ。
「だけど、それは俺じゃなくても良いんじゃないか?」
「絆はこの中で一番友好関係が広い。情報集めなら、絆が適任」
「しぇりるさんのお言葉通りですね。絆さんが一番かと思われます」
「自分、人と話すのが苦手でござる故」
確かに前線組の紡、姉さん、アルト、ロミナ辺りに聞けば現状を把握するのは早そうだが、面倒を押し付けられている気もする。本音を言えば、それを喜んで頷いてしまう俺はシスターコンプレックスなのかもしれないけどさ。
「ありがとう。じゃあ先に行って可能な限り情報を集めとく。着いたら連絡頼むぞ」
「ん」
スピリットとして常用基本である帰還アイテム『帰路ノ写本』をアイテム欄から選ぶ。
緊急脱出用に三つ持っているが、これ1000セリンもするんだよな……。
いや、我侭を言うまい。時は金なり、とも言うからな。
今は1000セリンよりもディメンションウェーブ対策が重要だろう。
そういう訳で俺は帰路ノ写本を使用し、三人を残して先に第一都市へ急いだ。
前線組
「……被害は大きかったみたいだな」
都市の第一印象はそんな感じだった。
事前にディメンションウェーブ用に作られていたのか、第一都市ルロロナの建物は被害を受けて所々崩れている。以前とは見る影もない。
約二週間近く拠点にしていたので見覚えがある場所が多いのも微妙な心境にさせる原因か。
逆に行き交う人々はイキイキとしていると思う。
まあディメンションウェーブなんて大きなイベント、普通のオンラインゲームからすれば大規模パッチに近いからな。これから起こるイベントにワクワクしているのだろう。
「にしても寒いな」
第一都市は海に近い影響か、あるいは最初の街という事で比較的温暖に設定されている。小春日和みたいな、ボーっとしていると眠くなる、そんな印象のある都市だ。
しかし今はディメンションウェーブの影響なのか、温度が低い。
思えばゲームで温度というのも面白い。
まるで異世界にでも来たみたいな、そんな錯覚すら沸く。
セカンドライフプロジェクト的に可能な限り実装した、という事だろう。
さて、情報収集をすると言った手前調べとかないとな。
まずは姉さんと紡か。
後はアルトと連絡を取ろう。奴なら色々な所から情報が集まるだろう。
目的を決めて歩き出そうとした所、空に違和感を覚えた。
「……雪?」
そう、雪が降ってきた。
俺以外にも気が付いた奴は多く、少し顔を青くしている。
ゲーム的には演出なのだろうが、天変地異の様で不気味さが増した。
さながら北欧神話にでも出てくる世界の終焉みたいだ。
「……硝子、力を借りるぞ」
メニューカーソルからアイテム欄を選択し硝子が以前くれた粉雪ノ羽織を取り出す。
海ではそれ程寒くなかったので使っていなかったが、この寒さでは必要だろう。
相変わらず俺は西洋風の衣服系をメインに使っているので似合わないだろうが、粉雪ノ羽織は効果以上に暖かい気がした。
そうこうしている間に待ち合わせ場所である広場に到着した。
作為的な物を感じるが、ここはゲーム開始地点。
広場には普段は見られない屈強な全身鎧を身に纏った者や品質の良さそうな魔法使いといった風貌のローブを羽織って大きな杖を持った者がいた。
誰が言うでもなく、前線組の奴等だろう。
この中に一週間前まで硝子が混ざっていたと思うとなんだか不思議だ。
「紡達は……」
キョロキョロと辺りを歩きながら探す。
衣類パーティーの俺達と比べると両手剣などのごつい物を持っている奴等が多くて少しビビッた。良く考えるとMMORPG的にはそっちの方が自然なのか。
「お兄ちゃーーーーん!」
右後方から紡の声が響く。
姉さんと紡はリアルと同じ声を使っているので直に気付いた。
……こんな異世界っぽい場所で現実の声を聞くのはちょっとアレだがな。
「つむ――」
紡と言い切る前に俺にダイブしてきやがった。
しかも鎧だ。
重装甲って程でもないが、比較的重そうな奴……ミドルアーマーって奴か。
ともかく重そうな鎧のまま俺に飛びついてきた。
「うわっと!」
無理かもしれないとも思ったが俺はそのまま受け止める。
受け止めた衝撃で何かのアニメみたいに三回転した。
しかし意外にもその身体は予想に反して軽かった。
「むふー!」
ケモノ耳で再会の興奮を訴えているのか、耳が高速で開閉している。
頭を撫でてやろうと手を伸ばすが、紡は俺より身長が高い。
イメージとは違う、下から頭を撫でる形になった。
くっ! ちょっとかっこ悪い。
「あれ?」
「どうした?」
「ううん、なんでもない。お兄ちゃん元気そうで良かったよ」
「そっちこそ大丈夫そうだな……ていうかレベル高そうだな」
赤いアクセントの入った漆黒の鎧。
若干ロングスカート風味の鎧はかっこ良さと可愛らしさを両立させている。
武器は仕舞っているので何か分からないが、何を着けても似合いそうだ。
平民な兄に、騎士の妹って感じで多少思う所はあるけれど、目的が違うのだから自然と装備にも変化はあるだろうと納得する。
「あはは、26レベルになったばかりだよ~」
「……26?」
俺は紡のレベルに対して聞き返してしまった。
というのもしぇりるのレベルが21だからだ。
硝子と闇影が船上戦闘スキルを覚えたおかげで効率が跳ね上がったのも大きいがしぇりるは確実にレベルが上がっていた。
本人曰く『20から上がり辛くなった』とか言っていたが、初日からずっと前線で戦い続けていたであろう紡と5レベルしか差が無いのは不自然だ。
「あたしのレベルがどうしたの?」
「い、いや、なんでもない」
咄嗟に誤魔化してしまったが、どういう事だ?
きっとオンラインゲームにありがちなレベルの上がり辛さだろう。
序盤だけ早くて、後半は異常な量必要になる経験値。
あれに違いない。
「紡の兄さんだな?」
思考を戻すと紡が来た方向から四人のパーティーと思わしき人物が話しかけてきた。
話しかけてきたのは人間の男。
兄として妹を呼び捨てされた事に若干シスコン根性が沸いてくるが、考えてもみればゲームなので呼び易い言い方になると納得する。
男は赤の入った茶髪で白いアーマーを着込んだRPGに出てくる勇者みたいな奴だ。
態度から紡が所属するパーティーのリーダーといった所か。
後ろには両手杖を持ったローブを着けた人間の女性。本、魔導書を持った晶人の青年。ライトアーマーの草人の少年、と紡を含めて種族オンパレードだ。
その中にスピリットがいないのが悲しい所か。
「ああ、俺が紡のリアル兄の絆だ」
「聞いてるぜ。お姉さんと紡に妹にさせられたんだってな?」
「……まあな。まあ程々に楽しませてもらっているよ」
「よろしくな、絆。オレはロゼット。皆からはロゼって言われてる」
そう言って握手を求めてきたロゼ。
断る理由がないので握手を交わしてから会話を続ける。
「聞くまでもないが、ロゼは前線組か?」
「一応な。紡やレイ達のおかげだ」
レイというのが誰かは知らないが後ろの三人の誰かだろう。
ロゼの第一印象は、なんかギャルゲーの主人公みたいな奴だ。
男三人、女二人の一般的なRPGにありがちな構成。
王道的に見て、後ろ三人は、両手杖の女性がレイとやらで光魔法、魔導書の青年が四属性魔法、ライトアーマーの少年が弓って所か。
そしてロゼは盾役か。パーティーリーダーに合いそうな男だ。
ちなみに実際に訊ねたら正解だった。
俺の勘も中々のものだな。
まあ、MMORPGでハズレの無い構成というと、そんな感じなんだけどさ。
「それでディメンションウェーブの調査はどの程度進んでいるんだ?」
「第二までの途中に今までなかった場所があるらしいよ」
「……特設マップって所か」
そのマップに何かあるか、あるいはそこで戦闘があるのか。
予想ではボスモンスターでもあのヒビから沸いて出てくる、とかが妥当か。
「オレ達は三日後に何かあると睨んでる」
「三日後……そういう事か」
――三日後、その日は俺達がこの世界、ディメンションウェーブが来て丁度一ヶ月目だ。
なるほど、その線は十分あり得る。
イベント的にも一月経った辺りで大きなイベントがあるのは納得できる。無論、ハズレる可能性もあるので引き続き調査は必要だが、三日後に何かあると踏んでいいだろう。
仮に三日後、大きな戦いがある事を仮定した場合。
……俺が最初にできる事は解体武器の効果だ。
この情報を公開すればゲーム内戦力の底上げができるはず。
十分稼がせてもらったし、今まで紡と一緒にいた彼等になら――
「おいおい、勇者様はスピリットなんかとつるんでるのかよ」
決意を固め、喉から言葉を出し掛けた直後、ロゼに話しかけてきた人物がいた。
金髪のイケメンだ。まあゲームなので美男美女ばかりなのだが。
「……お前等か」
今まで比較的好印象だったロゼが眉を顰め、不快そうな顔をした。
まあ態度からあまり関わり合いになりたくない類の輩なのは分かる。
その金髪の背後には三人連れがいる。装備や構成がどことなくロゼ達に近い。
多分、レベルが近いのだろう。そうなると彼等も前線組と考えるのが無難か。
「スピリットが弱い種族なのは事実かもしれない。だが面と向かって言う事ないだろ」
ロゼが反論する。
これは庇われているんだよな?
俺とロゼの関係は数分程度だ。ほとんど初対面で通じる。
それで尚、庇ってくれるって事は、ロゼは良い奴だな。
「ちょっとやられたら弱くなるのは事実だろう?」
ヘラヘラとした笑みを浮かべる四人組み。
……頼む、一言だけ口にしたい。
何、そのマンガにでも出て来そうなあからさまなチンピラキャラ。
笑える以前に、こんな奴実在したんだな。
そもそもこんなリア充みたいな奴等が何を思ってこのゲームに参加したのか。
むしろそっちの方が気になるぞ。
「第二都市開放戦で彼女がどれだけ貢献したのか忘れたのか!?」
「HPが高いのがスピリットの特徴だろう?」
「それでも彼女がいなければ敗北していたのも事実だ」
ロゼと金髪は俺などそっちのけで口論をしている。
前線組も中々大変なんだな。
まあオンラインゲームにおけるお約束みたいなものか。
経験値効率、アイテム、狩場云々で喧嘩になるのは高レベルプレイヤーの方が多いからな。俺も何度か経験があるので心配する程でもない。
ん?
ちょんちょんと服の裾を引っ張られたので、振り返ると紡が耳打ちしてきた。
「狩場の取り合いで良く争うパーティーの人。構成が似てるから」
「なるほどな」
という事はあっちの四人も盾、魔法、魔法、弓の構成なのか。
典型的な効率パーティーだな。必然的に狩場が近くなるって事か。
「それで、何の言い争いをしているんだ?」
「うん。第二都市の開放で戦う事になったボス戦でスピリットの人のおかげで勝てた様なものなの。多分、その人がいなかったらあの時全滅してたと思う」
「まあ、彼の言う通りスピリットのHPが高いのは長所だしな」
代わりにそいつはエネルギーを相当削られたんだろうな。
しかし、どこかで聞いた様な話だな。
「それで、その彼女とやらはいないみたいだけど、どうしたんだ?」
「うん。一週間とちょっと前……位かな。その辺りから一緒にいる所を見ないからパーティー脱退したのかも」
「へぇ」
一週間とちょっと前か。
俺が丁度海釣りをやめてフィールドに出た頃だな。
……………………硝子じゃね?
確か硝子は都市開放戦に参加したとか言っていた覚えがある。
無論、全くの別人である可能性も捨てきれないが状況は一致する。
外道だとかなんとか言っていたが、所謂効率厨って奴なのだろう。
硝子の戦い方を見るに、敵はモンスターだけじゃなかったのかも。
攻守一体のやや防御よりの武器で衣類系の回避系防具。
敵の攻撃を防ぎ、必要ならば避ける。
なるほど、効率重視殲滅系パーティーだと身の安全を守るのが重要になりそうだ。
「まあ勇者様もスピリットなんか入れて吸われない様にしろよ?」
「そんなのオレ達の勝手だ」
「じゃあな。おれ等も暇じゃないからな」
嫌みを告げると金髪達は元来た道を歩いていった。
暇じゃない割には随分と熱心だった気もするが、まあ良いだろう。
そうだな。奴等に一つ言うならば。
「お前等が――で助かったよ。俺の大事な仲間と出会う機会を作ってくれてさ」
比較的大きな声で言ったつもりだが、彼等は気付かず去っていった。
あれか、難聴属性持ちか。
もしかしたら何かの主人公かもしれないな、あいつ等。
「悪い。気分を害したなら謝る」
「まあネトゲやってれば、ああ言うのにも遭遇するだろうさ」
「そう言ってもらえると助かる」
「スピリットが弱いのも事実だしな」
実際他の種族と比べて戦闘能力はあまり高くない。
やり方しだいでは他種族を上回れる手段もあるが王道からは外れる。
しかし俺の言葉にロゼは。
「オレは違うと思う」
「そうなのか? 前線組の話なら参考になりそうだな」
「奴等にも言ったが、スピリットがいなかったら第二都市開放戦で一度負けてたはずなんだ。スピリットは雑魚戦では弱いかもしれねーけど、ボスには強いと思う」
「なるほど」
言われてみればリザードマンダークナイト戦でマイナス3000状態の闇影のドレインは結構なダメージを出していた。
あのダメージを、ゲームが始まって二週間で出すには他種族では難しいだろう。
更にはHP、というかエネルギーで計算しているので死に難い。
まあこの三週間でエネルギーを稼ぐのがどれだけ大変か知っている俺からすれば、雑魚戦でも程々に稼げていると思うんだ……硝子も海はかなり美味しいと言っていたし。
まあ良い。今は他にやるべき事がある。
「そんな事よりもディメンションウェーブだろう」
「そうだったな。絆はこれからどうするんだ?」
「紡にも会えたし、姉さんと会ったら、知り合いから情報収集だ」
硝子達に情報収集と約束している手前、ボーっとしている訳にもいかない。
アルト辺りは今頃どこかを走り回っているはず。
そのアルトから情報を得られれば現状を把握するのも容易い。
後は三日後に何かあると備えた場合、武器と防具も一新しておきたい。
その材料、海に生息するモンスターから得たアイテムが山ほどある。
以前ロミナに解体アイテムを優先的に売ると約束したので、それも果たせるだろう。
考えてもみれば、残り三日じゃ時間がいくらあっても足りないな。
迅速に、慎重に動きたい。
「じゃあ俺は俺で調べてみる。ロゼット。紡を……妹を頼んだ」
「お兄ちゃん、なんで彼氏に任せる風に言ったの!?」
「いや、お前だし」
「意味がわかんないよ!」
「ははは、紡は家の火力だし、任されるというより任してるぜ」
……さすがは戦争の申し子。
俺は紡の廃人っぷりを改めて噛み締めながら行動を開始したのだった。
戦闘準備
俺達の動向とは余所に世界は実にゆっくり時を刻んだ。
無論、三日後に備えて動く俺達にとっては、その緩やかな時間も無駄にはできない。
まず硝子達と合流を果たした俺は、それまでに得た情報を共有し、逐一連絡しながら様々な方面で現状把握に尽力した。
例に挙げられる物では、アルトから特設マップの場所を得たり、ロミナからパーティー全員の武器を作成してもらったり、防具職人を紹介してもらって装備を一新した。
海の装備な影響か青に近い色彩の防具が多く、鳥系も混ざったふわふわな感じも多い。
そして特設マップの調査もした。
他のパーティーなど情報は出尽くしていたが、このゲームは自分の目で見ておく事が重要だ。なので一度四人で調べた。
場所は第一から第二の間。
元は大きな壁のあった場所なのだが、そこがぱっかり開いて道になっていた。
ディメンションウェーブの影響で道が出来たらしい。
そのマップに入ると遠目ながら、黒い次元の裂け目を見る事ができる。
だが、そのマップには現状モンスター一匹存在しない。
その為、そこがどの様な形状をしたマップなのか調べる事は容易だった。
地形は緩やかな段差こそあるが比較的平地。
道は山を二つ挟んだ真ん中、右側、左側と三方向ある。
その三方向はヒビの方角でも道が集約している。
憶測だが、大規模攻防戦になった場合、敵が三方向から来る、と思われる。
逆にプレイヤーが三方向から攻めるというのも無難な線か。
そこが特設マップである理由は他にもある。
まずマップ会話が存在する。
基本的にはチャットを除けば現実と同様、どんなに大きな声を出しても近くの人にしか声は届かない。
だが、ここではその人物がパーティーリーダーであればリーダー同士で会話ができる。
そんな理由もあって現在パーティーの限界人数である10人で組む為にメンバー募集などが第一、第二都市の各所で騒がれている。
ともあれ、各都市を見るに潜在的にディメンションウェーブに参加を決めている奴は相当数いる。特に現在第一、第二では武器防具、アイテムなどの売買が盛んだ。
アルトもロミナも大変そうにしていた。
その中で様々な情報を与えてくれた二人には感謝の言葉が尽きない。
ただ具体的な参加人数が不透明な事を含め、沢山の人が参加する戦場は混迷を極める事が推測できる。
中には作戦だの、計略だの話していた前線組もいたが、人数的に統率は不可能だろう。
というのもマップその物が相当広い。
プレイヤー人口を具体的に把握している訳ではないので迂闊な事は言えないが、1000人位なら簡単に納まってしまう程度には広かった。
故に調査にも限界はある。