チャットを送っても。
『現在相手の電源が切れているか、電波の届かない所にいます』
と、ご丁寧に俺が硝子達に送ったチャットと別ヴァージョンが表示されたらしい。
おかしなチャットの言葉もそうだが、不可解な状況に硝子は皆と俺の探索に乗り出してくれたそうなのだが、尽く消息は掴めず、無駄に時間を浪費していく。
硝子曰く場所が海だっただけに、アルトが何かのイベントに巻き込まれているんじゃないか、と真相に近い憶測を提示して、海などを探索したが結果は今を見ればわかる。
そんな感じで経験値と過ぎて行く時間だけが肥大していった頃……ディメンションウェーブ第二波が発生した。
ちょっとした焦りが硝子の心を支配した頃、宿の自室に突如巨大な手の形をした海水が現れ必死の攻防も虚しく、気が付いたらここにいたという。
「なるほど、俺も第二波は見えたけど、このタイミングで呼んで悪かったな」
「いえ、絆さんが無事ならそれだけで良いのです」
「だけど第二波で硝子がいないのは結構な損失だろう。一波的な意味で」
「問題ありません。最初から参加するつもりはなかったのですから……」
「それはどういう……」
硝子は瞳を閉じて大事そうにアイテム欄から俺が貸したエネルギーブレイドの柄を握っていた。そうして俺にエネルギーブレイドを手渡すと話を再開する。
「絆さんに、これを返したかったんです」
「……硝子は相変わらずだな」
「はい! 私はそうそう変わりません」
何にしても元気そうでなによりだ。
カルミラ島に来てから皆の事だけは心残りだった。
船上戦闘スキルを未取得に回した俺的にどうなのかは知らないが。
「それで、どうしてディメンションウェーブに参加しないんだ?」
「もう……絆さんは、私に言わせるんですか?」
「……? まあ言いたくないなら、それで良いけど」
取り敢えず硝子だけとはいえ合流を果たせたのだから良いとするか。
ともかく再会祝いだ。昨日手に入れたクエを朝食にして祝いの席を築こう。硝子を連れて俺が寝泊りをしている拠点へと急ぐ。途中硝子がペックルの集団を見て身構えた。
「化け物!」
扇子二つを腰帯から瞬間的に取り出し、距離を取る。
「ペックルはモンスターじゃないペン」
「しゃべりました!」
やべぇ、反応が俺と同じだ。
まあ普通にペックル(笑)とかモンスターにしか見えないよな。
そもそも頭の悪い語尾に数だけが取り得のペックルだからな。
「えっと、こいつ等がさっき説明したサポートキャラだ」
「そ、そうなのですか。沢山いるので驚きました」
良く考えれば俺は見慣れたがこの光景は異質だよな……。
立場が同じなら硝子と同じ反応をしていた自信がある。
「でも凄いですね。この島では建物に巨大なペンギンがいるんですね」
「……なんだって?」
「ですから、あの魚の印が付いている建物に巨大な紫色のペンギンが……」
指を向けた方向を眺める。
そこにはペックルの食料が保存されている施設、食料庫がある。
硝子の話通り魚のマークをしており、あそこに魚を入れておくとオートでペックル達がやる気を回復させる施設なのだが……。
「施設が襲われているペン」
「サンタ帽子……そんな冷静に言われてもな……」
ペックルのリーダー的存在、サンタ帽子ペックルが淡々と言った。
個人的にはもう少し慌てて報告してほしかった。
しかしカルマーペングーは森から一歩も出てこなかったはずなんだが……。
すると珍絶景でも眺める様な硝子に視線がいく。
島に存在するプレイヤーの人数が増えたから?
ゲームではよくある事だが、参加人数が増えると難易度も上昇するという事があるんだが、もしかしたら今回のカルマーペングーはそれに該当するかもしれない。
「と、ともかく今は硝子先生がいるからな。あのデブ、絶対食ってやる」
「先生? なんですか、その悪意の篭った表現は」
「俺の中で硝子は先生なんだよ」
「……今度追求しますからね」
「と、ともかくアレを倒してくれないか? 俺一人じゃ厳しくてな」
「わかりました。絆さんといると、変わった事ばかり起こりますね」
そう言って楽しげに微笑んだ硝子。
別に好き好んであんなのと遭遇している訳ではないんだが。
ともあれ俺達は食料庫まで走り、襲撃しているカルマーペングーに戦いを挑んだ。
「行きます!」
ここまでの道で扇子を帯から抜いていた硝子は道中スキルをチャージしていた。
和服と扇子が幽霊船の頃より高価な物に変わっており、俺がいない間、色々あった事がうかがえる。先程俺を探す間、経験値が入ったと話していたので強くなったのだろう。
俺の方はカルミラ島で開拓をしていただけなので、何か置いて行かれた様な気がする。
「よし、俺も負けていられないな」
漂流して伝える事が叶わなかったが、硝子に強くなる方法を教えてもらう予定だった。
俺だってただ島で漂流生活をしていた訳じゃない。立派に生きていたんだ。
名前/絆†エクシード。
種族/魂人。
エネルギー/138630。
マナ/49070。
セリン/68780。
スキル/エネルギー生産力ⅩⅣ。
マナ生産力ⅩⅠ。
フィッシングマスタリーⅩ。
ヘイト&ルアーⅡ。
一本釣りⅠ。
解体マスタリーⅦ。
クレーバーⅤ。
スライスイングⅡ。
高速解体Ⅳ。
破壊マスタリーⅢ。
ファームマスタリーⅠ。
クッキングマスタリーⅣ。
元素変換Ⅱ。
俺の生活……生産系だ。わかっていたけどな。
ともかく俺は硝子から返してもらったエネルギーブレイドとケルベロススローターを握る。やはり俺の臨戦態勢と言えばこの装備だ。
いや、俺はこのままで良いのか?
本当にこの戦い方で硝子に今までがんばったと胸を張って瞳を交わす事ができるのか?
エネルギーブレイドの様な、ゴリ押しで満足して良いのか?
……違うだろう。
俺が目指すのはもっと強く、突飛に敵を倒す事だろう。
なんか違う気もするが、俺にはもっと違う戦い方があるはずだ。
そこでアイテム欄に入っている開拓者の七つ道具が目に入った。
こ、これだ!
「輪舞三ノ型・霞!」
カルマーペングーに霧の様な演出の四段打撃攻撃を硝子が命中させると同時に俺は突撃する。
「ドリル!」
鋭いモーター音を鳴らしながらカルマーペングーの脇腹をドリルで貫く。
なに、レベル4だ。多少はダメージだって期待できるはず。
それにドリルはまだ事実上未実装装備だぞ。俺の使う装備の中では威力がある。
「――!」
おお、カルマーピングーが少しひるんだ。
その隙に硝子が二つの扇子を使って、左右上下から攻撃を仕掛ける。以前よりも強くなった硝子の攻撃で後ろずさったカルマーペングーに再度ドリルを当てる。
やや卑怯な気もするが、今までの俺は常に卑怯だった気もするのでコレで良いと思う。
ともあれ、さすがは破壊武器に属する装備だ。
カルマーペングーのフリッパーに螺旋が巻き込まれて羽が抜け落ちる。
ダメージとしては期待して良いのではなかろうか。
簡単に表現するなら、波平おじさんの最後の希望にドリルを巻き込む様な物だ。
そんな感じの嫌がらせ……では無く、鋭い攻撃を繰り返すと意外にもあっさりカルマーペングーは大きな断末魔を上げて倒れた。
「攻撃は重いのですが、思いのほか行けましたね」
「そうだな。攻撃を受けなかったのは硝子のおかげだ」
なんだかんで俺は横からドリルで攻撃していただけだからな。
硝子はカルマーペングーの攻撃はスレスレの所で避けていた。
俺は避けられないが、一発一発の攻撃が重い代わりにスピードが硝子よりは遅かった。
そういう意味でこの勝利は必然と言える。
「さてデブ鳥、解体の時間だ。開拓の邪魔をしたケジメを取ってもらう」
鳥系モンスターっぽいので、シルバーガラスキでカルマーペングーを解体する。
鶏肉、羽根、羽、クチバシ、羽毛などが取れた。
そして解体が大体済んだ頃……。
「ん? なんだ?」
カルマーペングーの死体がモゴモゴと動き出した。
『ペーン!』
『ペーン!』
『ペーン!』
「…………」
「え~っと……」
嫌な沈黙が支配するが、率直に起きた事実だけを口にするならこうだ。
カルマーペングーの体内から3匹のペックルが飛び出してきた。
なんとなく起こりそうだとは思っていたが、ペンギンの腹からペンギンが出てくる光景はちょっと……どういえば言いか、シュールだ。
ペックルは頭に兜、インディアンハット、口にスカーフを付けた3匹。他のペックルと違い、兜は剣、インディアンハットは弓、スカーフは短剣を手に持っている。
なんだ、こいつ等。
「ペックルはストレスが溜まると不良化しちゃうんだペン」
振り返るとサンタ帽子のペックルが説明を始めている。
カルマーペングーはやっぱりペックルの派生だったのか?
というか、不良化って次元じゃないだろ。あれはどちらかと言えば進化だろう。
「ペックルカウンターを見てほしいペン」
言われて隣にいた硝子とペックルカウンターを見る。
すると今まで存在しなかった『ストレス』なる項目が追加されていた。
「ペックルはストレスが100%になるとカルマーペングーになってしまうペン。これからは気を付けてほしいペン」
「くっ……!」
何が気を付けろだ。そんな物があるなら最初から教えろ。
しかもこれまで昼夜問わず働かせていた影響か、全個体が90%を超えている。
サンタ帽子は特別仕様なのか0%だ。
尚、新たに加わった3匹は低い。暴れた後だからだろうか。
「あれ?」
「どうしたんですか?」
「他にも項目が増えている」
ペックルの従事できる仕事の中に『ダンジョン』と『採掘』が追加されている。
採掘はわかる。確かヘルメットを付けたペックルがいたのでそれが該当するはず。
ダンジョンは……今目の前にいる兜、インディアンハット、スカーフだろう。
ともあれ、ストレスが等しく高いので全員を待機状態に変更した。
一応、ある程度の仕事は完了しているはずだからだ。
明日からはローテーションを組んで仕事をさせれば、やる気とストレスを管理できる。
一応食料庫をカルマーペングーから防衛できたので餌を食べてやる気を回復させた後、この3匹をダンジョンに従事させた。
すると3匹のペックルは山を登って中腹地点にやってきた。
カルマーペングーを倒す前は岩が塞がっていた場所に、丁度ペックルが一匹通れるか通れないか微妙な大きさの、小さな穴があった。
そこに3匹は順番に入っていくと3匹の項目に『探索中』と表示された。
良く解らないが、ダンジョンを探索しているみたいだ。
「と、ともかく一度家に行こうか。硝子」
「わかりました」
ともかく、俺はこんな感じで磯女……ではなく硝子の活躍によって開拓が進んだ。
師弟関係
「では絆さん。どこからでも良いので来てください」
俺は現在硝子と対峙していた。
別に喧嘩している訳じゃない。以前心に決めていたプレイヤースキルを学ぶ為だ。
カルミラ島での生活は時間を作ろうと思えば思いの外作れるので、朝昼晩と一日三回手合いを取ってくれる事になっている。
何故一日三回にするのか尋ねた所、戦いに身体を慣らせるのは重要だが、身体だけで動くと後々悪い癖が付いてしまうらしい。
硝子曰く、頭と体が同時に動いて初めて型として成立するそうだ。
頭で考えて、体で実行する。
単純だが難しいこの動作を実現できて初めて硝子の様になれる、という話だ。
……思ったんだが、硝子って何かの武術とか現実でやっているよな。絶対。
「戦い方ってどんな方法でも良いんだよな?」
「はい。競技ではないのですから、勝ちさえすれば良いのです」
「わかった」
少々暴論だがディメンションウェーブは別に戦い方にルールはない。
ジャンプしても良いし、飛び道具を使っても良い。
俺は取得していないが魔法なんて物もあるのだからルールもへったくれもないよな。
ともかく距離を取っている俺は釣竿を硝子に向ける。
俺の所持する、遠距離武器として機能する装備は釣竿だけだ。
その近付かれるまで釣竿を使うというのはスキル構成からしてありだと思う。
「ヘイト&ルアー!」
カーブを掛ける形で右側からルアーを投げる。
これによって硝子は糸とルアーという制限を受ける為左から避けるしかなくなる。
もちろんジャンプなどの可能性も考えるが、俺のコントロールはルアーの方向を途中から変えられる。つまり避けられても一度に限り、追撃を掛けられる。
「絆さん。自分のいる位置は知っている事を前提に動いてください」
「くっ!」
ルアーの移動方向が硝子にバレており、ルアーの移動を逆にコントロールされた。
つまり硝子に当てるつもりがこっちに戻ってきた。
それを避けようとするも硝子がルアーと同じ速度で飛んでくる。
判断として釣竿を投げ捨てて開拓者の七つ道具をハンマーに変えて振りかぶる。
「その調子です」
振りかぶったハンマーをバックステップで避けた硝子が余裕そうに呟く。
勝てるとは思っていないが、せめて一度位は焦らせたい。
ハンマーを避けた硝子は直ぐに攻めてくるだろう。そうなると重いハンマーでは不利だ。
俺はハンマーを直ぐに小箱の状態に戻して、利き手である右手にケルベロススローターを持って構える。
次の瞬間、硝子が突撃して来た所に切り掛かる。
当然二つある扇子の片方で流されるだろう。これも予想済みだ。
左手に握っていた開拓者の七つ道具をドリルに変化させて貫く。
硝子はケルベルススローターとは別の扇子で流す様に受け止めるもガリガリという音が響いて、次の瞬間地面を引きずる様な音と共に硝子が俺の視界から消える。
「少し腕を上げましたね。絆さん」
左斜め後方から扇子が向けられていた。
要するに負けた。
「相手を褒めながら自分が勝つって、微妙に嫌味だぞ」
「師匠というのは得てしてそういうものですよ」
「まあ弟子が師匠を簡単に抜くとかマンガだけだよな」
「そうですね。ですが絆さんは私が教えた通り、頭で考えて体で実行しています。体得できれば私位にはなれると思いますよ」
半分はお世辞が入っているんだろうが、そうなると良いな。
ともあれ、現実では体力的に無理だと思うけど、身体の追い付くこの世界でなら考えた通りに動く事が少しずつだができる様になってきた。
そもそも硝子はいつもこんなに集中しながら戦っていたのかって感じだ。
この戦い方、会得できれば凄いとは思うんだが、精神的に疲れる。
まあ疲れない戦いなんて無いとは思うけど、一日三回なら可能だが、俺では常に維持はできそうにない。
「絆さんに助言をすると、相手を良く見る事です」
「見てはいるんだ」
「はい。ですが見ると言いましても、相手の全てを見るのです」
「全て?」
「全てです。爪の先から髪の毛の一本、体内を流れる血液の流れまで見通せれば……」
「見通せれば?」
「どうなるんでしょうね?」
おい……。
硝子が冗談を言うのは非常に珍しいのでビックリした。
「もちろん悪ふざけで言った訳ではありませんよ。私はその領域まで踏み込んではいませんが達人になると、そういう方もいるそうです」
「へぇ……」
どんな人間なのかは理解できないけど、硝子が言うのだから本当にそういう人がいるんだと思う。硝子は嘘とか言った事無いし。
まあ朝の訓練は終了したし、ペックルに指示でも出すか。
ストレスゲージが生まれてから休ませる必要が出てきたので、開拓が停滞気味だ。
しかし一日で蓄積するストレスの量から察するにカルマーペングーを倒すまではどんなに働かせても不良化はしなかったと思う。
おそらく、何かしらの条件を満たすまでロックが掛かっていたのだろう。
条件と言えば……。
「そういえば俺を探していたって言っていたけど、新大陸とか見付かったか?」
「いいえ。見付かりませんでした」
「そうか……中々難しいな」
「いえ、そうではなく。どの方向に船を進めても、ある程度進むと必ず嵐に巻き込まれて、帰らずの海域に辿りつくのです」
「……また迷ったのか?」
「それも違います。数時間程彷徨うと第一都市近辺の海域に戻ってしまいます」
さすがに俺がいない間に対策を取らなかったのは考え難い。
あっちにはアルトもいたのだから、RPGのお約束とかは考えたはず。
それでも何も見付からなかったと考えると……ペックルと同じく何か条件を満たしていない……要するにロックが掛かっている可能性があるな。
例えばディメンションウェーブが一定数完了しないと進めないとか、そういう感じだ。
で、俺達が参加したリミテッドディメンションウェーブはクリアした人間がカルミラ島を手に入れて、条件を満たすまでのサービスステージの様な位置付けだと考えると、普通とは違う異常行動、この場合海を目指してしまった人間への報酬とも考えられる。
第二波と時を同じくして硝子がこちらに来られたのもそういった理由があるからか?
わからない。
でなければ、カルマーペングーを倒せなかった場合のバランスが取れない。
おそらくアルト辺りを呼んでいた場合、カルマーペングーは今も森にいたんじゃないか。
憶測になってしまうが、合計レベルに応じて何か条件が解除される。
仮にその憶測が正しいとすれば、硝子は相当レベル……エネルギーが多い。
闇影の次にエネルギーが多いし、装備も良い。
……闇影を呼ばなくて良かったな。あいつを呼んだらシステムが牙を剥いた可能性もある。
例えばネオカルマーペングーみたいなモンスターに変異していたかもしれない。
まああくまで憶測でしかないが……今が安定しているなら良いとしよう。
「さて、ペックルダンジョンはどうなったかな?」
現在5匹のペックルが例のダンジョンを探索している。
最初ダンジョンに向かわせた3匹は2匹のペックルを連れて戻ってきた。
三角帽子とシスターベールをつけたペックルの2匹だ。
ペックルの分際で俺達よりRPGのパーティーっぽい、この5匹。
兜が戦士でインディアンが弓使い、スカーフが盗賊、三角帽子が魔法使い、シスターが僧侶……実にバランスの良いパーティーだ。
俺達のパーティーもこれ位構成が整っていればな……。
まあ俺が一番色物な気もするので間違っても口には出せないが。
「え~っと今回の報酬は?」
ペックルダンジョンはやる気が下がりやすく、ストレスが溜まりやすい。
正確には全個体のやる気が0%になった段階でオート帰還するか、何かを発見して自発的に帰還するかのどちらかだ。
今までの傾向だとペックルダンジョンでは新しいペックルが発見されていた訳だが。
紙切れ?
倉庫完成後はペックルが獲得したアイテムは倉庫に入る様になっている。
単純に食物や肉、魚といった類の品が膨大なのが理由だが、施設運営で使う場合もある。
そういう訳で俺は硝子と一度別れて倉庫に来ていた。
ちなみに硝子は島を探索している。
一応俺も目を通したが百聞は一見にしかずと言わんばかりに自分の目で調べたいそうだ。
「これか……設計図?」
紙切れには何やら建物の絵とその作り方が描かれている。
見た感じ病院をデフォルメした様なデザインだ。
アイテムとして使ってみると、こう表示された。
――施設ペックル病院を建設できるようになりました。
簡易的に施設効果が表示されているので見てみる。
ペックル病院。
怪我をしたペックルやストレスを溜めたペックルの介護をしてくれる。
全個体に与えるストレスの増加量にマイナス補正を発生させる。
施設レベルが上がる毎にマイナス量が増す。2レベル毎にやる気にも影響を与える。