「うお!」
釣り上げた主の姿を見て、俺は声を漏らすと同時にツッコミを入れたくなってしまう。
「巨大イカよりも引きが強い理由が納得いかん!」
そりゃあゲームなんだし、後半のマップになれば相応にLv的な物が必要なのはわかっているけどさ。
まあ……しょうがないのか?
凄く大きいと言うのは確かなんだし……。
とりあえず魚拓を取ろう。
そして主の口に引っ掛かっている光るルアーを外す。
やっと返って来た俺の光のルアー!
これだけでも収穫だ!
要石の扇子
「ふむ……どうやら釣り上げた様だね」
主を引き摺って、島の広場まで持ってきた。
「随分と大きい……話に聞いていたけど主という奴か」
「またやり遂げた」
いつの間にか見ていたらしいしぇりるが親指を立てている。
俺もそれに応えて親指を立てる。
しぇりる位しかこういう反応は期待出来ないので、楽しんでおく。
「二人が作ってくれた釣り具のお陰だぜ!」
「そうなんだろうとは思っているが……ふむ、もはやモンスターの領域の魚だな」
「ボスエネミー」
確かに……ここまで大きいと何処かのマップで戦いそうだ。
「ただいま帰りました……って絆さん?」
硝子達が帰還してきた所で俺は主を見せつける。
というか自慢したくて待っていたんだけど。
「やっと取り返せた!」
「いずれやり遂げるとは思っていました」
「わーお兄ちゃん、また大物釣ったんだね」
「おうよ!」
俺は釣り上げた主……大きなナマズを硝子達に見せて大満足だ。
大きさは4メートルくらい。重量も凄い。
巨大イカは船さえ引っ張る代物だったけど、ナマズはそれよりも釣り辛かった。
基準が分かり辛い。微妙に納得は行かないけれど、釣り上げたのだから良い。
笑みがこぼれる。
「さーてお楽しみの解体の時間だ!」
解体武器を取り出してナマズに当てる。
補助スキルを使いながら、ズブッという感触……結構ヌメヌメしていて、それなりの攻撃力が要求されるのが分かる。
……ケルベロススローターで斬った方が良いな。コレ。
後、魚だけど若干解体に癖がありそうだ。
この辺りは経験で誤魔化すしか無さそう。
ザクザクと切り裂いて……っと。
「解体。本土の方で囁かれ始めた技能だったね」
「秘密にはしていたのですが、やはり広まってきていますか?」
「一応ね。とは言え、解体の技能は絆くんが未だに上位組だと思うよ。見て御覧、あの大きな主が見る見ると解体されて行く」
「普段、当たり前の様に見ていますけど、確かにそうですね……」
「ジェリー系のモンスターを解体したというのを聞いて、私も真似してみたが、あまりに難しくて断念したよ。やはり専門家には敵わない」
「ロミナさんはその分、武具作りが優れていると思いますよ」
「ははは、嬉しい台詞だね。ところでこの主の素材で今度は何を作ったら良いのだろうか? また絆くんの装備かい?」
「んー……武器の類は揃って来てるんだよなー……作ってもらっても良いけど、どれくらいの物が出来るか分からないし」
ロミナの提案に作業をしながら答える。
「おおよその推測は可能だね。かなりユニークな武器になるけれど、今の第一級の装備より上になるんじゃないか?」
「となると俺の装備にするよりも、もっと適任がいる気がする。何だかんだ言って俺は釣りがしたいだけなんだし」
「何処までも徹底しているね。最近はやれる事が増えて釣り具に加工すると言う事も出来なくは無いが……そう言った品を作っても余りそうだね」
で、解体した結果。
大鯰の髭、大鯰のヒレ、大鯰の頭、大鯰の骨、大鯰の心臓、大鯰の瞳、大鯰の粘液、大鯰の肝、最高級ナマズの肉。
素材名がまんまだ。
巨大イカの時は水神~だったのに。
まあ、そこは良いか。
「じゃあこの素材で何を作るか……」
そう思いながら俺はロミナへ素材を渡しながら、みんなに目を向ける。
俺は復讐を終えたし、余った素材で釣り具を作ってもらえれば良い。
光のルアーは戻ってきた訳だし、満足だ。
「しぇりるには既にあるから良いよな?」
「うん」
しぇりるはエイハブスピアを作ってもらっている訳で。
「参考までにロミナは誰に何を作りたい?」
「そうだね……毎度扱わせてもらっている面白い素材群だ。良い物に仕上げる自信はある。絆くんの仲間で今の所、一番性能を活かせそうで、且つ出来あがった装備が似合いそうだと言うと……」
ロミナの目が硝子に向かう。
「大ナマズの素材だろう? 和風的な響きから硝子くんが似合う気がしないかい?」
「私はー?」
紡が抗議をして来る。
「お前、欲しいのか?」
「え? うーん……珍しい武器を使ってると楽しそう!」
楽しそうが基準な所でなんか嫌だ。
というか妹だからか、後回しにしたい気分だ。
「よし、硝子にしよう!」
「お兄ちゃんのケチー!」
ケチで結構!
ゲーム内では付き合いの長い奴を優先するんだよ!
「何か選定基準が引っかかりますが、良いのですか?」
「硝子には装備品とか貸してもらった事もあるしな。恩返しがしたいんだよ」
「……わかりました。絆さんの期待に応えられる様に励みたいと思います」
「了解。じゃあさっそく武具を作ってみるよ。とりあえず扇子を作るとして……余ったら羽織りに仕立ててみるよ」
「頼みます」
そんな訳でロミナに素材を渡して、硝子の装備品を作ってもらう。
しかし……よくよく考えてみると、あの素材でどうやって扇子とか羽織りになるのだろうか?
深く考えたら負けな気がして来る。
まあゲームなんだし、ユニークウェポンが手に入ると思った方がいいかもな。
「あ、そう言えばお兄ちゃん達が持っている武器を所持してる人を見た事あるよ。ボスドロップだったって聞いた」
「となると変則的な入手方法なんだろうな」
主を釣る事で手に入るボスドロップ品なのだろう。
+値とかを考慮に入れると作った方が性能が高いかもしれない。
そう言った意味でスローライフ組でも良い物を手に入る様に作られているんだな。
ってな訳でロミナがサクッと依頼した品を作ってくれた。
「はい」
俺も見せてもらう。
要石の扇子
震鎮の羽織
の二つだ。
しかも+3が付いている。
中々の業物だ。ゲーム的な意味で。
「あ、凄いですよこれ。こんなに良い物を頂いて良いんですか?」
「もちろん。硝子には色々としてもらっているからね」
「やはり面白い品が出来て良いよ。前線組へ量産するよりも遥かに楽しめる。技術的な経験値も多い」
そう言う物なのかな?
ま、珍しい材料で作れる品って気持ちはわからなくもない。
俺もそこに主がいるとわかったら釣りをしないはずもないし。
「えっと……扇子の方は……土属性の武器みたいです」
硝子が軽く要石の扇子を振りかぶった。
今までよりも力強い攻撃エフィクトが出ている様な気がする。
「後、特殊効果があるみたいですね。封震の剣という物みたいですけど」
硝子が扇子を何やら弄っていると、光と共に形状が変化した。
其処には一振りの剣。
可変型の武器か。
「ナマズは地震を起こすと信じられていたはず。そのナマズを封じる要石は剣だとも言われているから、そんなギミックがあるのかもしれないね」
「わー面白い仕掛けだ! 良いなーやっぱ作ってもらいたかったなー」
「技ではなく、武器としても使えるみたいです。専用技もありますし、面白い武器ですね。ただ、剣の技能はそこまで持っていないのですが……」
硝子も嬉しそうに答える。
そして剣を扇子に戻した。
携帯用の剣とか洒落た武器だと思う。
「震鎮の羽織は単純に基本性能が高いですね。今まで使っていた防具よりも二周り以上性能が高いです。他に土属性への高い耐性がありますね」
「これでダンジョン攻略が捗りそうだね」
「ええ、是非とも試し切りに行きたい気分です」
硝子がやる気を見せてくれて何よりだ。
さっそくとばかりに休憩を終えた硝子は紡と一緒にダンジョンへと潜って行った。
俺? 俺もロミナに作ってもらった大鯰の釣竿の試し切りとばかりに釣りを始めたぞ?
今までよりもさらに釣りやすくなったぜ!
†
「ペーン!」
またペックル共が釣れ始めた。
いい加減、ペックル共が多くなって、管理していると日が暮れて行く。
ダンジョンに潜ろう物なら危ないラインになっているペックルがいるくらいだ。
ロミナやしぇりると一緒に管理しているけど、お互い作業に集中していて忘れそうになる時がある。
どうしたものか。
城を建てよう
数日後。
硝子と紡のダンジョン攻略部隊はしぇりるや俺の協力なしでサクサクとダンジョンを進んで行っているとの話を聞いた。
やはり俺が釣った主の素材で作った武器のお陰だそうだ。
一応、インスタントダンジョンなので任意の階層範囲を潜り直すと入手できるアイテムやモンスターがいる訳だけど、最深部を目指して攻略中だ。
如何せん、エレベーターがあるお陰で20階毎にショートカットが出来ても、一日に潜れる階層が限られている。
経験値目当てに再出現するモンスターを狩る事は出来るらしい。
匙加減が難しいな。
どれくらい深いのかわからないけれど、硝子達の手腕に掛っている。
そんなダンジョン攻略を聞いている最中の事。
「そろそろ城を建てようペン」
「は?」
サンタ帽子ペックルが誰かを呼ぶような動作で俺に近づいて来て、今度こそ闇影辺りでも呼んでやろうかと思っていた所でそう返された。
「これが設計図ペン」
ペックルがサンタ帽子から設計図を取り出して建築に登録する。
「ああ、そう」
「じゃあ指示を頼むペン」
城……ね?
まあ、元々ここは伯爵だったかの領地だった訳で、屋敷にペックルの入っていた宝箱があった。
で、開拓をするのが目的で、その中に城の設計図があるのは多少、想像できなくはない。
というか……単純にこの島って結構広いんだよな。
城を建てられるほどではあるとは思うが……あ、建てられる場所が指定されている。
建設の指示を出せば即座に対応するみたいだ。
とは言ってもな……根本的に材料が足りない。
しかも色々と必要な素材も多いみたいだぞ。
ダンジョン探索で見つかる品も多いし……うーん。
今は後回しにすべきだろうか?
「建てるべきなんだろうが……」
おそらく、この開拓イベントを終わらせるのに必要な建築物である可能性が高い。
だけどコレってどれだけの事業になるのか想像もつかない程の物資だぞ?
それよりもまずは足場固めが必要だ。
ペックルの人員整理も中々に面倒だ。
元々こう言った細かい作業は俺が得意にしている物でもあるのだけど、効率的に動かせるかと聞かれればまた違うんだよな。
長く遊ぶのは得意だけどスケジュール管理はあんまりしていない。
そんなプレイスタイルだ。
「そろそろ城を建てようペン」
しかも新しい釣竿を手に入れた俺のマイブームは釣りな訳だし。
釣りの合間にやっているけど、それでも数が多くて世話が面倒になりつつある。
ペックルの数が多くて、島の食糧庫の備蓄が心もとない。
そんな状態で城を建てろなんてやったらあっという間に資源が枯渇して開拓が滞る所か、一斉にカルマー化されて建築物が破壊されかねない。
どうにか解決する手段は無いだろうか?
如何せん、俺が釣りで得られる魚の量も限られている。
この辺りはしぇりると相談して、もっと漁で得られないかと模索している。
まあ、漁をするようにペックルへ指示を出せばある程度どうにか出来るんだけど……。
赤字にならない様に調整すべきだしな。
ただ……ストレスの点で漁に行かせるのを増やすだけでは限界が来る。
その匙加減が難しい。
「そろそろ城を建てようペン」
それに増えた新人ペックル達の技能Lvを上げなきゃいけない。
ストレスには注意。
食糧問題。
どちらにしても、ストレスの影響で休憩させなきゃいけないペックルが多くて食料調達が心もとない。
技術が高い奴らを漁に行かせても良いけど、その分、開拓が遅れる。
「絆くん」
「ん? どうしたんだロミナ?」
「ああ、報告という訳じゃないけど、ペックル達が独自に店を開き始めてね。島で発見出来る素材類を買う事が出来るようになったみたいだよ」
ロミナの案内で工房の隣にいつの間にか建っていたペックルの店に行く。
すると城の建築に必要な素材を含めて色々と売りだされていた。
金さえあればある程度はどうにかなりそうな感じだけど……食料は売ってない。
「そろそろ城を建てようペン」
「さっきからうるせーよ!」
「ペックルはモンスターじゃないペン」
またそれか。
サンタ帽子ペックルが近くを通るたびに俺に声を掛けて来る。
こりゃあ早く指示を出せってシステム的な警告だな。
しかしうるさい。
建てたいけど物資的に厳しいんだよ!
「絆くん落ちついてくれ。相手はペックルだ」
「わかってる。わかってるけど、さっきから何度も言って来てしつこいんだ」
「指示を出せば良いじゃないかい?」
「出しても建てられる見込みが立たないんだ。その前に建てた方が良い物があるだろ?」
「確かに……未知の設計図で良い物が出来るかもしれないしなぁ……同時建設は出来ないのかな?」
「出来なくはないけど……」
「ならとりあえず指示を出すのはどうだろう?」
「それなんだけど、大事業扱いで、大量のペックルを最低限割かないといけない。やっと回っている所にこんなのぶちこむと世話が非常に面倒になる」
「ふむ……物資調達と食糧問題、更に人員管理か……ペックル達を増やす手段は絆くんがどうにかしてくれているが、それ以外に問題があるね。私も出来る限りは手伝うが」
そこにしぇりるがやってきた。
おそらく休憩がてらって感じだろう。
「ショップ」
「ああ、店が開かれたみたいだな」
「誰か会いたい人がいるペン?」
ナイスタイミングとばかりにロミナがペックルに指を向ける。
「そろそろ城を建てようペン」
「誰を呼ぶか……」
ぶっちゃけダンジョン探索の方は硝子と紡の二人でサクサクと進んでもらっているから問題は無くなって来ている。
ダンジョン内で見つかったドロップ品とか素材でロミナが武具を作ってくれているからな。
この点で言えばロミナを呼んで大正解だった。あの時の俺は運が良いな。
戦闘的な問題は解消しているが、俺の知り合いと言うと奏姉さんと闇影くらいしか親しい相手はいない。
後は紡の周りにいたデスゲームごっこ連中。
……呼ぶ程仲良くないしな。
やはり闇影か?
「絆くん、呼ぶ人員を提案しても良いだろうか?」
「え? 良いけど……」
「なーに、この状況に適した人物を私は知っていてね。絆くんよりもペックル達の管理を上手くしてくれるだろうさ」
「はあ」
なんかロミナが若干邪悪そうな笑みをしている様な気がする。
ロミナの知り合いね。
俺がペックルの提案アイコンをロミナに弾いて渡す。
するとロミナはフレンド項目を出現させてコピーペーストをしながら俺に返した。
そこに載っていた名前は……。
アルトレーゼ
「アルト?」
そう言うとロミナは邪悪な笑みを浮かべ、しぇりるも若干不快そうな顔をしている。
一体どうしたんだ?
「私が前線組へ鍛冶をするのがしばらく嫌になったのは、彼の所為でね」
「そうなのか?」
初耳だ。
まあ、アイツはゲームが始まった瞬間から金稼ぎ第一主義だったし、金銭関係で揉めたとか、簡単に想像出来る。
船に不法侵入して情報収集に走る位だしな。
幽霊とか怖いのは嫌いらしいが。
「その原因が彼の紹介した頭のイカレタ前線組の連中だったのさ」
それもアルトが原因なのかよ!
正確にはその頭のイカレタ奴が原因なんだろうけどさ。
「私をNPC扱いする。横暴な態度で武器作りを強要する。挙句勝手に仲間扱いをして専用職人扱いだ」
ロミナは深くアルトを恨んでいるのか、目付きが険しい。
仲が悪かったのか?
というか、アルトとの接点が今一わからない。
どういう関係なんだろうか。
「船作りをさせられた。お金はもらったけど……」
しぇりるも思う所があったみたいだ。
そう言えば言ってたな。
しかし、普通は船を作らされた程度で恨み節は沸かないよな。
製造スキルを使って道具を作るのは製造系の醍醐味なんだし。
どんな事をさせたんだろうか……。
南国原住民スタイル
「しぇりるくんも思う所があったみたいだね」
なんかロミナとしぇりるが握手している。
共通の敵かな?
製造組合ががめつい商人に制裁を加える時が来た様だ。
「アルトくんは代理売りすると言って、断りも無しに私が打った武器を提示した金額の五割増しで転売する始末。金の匂いには敏感で、誰が呼んだか知らないけれど、彼は死の商人と呼ばれていたね」
「それを最初に言ったのは多分、俺かな」
「そうか。絆くんと私は実に気が合いそうだ」
ロミナはアルトの事が嫌いなのか?
いや、本当に嫌いならここに呼んだりはしないのか?
「いい加減、暴れ過ぎな気配があったから一旦呼び付けても良い頃合いだと私は思う」
「前線組へ色々と売りつけてるのもアルトなんじゃないの?」
「そうだろうね。ふふふ……私はその前線組とやらにも嫌がらせがしたいのさ。まあアルトくんも悪い話じゃないだろう。強引に一枚噛ませてあげようじゃないか」
「た、楽しくゲームしような?」
つまりアルトを含めて怒っていらっしゃるわけか。
というか……前線組ってどんな連中なんだ?
硝子も根に持っているし、死の踏切板制度の時もそうだったっけ。
感じが悪そうな連中なのかわかっていたけど、あれはアイツ等だけだと思っていた。
そう言った連中しかいないのか?
まあ……世の中には強ければ何をしても良いと勘違いしてる連中がいるとは聞いた事があるけど。
そもそもディメンションウェーブにPvPは無い。
いずれ何処かで実装されるかもしれないけど、今の所は無い。
そんな状態で高圧的に暴れると言うのもある意味凄いな。
悪い奴等が目立っているんだと思いたい。
若干痛い連中だったけどデスゲームごっこをしていた奴等は話が通じていたしな。
というか波のリザルトを見ると闇影とかは前線組でも無いのに好成績な訳だし。
どちらにしても人間の質か……。
ロミナの八つ当たりの犠牲にアルトをさせられると……自業自得みたいだし、俺達の船に密航していた事もある。
まあ、呼んでも良いか。
一応アイツも俺達のパーティーメンバーだしな。
「じゃあ要望通りアルトを呼ぶぞ」
名前入力を終えると、サンタ帽子ペックルは背を向ける。
「わかったペン。会える事を祈っているペン」
毎度おなじみの台詞だ。
「さて、アルトくんが来るという事で色々と準備をしなくてはな」
な、何をするつもりなんだろうか?
まあ死の商人が罰せられる時が来たという事かね。
†
その日の夕方、硝子達がインスタントダンジョンから帰って来た。
「お兄ちゃんただいまー」
「ただいま帰りました」