「おおー」
見上げると洞窟の天井、鍾乳洞的な雰囲気のある場所で、綺麗な水がこんこんと湧き出している。
しかも水中が淡く光っていて、なんて言うんだろう? かなり幻想的だ。
いろんな色合いに水が光る。
一番大きな湖は水深も結構あるようだ。
泳ぎの技能があったら素潜りも出来るんだろうな。
「じゃあさっそくレッツフィッシング!」
釣竿を取り出してキャスティングする。
数分後に竿が大きくしなる。
「フィッシュー!」
俺以外誰もいない地底湖で俺は声をあげた。
良いね。大きく叫んでみたかったんだ。
で、釣り上がった魚は。
「フナ」
割と小さいかな? 簡単に釣れる。
フツーな魚が釣れるんだな。
もっと変わった物が釣れるかと思ったけど。
なんて思いつつ色々と仕掛けを弄りながら糸を垂らす。
「お?」
ガクッと大きく釣竿がしなる。
リールで巻き取って見る。
良い感じの手ごたえだ。鯉より強い!
「おお! アロワナ!」
アロワナなんて今まで釣れた事が無い。
こんな魚も網羅してるのか!
他に何が釣れるかなーなんて感じで俺はそのまま地底湖に住みつくかの如く、釣りに勤しんだ。
ダンジョン内にあるって言うのが良いね。
どれだけ釣っていても一日しか経過しない訳だし。
この為にキャンプキットをロミナとしぇりるに頼んで作ってもらったんだ。
出来る限り釣るぞー!
結果。
地底湖で釣れる魚を大体把握した。
フナ
鯉
アロワナ
ガーパイク
ピラニア
他にゲーム要素なのか吸血魚とゴーストフィッシュという現実には存在しない魚も釣れる。
後カニが何故か釣れる時がある。
仕掛けと言うか……釣りから派生する技能に投網とかカニ採り籠ってのがあったなぁ。
今度習得するか考えるか……投網なんて邪道じゃないかとも思う。
銛での狩猟も俺としては若干邪道だし……。
しかし、釣れる魚に統一感が無いな。
そこは気にしたら負けか。
ともかく、俺は思う存分釣りに勤しむぞ!
†
暇なので日誌を書いてみようと思う。
何日滞在するかはわからないが、せっかく時間があるのだからいっぱい滞在したい。
釣り生活推定1日目。
大体釣れる魚を網羅。
食事を三回、眠気に負けて眠るまでを一日と決め、早めにキャンプセットを設置して休む。
釣りをしているとやはり時々ペックルが釣れる。
まあ、人手が足りない今は居ればいる分だけ助かる。
ところで俺、このマップ好きかもしれない。
なんとなく落ち着く。
静かで幻想的なので考え事をしながら釣りをするのに良さそうだ。
釣り生活推定2日目。
釣り具の模索。
何が一番効率が良いかの選定や釣りあげた魚の調理方法を考えながら糸を垂らして待つ。
地底湖の奥は壁だと思っていたが、よくよく観察するとひょうたん型の地形をしている事がわかった。
が、岩と言うか壁の所為で回りこむ事が出来ない。
こんな事もあろうかと、しぇりるから前に買ったボートを漕いで向かう。
安全エリアだと思っていたらモンスターが出るなんて事態になると困るが……その場合は急いで撤退をすれば良いか。
地底湖の反対側のエリアに到達。
あんまり差は無さそうだ。
ここでも釣りをしようと思う。
釣り生活推定3日目。
フナや鯉は泥抜きしてからあらいやフライにして食べると美味しいのを思い出して、刺身や焼き魚から脱却。
刺身で食べていたけど、より味があがった。
まあ地底湖故に水がきれいなのか泥臭さは無いようだ。
単純にゲームだからという可能性もあるけど、気分の問題だ。
むしろアロワナとガーパイクの調理方法がわからん。
解体は出来るけど、刺身だと味が悪い。
ゴーストフィッシュは刃が何故かすり抜けて解体不可だ。焼こうとすると溶ける。
専用の解体刀が必要だと思われる。
吸血魚は捌く事は出来るけど凄く血生臭い挙句、火で焼くと灰になる。
完全に食用じゃない。何か調理方法があるのだろうけど、今ある物品では難しい。
地底湖釣り日誌
釣り生活推定4日目。
アロワナ等の魚がいる熱帯地方での生活を想像した結果、丸焼きではないかと思い、丸ごと焼いてみる。
ちゃんちゃらちゃらら~ってノリで上手に焼けるまで挑戦。
調味料は塩で大雑把に食べてみたのだけど味は良くない。
やはり思い付き程度ではダメらしい。
ピラニアも揚げ物向けな印象。
以前しぇりるが話していた、フィッシュ&チップスが良いのだろうか?
マカロニ&チーズの方が好きとか言っていたが、食ったことが無いのでわからん。
せっかくだし、料理スキルも上げておくか。
釣り生活推定5日目。
この地底湖、主がいるかと思ったけど、案外引っかからない。
フナと鯉で適当に料理を繰り返す。
ペックル達には悪いがアロワナとガーパイクで我慢してもらおう。
イカとか平然と食べていたし大丈夫だろう。
釣り生活推定6日目。
邪道だと思っていた素潜りに挑戦。
地味に泳ぎの技能が低かったのもあってこの際上げておいて損は無い。
地底湖故に水温が低い! 泳いでいたら温度低下でダメージが入る。
キャンプ用品で用意していた焚き火で体温調整。
こんなシステムまであるのか、しぇりるも結構やるなと思いつつ、釣りに勤しむ。
釣り生活推定7日目。
地底湖は小さめの泉みたいなところもある。
そこに糸を垂らして何が引っかかるか調べる。
と言うか浅瀬で調べているとあさりを発見!
さっそく鍋に投入して貝のスープにする。
他、ザリガニがいた。
やはり上手く捌けば食べれるのだろうか。
釣り生活推定8日目。
うーん……こんな場所に主がいないと言うのは考えられない。
第一都市の釣り場でもいたんだ。
ありえるのは何かしらの条件を満たしていないからだろうか?
後は主のいる場所が限られている?
池とも繋がっていてナマズがこっちにも出没するとかだったのだろうか?
そう言えば今気付いたが第二都市の主を釣っていない。
そのうち釣りに行こうと思う。
誰かが釣って居たらその限りじゃない。
釣り生活推定9日目。
ここに来て、なんで地底湖でサバイバルしているのかと考え始める。
俺自身も謎だ。
なんとなく独り言が増えた気がしてきた。
だが、日数経過が勿体ないと思い、釣り生活を続行する。
この日は特筆した情報は得られなかった。
釣り生活推定10日目。
ボートを使って水深が深い所を探す。
既に深い所に糸を垂らすのはやっている。
しかしそれらしい場所は発見できず。
釣った魚の在庫が3000匹を突破。
どれくらい釣ったら帰るかな?
まあ、本格的な装備をしぇりるやロミナに頼んで再度釣り生活するのも良いかもしれない。
ちなみに調べた結果、外の魚と比べると魚の元素変換効率が悪い。
きっと長時間滞在出来るからだろうな。
釣り生活推定11日目。
地底湖の海底を目で追っていると深い所はある……が、どうにも何かある様な気がする。
ので、少々寒いけど泳ぎの技能を上げる為に竿を垂らしつつ泳ぎの熟練度を稼ぐ。
ダンジョン仕様でエネルギーの回復が遅く、変換効率も悪いけど水泳技能を向上させた。
潜水時間と水中での移動速度が多少上がる。
ま、釣り人兼漁師になるのも悪くは無い。
釣り生活推定12日目。
楽しかった。
釣り生活推定13日目。
前日の日誌が小学生の日記三日目位になっていたので反省する。
水泳技能が向上したので、地底湖探索を再開。
結果判明したのは隠し穴とばかりの更なる横穴を発見。
この小さいフロアにどれだけ仕掛けがあるのだろうか?
しかもその先に鉱脈を発見。
ドリルで掘削するとスターファイア原石とオレイカル鉱石と言う物が採掘出来た。
ここで息が続く限り深く地底湖に潜ろうとしたのだけど呼吸限界まで潜っても底は見えず。
マシンナリーか何かの技能で酸素ボンベ等を入手して探索する場所か?
素潜り用の主とかさ?
そうなると管轄外だ。戻ったらしぇりるを連れてくるのも良いかもしれない。
辺りを確認、苔と言うか、丸い岩みたいなのが太古な雰囲気を匂わせる。
削り取るとストロマトライトという石が採れた。
釣り生活推定14日目
この隠し穴に糸を垂らすとキンメダイが釣れた。
海の魚だぞ? 地底湖じゃないのか?
とは思ったけど、よく考えたらここは島なんだよな?
水も若干塩が混じっているようだ。
一箇所でこんなにも変化があるのはゲームならではだなぁ。
釣り生活推定15日目。
釣り場を変更した事で釣り具を――。
「光のルアーじゃ引っかからないか、今回はキンメダイをそのまま引っかけてと」
魚を餌に魚を釣るのは割と良くある漁法だ。
おとりアユとか有名だよな。
そう言えばアユ釣りとかしてない。
大陸に戻ったらフライフィッシングとか川釣りもしたいな。
何だかんだで海釣りばかりだし。
池で釣るのはそう言った面で面白かったかな?
まあ、折角の魚を犠牲にするのは程々に、良い鉱石が手に入ったと言う所で妥協しよう。
なんて思っていたら釣竿が大きくしなった。
「なんだ? またアロワナか?」
微妙な境目扱いなのか淡水魚と海水魚の両方が釣れる。
河口扱いでは無いっぽい。何でもありだなこの地底湖は。
そう思って竿を上げるのだけど、感覚が何か違う。
なんだ? ナマズ並みに引きが強いのが分かる。
「く……舐められた物だな。あの光のルアー泥棒のナマズに復讐を成功させた俺がこの程度で糸を切られると思うなよ!」
両手で竿を掴み、モーターリールを起動させて手繰り寄せる。
あの時よりもさらに手持ちの装備は優秀なんだ。
大鯰の釣竿の力を舐めるなよ。
バシンバシンと針と糸に何かしらの攻撃を仕出かしているのが分かる。
手の感覚から……おそらく主! しかも攻撃も出来るタイプか?
しぇりるが居れば攻撃して弱らせたり出来るのだろうが、無い物ねだりはしない!
だが……なんだこの手ごたえ、今までの魚にしては変な手ごたえだ。
どちらかと言うと巨大イカに近いか?
「はああああ!」
モーターリールを起動させて糸を高速で巻き取る。
強靭な糸を断ち切る事が出来ず、主は徐々に引きの強さに巻き取られて行く。
ふふふふふ……ナマズの時の経験が生きたな。
ナマズを経験せずにここで釣りをして居たら俺は即座に敗北していただろう。
そう言った意味でナマズは良いライバルだったぜ。
アイツが俺を更なる高みへと連れて行ってくれたんだしな。
等と思いつつ、今までの経験を総動員して竿を上げる。
すると……思いの外アッサリと俺はその主らしき魚を釣り上げたのだった。
主の大きな巨体が水面から大きく飛び出した。
「フィッシュー! おおおおおおおおおお!」
思わず声が出る。
いや出ずには居られるか。
生活系ゲームや釣りゲーとかで稀に見るあの魚が釣れたぞ!
「シーラカンスだ!」
間違いない。
釣り上がったシーラカンスを確認するとシーラカンス・ラティメリアと書かれていた。
ともかくシーラカンスなんて釣れるのか!
コレは大発見だぞ!
しかも主だ!
この感動を誰かと分かち合いたい。
考えてみれば体感時間で15日もダンジョンにいる。
そろそろ帰るのも良いかもしれない。
とは言え……主をそのまま仕舞うのは難しいので、スクリーンショットを取っておくか。
全長は2メートル50センチか。
確かシーラカンスの全長って1メートルから2メートル程度だからそれよりも大きい。
主ニシンや大ナマズと比べて小さいのがゲーム独自なのか納得できないけど、我慢するしかない。
「おや?」
シーラカンスの額にキラキラと光る何かがあるのに気づく。
なんだ?
そう思って光る物を確認すると、不思議な感じに引っ付いている鍵だった。
鍵に触れると効果を失ったのかポロっと落ちる。
解体無しでのドロップかな?
鍵を拾って確認。
古の伝説の鍵
鍵ねー……何かに使うんだろうけど、差し込む場所に覚えが無い。
今後、何処かで使う場所でもあるのかな?
イベントアイテムって奴だろう。
「まあ良いや」
魚拓をしっかりと取って……俺は早速解体をする事にした。
古代魚の口、古代魚の頭、古代魚の前ヒレ、古代魚の背びれ、古代魚の胸びれ、古代魚の腹びれ、古代魚しりびれ、古代魚の鱗、古代魚の硬鱗、古代魚の筋肉、古代魚の軟骨、古代魚の心臓、古代魚の目玉。
とまあ古代魚シリーズで一杯だ。
「さてと、そろそろ帰るか! ぶっちゃけ地底湖、飽きてきたところだったし!」
キリも良いので帰ろう。
地底湖に釣りに来るのは三日後くらいにしよう。今度は更に装備を整えてな。
酸素ボンベとかしぇりるが作れるか相談しなきゃいけないし。
そんな訳で、シーラカンスの解体を終えた俺はパンパンと手で埃を払ってからランプの灯を消してダンジョンから帰還したのだった。
ま、これだけ釣れれば良いだろ。
これで一日だからな。
いやー、めちゃくちゃ得した気分だ。
ペックルの食料問題も一挙に解決だぜ!
ペックルの笛
「ダンジョンのボスが初めて討伐されたペン!」
帰還すると同時に視界にそんな文字が大きく浮かび上がった。
島内放送って奴?
オンラインゲームだとよくあるサーバー全体への放送みたいな物だろう。
ダンジョンのボスを討伐かー。
となると硝子と紡が倒した事になる。
とりあえずみんなの所へ行ってみるか。
「ただいまーさっきダンジョンのボスを倒したって放送が流れたんだけど」
倉庫前に寄るとアルトがいたので声を掛ける。
「君か……それは昨日の話だよ?」
「え?」
アルトが俺に向かって半眼で答えつつ質問してきた。
「ねえ絆くん」
「何だ?」
「君が出かけてから既に三日経過しているよ。ダンジョン内に何日滞在したのか聞きたいところだね」
うえ……ずっと滞在できると思ったらこんな落とし穴があるだなんて思いもしなかった。
硝子達がカンカンに怒っていないか不安になってくる。
いや、絶対怒ってるでしょ。
「君がいつまでも帰って来ないから硝子くんが心配していたよ。まあ紡くんが『お兄ちゃんの事だからダンジョン内にずっといても経過は一日! って言って釣りをしてるんだよ』と言っていたけど……どうやらその様だね」
さすがは俺の妹、考える事は読まれているか。
某王国ゲームをやり込んだ俺ならこの程度造作もない。
ちなみに国民みんな怠け者になってしまった。
ゲームのシステム的に怠け者になりやすいからしょうがないんだ。
それを修正するのに何百年掛った事やら……やり直した方が早かったな。
じゃなくて、今はこのゲームの話だ。
「で、何日いたんだい?」
「じゅ、十五日……」
「別の意味で凄いね。聞いた話だとそんなに広い場所じゃないだろうに」
「いや、実は結構広いんだよ。縦に広いというか」
倉庫に釣りの成果と主以外の解体した素材を納品するとアルトが額に手を当てた。
この反応はアルトが冗談を言っている訳ではないようだ。
つまり五日で一日経過してしまうという事か。
よくよく考えたら無限に滞在出来る訳ないよな。
バランス的に考えて。
そもそも魚の変換率も悪かったしな。
まあセーフエリアが外と同じ時間の流れじゃなかったのが救いか。
「嘘じゃないのが君らしいね。今、硝子くん達に連絡したから」
背筋が凍りつくけど説明はしなきゃいけないよな。
アルトを見直すとペックルの管理をしている。
良く見れば島での建物の配置が若干変わっている様な気がする。
道が完全に舗装されていて小奇麗になってきたし、俺がやっている時は村っぽかったのに、今は町っぽくなっている。
まだ発展途上って感じだけどさ。
「随分とペックルを入手してきた様だね」
「ああ、釣りの合間にさ、釣れるから」
「わかっているよ。ダンジョン探索にペックルを行かせると発見されると言う話や何をするにしても見つかる事があるってね」
十五日……ではなく、三日いなかっただけでアルトが色々と把握している。
やはりこの手の仕事を任せたのは正解だったな。
「絆さん!」
まさに飛んでくる勢いで硝子達が俺達の所へ駆けこんできた。
「た、ただいま」
「いつまで経っても帰って来ませんし、連絡を取ろうにもダンジョン内じゃ通信できないみたいで、また行方知れずになったんじゃないかって気が気じゃなかったんです」
「ご、ごめんね」
こりゃあ心配かけちゃったか。
インスタントダンジョンだし、別々になると同じ場所でも合流出来ないしな。
そもそも地底湖は一応ダンジョン扱いだしな。
「15日程、ダンジョン内で釣りをしていたらしいよ」
「どんだけですか!」
「どれだけ居ても一日だと思ったんだよ」
「限度はあるよね」
「潜り過ぎは危険……っと」
今度は三日か四日置きに帰った方が良いかな。
一日の判定がいつ計算されているのかが勝負だ。
「で……」
紡が見慣れぬ衣装を着ているので指差す。
思えば島に呼んだ時とは完全に装備が違う。
「どう? ダンジョンのボスを最初に倒した時にドロップした装備だよ? 結構優秀でね、戦闘がかなり楽だったんだー」
「へ、へぇ……」
「ボスまでにこれでもかとエネルギーや経験値を稼げましたからね。とは言え、既に私のエネルギーは上限に至っているんですけど」
ん? 聞き慣れない単語だ。
俺は最近、増えも減りもしない程度に調整しているからよくわからない。
「上限?」
「ええ、スピリットのエネルギーは上限ラインがあるみたいです。その値に引っ掛かると上限突破の拡張をしないといけなくなる様ですよ」
「へー……」
まあ普通に考えてありえた話だ。
スピリットは不利な部分はあるけど、使い方によっては最強にもなりうる。
エネルギーさえ気にしなければスキルを使い放題なのも理由だ。
そういう意味では限界値と追加スキルがあるのはパワーバランス的に当然と言える。
それこそ波毎に限界が上がるとかかもしれない。
「初見で挑む時は二人で大丈夫かな? 様子見しようかなと思っていたけど、思ったよりボスの動きが悪かったし、硝子さんが盾になって色々と往なしてくれたからごり押しで倒せたんだ」
「大分パターンも掴めていますし、ボス討伐で解体とかもしたいんで絆さんも来てください」
「わかった」
ボスの解体か。
そりゃあ楽しみだ。
「ダンジョンをクリアしたんだよな? 報酬とかは?」
「ありましたよ。これです。攻略後に開いた奥の部屋の宝箱の中にありました」
硝子が俺に一本の笛を手渡してくる。
ペックルの笛
島の主が海岸で吹くとペックルの主を呼ぶ事が出来る。
「何これ?」
「さあ……実験をしてもらいたいです。私達では使用できないみたいで」
俺専用?
開拓を始めたリーダーしか使えない装備って事かな?
「ま、絆くんが納品してくれた魚のお陰で当面の食糧問題は解決したよ。後は物資類の調達をお願いする」