ダメージ量少な!?
ケルベロススローターでタコ殴りにして仕留める。
ごり押しで黒字を叩き出せた!
「わお!」
「すげー! 全然痛くない! 雑魚を蹂躙出来る!」
「性能が高いのはわかりましたけど、絆さん……」
「お兄ちゃん、言い方って物があるよー」
「硝子もこれ着て戦ってみない? 敵が雑魚化して効率良いんじゃないか? 硝子の装備を俺が使うからさ!」
「えーっと、魅力的な提案ですけど、絆さんが使用していてください。私もそれなりに防御力はありますので」
「むしろお兄ちゃんってなんで古い防具をいつまでも使っていたのか不思議だよね。それなりにゲーマーなのに」
くっ……。
スピリットは媒介石とか別枠の防具があるお陰でダメージ計算が複雑なの!
そもそも硝子のくれた防具がかなり優秀だったのも理由なんだぞ。
ちょこちょこと買い換えるくらいなら一気に買い換えた方が強さを実感できるだろ!
最初の波ではしっかり装備を固めていたじゃないか!
「船上戦闘辺りではどうにか出来ていましたしね……あの頃の装備では頼りないくらいの難易度になって来ているのは事実です」
「一気に強い所に来ちゃった弊害かーまあ、どうにか出来たなら良いんじゃない。この点で言えばスピリットは有利だよね」
「……そう」
「まあ、そんな訳で絆さんを守るために意識を向けなくて良いなら私達ももっと前に出て攻撃出来ますね」
「だけどお兄ちゃん。さすがにボス相手に棒立ちになって居たら痛いじゃ済まないからね」
「わかってるよ!」
そんな訳で俺達はダンジョンを潜って行った。
そして地下100階に到着。
なんか重厚な感じの扉があるなぁ。
「この先にボスがいるんですよ」
「インスタントダンジョンだから入り直せば復活するんだよな?」
「ええ」
「ちなみにどんなボスがいるんだ? 紡の装備を見てもよくわからなくてさ」
なんとなく黒曜石っぽい素材で作られた鎌が気になる。
ここまでの活躍を見るに結構攻撃力がある様だけど……。
「ドラゴンゾンビだよ、お兄ちゃん。結構大きいからお兄ちゃん程度でも遠くから的に当てられるよ」
ドラゴンゾンビ
「紡、どうしてお前はそう俺に対して挑戦的なんだ?」
「そりゃあ、これまでの道でお兄ちゃんが外した数からかなー」
う……確かに、弓矢で援護射撃して、外す事が多かったけどさ……。
マスタリーがまだ未熟なんだからしょうがないんだ。
ここに来て半製造タイプの悩みが浮上してきたな。
しかしドラゴンゾンビか。
やはり中二感のあるモンスターだったな。
まあ紡は武器が鎌だし、装備の相性は良さそうだが。
「まあまあ、絆さんとしぇりるさんは危ないから距離を置いて遠くから攻撃をお願いしますね」
「……OK」
しぇりるもロミナからもらった弓矢に持ち替えている。
お前もか!
「何だかんだ言って私達でも時間が掛るボスです。なので気を付けてください。下手に被弾すると冗談じゃ済みません」
「わ、わかったよ」
硝子が大鯰の扇子を持って、呼吸を整える。
「それでは……行きましょう」
そう言って、重厚な扉に手を掛けて中に入る。
若干大きな広間の様な場所に出る。
地下闘技場とでも言うかのような広さのある場所だ。
そんな場所の真ん中に……虫が群がる何かがある。
硝子と紡が俺達が前に進まない様に手を広げて制止させ、素早く駆け出す。
すると虫が群がる何かから黒い煙が出現、虫が羽ばたいて飛んで行ったかと思うと黒い煙が散った黒いドラゴンの死骸に集約して、ドロドロの黒いドラゴンの死骸が起き上がる。
「GAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」
凄い咆哮に思わず耳をふさぐ。
迫力が物凄い……コンシューマーゲームだったらPVが入ってるだろ。
ボスの名前はドラゴンゾンビ。
どう見ても今の俺達よりも遥かに格上。
とは言っても、硝子と紡の二人でも倒せた敵らしい。
大きさは……確かに大きい。
全長15メートルはある。矢で外す方が難しい大きさだ。
大丈夫なのか? と思いつつ、弓で遠くから狙撃を繰り返す。
攻撃パターンが若干見えてくるな。
頭を大きく上げてからの噛みつき、叩きつけ、ブレス。
羽を大きく広げたら羽ばたきと瘴気を放出。
尻尾を何度から振りまわしたら叩きつけと回転攻撃……かな?
ブレスは遠くにいる俺達に向けても飛ばしてくる様だ。
「は! 乱舞四ノ型・白羽返し!」
硝子が器用に何度もカウンターの構えを取って往なし、その隙を紡が鎌を振りかぶって攻撃を繰り返す。
避けるのは難しいって事なんだろう。
途中途中で紡は回復薬を服用してスタミナを維持……するみたいなんだけど。
「お兄ちゃん! しぇりるさん! 弾幕薄い!」
「弾じゃなくて矢な?」
などと言いながら指示された通り、出来る限り安全を維持したままペチペチと攻撃を繰り返す。
繰り返しているんだが……。
なんだろう、モンスターをハンティングするゲームを紡と奏姉さんとでやらされている時と同じ気分になってきた。
こう……ドスとかジーとかそれくらいのランクを弱い装備で戦っている様な感覚。
「死の舞踏!」
紡が波でも使用していたお得意の戦闘技を放つ。
スキル発動と共に四連続の斬戟が響く。
バシンバシンと大きなドラゴンゾンビの全身にダメージエフィクトが入ったな。
「GAOOOOOO!」
あ、ヘイトが紡に向かったみたいで、ドラゴンゾンビが紡の方を向く。
その隙を突くように今度は硝子が技を放つみたいだ。
「輪舞零ノ型・雪月花」
硝子の周りに雪が発生し……三日月の背景が映し出されて桜の花が散る。
すっげー派手なエフィクト! 硝子の見た目や踊っている様な戦い方から凄く映える!
凄い大技! 派手過ぎてカッコイイと素直に称賛してしまうぞ!
ドラゴンゾンビの全身にやはり何度もダメージエフィクトが入ってる!
「すげー! 硝子の技カッコイイ!」
「き、絆さん、感心してないで援護射撃をもっとしてくださるとうれしいのですけど」
「あ、そうだった!」
そんな訳でペチペチと俺としぇりるが後方で何度も矢を放っている訳だけど……。
10分くらい経過した頃に俺は、ドラゴンゾンビに狙われたので回避してヘイトが減るのを待つ。
距離があればその分、硝子や紡がボコボコに殴って、ヘイトが戻る。
「なあ、二人とも……これ、いつまで続くんだ?」
「えー……」
「まだ三分の二にも至らないよ、お兄ちゃん。半分まで減るとモードチェンジするもん。何かフィールド展開して周りが青白く光るんだよ。その後は地震攻撃が加わるの。硝子さんのお陰で無力化出来るけどね」
うえ……まだまだ続くのかよ。
そう言えば闇影と出会った時に見たボスも地道に殴って倒したっけ。
というか、どんだけタフなんだ。
矢に火でも灯して撃ったら燃え上がったりしないかな?
そう思って矢筒に手を伸ばすと……空振った。
「ゲ! 矢が切れた!」
「しぇりるさんからもらってください!」
とは言ってもしぇりるとは少し距離がある……しかもしぇりるの矢筒を見ると、俺に渡すと心もとない本数しかない。
くっそ……もっと戦闘に貢献する手は無いか。
矢で援護射撃しててもキリがないだろ。
そりゃあ戦闘が得意な硝子や紡は失敗もせずに戦いを継続できるだろうけど、俺はいつ失敗するか分からない恐怖がある。
ここって元々もっと大人数で挑むダンジョンなんだよ。
地道に攻撃して最終的に倒せる硝子と紡が凄いんだって。
幽霊船みたいな特殊なギミックがある訳じゃないし。
エネルギーブレイドで一気に仕留めるとかも手だけどさ。
弓矢での戦いも悪くは無いけど……このまま戦っているとしぇりるの矢も尽きるのは時間の問題だ。
……よし!
俺は釣竿を取り出して光のルアーを装着、スナップを掛けて、ドラゴンゾンビの頭目掛けてルアーをぶつける。
「お兄ちゃん!?」
「絆さん! 何を――」
バシンと良いエフィクト!
ドラゴンゾンビがの仰け反った。
「え? あー……お兄ちゃんの使ってる竿って硝子さんの武器と同じく大鯰の素材で作られた物だよね。しかもそれって光のルアーでしょ? アンデッドであるドラゴンゾンビには良いダメージ入るのかも」
お? ヘイト&ルアー以外で技能が出現したぞ!
急いで習得!
そっかー……釣り道具も武器になる事があるんだな。
まあヘイト&ルアーの段階でわかってはいたけどさ。
ルアーを投げて当てるのは地味に大変だけど、的が大きいからどうにかなりそうだ!
「ルアーダブルニードル!」
ガツンとドラゴンゾンビに攻撃が命中したけどエフィクトは無く、引っかかった。
攻撃スキルじゃない?
「と、とにかく攻撃します!」
硝子がドラゴンゾンビに向かって技を放つ。
すると今までよりもさらに強いエフィクトが出て、ルアーの針が抜ける。
クールタイムが長いな。
「もしかしてそれって……」
「ああ、一回限りダメージを倍化させるスキルかもしれない」
針が刺さっている間に与えるダメージが増える的な。
俺は遠距離から釣竿を振るってドラゴンゾンビに攻撃を繰り返す。
が、フィッシングマスタリーの補正や光のルアーで攻撃力が上がった所為でヘイトが増していて、俺が狙われる頻度が上がる。
硝子と紡がその隙を付いて今までの若干防御寄りの戦いから攻撃寄りにシフトした猛攻が続く。
というかこの光のルアー……いろんなところで役立つなー。
アンデッドに当てると特効なのかーそりゃあそうだよな。
光属性だもん。
やがて辺りのフィールドが青白くなり、モードチェンジしたのが分かる。
ガラガラと地面が揺れて、その度に立っているのが難しくなってきた。
こりゃあかなり厳しいぞ。
しかもドラゴンゾンビの奴、羽ばたいて辺り一面に毒のブレスを吐き散らす攻撃をして来ると言うおまけ付き。
「鎮震の剣!」
硝子が扇子を剣にして地面に突き刺すと……地震が収まり、回避しやすくなった。
「一定時間、地面系の攻撃を無効化出来ます! 今です!」
ドラゴンゾンビが大技を放ったからか、隙だらけになっている。
今、攻撃しろって事か。
本来は地震でこっちも動けない所為で攻撃時間が短いのだけど、対地震装備を持っていた硝子のお陰で余裕と。
ブレイブペックル
「絆さん! お願いします!」
「おう! ルアーダブルニードル!」
ドラゴンゾンビの喉辺りにルアーを食いこませて硝子が攻撃をチャージする。
「お兄ちゃん。私も合わせるよー! 前より楽に倒せそうだね!」
紡も硝子と合わせて攻撃を放つ様だ。
「輪舞零ノ型・雪月花!」
「紅天大車輪!」
硝子と紡が畳みかけるように技を放つ。
更に時間差でしぇりるがいつの間にか接近して、攻撃をした。
「ボマーランサー」
ドラゴンゾンビの硬直が解除されるまでの間に俺達は畳みかけ、更に弱らせる。
後は半ば作業だったかな?
HP低下による凶悪化したドラゴンゾンビだったけど、硝子と紡のお陰で対処しきる事が出来た。
俺の方もエンシェントドレスのお陰でダメージを軽減出来たからな。
途中で脱げそうになって危なかったけど……コレ、訂正しないと俺が変態じゃないか?
エネルギーが減って脱げそうになっただけだ。
ダメージを受ける度に破けてサービスシーンになる訳じゃない。
そもそも脱げても、残念中身は男ですよー! と声高々に叫んでやる。
「GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO――」
やがて……ドラゴンゾンビは一際強い咆哮を放った後……土煙りを上げてその場で倒れた……。
「ふう……前よりも手早く倒せたね。お兄ちゃんも地味に役に立ったし」
「お前は一言余計なんだよ」
「損耗も少なく、良い勝利だと思いますよ」
「……ブイ」
ま、勝てたなら良いか。
で、ドラゴンゾンビがポロっとアイテムをドロップする。
えーっと……腐竜の核か。
それと邪剣ラースブレイド?
装備可能Lvと言うかエネルギーが随分と高めだな。
性能はそこまでは……って所みたいだ。
「最初に倒した時も落としたけど……ドロップ率高めなのかな?」
「ロミナさんに打ち直して鎌にしてもらいましたよね」
「うん。素材にする事は出来たからどうにかね。このままの方が性能が良いのは分かってるんだけど」
「俺達の中で剣を本腰で使う奴っていないしな」
「お姉ちゃんかなー?」
「あー……確かに」
奏姉さんってあんまり突出した武器選ばないもんなー。
もしくはいろんな武器を効率よく使いこなしていくタイプ。
最終的に癖の無い剣とかに収まる人なんだよね。
まあ、どうするかは後回しにするか。
「ほんじゃさっそく解体するぞ」
「お兄ちゃん、よろしく!」
「はいはい」
そんな訳でドラゴンゾンビの解体を俺は始める。
よくよく考えてみればドラゴンなんて現実に存在しない生き物をどうやって解体するんだとは思うけど、とりあえずとばかりに腹をケルベロススローターで切り裂いて、身と骨を切り分けていく。
元々死体だったからか、討伐後の身はかなり柔らかくなっているっぽいな。
それでもドラゴン故に素材の質は高そうだけどさ。
腐竜の骨、腐竜の腐肉、腐竜の逆鱗、腐竜の核、腐竜の翼膜、腐竜の角、腐竜の牙、腐竜の頭骨、腐竜の骨髄……。
どっかのハンティングゲームの素材みたいだな。
「よーし解体完了。後でロミナにどんな物が作れるか尋ねるとして」
討伐後のフィールドを見渡すと扉があるのに気づく。
確かこの先でペックルの笛があったんだったか?
そこまで行ってクエスト達成と言う所だろ。
「この先にもまだ道があるので一応行きましょう。また何か収まっている宝箱があるかもしれません」
「あいよ」
武器を収めて俺達は先に進む。
ドラゴンゾンビを倒した先の扉を開けると……もう一つ部屋があった。
部屋の真ん中にはそれらしい模様がある。
ゴール?
「ここが最下層って事で良いのか?」
「それがよくわからなくて……あそこを見てください」
「ん?」
言われて硝子が指差す先を見る。
するとそこには二つの扉があるのに気づく。
一つはこれ見よがしに鍵穴がある扉、もう一つはそれらしい物はなく、閉まっている扉。
「どっちも開く気配が無いんですよ」
「ありえるのは何かしらのフラグを立てると開くって所かな?」
「お城を立てると開くとか?」
その辺りだろうなー……。
「鍵穴付きの方は何処かで鍵が手に入ると思うよ。それこそお城を建てるとかかな?」
「マシンナリーで開ける」
「ありえるかもな。ジャッキとかで強引に開く仕掛けとか、実はスライドで開くかもしれないぞ」
そう言った意地悪な謎掛けだってありえる。
この手の物は頭を使う事に意味がある訳だし。
「RPG的な話題だな……そういや地底湖の主を釣った時に鍵を手に入れたっけ」
「お兄ちゃん言うの遅過ぎない?」
「紡、それはお前もだ」
こんな所に扉があるなんてお前も言っていない。
ゲーマーの癖に兄弟そろってマヌケ過ぎだ。
「まあまあ。絆さん、試しに鍵を差し込んでみてはどうですか?」
「……チャレンジ」
「もちろんやるさ。つーか……鍵開けとかの技能があると無くても開けられたりしてな」
俺は古の伝説の鍵を取り出して扉に差し込んで捻る。
ガチャリと音を立てて、ロックが外れる音が響く。
そして古の伝説の鍵は光となって消えた。
扉を押すと、ゆっくりと開く。
「何があるかなー?」
ボッと室内のたいまつに火が灯り、室内が照らし出される。
鍵を使って開いた部屋は……さっきまでいた場所に良く似た間取りの部屋だ。
今度は完全に行き止まり……部屋の奥には四つの武器っぽいエンブレムが描かれている。
武器は……剣に槍に弓、そして盾かな?
これに追随する様に肉とか魚が描かれている。
魚は盾みたいだ。
で、真ん中にはこれ見よがしの宝箱。
「宝物庫ですか」
「みたいだね。ペックルの笛みたいに何か面白い道具でも入っているのかな?」
「何か優秀な武具でも良いな。とは言っても俺達が使っていない武器が出ると困るけど」
とは言え……ロミナが困惑する程優秀な素材だったシーラカンスを釣りあげて得た鍵だ。
物凄く優秀な武器が入手できても不思議じゃない。
「じゃあ……開けるぞ」
「うん」
「お願いします」
「……トレジャーハント」
まあ、ここでミミックとかに遭遇したら運営を絶対に許しはしない。
恐る恐る俺は宝箱に手を掛けて蓋を開ける。
「ペーン!」
……声を聞いて思わず半眼となって飛びだしたペックルを見つめる。
硝子や紡、しぇりるも若干がっくりとしている位だ。
なんだよペックルが入っているのかよ。
期待させやがって。
とは思いつつ、ここまで仰々しい所に入っていたんだ。
何かあるだろうと飛びだしたペックルを確認する。
「よく古の伝説の鍵を入手し、ドラゴンゾンビを倒して封印を解いてくれたペン!」
おお、専用セリフ付きか。
えーっと……宝箱から出てきたのはなんか丸い宝石が埋まった盾を装備したペックルだった。
「俺の名前はブレイブペックルだペン! これからよろしくだペン!」
「ブレイブペックル?」
「ペーン!」
そう言い終わるとブレイブペックルとやらは他のペックルと同じく、姿を消した。
説明はなしか。
「何でしょう?」
「他のペックルとは違うのかな?」
「……ブレイブ、勇気」
「うーん……まあ良いや、とりあえずもう片方の扉を調べて特に何も無い様だったら帰ろうか。ブレイブペックルに関しては帰ってからで良いでしょ」
「了解ー」
「そうですね。ペックルですからアルトさんと相談してからでも良いでしょうし」
ペックルの管理はアルトに任せてるもんな。
しかし……こんな仰々しい場所で手に入ったのがペックル一匹とは……。
などと思いつつ室内を調べたが、それらしい収穫もなく俺達は足早に帰還したのだった。
†
「ブレイブペックルは世界を救うペックルの勇者だペン。他のペックルとは違って特別なペックルなんだペン。彼の封印が解かれたと言う事は開拓に大きく貢献出来るペン」
帰ってくるなりサンタペックルが俺に近づいてきて、謎の絶賛を始めた。
専用の台詞まであると言う事は物凄く優秀って事で間違いはない。
こう、NPC的な意味で。
しかし勇者はともかく、世界はプレイヤーに救わせろよ。
とりあえずアルトの所へ行くとしよう。
防御専門
俺達はダンジョンでの出来事をアルトに報告し、揃ってブレイブペックルのステータスをペックルカウンターで確認する。
「絆くん達が帰還した際に出てきたブレイブペックルなんだけどね。恐ろしい程の性能を宿しているのは確かだね」
「そうだな」
まず入手したばかりの技能Lv1の状態で他のペックルよりも総合的に高い。
サンタペックルみたいな器用貧乏ではなく、何をさせても卒なくこなせるほどに基礎水準が総じて高めなのだ。
勇者だからって事かもしれない。
まあRPG的に古くから勇者と言えば万能型だよな。
「ブレイブペックルにはいろんな物を与えられるペン。その度に少しずつ強くなって行くペン!」