Wave of dimensions — страница 35 из 111

「いつもゲームの事で頭がいっぱいだから、そんな暇無いよ!」

「そ、そうか……」


説得力は多分にあったが、もやもやした物は残った。

後、妹の将来が割と本気で不安になった。


「そういえば戦闘に入る直前、物凄い勢いでブレイブペックルのストレスゲージが上がって行ったのを確認しているよ」


アルトの言質も取れた。

嫌いな道具を見せつけることで高速でストレスゲージが上がったって事か。

サンタペックルの台詞から察するに、その赤い髪の女人形が原因と見て良いだろう。

また余計な寄り道をしやがって……。

よし、以前から考えていた計画を実行に移すか。


「……紡、ちょっとこっち来い」

「なーに?」


俺は紡の手を掴んで、池へ行く橋の所まで歩いて行き……ドンと橋から紡を突き飛ばした。


「おらー!」

「ちょ――お兄ちゃん!?」


くっそ、しぶとい!

しつこく橋の縁に手を掛けて生き残っている。

俺はその手を踏み付けた挙句蹴り飛ばして、川へと落としてやった。


「きゃああああああああああああああああああああああああ――……」

「うわ……」

「処刑」


しぇりる、人聞きの悪い事を言うんじゃない。

制裁と言え。

共同生活をしているのに、そんな身勝手な行動をしたのなら罰は必要だろう。

例えゲームだとしても、だ。


コレだから妹という生物は……妹萌えの精神は理解しがたい。

こんなイカれた頭のおバカな妹って生き物の何処が可愛いのか。

まだ奏姉さんの方が萌えがあると思うぞ。

あっちはアホと言える行動をするけど、被害は無いしな。


これでお淑やかで優しくて兄想いの妹だったなら別なんだけどな。

それこそ牧場ゲームを一緒にやってくれる、従順な妹なら良い。

残念ながらそんな妹は実在しないしないけどな。

まあこれが俗に言う『兄が妹に望む幻想』なんだが。


「容赦しないね」

「かと言って、お咎めなしもどうかと思いますしね……強く止めなかった私の責任でもあります」

「硝子は……まあ、ダメージが多かったから良いよ」


その被害を一番受けたのが硝子だしな。

というか、橋から落ちた所でダメージを少し受けるだけでペナルティも無いしな。


ボス考案

「ゲッホ! ゲホゲホ……」


まあ、そんな感じで川に流された紡が海岸に流れ着いた所で俺は再度言う。


「後、三回は味わってもらおうかな」

「ごめんなさい、お兄ちゃん! だから勘弁して!」

「俺に謝ってどうするんだよ」


せめてエネルギーの消費が激しい硝子に軽くても謝罪しておけ。

ゲームとはいえ、みんなが楽しめない遊びは感化できない。

闇影をボッチにさせてしまった件については棚に上げる。

その時は甘んじて罰を受けるさ。


「NPCごめんなさい!」

「お前、ネタに命掛けているだけだろ!」

「ごめんなさい! 人形を吊るしてブレイブペックルで遊ぶのはもうしませんから!」


そんな事をやっていたのか。

そ、そういえば俺も『アニマルな森』というゲームで、住民を落とし穴にハメたり、橋から突き落としたり、なんて事をした覚えある。

ゲーム内で起こす行動の闇を鑑みた気がした。


「まあまあ……今回のイベントも乗り越えたら結果的に良い事があるかもしれませんから、これくらいにしましょう」


硝子が俺を止めるので、止む無くこれ以上の制裁は見送る事にしよう。

一番被害を受けている本人が許しているんだから良いだろう。


「はあ……硝子に感謝するんだぞ」

「はい!」

「でだ。アルトの話ではブレイブペックルが抜けた穴が大きくて困るそうだ。おそらくラースペングーを仕留めることで帰って来ると思うが、どうやって倒す?」

「挑戦は一日一回。制限時間30分というルールのようだね」


戦うのは一日一回。

となると最低でも明日まで待たなければならない。


「硝子、ダメージを回復するのにどれくらい掛りそうだ?」

「仮に今からダンジョンに潜って精一杯戦ったとして……二日は必要なくらい削られました」


そりゃあ随分とやられたなー……硝子がこんなにダメージを受けるなんて相当なもんだぞ。


「再戦は見送るべきだろう。というか、また島にいる奴等全員が強制で呼ばれるんだろうか?」


それだと……波と同じく大人数で削り切るボスって事になる。

そうなったらこの人数じゃ不可能だ。

ただ……地道にダメージは入っていたんだよな。

三割位は削れたし、思ったよりは強くない。

時間さえ掛ければ倒せるはずだ。

まあ、制限時間があるんだけどさ。


「その辺りの条件は一回しか戦っていないし、まだ謎だね。ただ、僕が特に狙われたりしない所を見るに戦闘が出来ない人を攻撃する様なAIはしていないんだろうね」

「一定範囲まで接近しなきゃ攻撃されない可能性もあるだろうなぁ」


少なくとも俺やしぇりる、ロミナは狙われる確率が低かった。

その辺りのAIはよくわからない。


「後はそうですね……ダークフィロリアルというモンスターの攻撃は苛烈でしたけど、ラースペングー自体が直接攻撃する事はありませんでしたね」

「そうだったか? セルフカースバーニングって技を何度も放っていただろ」

「お兄ちゃん、気付かなかった? あの攻撃の条件」

「まあ……技名もそうだが、十中八九カウンター主体の戦い方なんだろうとは思った」


ダークフィロリアルに攻撃を任せて、自身は守りに徹する。

そして不用意な攻撃を受け止めてカウンターのセルフカースバーニングで辺りを焼き払って攻撃する。

相手の高威力技には反応してダークフィロリアルと共に守りを固める編成だ。

そして隙あらば檻で閉じ込める技を放って必殺技のアイアンメイデンで決めて来る。


って所だろう。

アイアンメイデンを撃つまではそこそこ時間が必要だったし、クールタイムか何かがあると見て良い。

何処までもいやらしい戦い方を好むな。


「あの技ですが……輪舞破ノ型・甲羅割りを放った際には発動しませんでしたね。絆さん達の援護射撃も盾で受け止めたり矢を掴まれたりはしましたが、セルフカースバーニングは発動しませんでした」


遠距離攻撃では発動しない……辺りの分析は俺でも出来る。

しかも硝子の話だと防御無視技が有効らしい。

どうみても防御系な敵だし、弱点って事だろうな。


「ダークフィロリアルを一気に畳みかけて倒したらどんな行動変化をするかわからないけど、あの強固な守りが解けるかも!」


確かに、あまりにも硬いタイプの敵は取り巻きを倒すことでその硬さが解除される事は多々ある。

が、厄介なのはラースペングー自身が回復魔法っぽい事をして来る事だ。

その所為でダークフィロリアルは倒し辛い。


「倒しても一定時間後に再召喚してくる可能性もあるな。研究の為に挑むのは悪くないが、何度も戦うのは骨が折れるし、スピリットには厳しい」


現に硝子が元の強さに戻るのに相応の時間が掛る。


「ともすれば、現状だと下手に触れずに地道に開拓をするか、戦力が整ったら再戦するか……」


そこでロミナが手を上げる。


「まだ実験していない攻撃手段が無いかい? いや、正確には硝子くんがやっていた技の種類にも寄るんだけどね」

「と言うと?」

「若干変則的な攻撃には効果がある……例えば毒や麻痺、石化等の状態異常に弱いとか」

「古く続くゲームとかだと無効化されるパターンの多い物だなぁ」


効けば良いな程度。

海外のゲームだとラスボスでも状態異常が効く事は多いんだが、日本製のゲームは通常ボスでも完全耐性の場合がある。

どっちの基準かはわからないが、実験は必要だな。


「防御無視は通じたからありえなくは無いか」

「後はそうだね……確実にやらなかった攻撃手段が他にもあるよ」

「なんだ?」

「魔法」


あー……まあ、そうだな。

俺も硝子もしぇりるも紡もみんな武器持って好き勝手に攻撃するタイプだ。

ロミナやアルトは論外だろう。

こちらは商人&製造職なのだからしょうがない。

俺もどちらかと言えばこちら側で、言うなれば半製造だしな。

釣り的な意味で。


「魔法効果の発動する道具を使用すれば良いのかもしれないけどね」


アルトはその辺りの心得があるのか若干困り顔で呟く。

コスト面度外視で挑むにしても通じるかどうかだし、道具でどうにか出来るほど強力な物を作れるのかも分からない。


「何か良い手はあるか?」

「道具作りは多少心得が無い訳じゃないけど、効果的な物が作れる自信は無いなぁ。それこそしぇりるくんのマシンナリー辺りが効果的かもしれないよ」


するとしぇりるは首を横に振る。


「ボム」

「爆弾?」


頷かれた。

あまりお勧めしないって事かな?


「ノーマジック」

「魔法じゃなく物理だから意味が無いって事か」

「そう」


うーん……。


「火炎瓶とかは魔法か否か……」

「魔法扱いだろうけど、炎のカウンター攻撃をして来る相手に通じるかな?」


難しいな。

それこそ島で採れる素材で何かしらの道具を作って投入するのが限度か。

あるいは一度負けるなり撤退して、対策アイテムの作成イベントがあるとか、ありがちと言えばありがちな展開だよな。


「俺達の仲間には魔法使いが居ないのがここに来て響いているな」

「完全に闇影くんを無視する勢いだね」

「サンタペックルが反応すれば呼ぶんだがな」


アルトが来て以来、随時説明しかしていない。

精々『ペックルはモンスターじゃないペン』とお決まりのセリフを言う位だ。

そろそろ来てもおかしくないから、今度こそ俺達の遅れてきたヒーローの出番という訳だ。


「絆くんは魔法を習得しようとは思わないのかい?」

「熟練度的に考えると、遠回りになりかねないしな……硝子、どうやって覚えるんだっけ?」

「杖等の魔法をイメージする武器の熟練度を上げると習得出来ますよ」


どっちにしてもいきなり強力な魔法をこの状態で使用するのは難しいだろう。

これまでの経験からスピリットが魔法系と相性がそれなりに良いのはわかっている。

エネルギーさえ溜め込んでおけば撃ち放題だからな。

とはいえ、あの強固な守りを突破するだけの強さが求められる。


「ここにいる皆さんは魔法の習得をしていませんからね」

「応急手当的な軽度の魔法は使用出来るけど、生憎とね」


と、アルトが言う。

へー……さすがは商人、金になりそうな回復魔法は習得済みなんだな。

まあ使っている所を見た事が無いし、きっと熟練度は低いんだろう。


死の商人の勧誘

「絆くん、前にブレイブペックルに強力なアクセサリーを作らせていたよね。アレを使用するのはどうか」


ああ、能力上昇が優秀だから硝子や紡に装備させていたオレイカルスターファイアブレスレットね。


「ドレイン強化の付与も掛っている。闇影くんが来れば一番性能を引き出せるはずだ」

「となると、サンタペックルが声を掛けるまでは待機として……島にある素材を駆使して闇影のご機嫌取り……ゲフンゲフン、装備を作っておくのはどうだ?」

「凄く現金に聞こえてしまうのが悲しいですね」


しょうがないだろ。

闇影がいれば攻撃の手数が増える。

硝子達とも異なる種類の高火力魔法の使い手は闇影だけなんだ。

しかもアイツは範囲魔法も使えるしな。

ドレインだけどさ。


何よりこれまでの法則から言って、何か問題があると人員が呼べる様になる。

きっとそろそろサンタペックルが言い出す頃だ。

なので俺達のヒーロー、闇影を呼びたい。


「闇ちゃんなら島に来なくてもスピリットだし、ステータスはきっと高いはずだよね」

「だろうな」


魔法特化で戦っている訳だし、波でもMVPを取るほどの猛者。

運営のお気に入りとか渾名が付くくらいだもんな。

あ、いや違った、死神だった。


「むやみやたら挑戦してジリ貧になるくらいなら良いかもしれませんね。ではその案で行きましょう。それが失敗したら別の作戦を考えて行けば良いですし」

「了解ー」

「開拓が滞りそうだけど、わかったよ」

「やっと闇影くんか……彼女は今、何をしているだろうか……」


ロミナが物思いに耽る様子で呟いた。

闇影か……しばらく見ていないな。

具体的には数年……ではなく、一ヵ月半位だが。


「迷惑かも知れないが、俺達には闇影が必要なんだ」

「絆さんは闇子さんに橋から突き落とされても文句は言えないと思います」


そうかもしれない。そこは甘んじて受けよう。

なんて感じに島でのスローライフは再開された。

……サンタペックル反応しろよ!


三日程、特にコレと言った変化もなく、島の上空に不穏な雲が漂い続けている。

嫌な感じだな。

波の亀裂みたいな嫌な空模様が続くとか……これがSOS信号になってくれないだろうか。


「いい加減、聞いて来いよ!」

「ペックルはモンスターじゃないペン」

「またそれか! 怒鳴るとそれ以外の返事は無いのか!」

「早くラースペングーを倒してほしいペン」

「倒せるメンバーを呼びたいんだよ!」

「早く城を建てようペン」


ああもう! サンタペックルウゼー!

複数の命令をしてくるな。

早く早くってなんでもやらせようとするな。


「早く人を呼ばせろペン!」

「絆さん落ちついてください! ペックルの真似をしても何にもなりませんよ」

「お兄ちゃんも大分ボケる時があるよね」


やかましいぞ、事の元凶!

まあ設定されているイベント臭いけどさ。


「ロミナ! 闇影が好みそうな衣装は出来あがったか!?」

「もちろんだとも。彼女が喜びそうな忍び装束の作成が出来たぞ!」


ロミナが俺の指示に従い、闇影用の装備を作ってくれた。

おお……まさに忍者っぽい。

くさりかたびらもあるし、足袋も込みだ。


「魔法系の彼女に合わせたボーナスが出るまで何度も作りなおした。コレを着るだけで彼女は今の何倍もの強さを得るんじゃないかな」

「忍び頭巾も完備……後は巻物か」


アイツの忍者像は忍法系だからな。

火遁の術とか水遁の術とかのイメージだ。

要するに、だってばよ! の方向性だ。

天誅的なタイプとは異なるので、これで正解。


「オレイカルスターファイアブレスレットを忘れてはいけないよ」

「そうだったな。スピリット用の媒介石もだな」

「必要とされたにも関わらず呼ばれない闇影さん……運が良いのか悪いのか、どっちなんでしょうね」


なんて感じに日が傾いて来た頃。


「誰か会いたい人は――」

「キター!」


ドンドコドンドコと言った様子で俺が小躍りしていると硝子が距離を取った。


「あんまり引くなよ。傷付くじゃないか」

「ならもう少し自重してください。待っている割には釣りをしていましたよね」

「闇影に食わせるクエの確保をしていたんだ」

「昨夜捌いて食べてましたよね? 絆さんが魔法を覚えるのも良いのでは?」


まあ、それも手ではあるんだけどさ。

どちらかと言うと製造系の俺が其処まで拘るのもね。

後々覚えても良いかもだけど。


重いんだよ、エネルギー的な意味で。

アレを覚えると他の技能を下げなきゃならない。

熟練度の関係もあって下げてもスピリットはそこまで損失は無いけどさ。

釣竿の技とか地味に戦闘でも使えるようになって来たんだぞ。


「そんな訳で闇影な」


フレンドリストから闇影をコピーペーストしてサンタペックルに命じる。


「わかったペン。会える事を祈っているペン」


とのお約束の台詞を吐いてからサンタペックルは立ち去った。



「さて、明日は闇影くんが来る訳だが」


何やら悪だくみ的な顔をするアルト。

凄く似合うな。

死の商人的な意味で。


「当然、僕を招待した時と同じ様に原住民のフリをしながら歓迎会をするんだよね?」

「いや? 普通に声を掛けようと思っているけど?」

「彼女をこれ以上いじめてどうするんだい?」


するとアルトは露骨に不快そうな目付きで俺達を睨んだ。

なんだ? 何か不満でもあるのか?


「僕だけが手荒い歓迎をされるのは納得しかねるのだが」

「それはお前の商人プレイが悪かった所為だろ」

「……うん。闇に罪はない」

「絆くんに同意だ。あれは君自身が招いた事だ」

「何はともあれ、僕だけ手荒い歓迎を受けるのは理不尽だ! 闇影くんにも同じ事を所望する! じゃなきゃ僕は仕事を放棄し、カルマーペングーを量産させてもらう!」


一体アルトの何が引っかかっているのか気にはなるが、一歩も引かないと言った様子で脅してくる。

相当根に持っている様だ。

自業自得の癖に。


「島を出た後も覚えておきたまえよ!」

「仲間欲しさに脅しに来るか、アルト!」

「ふふ……死なば諸共さ。ロミナ、僕は仲間が欲しいんだ。闇影くんと言うね」


お前は鬼か。

いや、死の商人だったな。

しかし、あの幽霊を怖がっていた闇影にそんなの大丈夫かね。

まあアルトも幽霊を怖がっていたけどさ。


だが、それで闇影がお前の仲間になるとは思えないんだが。

あくまで自分と同じ境遇の被害者が欲しいんだろうか。


「はあ……しょうがない。アルトの島を出た後の生活の為にも闇影にはがんばってもらおう」

「やったね、絆くん。仲間が増えるよ」

「そのフレーズはやめとけ!」

「酷い人達ですね」


うん、俺もそう思う。

そんな訳で俺達は、明日来る闇影の歓迎会の準備を始めたのだった。



ドンドコドンドコドンドコドン……。

アルトの時の様な軽快なリズムを俺と硝子が叩く。

心なしか硝子はやる気が無かった以前よりも更にやる気がない。

まあ当然と言えば当然だが。


「ヤーハー!」

「ヤーハー」

「アーハー」

「ウェーイ」


やる気なのはアルトだけで他の連中は付き合いって感じなのが並々と感じられる。

事前の打ち合わせって感じのダンスだ。

……誰だ。ウェーイって言った奴。


「もっとテンションを上げるんだ! 僕の時はこんなものじゃなかっただろう!」

「あれは君への恨みが募っていたからね。自業自得だと思わないかい?」

「死の商人であるからにはタダでは転ばない! 反省なんて早々にしてなるものか」


あ、ロミナが深く溜息を漏らした。

アルトもそこそこワガママな所があるんだな。

まあ、俺達限定かもしれないけど。

しかし、ついに死の商人にプライドを持ち始めたぞ。


「あんまり闇影くんを驚かせない様に。彼女は君ほどの悪さなどしていない。むしろ健全な人物なんだから」

「そうそう、闇ちゃんは素直でノリが良い子だよ」

「そう……」

「自他共に認めるコミュ障だけどな」

「く……味方が誰も居ない! これが絆くんだったらどれだけ良かった事か!」


あ、ロミナが俺の方を見て微妙に頷いている。

俺ってそういうポジション?

まあナチュラルにクズだな、という自覚はあるけどさ。

しかし、これが闇影ではなく紡だったとしたら……アルトと同じテンションだな。

これが身内補正か。


忍者再会

「確かに、絆くんだったらもう少しやる気は出たかもしれないな」

「お兄ちゃんへのいたずらなら賛成!」

「うん」


……ふむ。

俺も色々と反省しなきゃいけなさそうだな。

妹へのいたずらなら賛成! とかまた文句を言われそうな返答をしそうになったが、今は黙っておこう。