これは行けそうだ!
「今度は負けないもんね! 紅天大車輪!」
紡が鎌でダークフィロリアルに連続攻撃をし続ける。
それだけで結構ダークフィロリアルの体力が削れて見える。
ただ、ダークフィロリアルは素早さが高い為に本気で移動されると包囲網を突破されてしまう。
そうなったら狙われた人員が走ってラースペングーから引きはがす。
「良い調子ですね! 一気に畳みかけましょう! 輪舞零ノ型・雪月花!」
硝子が大技、雪月花を放つ。
するとラースペングーは大技に反応して盾の檻で守りを固める。
「隙だらけでござる!」
その隙を逃さずに闇影が大きく魔法詠唱に入った。
そしてラースペングーが盾の檻の効果時間が切れた瞬間。
「ブラッディーレインでござる!」
隙を逃さないとばかりに闇影の大魔法が作動。
ラースペングー目掛けて真っ赤な雨が降り注ぐ。
ジュッとラースペングーの全身から煙が立ち込める。
強力な酸性雨みたいな魔法だ。
完全に闇魔法だな、これ。
属性相性は良くなさそうだけど、闇影の装備は一級品で固めてある。
強引に魔法防御をぶち抜くだけの威力が出せている様だ。
「範囲に永続ダメージと防御力低下効果がある血の雨を降らせる魔法でござる!」
「順調ですね!」
そう言ったのもつかの間!
脅威度の高い闇影に向かってラースペングーとダークフィロリアルが同時に突貫して来る。
「クエエエエエエエエエエエエ!」
ダークフィロリアルが高速の八連撃で硝子と紡の妨害を突破して闇影に殴りつけ、それが終わるや否やラースペングーが盾の檻で閉じ込めてアイアンメイデンを放った。
「邪魔です!」
「そうだよ! 一方的にやられると思ったら大間違い! 鎌技・クレセントシックル!」
紡が鎌を横に振りかぶるとダークフィロリアルに向けて三日月形の斬撃が飛んで行く。
そしてダークフィロリアルを切り裂いて、背後に出現していたアイアンメイデンへと飛んで行く。
チュインと音を立ててアイアンメイデンにぶつかって紡の技は消失。
「まだまだ! 輪舞二ノ型・吹雪!」
二つの扇子で花吹雪を発生させてアイアンメイデンを切りつける。
後は俺やロミナ、しぇりるがやる番だな!
「ルアーダブルニードル!」
ガツッとルアーをアイアンメイデンに引っ付けて、ロミナとしぇりるが放つ特製の矢を待つ。
「行くよ!」
ロミナとしぇりるがアルトと一緒に作りだしたのは爆弾付きの矢だ。
射程が随分と短いが放てば相当の威力が出る。
ドゴンと矢が当たった直後、爆裂してアイアンメイデンが砕け散る。
「プハ! 死ぬかと思ったでござる!」
盾の檻から抜けだした闇影がそう漏らした。
硝子と同等のエネルギーを持っているなら一撃を受けただけでは死なないだろうが、ダメージがきついからな。
とは思うが、それ所じゃない。
「よし! アイアンメイデンも無効化した! 一気に畳みかけるぞ!」
「「「おー!」」」
なんて感じにラースペングーとダークフィロリアルを撃ち合わせ通りにチクチクと攻撃して行く。
「……この手ごたえと感覚、間違いないですね」
硝子が何か分かったのか呟く。
「何が?」
「闇影さんが参加した今回の戦いと前回とでラースペングーの守りが若干上がっています。挑戦人数で能力値が変動するのだと思います」
なるほど、つまりもっと人数が多い場合、相応の強さになるか。
多勢に無勢で畳みかけられない様に作られているのか……厄介な。
とはいえ、どちらにしても勝機は見えた!
そう思ったその時、ラースペングーの体力が半分を切った頃だろうか。
「乗った!?」
そう、ダークフィロリアルにラースペングーが乗っかり、フィールドを素早く走りまわり始めた。
くっそ! 足が早いぞ!
しかも何故か攻撃をして来なくなった。
「これは……時間切れまで逃げようとしているのではないでしょうか?」
残り時間18分まで減っている。
ピンチになったら逃げるとか……。
「何処までも面倒な戦闘スタイルをしていやがるな! だが、事逃げる奴を追い詰めるのは俺の専売特許! 即席落とし穴だ!」
罠の技能を上げていたのがここで役立つ。
少し離れた所に大量の罠を設置して追い詰める。
「クエ!?」
ダークフィロリアルが穴に足を取られて動きが止まる。
「今だ! バインドルアー!」
ラースペングーにルアーを引っかけてる。
ラースペングーが必死に抵抗するがルアーが引っ付いている限り、逃げられない。
リールを巻いて、逃亡距離を制限する。
「おお……凄いでござるな!」
「さすがはお兄ちゃん。罠がここで役に立つなんて思わなかったよ!」
「今の内に畳み掛けろ! 効果が切れてすぐに逃げるぞ!」
「わかったでござる」
「行きます!」
そんな訳で逃げるラースペングーを罠とルアーで抑えつけ、どうにか攻撃を当て続け……やっと体力を削り切った。
「……やったか?」
「なんという、生存フラグ」
なんてお約束な会話をしていると黒い炎が収縮していき、ラースペングーが所持する黒い盾が砕け散ってブレイブペックルの盾に戻る。
ダークフィロリアルは影となって霧散して消え去った。
そしてブレイブペックルが倒れる演出と共に空が青空に変わった。
どうやらお約束の生きている展開は無いらしい。
ぬいぐるみ
「おお……今までが不穏な雲だった故に圧巻でござる!」
「見慣れた空のはずなのに綺麗だと思えるね」
アルトがそんな空を見上げて呟いた。
「どうにか仕留めたか……」
ったく……とんでもない隠しボスだった。
少なくともソウルイーターの比じゃないし、ドラゴンゾンビよりも遥かに倒し辛かった。
紡や硝子の戦闘センスだけでどうにか出来る相手じゃなかったし。
エネルギーブレイドで仕留めるのは……きっと難しかっただろう。
出来たとしても最後の手段だしな。
「さーて、ボスを倒したんだから解体か?」
「ブレイブペックルをですか?」
……確かに死体というか、ブレイブペックルに戻っただけだ。
くそ、ボスの癖に素材がないのか?
なんて倒れているブレイブペックルの元に近寄ると、近くに何かが落ちているのを発見した。
「また謎の赤髪の女人形か?」
事の原因である人形かと近づくと……なんだこれ?
ぬいぐるみか?
「あ、なんかカワイー! たぬきのぬいぐるみ? アライグマかな?」
タヌキともアライグマとも言い難い変わったデザインのぬいぐるみがブレイブペックルの近くに転がっていた。
とりあえず拾ってみる。
ラフぬいぐるみ ブレイブペックル専用アクセサリー。
アクセサリー?
あ、テキストがあるぞ?
ブレイブペックルが大切にしている存在を模ったぬいぐるみ。
このぬいぐるみがある限りブレイブペックルは憤怒に飲まれる事は無い。
「スッキリしたペン!」
ブレイブペックルが起き上がって俺の方を見ながら喋り始める。
スッキリ……スッキリねぇ……。
「随分と暴れたもんな、お前」
「もう二度とあの女を見せるんじゃないペン!」
あ、その辺りは記憶するAI設定なのか。
で、ブレイブペックルは俺が持っているぬいぐるみを凝視している。
ここでグリグリと押し付ければネタ的に美味しい気がするぞ。
紡の兄的な意味で。
いや、やらないが……芸人兄妹か。
「絆さん、そのぬいぐるみ……」
「テキストを見る限りだと装備させると憤怒に飲まれないみたいだけど」
「絆くん、それなら試しに装備させてみてくれないか?」
「ん? ああ」
俺はブレイブペックルにぬいぐるみを手渡す。
するとブレイブペックルはそのぬいぐるみを優しげな笑みを浮かべて一度強く抱擁したかと思うと背負った。
「おお……」
直後にアルトが声を零す。
「ブレイブペックルの技能や能力値が三割増しになった。かなり優秀な専用装備だよ」
「これがイベント報酬でござるか?」
「割に合わない気がするが……」
まあブレイブペックルが復帰するだけでも十分なのかもしれないけどさ。
「とんでもない! ブレイブペックルが戻るだけでも十分に収穫さ!」
まあアルトがそれで良いなら良いんだよ。
アルトの中ではな。
「さあ! これから作業に戻ろうじゃないか! 闇影くんはその強靭な強さをインスタントダンジョン辺りで肌に感じて来るのが良いと思うよ」
戦闘中見ていただけだったアルトが謎のリーダー面。
いや、ペックル関連は任せているけどさ。
「先ほどの戦いで十分実感しているでござるが……」
「まあまあ、じゃあ闇子さんを案内して行きましょうか」
硝子がそう言って案内を始める。
闇影、一躍ヒーローだな。
それに見合う活躍をしていたけどさ。
「闇ちゃん、後でダンジョンに潜ろうね。闇ちゃんさえいれば簡単だよ! きっと」
「おー! 行ってくると良いぞ。俺は俺で色々とやっておくから」
「絆さんは本当、マイペースですね」
「それは褒めていないな」
「ええ、また釣りをしているのでしょう?」
「もちろん、今度は沖合いの深い所を狙う予定だ」
釣りがしたくてゲームに参加した事を忘れてはいけない。
カジキマグロとか釣りたいなー。
トローリングが出来ないかしぇりるに頼んでみよう。
「絆さんらしいですね。今度一緒に釣りをしましょう」
そういえば最近やってなかったもんな。
まあ硝子の場合、付き合いなのかもしれないが。
「という訳でロミナとしぇりる、アルトも思い思いに作業に入ろう。城造りの手伝いでも良い」
「そうだね……腕前を上げなきゃいけない頃合いだし、十分に強化するだけの強さも欲しい。やりたい事が多くて困るくらいさ」
「……そう」
なんて感じで俺達はその後も思い思いの仕事を続けたのだった。
ちなみにすぐに判明した事なのだが、ラースペングーのドロップ品のぬいぐるみ、相当高性能だったのがアルトの口から明らかになった。
全能力値3割増加は元よりストレスゲージの増加が半分、更に70%以上になりそうになると勝手に休眠状態になるセーフティ効果まで付く。
更にブレイブペックルの近くにいるペックルのストレスゲージの増加を軽減する効果まで付くと言うおまけつきだったそうだ。
これがどれだけ凄いかと言うと、ブレイブペックルに何かアクセサリーを作らせて付与させた挙句、指揮をさせてもしばらくは持つ程。
城造りの速度が二倍になったらしい。
極めつけはブレイブペックルが時々料理を作って献上してくれるそうだ。
この料理にはペックルのストレスを解消し、一定時間能力に大幅なボーナスが掛る。
人が食べても効果があるのだから恐ろしいとか。
難点は人用の料理はくれる頻度は極めて少ない事らしいけどさ。
凄い報酬をくれたもんだ。
†
「……」
深夜、俺は合いも変わらず夜釣りをしていた。
ちょっと前まで硝子も居たんだが、眠くなったらしく仮眠しに帰ってしまった。
まあ硝子は人気者なので忙しいんだ。
特にインスタントダンジョンで紡と一緒に狩りをしたり、城作りを手伝ったり、かなり真面目に取り組んでいるので眠くなるのもしょうがない。
仮眠を勧めたのも俺だしな。
それはともかく、地底湖で釣りをしていた時もそうだけど、考え事をしながら釣りをするのが結構好きだ。
もちろん硝子達と一緒にいるのが窮屈とか、そういう訳じゃない。
みんなと一緒にいるのは楽しい。
けれど、一人で水音を聞きながら釣りをするのも別の楽しさがあるんだ。
「絆殿は相変わらずでござるな」
「闇影か」
振り返ると闇影が立っていた。
こんな深夜に一人とは珍しい……いや、忍者的には夜が本領なのか?
初めて会った時も夜に行動していたし、本来は夜型なのかもしれない。
「どうした。眠れないのか?」
「拙者……いや、自分、まだこの島では新参故、探索をしていたでござる」
こんな時間に?
もしかして言いたくない事でもあるんだろうか。
言いたくないなら別に良いけどさ。
ところで、もう精神は回復しているはずなのに拙者か自分かでキャラが割れている気がするぞ。
「幽霊は苦手なのに夜は大丈夫なのな」
「夜は人が少ないからでござる」
幽霊だけじゃなくて人間も怖いのか。
なんだかんだでコミュ障という事なのかもしれない。
そういえば引き篭もりのニートと呼ばれる人種でも深夜のコンビニに出かけるのは怖くない、なんて話を聞いた事がある。
闇影もその手の人種だったりするんだろうか。
「なるほどな……夜食でも食うか?」
話題を変える。
何より地底湖で鍛えた料理スキルを披露するのも悪くない。
まあ魚だけどさ。
その辺りは闇影だって理解しているだろう。
「じゃあ一つもらうでござる」
「了解。ちょっと待ってろ」
クエは鍋とかが良いが、今はクエの在庫が無いので普通の魚だ。
なので焼き魚。
ゲームなので料理スキルの効果は大きく、ただの焼き魚でも違いが出る。
他にも焼き時間とか使う素材とか、調理方法とか色々あるんだけどさ。
「そういえば、呼ぶのが遅くてすまなかったな」
「謝罪なら既に聞いたでござるが?」
ああ、紐無しバンジーな。
アルトと紡も巻き込んで飛び込んだアレだ。
まあ、ああいう謝罪も冗談らしくて嫌いじゃない。
仲間らしく笑って謝れる的な感じだ。
「掘り返すみたいで悪いけど、一応しっかり謝りたかったんだよ」
「拙者は既に許したでござる。そもそもゲームシステムを利用しただけなのに、そこまで強くは責められないでござる」
まあな。そこは否定しない。
紡の赤髪人形事件だってゲーム的に設定されたモノだから強くは責めなかったしな。
普段と違う現象が発生した時に色々試したくなるのはゲーマーの性だし。
「……そもそも本当に垢BANにされていた方が怖いでござる」
「まあ……確かに」
「そういう意味では絆殿達が無事で一安心でござるな」
……?
何か含みのある表現だった気がする。
実際に頭で文字にしても違和感はないので、気の所為だろう。
「そうじゃなくて……ゲームだから許せない事だってあるだろ?」
「だから怖かったのでござるが……」
文句を言うのは闇影の側のはずなんだがな。
闇影の立場から考えれば変な噂が事実だったら怖いか。
……続けよう。
「まあ、俺としては闇影に限らず、この島に呼んだ奴が全員良い奴で良かったな、と思ってな」
硝子から順に呼んでいって最後に闇影だ。
みんなゲームに適応するタイプだから良かったというのもある。
このゲームが少し変わった形式を取っているゲームだからというのもあるが、譲れないプレイスタイルとか、それぞれ持っているもんだ。
それなのにみんな許してくれた。
だから俺は恵まれている。
「……絆殿がおかしいでござる」
「センチメンタルが似合わなくて悪かったな。ほらよ」
そう言いながら出来上がった焼き魚を渡す。
焼き魚を受け取る闇影を見ながら釣りを再開。
「今日はそういう雰囲気の話が出来る日でござるか?」
「ん? まあ南の島でのサバイバルだし、月も綺麗だからそういう日があっても良いんじゃないか?」
「そうでござるか……」
オレの気分に触発されたのか、闇影も静かな雰囲気を纏い始めた。
正直、いつもテンションの高い忍者キャラだけに、この後どんな展開になるか想像も出来ない。
「拙者、実はこのゲームを始めた時、機嫌が悪かったでござる」
「へー……なんでだ?」
「一緒にやる相手が急用でこれなくなってしまったのでござる」
「あー、確かに良い気はしないだろうな」
約束をすっぽかされたとか……コミュ障なのはそこが関係しているんだろうか。
仮に友達とプレイするとして、土壇場で約束を破られたら嫌な気分になるだろうし。
……しかしこのゲームはプレイするのに高い金が掛かる。
急用だからってキャンセルするとか、俺の金銭感覚だと考えられないな。
俺だったら死んでも参加するぞ。
「でも、今は楽しいでござる」
「そうか、それはよかった」
「拙者、ゲームならファンタジーが好きでござるし、魔法があるのも良いでござる」
「気持ちはわかる」
「スピリットが弱種族と知った時は絶望したでござるが」
「まあ……とはいえ、スピリットにドレインのコンボは考えたよな」
最初はドレインとかRPG的に雑魚魔法だろ、とか考えていたが案外強い。
もちろん他の属性魔法の方が単純な威力は高いらしいが、スピリットという種族と合わせると趣きが変わる。
実際、闇影は高いエネルギー量で能力を跳ね上げたドレインで火力を叩き出す型だ。
多分だけどエネルギー生産力よりもマナ生産力を重視して、やりくりしていたはず。
種族とスキル構成をよく考えないと出てこない発想だ。
「テンプレから外れるのが難点でござるな」
ネットゲームでは定番パーティーというのは必ず存在する。
役割が重視されるタイプだと尚更だ。
この職業はこのスキルと装備、ステータス~~みたいな感じ。
その構成じゃないと認めない、なんて事もよくある話だ。
ディメンションウェーブの場合はスキル構成だろうな。
まあこれも効率を重視すると、しょうがない部分もある。
その点で言えば俺も闇影もテンプレからは大きく外れている。
「気にするな。俺が言うのもアレだが、ゲームなんて楽しんだ奴の勝ちだ。それに俺は闇影のプレイスタイルを気に入っているしな」
ドレイン……というか闇魔法+潜伏系スキルの構成だ。
中二感があって見ていて楽しい。
ネタ感バリバリなのに実用性まであって、応援したくなるかっこよさだ。
「絆殿のそういう所は良いと思うでござる」
「だろう?」
ありがちな持論だが、間違っていないと思っている。
ガチガチな構成でゲームをするのだって楽しいし、ネタプレイに走るのだって楽しい。
色んなジャンルのゲームがあるんだから、楽しみ方も千差万別。
そういう意味では、このゲームは受け皿が広い。
作者の想定から外れる遊び方が発見されると即座に修正されるゲームも多いのにな。
「……ゲームの世界で誰かと生活するのも悪くないでござるな」
「まあな……VR特有の感覚って聞いた事があるな」
現実とは違う特殊な環境だから抱けるって奴だ。
更に言えばこのゲームはセカンドライフプロジェクトだからな。
長時間ログイン状態になるのも冒険感というか、そういう気分が出て良いと思う。
まあ高い金銭を使って稼動しているんだし、面白くてナンボだろう。
「そんな訳で絆ちゃんと遊ぶのは楽しいよ」
などと突然喋り方を変えた闇影。
……普段ロールプレイしている奴が素の口調で喋るとドキッとするな。
こういうのを楽しむのもネトゲの醍醐味か。
「そ、それでは拙者、忍びの世界に戻るでござる!」
「おい、言った本人が恥ずかしいのかよ」
「ど、ドロン!」
闇影は潜伏スキルを使って姿を隠した。
「寝付けなかったり、暇だったらまた来いよ。話し相手位にはなる」
……反応はなかった。