「ごー……」
って感じで受付のNPCの指し示す方向から硝子達は関所を通って行ってしまう。
チラッと隣を見ると唖然とした表情や納得し難いかとばかりに不満そうな顔をするプレイヤーたちが見える。
どうやって通っているのかまでは聞こえていないはずだから……粘着とかはされないかな?
まあ……これも特権って事で行こう。
「ありがとう、お兄ちゃん」
「ああ、また何かあったら連絡をしてくれよー」
「まだ釣りに戻るんですね絆さん」
「そりゃあまだ港で満足するほど釣りをしてないからな!」
「せっかくの新マップだって言うのに釣りに戻るでござるよ……」
闇影がなんか呆れた目を俺に向けてきた。
そんなの今更だろ。
って訳で俺は永久ビザをもらったその足で港に戻って釣りに勤しんだ。
日が沈み……人通りもまばらになっても尚、俺は港に停泊させた船で釣竿を垂らす。
しぇりるが設置してくれた灯りのお陰で夜釣りも苦じゃないな。
「うーん……仕掛けはやはりこの辺りが無難か……後はウキと錘、撒き餌も視野に入れて……」
何が釣れるのか一目でわかれば苦労はしない。
ここは色々とトライ&エラーを繰り返すのが常だな。
「そう言えば……」
独り言になるが前にブレイブペックルからフィーバールアーってスキルを授かっていたっけ。
これって何なんだろう?
とりあえず発動させて見るか。
「フィーバールアー」
フィーバールアー
釣竿を使った補助スキル。
魚を引き寄せる光を宿すルアーを付与する。
一回の使用に1000のエネルギーを消費する。
取得条件、エピック
ランクアップ条件、???
う……エネルギーを1000も消費したぞ。
すると俺の釣竿の糸の先に釣るしてあった針がブレイブペックルから渡された無駄に派手なルアーに姿を変える。
強制的にルアーに変化する仕組みか。
「……よっと」
スナップを掛けて海に向かって投入する。
直後――ビクっ! っといきなり手応えが帰って来た。
「お?」
リールを回して釣り上げるとシマダイだった。
急いでシマダイを収納した後、ルアーを確認。
……まだ効果が続いているとばかりにルアーは姿を維持している。
なので再度投入。
やはりいきなりルアーに魚が掛る。
「これは……文字通りフィーバー……入れ食いになるルアーだ!」
ブルーシャーク『盗賊達の罪人』
フィーバールアー!
スキルの説明通りだけど、思ったよりも引き寄せ効果が高い!
俺からすると滅茶苦茶ぶっ壊れ性能を宿したスキルだぞ!
それから俺は無我夢中でフィーバールアーを海に投げ入れていた。
何せ海面に入ると同時に魚が掛ると言う恐ろしい状態だ。
しかも俺のフィッシングマスタリーがこの港で要求されるLvよりも高いお陰でかなり楽に釣りあげられる。
ほぼ魚との戦闘を繰り返していた様なもんだ。
やがて……ガクンと一際大きな手応えで竿がしなった。
「お? この手ごたえは……」
グイグイと今までにない手応えに、間違いなく大物が掛ったのを俺は理解した。
電動リールで巻き取りを仕掛けるのだが、ナマズと同等の抵抗を見せてくる。
ギギギ……と船が僅かに傾く様な手応え、うんうん……このありえない程の引きの強さはたぶん主だろう。
「あ、釣りマスターがなんか大物引き当てたみたいで船で竿振ってる」
「がんばれー」
港で休憩していた奴が俺を指差して応援を始める。
いや、お前ら見てたのかよ。
とりあえず軽く手を振って、魚とのバトルを繰り返す。
「釣りマスターの釣りを見てるとさ、結構大変そうだな……釣りって」
「だなー」
呑気な会話を俺を指差しながらしないで貰えますかね?
うお! 船底に潜ろうとしやがる。
「一本釣り!」
グイッとスキルを使って引き揚げに掛るがしぶとく抵抗しやがる。
「はぁ!」
バシャアアア! っと水面に大物らしき掛った魚を確認する。
お? かなり大きなクロダイだ。
そのままザバンと海面に落ちるだろうがこのままリールを巻いていけばいずれ釣れる!
きっとあれが主だな!
なんて思った直後の事――。
ザバッ! っと大きなサメ……見た目は大きなブルーシャークが海中からいきなり現れて俺が戦っていた大きなクロダイに噛みついた!
ガクンと釣竿が更にしなりリールがぐるぐると回り始める。
「え? な、おい!」
思わず驚きの声を上げる事しか出来ないぞ。
急いで巻きなおすのだけど、引く力が洒落にならない位上がった!
さっきの比じゃない。
「な……な……」
観戦していたギャラリーも驚きの表情を浮かべるしか出来ないだろ。
なんで釣っている最中に他の魚と言うか魔物が乱入して来てるんだよ!
「サメワロタ!」
「スゲー! さすがは釣りマスター! あんな事が起こるんだな!」
いや、そんな事言ってる暇はねえよ!
ぐいぐいと、洒落にならない位、引きが強くて引き摺られる。
やっば! 落ちる!
手すりに足を引っ掛けて思い切り引っ張って体勢を整えて行く。
大きなブルーシャークは釣られまいと右へ左へ海底へと暴れ回っていやがる。
これは釣りと認識して良いのか?
誰かに手伝ってもらいたい所だけど硝子達は現在、新大陸での夜を満喫している最中だ。
……しょうがない。
「カモンペックル!」
「ペーン!」
クリスこと王冠をかぶったキングペックルを呼び出し、ターゲット指定を行う。
「行け! あのサメを弱らせろ!」
「行くペン!」
ザブンとクリスが海に入り、高速回転しながら水面に飛びだして糸を斬らんとする大きなブルーシャークに突撃する。
クリスの突撃で水竜巻が発生し、ブルーシャークがそこに捕らわれた。
なんか派手な攻撃エフェクトが発生した様に見える。
「おおおおおお!」
「スゲー……滅茶苦茶派手だな! みんな見に来いよ!」
なんか観戦している連中が騒ぎを聞きつけてぞろぞろと集まってきている?
「なんだあれ? ブルーシャーク?」
「釣りマスターが大きな魚を釣り上げようとした所を横取りしてそのまま第二ラウンドに入った感じ」
「で、ペックルがサポートしてると……」
「すげぇえええええ!」
バシャ! っと大きなブルーシャークは水竜巻を消し飛ばし、そのまま海中に入って、再度水面に飛び出て抵抗を繰り返す。
ええい! 大人しくしろ!
クリスはペシペシとブルーシャークに飛びついてバシバシと攻撃を続けてくれている。
何か無いか……あった! しぇりるの用意したバリスタ近くまで格闘を繰り返しながら片手で……片手で持つのも無理か!
「カモンペックル!」
「ペーン!」
ペックルを再度適当に呼び寄せる。今度は……兜装備のペックルか。
「バリスタ準備!」
ステータスでアイコン指示を送り、ペックルに援護射撃を指示する。
「了解ペン!」
兜装備のペックルがバリスタの矢を拾い上げてブルーシャークに向かってバシュっと射出した。
ドスっとエフェクト発生!
よし! 徐々に大きなブルーシャークが弱ってきたぞ。
「頑張れ!」
「大物にはあんな風に攻撃して良いのか……」
「アレって参考にして良いのか?」
「良いんじゃねえか? つーか……閃きもしなかったぜ」
応援の声がなんか複雑な気持ちにしてくれる。
「とにかく……これでトドメだ! 一本釣り!」
大分弱って来たのを確認し、俺はトドメとばかりに一本釣りを使って大きなブルーシャークを甲板に引き上げる。
ビチビチと大きなブルーシャークが甲板に乗っかり跳ねまわって暴れていたが、やがて観念したのか大人しくなった。
「ペーン!」
二匹のペックルがブルーシャークの尾にロープを縛り付け、船の後方にあるフックに引っかけて吊りあげた。
アングリとばかりにブルーシャークが巨大サメ映画で見る様な体勢で吊るされている。
「おおおー!」
「釣りマスターの勝利!」
「見てて面白い勝負してんな!」
「さすが釣りマスター。白鯨を釣り上げた幼女」
パチパチと拍手が起こっているけれど、港で起こる勝負じゃねえ……。
つーか……なんでブルーシャークが釣れてんだよ。
それと誰が幼女だ! ネカマと呼べ!
って所で針を外す……あ、いつの間にか釣り針に戻っていた。
ステータスを確認するとフィーバールアーのクールタイムが表示されている。
……どうやらクールタイムは一日程必要っぽい。
入れ食いになるルアーを呼び出すスキルでしばらくの間は釣り具も強化される隠し効果があるって……所か。
少なくともサメ釣りに適した仕掛けはしていなかったので間違いは無いはず。
この辺りはゲーム故にあんまり参考にすべきじゃないかもしれない。
とにかく……釣った物は釣った物な訳で、魚拓を撮ろう。
カシャッと手でカメラのポーズにしてスクリーンショットを撮る。
「ペーン!」
ペックル達が勝利とばかりに胸を張って自己主張をしている。
勝利ポーズって所か……。
「でかいなー……」
釣りあげて確認したのだけどブルーシャークにしてはかなり大きい。
ちなみにブルーシャークはアオザメではなく、魔物としてのブルーシャークなので別種だ。
で……そのブルーシャークからして別種の魔物かと思ったが魚名としてもブルーシャークだ。
ブルーシャーク『盗賊達の罪人』
妙な二つ名が付いている!
盗賊達の罪人って……魚を横から掻っ攫おうとしていたからか?
そのブルーシャークなのだけど……全長5メートル程あった。
8メートル行っていたらかの有名なサメ映画に匹敵する化け物なんだが、そこは残念と見るかどうするか。
……この港でなんでこんなの釣れるんだろうな。沖で釣れたらまだ納得出来たんだが……。
宿代をケチって船に戻っている船持ちの連中がしきりにこっちを指差している。
とりあえず硝子達にでも報告でもするか。
チャットで呼び出して硝子、闇影、しぇりる、紡を指定して一斉チャットを行う。
プルル……とやや古い演出でチャットが繋がった。
……闇影は繋がらないな。
「あ、絆さん。こんな時間にどうしたんですか?」
「ちょっと話がしたくてさ、闇影はどうしたんだ?」
「もう寝てます」
そうか。寝るの早いなアイツ。
新大陸のルール
「お兄ちゃん。このミカカゲって国のクエスト結構色々とあるみたい。魔物退治とか薬草納品とか沢山あって面白いね!」
「日にち毎に変わるシステムみたいで、同じ依頼ばかりがある訳じゃないみたいです。後、魔物が地味に強いですね。奥に行くのには時間が掛りそうな感じがします」
「帰路の写本も使うと国外に出ちゃうし移動がかなり面倒だよね」
「……そう」
「武器や道具なんかもビザのランクが高くないと売って貰えないそうで、道行く他の方々が使い勝手が悪いと仰ってますね」
ふむ……新大陸の独自の制度が色々と足かせになる感じか。
永久ビザを持つ俺達でさえも魔物は面倒みたいだしなぁ。
「とりあえず行ける所まで行ってお店のチェックをしてみるね。もしかしたら良い装備売ってるかもしれないし!」
この辺りは紡の方がゲーマーらしいか。
まずは装備を整えてから戦いやすい魔物を相手にしてLvを稼ぐと。
「闇影さんはカルミラ島で一番良い装備を作っているからか、楽に戦えていますね」
「あの腕輪の性能が物凄く高いからね。ヤミちゃんが居なかったらもう少し苦戦していたかもね」
「そう」
まあ……闇影は俺達が考えうる最高の装備を用意して装備させているもんな。
ちなみに現在の俺の頭装備は相変わらずペックルが持っていたサンタ帽子だ。
極めてシュールな姿をしている自覚はある。
「絆さんはどうですか?」
「主とか釣れた?」
「釣れた?」
「俺の方はー……主っぽいのが引っかかったかと思ったらブルーシャークに横取りされた挙句、そのブルーシャークを釣る羽目になった。しかもでかくて妙な二つ名付きのブルーシャークだったかな?」
俺の返答に十秒以上の沈黙が支配される。
「えっと……もう一度聞いて良いですか?」
「だから主っぽいのが引っかかったと思ったらブルーシャークが乱入してきて、妙な二つ名付きのでかいブルーシャークを釣り上げたって事」
「ちょっと離れている間に色々とあったみたいですね」
「あはははは! お兄ちゃん相変わらず凄いね。説明されているのに全然わかんない」
紡の笑い声がずっと続く。
うるさい。こっちだってよくわからないし、なんでそうなったのかすらわからん。
このゲームの制作者は一体何を考えてこんな仕掛けを施したのか理解に苦しむな。
「そう……」
「なんか凄く見に行きたい衝動に駆られるけど、どうしようかな? ね、硝子さん」
「そうですね。ちょうど休もうと思っていた所にこんな話をされましたし……かといって合流するには大分時間も掛ると思います」
「……今行くとヤミおいてく事になる」
ああ……闇影が寝ちゃってるもんな。
起きるまでに行って戻って来る、なんて事も出来るとは思うけれど、その分硝子達の睡眠時間を減らす羽目になる。
先に起きて待機せざるを得ない闇影も退屈だろう。
ちなみに即座に解体するかとも思ったけれど、釣り上げた判定があるので一応俺の所有物となっている。
船のオブジェ判定になって設置しているから……掠め取られたりする事は無いはずだ。
こんな家具は嫌だなぁ。
「解体は後にするから明日の朝、闇影を連れてくれば良いんじゃないか?」
「そうですね。ただ……本当、行ったり来たりで忙《せわ》しないですね」
「そう」
「まーねー。お兄ちゃんの方で面白いイベントが起こり過ぎなんだよ」
いや、面白いと言われてもな。
俺は普通に主を釣りたかっただけだ。
「お兄ちゃんの近くで面白い事が起こらないか見張るのと、新しいマップを探索するならどっちが良いと思う?」
「見張ってどうするんだよ。普段は何も起こらないだろ」
ゲーム開始からしばらくは第一都市に居て、特にイベントも無かったぞ。
空き缶釣ってアルトに渡して悪徳稼いだだけだし。
ニシンの主を釣った時は紡や姉さんに見せたしな。
「確かに絆さんと一緒に居た方が変わった出来事に遭遇出来そうな予感はしますが……」
硝子まで言うのかよ。
何? 俺って皆の中でそう言うポジションに居る訳?
「俺は釣りで忙しいの。次に似た様な事があっても面白みなんてないだろ」
俺のディメンションウェーブにおける本来の目的は釣りだ。
そこに釣り場があるから釣っているにすぎない。
「むしろ海だからこそこんな奇想天外な出来事が起こるんだ。川なら大丈夫なはず。今度は川釣りをしよう」
「本当に?」
しぇりるが疑問をぶつけてきた。
「……たぶん」
「お兄ちゃんも自信が無くなって来てるんだね」
だから妹よ、いい加減にしろ。
「そっちには川とか無いのか?」
「無いですね。今いる所はミカカゲの村なんですけど井戸で水が飲める程度です」
「あ、井戸って言ってもつるべとか無いよ。キコキコってレバーで動かして出るタイプ」
俺がフッと思った事を紡が先に潰して来る。
くっ……釣り場が無いのか。
「絆さんが安心して釣りが出来る場所があれば良いんですけど……」
「お兄ちゃんも難儀だねぇ」
「そう……」
「まあいいや。じゃあ、明日一度合流で良いか」
「ええ、釣りあげたブルーシャークを見せてくださいね」
「おやすみ、お兄ちゃん」
「……おやすみ」
そんな訳で硝子達とのチャットを終えた。
うーん……釣りも良いけれど硝子達と良い感じに付き合いが出来ないかを考えないとな。
今までは一緒に居ると都合がよかったから一緒に居たけれど、俺の釣りライフと硝子達の冒険心との歯車が微妙に合わなくなってしまっている。
本音で言えば新大陸に興味もあるが、釣り場にも興味が尽きない。
そもそも海も場所によって釣れる魚が異なる訳だし、出てくる魔物なんかも違う。
一体どうしたら良いのだろうか。
釣りが出来て硝子達と狩りが出来る……そんな良い所取りの良い案が無いか考えておこう。
「さてと……俺もそろそろ寝ておくか」
フィーバールアーのお陰で本日の釣果は上場だった。
ここらで切り上げても損は無いだろう。
このゲームの魚を是非ともコンプリートしたいものだ。
と、思いながら俺は船の寝室で眠る事にしたのだった。
翌日。
「これは凄いでござるなー!」
闇影が船のオブジェと化したブルーシャーク『盗賊達の罪人』を見て言う。
「ブルーシャークにしては大きいねーボス魔物みたいな感じ」
妹も同様な感想でむしろ戦いたいって感想だ。
「是非とも釣る瞬間に立ち会いたかったとは思いますが……」
「タイミングが悪かったね」
「俺もまさかこんな漁港でこんなの釣れるなんて思いもしなかったっての」
「それで、これが主って事になるの? お兄ちゃん」
「どうだろう……」
攻略サイトや検証する奴がいる訳じゃないからなぁ。
「なんて言うか俺の勘だと主とかじゃなく、ランダムで発生する凶悪な遭遇ボスみたいな代物だったんじゃないかって思う」
「あー……ありうるね。よく初見で釣りあげられたね」
「そこはー……まあ、カルミラ島で得た物資やペックル達を駆使してどうにかね」
現に釣り上げるのは中々骨だったし。
「この様な出来事が発生する事を考えると、ただ釣りをして技能を習得していくだけでは限界が来るのではないでしょうか?」
ありえる……思えば初期から魔物にカテゴリーすべき魚がチラホラ釣れる事はあった。
何より、釣竿で魔物と戦う事を想定したスキルなんかも出現する訳だし……特化だけでは何かしら予測不能な事態が起こっても何の不思議もない。
「そう」
しぇりるがコクリと頷き、何やら俺に小首を傾げながらアイテムを渡してきた。
アイテム名はエレクトロモーター。
エレクトロモーター
エレクトロモーター
アタッチメントパーツ モーターを使用する道具に雷属性の力を宿す。
「なんだコレ?」
「リール……電気ショック漁法」
「それってビリ漁の事を言っているのか?」
「……そう」
「何それ?」
「魚を電気ショックで痺れさせて釣り上げる日本じゃ原則的に禁止されている漁法だ」
「ああ、川でスタンガンでバチッてする奴?」
「まあ……それも該当するだろうな。邪道だから俺はやりたくないと思っているが……」
「魔物を釣るなら相応の準備が必要」
しぇりるの言葉にぐうの音も出ない。
確かに、今後魔物を釣るって事態になった際、既存の釣り具では限界が来ないとは言い切れない。
釣竿やリールにそう言った相手を想定した仕掛けを施さねばいけない状況も出てくるかもしれない。
そもそも……釣っている最中に魚に攻撃をしたのは昔からだしな。
「で、しぇりる。このパーツをどうしろと?」
「ロミナ、作ってもらえる」
「ああ、鍛冶で釣竿や電動リールの改造に使えと」
コクリとしぇりるが頷いた。
「中々釣りをする上でも大変なんですね」
「そうみたいなんだよなぁ……」
問題は経験値とかは釣りで得られる訳じゃないんだけどさ。