Wave of dimensions — страница 52 из 111


ちなみにミカカゲでクエストを達成した際に、俺が河童を発見したことで見つけたクエスト関連から続く報酬で得られるレシピなんだそうだ。

しかも強化素材が河童関連で得られるから強化もしやすいおまけつき。


「使ったら面白そうなんだけどねー」

「闇影くんが使える巻物枠もあるよ」


って闇影はキュウリにしか見えない巻物を渡されている。

なんでも河童着ぐるみを着用して装備すると本来の性能を発揮できるってセット効果付きだ。


「使いたくないでござる! ネタ枠は嫌でござる!」


闇影が駄々を捏ねている。

強制はしていないのでみんなそれ以上は触れないし、触って良い事は無いので黙っている。


「まあ、次にどんな事態が起こるかわからないからストレージには入れて置くけどな。必要に迫ったら使えばいいだろ。心の底から使えないと切り捨ててるわけじゃないんだし」

「そうでござるが笑いものになるでござるよ!」

「絆くん達に関しては他プレイヤーは笑うに笑えなくなってきてると思うけどね」


まあ……なんか上手い事波に乗っているというかおかしい位にゲームを満喫出来ているもんな。

こんな装備で歩いていたら何かあるんだとか思われるのも当然か。

そんな訳で念には念をという事で俺達はこの着ぐるみを収納しておくことになったのだった。


「そろそろ武器作りも本腰を入れないといけないんだけど、生憎とまだ必要素材が集まらないのが問題だね。絆くんに主釣りをもっとしてもらった方が自然と武器更新は捗るかもしれないね」


ふふん、どうだロミナの太鼓判は、とみんなを見ると眉を寄せられてしまった。


「絆さんの持ってる解体包丁がすごいのはわかってますけどね」

「そもそも攻撃力って点だけで言えば私達の武器もそこまで負けてないよ、お兄ちゃん!」


まあ……紡に関しては定期的に鎌を更新というか強化して新しい鎌にしている訳だし、当然か。

過剰強化とかしたりはしてないし長く愛用している感じで、ロミナの安全圏でできる限りの強化を施している。

カニ素材とドラゴンゾンビ素材が混ざった割と禍々しい色合いのカニ鎌って感じだ。


硝子の武器も同様な訳で、大本は俺が釣った要石の扇子を強化した発展武器……要石の扇2となっている。

しぇりるの銛は次元ノ白鯨素材で作られたエイハブスピアの正当進化系の武器である雷属性を宿したモビーディックスピアへと強化された。

ロミナも強化する事に関して腕を上げてきているようだ。


個人的には釣り竿の強化もそろそろお願いしたい。

川の魚はまだ強敵と呼べる相手と遭遇していないが油断していると大事なルアーなどを取られかねない。

アルトに頼んで属性ルアーを買い揃えているけどさ。


「ああ、なんか絆くんが釣り具を欲しそうにしているから腕の良い釣り具職人に頼んで作っておいたよ。君が使うなら良いに越したことはないって言ってたよ」


と、ロミナが俺にくれたのは二つのルアーだ。

一つは青鮫のルアー<盗賊たちの盗人>

なんか鮫を模した形をしたルアーであのブルーシャークを思い出すデザインをしている。

性能はルアーヒット時に斬撃と出血ダメージ。

もう一つは白鯨骨のルアーというスケルトンな骨格型のルアーだ。

こっちはバブルショットと叩きつけ……?


「なあロミナ……このルアーは?」

「どうかしたかい?」


いや……どうかしたかいと言われても……これってルアーなのか?

ルアーの形をしたスリングの弾とかそんな感じの品に感じるんだけど。

まずルアーヒット時に斬撃と出血って魚を攻撃するのか?

白鯨骨のルアーも同様だ。

バブルショットと叩きつけって完全に戦闘用としか言いようがない。

いや、普通に使えば問題ないのかもしれないけどさ……微妙に納得しがたいというかなんて言うか。

……光のルアーとかで攻撃してた俺が言う資格は無いか。

ありがたく使わせてもらおう。


「他にも色々と作ってあるから何かあったら使ってくれると嬉しい」

「何から何までありがとうございます」

「気にしなくて良いさ。それ相応に素晴らしい環境を提供してくれているんだからね。君達が居なければ鍛冶から離れていたのだけは断言できるんだ」


ロミナは気さくに俺達に色々と事態を想定して品を預けて行った。

で、奏姉さんと連絡を取ったんだけど装備も物資も潤沢だそうで、こっちが何か援助をしなくても良いと言われてしまった。

奏姉さんも仲間達との付き合いを優先したって事なのかな?

アルト曰く、上位組のパーティーではあるらしいし、そっちはそっちでコミュニティやお抱えの鍛冶師が居るのかもしれない。

こうして装備の準備も万全に俺達は来る魔王軍の侵攻クエストを受注して待機していた。


湿地帯

作戦開始のタイムカウントが表示される。


「もうすぐ開始か」

「みたいですね。皆さん、しっかりと準備は整ってますか?」

「もちろん、カニポーションも十分あるし、できる限りの装備も整えたよ!」

「準備万端でござる」

「そう」


さて、今回のイベントはどうなるかって所だな。

おっと、クリスとブレイブペックルを忘れちゃいけない。

ちなみにブレイブペックルは入手した様々な素材を渡すことで強化される特別なペックルであり、アルトが露店で見つけた見慣れない素材とかもついでに渡して強化されている。

そういえばアルトの目利きとかの技能って見たことがない素材とか鑑定物などを所持したりなんかで向上していく代物なんだとか。

色々と上手い事アルトも自身の強化をしているって事なんだろう。

なんて思っていると残り時間が0になり、魔王軍侵攻を退けるクエストが始まった。



スッと戦場の自軍エリアに飛ばされた。



湿地帯……か?

なんか水たまりが無数にある奇妙な戦場フィールドっぽい。

遠くを見ると反対側のフィールドになんか無数の魔物らしき連中がこっちに向かって来ようとしているのがわかる。

ルール的には防衛戦で、俺達の背後にある関所と防壁を壊されないようにしなきゃいけない……らしい。

そして防衛をしながら魔王軍の大将を倒せばクエストクリアになる。


作戦自体はシンプルだよな。

なんて思った所で上空から強い雨、スコールが30秒ほど振る。

なんだ?

雨自体はすぐに止んだし、特に何かある訳ではないようだ。


「じゃあまずは人員に関してだが……」


と、そこで前線組でアルトの仲介で割り振られたらリーダーになると決められた奴が手を挙げている。


「お? そこにいるのは釣りマスターじゃん」


リーダーが俺を見つけて言った所で周囲の視線が集まる。


「基本釣りしかしてないし戦闘に関してはそこまで強くはないけどよろしく。前回のディメンションウェーブでは言うまでもなく金に物を言わせたごり押しなのは理解してる」

「と、釣りマスターは謙虚なご様子。みんな、成功者だからってあんまいじめたりすんなよ」


ハハハと軽い笑いと拍手が起こる。

雰囲気は悪く無さそうだ。


「それと死神忍者も一緒か。こりゃこのエリアは当たりだな!」


……と死神とあだ名があった忍者に視線を向ける。

そこには言うまでもなく闇影がそこにいた。

雰囲気的に死神の名の由来を彼は知らないようだ。


「……絆殿と一緒の戦場でござるな」


リーダーの言葉はスルーして闇影が俺に声を掛けてくる。


「硝子や紡は?」

「見てないでござる」


と言う所で硝子からチャットが来た。


「絆さん絆さん、聞こえますか?」

「ああ、聞こえてる。もしかして別の戦場に出たか? なんか俺は湿地帯っぽい戦場だ」

「みたいですね。こっちは荒野みたいな戦場のようです。紡さんと一緒です」


紡とか~、戦力偏ったな。

硝子か紡が居れば楽だったんだけど。


「しぇりるは?」

「こちらには居ません」


と言う訳で俺はしぇりるにチャットを送る。


「……そう。さ、ばく。別フィールドに出た」

「パーティーメンバー内じゃ別々になったが大丈夫か?」

「……そう」


これは大丈夫の時の『そう』だな。


「ロゼ居た」


ああ、それなら安心か。

あいつは紡と元パーティーを組んでいた前線組だしな。

今回もイベント開始前に軽く話をしたが特に引っかかるような人柄はしてなかったし、むしろ紡がのびのびと楽しんでくれていてうれしいねとも言っていた。

まあそれなら安心なのかもしれない。


奏姉さんの方はどうなってるかは……まあ後で聞けば良いか。

見たところこっちにも硝子達にもしぇりるの所にもいないみたいだ。

なんて感じで親しい連中とチャットをしていると作戦リーダーが手を挙げる。


「みんなが所持してる一番攻撃力の高い武器の得意な敵を教えてくれないか? ちょっとその辺りで検証が話されてる」


条件分析か。

俺が持っている武器で一番攻撃力の高い武器って青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>だ。


「釣りマスターは……水属性っぽいよな」

「冷凍包丁、凍った魚を切る武器が一番攻撃力が高い」

「なるほど、死神忍者は……闇魔法?」

「最近は雷魔法のレベルを上げてるでござる!」

「ありがとう。なるほど……法則が掴めて来たぞ。どうやらそれぞれ所持する装備や技能で振り分けられたっぽい」


推測出すの早いな。

この辺りの推測をしていくのが前線組って感じかもしれない。

って考えてみると硝子の持ってる要石の扇とか土属性に対して有利に戦える。


ただ、その理屈だとしぇりるは俺達の方に来るんじゃないか?

それだけじゃない要素も介在している可能性は大いにある。

あえてしぇりると戦場が被らなかった理由を考えると防具だろうか?


なんか海軍貴族風の恰好をしてたし、あの装備……どんな耐性があったっけ?

水耐性高そうと思ったけど実は別の耐性が高かったのかもしれない。


「みんなディメンションウェーブの時と同じくマップ表示を見てくれよ」

















1  2  3  4  5  6




「俺達がいるのはCの1周辺だ。で、魔王軍ってのはどうやら6からずらーっとやってくる。普段一緒に戦っている奴じゃない見知らぬプレイヤーがいるかもしれないがしっかりと陣形を組んで出てくる敵を倒していくぞ!」

「とーぜん!」

「たまにはこういうことをしないとなー」

「このイベントをクリアしてさっさとビザランクあげねーとな!」


とプレイヤー達はやる気を見せている。


「じゃあ前のディメンションウェーブで好成績だった奴らを指標に振り分けをするからしっかりと動いてくれよー」


ふと気になったのだが、ディメンションウェーブ時にいつも全体チャットで指示を飛ばしていた人の声が聞こえない。

あの人も別戦場なのかな?


……よくよく考えてみるとあの指示を出す人の名前を知らないな。

まあ、今度のディメンションウェーブ辺りで確認すればいいか。

なんて思いながらリーダー格の人の指示に従ってプレイヤー達は各々陣形組む……というか攻撃やタンク、ヒーラーなんかと割り振っていく。

訳だけど……リーダー格はいつまでも俺達に声を掛けない。

理由はわかるけどな。


「俺達は?」

「釣りマスター一行は遊撃。どこでも一騎当千だろう。そもそもスピリットだからヒーラー預ける意味は薄いしな」


シールドエネルギー分は回復魔法やポーション類で回復するんだけどな。

それ以上は回復しないエネルギーだからなー……。

運用に困るか。

スピリットの長所にして短所だ。


「一騎当千の猛者。それは硝子と紡と闇影であって俺じゃないんだが……」

「拙者も交じっているでござるか!?」


そうだろ。

お前、自分の戦績を思い出せよ。

どうやったらそのスキル構成でそこまで好成績出せるんだよ。


「とまあ忍者がなんか言ってるが気にしないでくれ。俺もできる限りの範囲で動く」


釣り竿と解体武器、それと今は罠と弓があるから……サポートはどうにかなるだろ。


「期待してるぜ釣りマスター、いやペックルマスターか?」


その名前で通っているの? ペックルマスターって……。

まあいいや。

俺達は遊撃で闇影と二人……新しい出会いはなかったようだ。

ペックルマスターはペックルを出すペン。


「ブレイブペックルとクリスを出して……あと、僧侶ペックルと戦士ペックルを出せばいいな」


僧侶帽子をかぶったペックルと兜着用のペックルを呼び出す。

ブレイブペックルとクリスもいて、ここに俺と闇影……なんかパーティーが完成してしまった感がある。


「絆殿……拙者達は新しい出会いは無いようで安心でござる」


コミュ障忍者め……とはいえ、実際は半製造の釣り人なので前線組の足は引っ張るだろう。

遊撃ぐらいが無難で闇影のサポートに徹しよう。


再配置される罠



「ではみんな行くぞー!」

「イー!」

「らじゃー!」

「やっふー!」


みんなテンション高いなー……って感じでみんな魔王軍に向かって突撃していく。


「拙者も行くでござるよ!」


スタタタタと忍者スタイルで闇影が前線に向かって走っていくので俺も後を追う。

やっぱ闇影の方が能力値が高いな。

徐々に距離が離されていく。前線組も足が速い。

なんかこれだけで強さに差があるのがわかるな。


……ん?

俺が首を傾げた直後にドバァ! っと前線で大きな水柱が巻き起こり、リーダー格の奴が打ち上げられる。


「うわぁああああああああああああ!? なんだなんだ!?」


驚きすぎて目を回しているのが一目でわかるぞ。

で、その少し離れた所でガチンと水で形作られたトラばさみに足を挟まれてすっころぶプレイヤーが続出。


「わ、罠だー!?」

「アリだー!」

「酸だー!」


おい、便乗してネタを仕込むな。

蟻も酸も出てきてないだろ。

多分ロマンシングなサーガとか地球を防衛するゲームが元ネタだろうが咄嗟に出てくるとかある意味感心するぞ。

闇影もハッと振り返って周囲の惨状に目を向ける。


「なんと……」

「戦場に罠だと!? 一体どうなってんだ!?」

「罠を解除していくぞ!」


って感じで前線組の連中は罠にかかっても罠自体を攻撃して破壊したりして進もうとするのだが、徐々に罠に掛かった人が増えて行き、最前線にたどり着いている人はまばらになってしまっている。

連携も何も罠に注意しなきゃまともに戦えたもんじゃないぞ。


でだ……俺は道中で罠に掛かっている前線組の連中の罠を解除して送り出すように動いた。

闇影の方は驚きの表情を浮かべていたけれどすぐに我に返って前線に向かった。


「どこに罠があるかわかったもんじゃない! 解除系技能なんて持ってないぞ!」

「いつも解除してくれるメンバーが別フィールドな件」

「くっそ、動き辛い!」

「サンキュー釣りマスター!」


なんて感じで前線組の連中が困っている所を助けて礼を言われる。

で、俺や闇影がなんで罠に掛からないかというと カニ籠漁の副産物で熟練度を稼いだ罠技能がこんな所で役立つとはな。

罠技能をオンにすると薄っすらとどこに罠があるのか見えるのだ。


「バーストサンダーレインでござるー!」


とまあ、なんか出てくる魔物……コールドマーマンやエレクトロオクトパス、ブラックシーホース、ウォーターサラマンダーとか水系の魔物が目白押しで罠を無視して攻撃してくるのを闇影は雷魔法を唱えて範囲殲滅していく。

ただ、闇影だけではカバーしきれないので前線は徐々に後退気味だ。


「罠技能を持っている奴は戦場の罠を片っ端から解除してくれ! じゃないとまともに戦えん!」


前線組のレンジャー以外が見えない罠に四苦八苦しながら戦っている中で罠の解除を命じられて戦場にいる技能持ちは周囲の罠の解除に走る。

ただこの罠……プレイヤーが使う類の罠じゃなくて魔法要素が多分に混ざっている。

解除すると弾けて消滅するんだ。

必要罠技能は……6くらいからって所で、ギリギリだと罠は見えても解除に時間が掛かるぞ。

楽な罠はトラばさみとかだな。


「ほ!」


弓矢ではさみを狙えば誤作動で無力化できる。


「何が幸いするか全くわからないでござる!」


カニ漁のおかげで闇影も罠技能の習得条件は満たしているしな。

しかも技能をオフにしても罠単体は見えるくらいに目は養えているっぽい。


「ギョオオオオ!」


っとコールドマーマンが飛び掛かってくる。


「ペーン」


その攻撃をブレイブペックルが受け止める。その隙を逃さず俺は冷凍包丁で切りつける。

ザリュっといい効果音としぶきが発生し、コールドマーマンを一刀両断。

相変わらず良い切れ味だ。


「ペペーン!」


ブラックシーホースは墨を吐きつけて盲目の状態異常をバラまくらしく、クリスがそこに距離を取りながら冠からハンマーを取り出して、戦士と僧侶ペックルを連れて殴りかかっている。

戦場は混乱しつつあるが徐々に持ち直して5まで前線が進軍したんだが、6の方から……なんか湿原なのに津波が戦場を押し流すように一列となって流れ込んでくる。


「津波だ! みんな注意しろ!」

「いや、注意しろって言われてもよー!」

「うおおおおお!?」


ザッバーンっと津波に対する対策をしていなかった俺は3まで押し流されてしまった。

どんな戦場ギミックだよ面倒臭い! 引き潮とかある訳でもなく消えるし。


「みんなペックルに捕まって流れに乗れば流されにくくなるぞ!」


いや……そんなことを咄嗟に出来るか! どんなアクロバットだ。

ペックル達にオートで指示を出せばいいのか?

とブレイブペックルとクリスを見る。


「ペックルはモンスターじゃないペン」

「まだ言ってるのか!」


しかも雨が降り始め……止んだ。


「負けるな! どれだけ押されてももう罠は無い。敵の動きはそこまで脅威じゃないぞ!」


と、リーダー格が各々激励の言葉を出している。

が……気づいた。


「罠が復活してる! 気を付けろ!」


雨が降った直後に戦場に無数に罠が復活して戦っていた連中の動きを拘束させる。


「ぐあ!?」

「うぐ――そんな」


動けない所にモンスターの攻撃を受けて前線組の連中に戦闘不能者が出始める。

セーブポイント……この場合は戦場へと入るミカカゲの入国関所前辺りがそれなんだけどそこへと行ってしまった。

復帰するのに少し時間が掛かるぞ。


「これは厄介極まりないでござるよ……防衛線が瓦解するのも時間の問題でござる」

「ああ……瓦解した連中が戻ってくるまで時間稼ぎをするぞ!」


闇影と一緒に瓦解した前線の一部に埋まるように俺達は陣形を組んで魔王軍の進軍を引き留めて前線組が戻ってくるまでの時間稼ぎを行う。

俺に関して言えばペックル達のおかげで辛うじて戦えているって状況だ。

徐々にシールドエネルギーを削られて本体のエネルギーが削られ始めてきた。

俺は硝子達みたいに運動神経良いわけじゃないからな……咄嗟の判断は厳しい。


「くっ……厳しいか」

「……苛立ってきたペン」

「ん?」


撤退を考えるかと思った所で、ブレイブペックルの様子がおかしくなってきた。

ヤバイ、まさかストレスゲージが一定値を超えてしまったか?

戦闘でのストレス増加はアクセサリーもあってかなり緩やかだから大丈夫かと思っていたんだが、と思ってブレイブペックルのステータスを確認するのだけどストレスゲージはまだ24%程度だ。


「ぶちのめすペン! ペエエエエエ――」


と、ブレイブペックルが形状変化してラースペングー化した。