Wave of dimensions — страница 53 из 111

ヤバイ! まさかこんな所で暴走なんてするのか!?

敵に突撃したラースペングーの周囲に炎が噴き出し、周囲を焼き飛ばす。

それだけで進軍していた魔王軍の魔物どもが薙ぎ払われた。


で、ラースペングー化していたブレイブペックルはふっと元の姿に戻って戦闘を再開する。

暴走じゃなくて……チャージが溜まったから放った必殺技か?

味方を巻き込まなかったから非常に助かった。


「中々便利だな」

「ペックルはモンスターじゃないペン」

「さっきのアレはなんだ?」

「守っているから早く攻撃しろペン」


……うん。命令にも無いし、ランダムで発動する大技って奴で間違いない。

また撃ってくれるとか期待しない方がよさそう。


「な、なんだ!? ペックルがなんか大技放ったぞ」

「ペックルマスター専用のアレだろ」

「うわ……いいなぁ」

「今までの法則的に型落ち品がしばらくしたら出てくるから、その時に試そうぜ」


雑魚を吹き飛ばしただけでまだ戦いは終わってない。

入手が面倒だったんだから強いのも納得か……確かにこの手のちょっと優秀なキャラやアイテムってしばらくすると上位互換とかが出てきて、今までの奴は入手が簡単になるんだよな。


水の四天王



「おいおい。こりゃあやばいんじゃないか!?」

「くっそきつい。運営イベントの難易度考えろよ!」

「罠担当、もっと前線に出てくれ。じゃないと復活する罠で身動きできねえ!」


とネタプレイをぶっ放していた連中の余裕が徐々に削られていく。

しかもうまく前線を押し上げても津波で押されたり徐々に降る頻度の増す罠を復活させる雨が厄介すぎる。

挙句Cの6辺りから徐々に1に向かって大きな濁った水の玉みたいな何かが大量の魔物たちを引き連れてきているんだ。

あれが1にたどり着いたら防衛失敗なんだろうってことくらいは誰でもわかる。

ボスがあれなのか? 前線組のリーダー達が集中して足止めというか攻撃しているがどうにも攻撃が激しくて押され気味だ。

水玉は水で形作られた鮫を周囲に何匹も展開して襲わせ、水竜巻を出し、津波を引き起こして強力な水鉄砲で撃ち貫いてくる。

どいつもこいつも基本的には水属性攻撃を多用してくるし。


「おい、闇影」

「なんでござるか、絆殿!」


襲い来る魔王軍を倒してちょっと前線から下がって回復をしながら闇影に声を掛ける。


「ここは手段なんて選んでいられそうもないぞ。アイツを止めなきゃ負けだ」


罠と水玉が厄介すぎて頼りになる前線組も攻めあぐねている。

そもそも際限なく出てくる魔物たちを見るにやらなきゃいけない。


「……絆殿、まさかと思うのでござるが、まさかやるでござるか?」

「しょうがないだろ! 行け、闇影! アイツの水攻撃にはこれが一番だ!」

「なんで拙者だけなのでござるか!」


そりゃあお前が戦闘が得意で俺は釣り人だからだよ!


「嫌でござる嫌でござる! せめて絆殿も一緒じゃないと嫌でござる!」

「ええい! 駄々をこねるな!」

「捏ねるでござる! 拙者だけゲーム中ずっと笑い者にされるのは嫌なのでござる!」


くっそ……面倒な。

だがやらないとイベント失敗だ。

負けるのは非常に面白くない。

いや、俺達が負けたからって失うものなんてあんまりないんだけどさ。

それでも出来ることを尽くさないで何が遊びか。


「俺は諦めの悪い男だぞ」

「今は幼女でござる」

「ごちゃごちゃうるさい! 結果を出せば黙らせられるだろ! 行くぞ闇影!」

「うう……わかったでござる!」


という訳で戦場の混乱の中でそっと俺達は前線から少しばかり離れた沼地の中でそっと沈み込んで姿を隠して……それぞれのストレージに潜ませていた強力な防具を取り出して着替えたのだった。


「な、なんだ!?」


最前線で水玉に向かって雷を帯びた剣で切りかかっていたリーダー格が俺達の接近に気づいて驚きの声を上げる。


「わ、なんだあのネタ装備!」

「河童だ! あんな着ぐるみあるのか!」

「ネタ装備で来るなよ。釣りマスターと死神様はよ。河童ペアってか」


不謹慎だとばかりに前線組の連中が眉を寄せる。

まあ見ていろ。

というか、この手のゲームだとネタ装備が本当はネタじゃない事って多いだろう。


「うう……これも活躍するためでござる!」


闇影はキュウリの巻物を取り出して魔法を唱えた。


「バーストサンダーレインでござる!」


水玉の取り巻きにいた雑魚がそれだけで吹き飛び、水で形作られた鮫が半数消し飛ぶ。


「ヘイト&ルアーⅡ!」


ヘイトを稼いだからか鮫が一斉にこっちに向かって突撃してくるが俺とブレイブペックルが盾となって受け止める。

狙うは本体の水玉だ。すると水鮫は俺に向かって突撃してくる。

ゴスゴスと水の鮫は攻撃してくるがエンシェントドレス着用時よりもダメージは遥かに少ない。


「うお……なんかすげえ、釣りマスター達半端ないな」

「水耐性装備か!」

「良いから攻撃! こっちとしてもこんな装備で戦いたくなかったよ!」

「……気持ちはわかる。ネタ装備で楽しそうだけど」

「カッパッパー!」


うるさい。黙って戦え。


「行くでござるよー! はぁああああ! サンダーボールでござるぅうううう!」


闇影が相変わらずここでも無意味に雷の玉を作り出して水玉に向かって突撃して押し付ける。


「河童に続けー!」

「せめて釣りマスターって言えええええええええええ!」


と言いながら俺は釣り竿を振りかぶって白鯨骨のルアーを当てる。

すると白鯨の尻尾の幻影が現れて水玉を叩きつけた。

闇影の雷の玉も水玉に突き刺さり、ほかのプレイヤー達の攻撃がどんどん命中する。


「連撃でござる! はぁあああああああ!」


闇影の右手が光り輝き水玉の侵攻先の背後から突き刺す。

その固有技をここで放つのか。

すると水玉がバシンと弾けて……中に潜んでいた奴が姿を現した。


『うぐ……まさか人間共にこの水の四天王アクヴォルの姿を晒すことになるとは……やるようだな』


というセリフを……なんか、大きな人魚っぽい美少女が姿を現して銛を手にして言い放った。

うわぁ、如何にも狙ってますみたいな外見。

仮に醜い本性があっても外見だけで一定の人気が得られるタイプのモンスターだ。

セリフがあるし、ボスモンスターかな?


「うほおおおお!」

「美少女ボス様だぁあああああ!」

「アクヴォル様ファンクラブ設立決定! メンバー募集中!」

「ブヒィ! その尻尾で叩いてください!」

「時代はグラマーだよなー!」


やかましいぞお前ら! ネタセリフを言わなきゃいかんのかお前らは! とか言いたくなる戦場チャットが巻き起こる。

絶対に本気では言っていない奴が大多数だろう。

それに引き換え俺達はなんだ? 河童だぞ?


『良いだろう。多少歯ごたえが無くては面白くもない。覚悟するが良いわ!』


という、いかにもなセリフと共にアクヴォルと名乗ったボスの姿が変化していく。

カサゴっぽい顔の大きな人魚みたいな姿になり、両腕や尻尾に氷を纏わせ、巨大化した銛を持って振りかざして来た。

これが真の姿って奴かね?


「そんな……」

「……アクヴォル様ファンクラブ解散決定」

「騙されたー! 許さんぞ! この化け物めぇええ!」

「やっぱ時代はロリだよなー!」


本当、調子が良いな、お前ら。

さて、ボスのHPゲージが出てきた。

早速戦闘になる訳だけど……そのHPゲージの下にもう一つゲージがある。

あれは何だろう?

MPとかそういう類は味方に表示されるもので敵の方でわかるとなると別の要素だろうなってのはゲーム経験でわかる。

まあ大抵は何かしらのギミックで、プレイヤーが判断する指標になるタイプだ。


『はぁ!』


セリフ付きボスって感じでアクヴォルが力の限り銛を振りかぶり流れるモーションで尻尾を横なぎにする。

水しぶきのエフェクトがこっちに来た。

うお……なんか河童の着ぐるみでも氷ダメージが入った。

けど耐えられない程じゃないな。


「攻撃を続けるでござるよ!」


闇影が距離を取って魔法攻撃をし続ける。


「当然! こいつを倒せばいいならみんな! 一気に畳みかけるぞ!」

「おおー!」

「俺達を騙した恨みを思い知れー!」


なんて感じで前線組とネタに走っている連中が各々攻撃を再開して攻撃をする。


「耐えるペン!」


ブレイブペックルがアクヴォルの攻撃から俺達を守るように立つ。

元々水耐性が高そうなペックルだからかブレイブペックルは大したダメージを受けることなく俺達を守ってくれる。

非常に助かる。俺は運動神経が悪いから避けるなんてまだまだできない。

硝子に多少は稽古を付けてもらってるけどさ。

やっぱどこかで反応が遅れがちだ。


「釣りマスターパーティー二人とペックルだけで上手く戦ってやがる」

「あの幼女……できる!」

「絆ちゃんファンクラブ設立決定」

「いや、アイツはネカマだぞ」

「情報ソースよろ」

「本人」

「何言ってんだ! ネカマだからこそ俺達の気持ちをわかってくれるんだ! 断然俺は絆ちゃんが良いと思うね! 第二の人生、絆ちゃんの前世が男だからって俺は気にしないぜ!」

「君にはTSの素質があるよ」

「つまり時代が俺達に追いついたって事だな!」

「僕の方が先に好きだったのに!」

「それはBSSな」


本当、うるせーな……。

ちょっとは気にしろよ。


ネカマロリは早すぎた



何より幼女って言うな!

さらに気色悪いファンクラブも作るんじゃない!

しかも変態が混じってんぞ! ネカマに欲情するな! 転生じゃねえよ。

くそ……姉と妹の力作アバターの所為で要らぬ連中に絡まれそうだぞ。


『水の罠を喰らいなさい!』


アクヴォルが片手を上げて雨を降らすと水で作られた罠が再設置される。


「ひるむな! 罠解除持ちは頼んだぞ!」

「当然!」


ボス周辺を意識すればまだ罠解除はやりやすい。

めぼしい罠を素早く解除する。


「く……思ったよりもダメが稼げない!」

「HP高いっつーかダメが入ってる感じがしないぞ!」


アクヴォルのHPを見ると前線組や闇影の攻撃で全然削れている様子がない。

ただ、下のゲージが徐々に減って行っているが……それもアクヴォルが時々腕を上げてセルフヒールでもするかのように回復してしまう。

どうにかして良い感じに攻撃の機会を作れないか?

あのデカマーマンっぽいアクヴォルに大きな隙……ゲージを一気に削るような意表のあるギミックが欲しい。

……アクヴォルって見た感じ魚っぽいよな。

俺は釣り竿を出してルアーをスナップ掛けてアクヴォルの顔面……具体的に口にキャスティングを試みる。

飛んでいくルアーがアクヴォルの顔、口の部分にあたるのだけどザシュっと攻撃エフェクトが発生するだけで次元ノ白鯨を相手にした時の様な引っかかる感じがしない。

いや、なんか感触はあるんだが針が引っかからないんだ。


「誰だ! ルアーをアクヴォルの口にぶつけてる奴は!」

「釣りマスター」

「ペックルマスター」

「おいおい。またやってんのかよ!」

「魚っぽいし上手くは……行ってないみたいだな」

「さすがの運営もアクヴォルにルアーまでは想定してなかったんじゃね?」


く……金魚掬いに釣り竿を垂らすことを想定している運営が想定していないなんてあり得るのか?

けど事実上手く行かないのだからあきらめよう。


「だな。とはいえ頭への攻撃は効きが良さそうだ! みんな、やれる奴は頭を狙えー!」


って感じで俺の攻撃も多少解析の役には立ったっぽい。

そんな感じでみんな手探りでアクヴォルへとできる限りの攻撃をしていく。


「本体は水属性っぽいが氷部分が厄介だ! 誰か氷に有利な属性で攻撃してくれ!」

「氷に有利な属性ってなんだ?」


パッと言われてわからなかったので周囲に尋ねる。


「土と火、雷とか水みたいに効く訳じゃないんだよ」


へー……そうなのか。


「って、なんでこんな所まで来ているのにそんなことも知らねえんだよ」

「そりゃ俺……エンジョイ釣り勢だし」

「はあ?」


っと俺の返事に何言ってんだって振り向いた奴が俺を見て、何も見なかったみたいに戦闘続行をする。

おい。何か言えよ。

まあカルミラ島みたいなイレギュラーの影響なんだけどさ。


「デュフフ……釣りマスター絆ちゃんのドジっ子具合が可愛らしいでござるよ」


闇影じゃない奴がポツリとつぶやいた。

お前、時代はロリとか言っていた奴だろ。

さっきからこの野郎! 人で萌えるな! 気色悪い!

その見るからに古臭いキモオタ言動は何だよ。

そんな言動の奴、見た事無いぞ!


「それ以外にも特攻の武器とかあるらしいけどな」

「冷凍包丁とかか?」


サッと冷凍包丁を出すと周囲の連中が頷く。


「釣りマスター、罠解除に貢献してるがこの場じゃサポートじゃなくてアタッカーに回ってくれ!」


おおう……リーダー格に指示されちまった。

よーし! ブレイブペックルたちと陣形を組んでいくぞ!

手始めにアクヴォルの背後に回り込んで尻尾をズバズバと切りつける。

ズリュっと良い手ごたえがする。

メリッとアクヴォルのHPゲージの下のゲージが大きく1割削れた。


「おお! 良いダメ出してる奴がいるな! そのまま行けー!」

「OK! 行くぜー!」


っとそのままクレーバーでコンボを放ってガリガリと下のゲージを削り切る。

すると下のゲージが弾ける。


『あっぐぅううう』


バキンとアクヴォルは大きく仰け反ったかと思うと先ほどの人魚形態に戻って吹き飛ぶモーションと共に倒れ込んだ。


「うほおお! 戻ったぁああああああああ!」

「アクヴォル様のお顔が戻ったぁああああ!」

「これはあれだ! 本当の姿はこっちだ! 変身ゲージなんだこれ! 削れると本当のお姿が見れるぞ!」

「アクヴォル様ファンクラブ再結成! 絆ちゃんファンクラブ解散」

「我々人類にネカマロリは早すぎたのだ」


まーたテンションを上げやがって、本当こいつらイベントを心の底から楽しんでいるな。


「そういえば釣りマスターがアクヴォル様の神聖なお口にルアーをぶつけていたな……」

「まさか知っていたから先制攻撃を……」

「知らんわ!」


謎の伏線にするな。

女同士のキャットファイトじゃねえよ。


「遊んでないで攻撃しろ! 変身解除後に攻撃が必要みたいだぞ!」


おお、リーダーは美少女よりもイベントクリア優先だ。


「バーストサンダーレインでござる!」


闇影も空気に流されず攻撃をしている。

まあ闇影がアクヴォル様萌えー! とか言わないのは何となく助かっている気がする。


『く……おのれちょこざいな!』


と、スタン状態から復帰したアクヴォルは再度起き上って変身する。

当然のことながらHPゲージの下にあるゲージが復活した。

うん。攻略パターンは見えたな。

が、直後。


『私のこの技を食らうが良いわ! メイルシュトローム!!』


アクヴォルの目の前に凝縮する水の渦巻きのようなものが発生し、水の衝撃波と津波が四方八方巻き起こる。


「うぐ――」

「うお――」

「ぐあああ――」


アクヴォルの周囲で攻撃しながら間合いを図っていた前線組がアクヴォルの必殺技を受けてほとんどの奴らがHPを損失して倒れる。

うへぇ……なんて超火力だよ。一瞬で溶けてんじゃねえか。

指示を出していたリーダーも攻撃を受けて即死したのか吹っ飛ばされて姿が消えている。

タンク役の前線組も大ダメージを受けて吹っ飛ばされて回復するまで戦える状況じゃない。

まともに立っているのは俺と闇影、そしてペックル達しかいない。


「手段を選ばずに着ぐるみを着用してて助かったでござる!」


ああ……超高火力の水属性攻撃に対して水属性攻撃に高い耐性を持つ河童着ぐるみじゃないと耐えきれないって事なんだろう。

ただ、シールドダメージが削り切れるくらいにはダメージを受けているので、それでも耐えきれないとか別の属性も含まれているのかもしれない。


しかし……MMORPGのボスって異様に強く設定されている事があるけど、そのパターンだな。

触れた瞬間防御特化型のタンクでも即死、みたいなゲームは結構多いんだ。

やっぱりイベントボスだからかね?


「急いで復帰するから釣りマスターチーム! 時間を稼いでくれ!」


と、リーダーが俺にチャットを飛ばして来た。

ああ、倒れる直前耐えきっていたのが見えたのね。


「だとさ闇影」

「責任重大すぎるでござるよ」

「ま、やってやるしかないさ。パターンは大体わかったんだ」

「絆殿!」


闇影が俺に注意を呼び掛ける。

一体……っと思った所でブレイブペックルがオート反応をして俺の上に飛び上がった。


「ぐううう……ペン!」


バシィっとブレイブペックルに向かって落雷が降り注ぎ、盾で大きく弾いて霧散させる。

アクヴォルが手を挙げて何かしていたが、まさか雷まで使うのかよ。


「危なかったでござる……」

「やばいな……」


河童着ぐるみは当然ながら水属性の装備だ。

古くからあるゲームによくある属性相性的に雷は非常によくない。

しかもシールドエネルギーが吹っ飛んでいる今、ダメージを受けたら超痛い挙句大幅に弱体化しかねない。

急いでカニポーションを俺と闇影は服用してシールドエネルギーの回復を行い、ブレイブペックルは僧侶ペックルが回復を施す。

河童着ぐるみで攻撃をなんでも受けきることはできないか。


水の四天王防衛線終了



判断力が物を言う……けど、攻撃モーションは一通り確認した。

これでもゲーマーな姉と妹を持つ身だ。

どんな攻撃が来るのか分かれば対処もできる。

姉と妹程じゃないが……やってやろうじゃないか!

根気だけは姉にも妹にも負けない!


「闇影、行くぞ!」

「当然でござる!」


ブレイブペックルに敵の注意を引きつけて守らせつつ冷凍包丁でアクヴォルの変身を解かせて見せる!


「お前だけが罠を使う訳じゃないのを見せてやる!」


バラバラと戦場に敵にしかかからないトラバサミをばら撒く、今度攻撃的なトラップも習得しておくか。

これでアクヴォル以外の地面を歩く雑魚の足止めができるはずだ。


更に遠距離攻撃とばかりに釣り竿を出し、ルアーを青鮫のルアー<盗賊達の罪人>に付け替えてからぶつける。

遠距離なのに斬撃と出血ダメージを与えることができたぞ。

当然とばかりにアクヴォルは氷の鮫なども呼び出している。

前線組が出現と同時に散らしていたけど、今は周囲にいて煩わしい。

闇影にも魔法攻撃に範囲で散らしてもらうとするか。


と、思ったら氷の鮫が俺がルアーで攻撃して出血ダメージを起こしている奴に群がっている。

血に反応している? これは良いな!

トドメに行くぞ!


「フィーバールアー!」


ヘイトを集めるフィーバールアーを発動させると氷の鮫が一目散に俺のルアーへと群がり始める。

それを竿を動かして巧みに回避しつつ攻撃して一か所に誘導だ。


「サークルドレインからのブラッティレイン……からのー」


っと闇影が集まった氷の鮫を一網打尽にし、色々とアクヴォルに攻撃をしている中で俺も氷部分を冷凍包丁で何度も切り裂いて削って行く。