Wave of dimensions — страница 57 из 111


「さて、何が出てくるか。闇影、先制攻撃は任せたぞ」

「承知でござる!」


こういう時の一番槍は遠距離攻撃持ちの闇影に限る。

おのおの武器を出して戦闘に備えつつ、闇影がドレインを間合いを図っていた魔物に向かって放つ。


「グウウウウ!」


バシっとエフェクトが出ると同時に靄から……泥を纏った、両生類……5メートル程の大きなサンショウウオが悶えながらこっちに突進してきた。


「行きます! ただ……場所が場所だけに動きづらいですね」


硝子は騎乗ペットが水に対応していないので降りて出てきた魔物に対処すべく扇子を構えて逸らしながら攻撃する。


「大きいイモリだねー」

「……サラマンダー」


しぇりるがポツリとつぶやく。


「どうやらしぇりるが当たりだな。名前はミストマッドサラマンダーって名前みたいだぞ」


霧泥のサンショウウオって事か?

ドバァっと水しぶきを立てながら水弾を発射して俺たちに攻撃してきた。

おっと危ない。

距離が離れていたから騎乗ペットに指示して小舟で移動して攻撃を避けれたけど下手したら当たっていた。


「中途半端に水に足を取られて動きづらいです」

「ちょっと誘導して木の橋がある所まで引き寄せようか」

「それが良いかもな」

「わかったでござるよ」

「はい」


機動性の悪さを判断したみんなはすぐに戦いやすい場所へとミストマッドサラマンダーを引き寄せにかかる。

が……木の橋の方まで誘導しようとするとミストマッドサラマンダーは近づくことなく離れて、一方的に水弾と泥をこっちに発射を続ける。


「どうやら戦いやすい場所へ引き寄せるのは対策されているみたいだね」

「厄介でござるな」

「しぇりるさんにお願いする? 水場での戦闘とか得意でしょ? お兄ちゃんも」


えー……ここで俺に頼るのか?


「それを言ったら闇影だって乗り物が河童なんだから機動性は十分だろ」

「確かにそうでござるが……」


いや、待て……あるじゃないか、こういう時に便利な装備が。


「絆さん、何を私達に着せようとしているかわかりますので言わなくて結構です」

「じゃあ装備してくれるのか?」

「それとこれとは別です」

「残念だな、闇影」

「なんで拙者だけでござるか! 絆殿も仲間でござるよ!」


く……河童になるのがそんなに嫌かみんな!


「俺と闇影、それとしぇりるで遠距離攻撃合戦をして削り倒すか?」

「それが良いかと……むしろ絆さんお得意の武器でどうにかできないんですか?」

「最近お兄ちゃん戦闘でも釣り竿使うもんね」


ああ、まあ……そういうてもあるか。

糸を頑丈な奴に変えてルアーを青鮫のルアー<盗賊たちの盗人>に……ミストマッドサラマンダーの遠距離攻撃を騎乗ペットの動かす小舟で巧みによけながらキャスティング!

スパァっと良い感じに斬撃エフェクトが出る。


「グウウ!」


あ、攻撃を受けてミストマッドサラマンダーがちょっとよろめいたぞ。


「ドレインドレインでござる!」


闇影も負けじと怒涛のドレインを使いまくって注意を向けさせている。

しぇりるは回り込む形でカワウソの騎乗ペットでミストマッドサラマンダーの背後に。

アクヴォルには出来なかったけどできるかな?


「グウウウ!」


プクゥっとカエルみたいに喉を膨らませたミストマッドサラマンダーが闇影に向かって水弾を放った直後、俺は釣り竿を上にあげてルアーをミストマッドサラマンダーの口に引っかける。


「グウ!?」


思わぬ拘束にミストマッドサラマンダーが俺の方に頭を向けたぞ。

よしかかった。

モーターリール作動! エレキショック!

バチバチバチ! っとエレキショックがミストマッドサラマンダーにかかる。


「グ……グウウウ!」


おお? 何となく効きが悪い。

やはりマッドって部分からして水場の魔物でも雷には耐性があるのかもしれない。


「後は一本釣り!」


とはいえ、俺の引き寄せでミストマッドサラマンダーのその大きな体はこっち方面に転がった。


アメマス釣り



「ここまで来て転倒したなら攻撃のチャンスです!」

「お兄ちゃんってサポート上手だよねー」


硝子と紡がこの隙を逃さず悶えるミストマッドサラマンダーに向かって各々武器を振りかぶって攻撃する。


「あ、この子、粘膜で防御能力そこそこあるっぽいね。武器の入りが思ったより良くないよ」

「そうですね。ですが私たちの武器なら通じない程じゃありません! 行きます! 輪舞零ノ型・雪月花!」

「死の舞踏!」


おなじみとなっている硝子と紡の攻撃スキルをミストマッドサラマンダーは受ける。


「グウウ!」


けど、それでも倒しきる程じゃなかった。

一応エリアボスって感じの魔物何だろう。あっさりと倒れてはくれない。


「行け! クリス!」

「ペン!」


クリスに攻撃を命じる。ブレイブペックルは守り担当なので攻撃は出来ない。

俺の命令に従ってクリスがミストマッドサラマンダーに突撃、ただペックルは水属性なので効果的ではなさそう。


「ボマーランサー!」


しぇりるも攻撃に便乗してミストマッドサラマンダーに飛び乗りドスドスと、硝子たちより苛烈に攻撃を繰り出している。


「……」


その気迫は普段のしぇりるとは全く違う、鬱憤がたまっていると言った具合の連続攻撃だ。


「しぇ、しぇりるさん?」

「しぇりるちゃんこの前の戦いのストレスが溜まってたみたいだねー」

「鬼気迫る勢いでござる……」


バチンとルアーが外れる。

するとミストマッドサラマンダーが転倒から起き上ってグルっと体を一周させて周囲に衝撃波を発生させた。

しぇりるは振り落とされて水の中に落ちる。

即座に騎乗ペットが回収してくれて水面に出る。


「……」

「キュー!」


行けっ! っとばかりに銛をミストマッドサラマンダーに向けると騎乗ペットのカワウソがそのまま飛び掛かってミストマッドサラマンダーの喉に食らいつく。


「グウウウウ!」

「……」


そのまましぇりるは無言でブスブスとミストマッドサラマンダーを刺しまくる行為を再開しだした。

なんか怖いな。


「と、とにかく攻撃!」

「はい! この隙を逃しません!」

「そうでござるな!」


そんな訳で俺達の怒涛の攻撃でミストマッドサラマンダーを倒すことができた。


「問題なく倒すことはできたけど、思ったよりタフだね」

「そうですね。装備を整えた方が良いかもしれません」

「不要」


しぇりるがここで硝子の提案を断り、ストレージからあの着ぐるみを取り出して着用を始める。


「あの……しぇりるさん? なんかやる気に満ちていますがサンショウウオが嫌いなんですか?」

「……?」


硝子のセリフにしぇりるは首を傾げている。

心の底からよくわかってないって顔だ。


「硝子さん。しぇりるちゃんも思いっきり暴れたい時があるんだよ。ね? 別に両生類が嫌いだからじゃないよね」


コクリとしぇりるが頷いた。

どうやらしぇりるは魔王軍との攻防で負けた事が悔しかったんだろう。

思えば俺達の中で唯一負けた戦場に居た訳だし。

強くなりたいから引きたくないって気持ちは痛いほどわかるぞ。

俺は姉さんや紡に比べると運動神経や戦闘センスに劣るから、悔しさをよく経験したもんだ。


「とりあえずしぇりるちゃんがやる気に満ちてるんだからやって行こう。で、お兄ちゃん。解体任せたよ」

「はいはい」


そんな訳で倒したミストマッドサラマンダーの解体を行う。

まだほかにも出てくるだろうし早めに解体すべきだな。

高速解体を使って手短に解体を行う。

今のしぇりるは見た目がネタでも強ければ良いって心境なんだろう。

河童装備を着用してる。


……今はやりたいようにやってもらえば良いか。

そこそこの付き合いだけど、数日後にはいつものしぇりるに戻っているだろう。

って感じで俺達は湿原でクエスト対象の魔物を狩って行ったのだった。

そうしている内に俺を含めて、あることに気づいた。


「この辺りはどうやら引き寄せない限り、魔物が来ませんね?」


ちょっとした大きめの段差のある小さめの滝とも呼べる場所なのだが、魔物が寄ってこないのだ。


「そうだな、休憩ポイント的な奴なのかもしれない」

「たぶんそうだと思うよ? 狩場にちょこちょことあるのを知ってるよ」

「ふむ……ならちょうどいいか、ここで釣りでもしてアメマスが釣れないか試してみるとしよう」

「確かにお兄ちゃんに試してもらうには良さそう。素材もそこそこ集まってるし、じゃあお兄ちゃんはここで釣りしてて、何かあったら呼んでよ」


既にそこそこ解体は済ませてある……ロミナに何かを作って貰うときに足りないって可能性もあるけれど、その時はその時だ。

タイミング的には丁度良さそう。


「わかった。アメマスをしっかりと釣ってやる!」

「では私もご一緒しますね」


ん? ここで以外な人物が挙手した。

それは硝子だ。むしろ硝子こそ今回の魔物退治を好んでするポジションじゃないのか?

みんな意外と言った顔で硝子を見る。


「どうしました?」

「硝子さんどうしたの? 魔物退治よりお兄ちゃんに付き合うなんて、疲れちゃった感じ?」

「そうでござるな。一体どういう考えでござる?」

「あ、万が一に備えてお兄ちゃんの警護とか? お兄ちゃん、ペックルマスターだから逃げるのは上手だよ?」


うるさい。確かに異常事態があったらペックルを盾にして逃げるけど、それにしたって言い方があるだろ。


「そういうわけではなく、絆さんは私たちに付き合って下さっているのですから私も絆さんに付き合うべきだと思いまして」

「気にしなくていいんだぞ?」

「いえ、いつまでも甘えるわけにはいきませんから、カルミラ島の時にも教えてくださったじゃないですか」

「まあ……そうだね」


あの時は大事なルアーが奪われて教えるって状況じゃなくなったから硝子への釣り訓練は中途半端な状況だったっけ。


「だから今回、私は絆さんと一緒にアメマス釣りのクエストの方をしますね」

「硝子さんも律義だねーわかったよ」


俺より一緒に魔物を倒している紡が頷いた。


「理由はわかったでござる。では拙者たちが魔物退治をしてくるでござるよ。しぇりる殿もそれでいいでござるな」

「……ん」


コクリとしぇりるが頷いた。


「ではそっちは任せたでござるよー」

「ああ、ついでに今晩はアメマス料理を振舞ってやるからなー!」


と言う訳で俺達は二手に分かれてクエストを行うことにした。

紡達が遠くに行くのを見届けた後、俺は装備欄からお古の釣り具を取り出して……今回のアメマス用に釣り具をセットして硝子に渡す。

スポーツフィッシングの側面があるようだから釣り糸は丈夫な奴にしてルアー釣りで良いだろう。

フライフィッシングでも釣れるとは思うけど……。

ほかに何が釣れるかわからないんだし、これで良いだろう。


「はい硝子、これで釣りをしてくれ」

「はい。フフ、絆さんのカニ籠回収に付き合ったおかげでフィッシングマスタリーが上がっているのですぐに挑戦できますね」

「ああ、スキル取ったんだ?」

「はい。使わない時は外せばいいですから」


スピリットは取得したスキルで常時消費するエネルギー量が決まる。

もちろん時間で増えるエネルギー量との塩梅を調整することが何より大事だ。

マナも毎時増えて行く訳だけど上げ下げすると半分は戻ってくるけど損失は出る。

あんまり上げ下げはいい方法ではない。けど……硝子が取得すると決めたのだから良いんだろう。

カニ籠はフィッシングマスタリーとトラップ関連の条件に該当するらしく、カニ籠で捕まえた獲物を手にした時にカウントされるのだ。

なので山ほど俺が設置したカニ籠を蟹工船をした際に、みんなで回収作業をしてもらったのでみんな、相応にフィッシングマスタリーとトラップ関連の経験を得ている。

そのため、硝子もフィッシングマスタリーを一気に引き上げる事が可能となっているんだ。


オオキンブナ



「それで絆さん、今回は……ルアー釣りのようですね」

「ああ、まあ見ててくれ。まずは手本をやるぞ」

「前はその手本でいきなり主が引っかかっちゃったんでしたね」


苦い経験だな。カルミラ島の池で釣りをした出来事が思い出される。

今でのその時に遭遇した主の装備を俺と硝子は各々使っている訳だし。


「……騎乗ペットに乗ったまま釣りができるっぽいな」


片手で俺を支えていた騎乗ペットが両手で支え始める。

なんか踏ん張りが効くのはゲーム独自の仕様か……小舟に乗ってもバランスよくルアーを投げることは出来そう。


「よっと」


スナップを掛けてルアーを湿原の水辺に投げ入れる。

リールをリズムよくキリキリと回して魚を演出するのを意識しながら竿を小刻みに動かしながら巻いていく。

手元まで巻いてしまったら再度キャスティング。

そうしているとクイクイっと手ごたえが来たので竿を上にあげると、魚がヒットしたのかぶるぶると手ごたえが来た。


「よし!」


右へ左へと逃げる方向とは反対に竿を動かしながらリールを巻き取る。

今回かかった獲物はそんな引きが強くないみたいだ。


「フィッシュー!」


一気に引き寄せて釣り上げる。

すると……ビチビチと40センチくらいのカエルが釣れていた。

確認するとジャイアントパープルトードと出ている。


「ジャイアントパープルトードも釣れるみたいだな」

「そのようですね」

「まあボーンフィッシュとか釣れたりするわけだし、よくあることだ。こうして釣り上げたのは収納できるのは覚えてるよな」

「はい。前にも釣ってましたもんね」


そうそうアイスヘローンだったな。かすめ取りをしようとしてそのまま釣られた奴。


「とまあ……こんな感じ、ルアーを地面に引っかけて大地を釣らないように色々と試していけば良いさ」

「分かりました。じゃあやって行きましょう」


硝子が俺から教わった通りに釣り竿を振りかぶってルアーを飛ばして着水させる。


「絆さんみたいに静かに落ちませんね。ドボンって感じで落ちちゃいました」

「そこは馴れだ。マスタリーはしっかりと取っているんだし、すぐにできるようになる」


キリキリっと硝子も俺がやった手つきを見よう見まねで若干ぎこちないけど糸を巻いていく。

が、ピクッと引き上げてしまった。


「あれ……感触から何かが掛かったような気がしたんですが……」

「早すぎだったんじゃないかな? こう、軽く突いているって時もあるんだ」

「魚さんも侮れないって事ですね……しっかりと間合いを図り、引っかけるタイミングを見極めなければいけません」


なんか硝子が燃えているような感じだ。

それから硝子が釣り竿を何度か振るっていくと、どうやら魚が近づいて来たようで巻き方がゆっくりになる。

今度は失敗しないとばかりにタイミングを見極めながら巻いていた硝子が、確かな手ごたえと共に竿を振り上げる。

竿がしなって魚がヒットしたことを伝えてくれる。


「いきます!」


キリキリキリとリールを巻きながら右へ左と硝子は魚との攻防を始めた。まあ魚の引きが弱いのか一方的に引き寄せられているんだけどさ。

そうして近くまで手繰り寄せてからスッと水面から魚を引き上げる。

えーっと……大きさが15cmあるジャイアントパープルオタマジャクシ……トードの前のオタマが釣れたようだ。


「釣れました!」

「あ、うん。釣れたね」

「オタマジャクシが釣れるんですね」

「そうだね。とりあえずこれが硝子の初魚って事だね」

「は、はい……なんか少し気になりますけど……」

「まー……魚としてカウントしなくても良いかもね。魔物枠なんだし」

「確かにそうです。じゃあどんどん釣って行きましょう」


って感じで硝子もやり方をしっかりと覚えてくれたので一緒に釣りを始める。

俺もヒョイッと釣り竿を振るってルアーを落とす。

リールを巻いていくと……ヒットの手ごたえ。

ビクッと竿がしなったのでそのままリールを巻く、釣り具の性能が良いからかあっさりと魚が顔を出す。


「オオキンブナ……」


30センチほどのフナが釣れた。

なんか水族館で見た覚えがあるぞ。コイと生息域が被る魚だ。

となるとコイもここでは釣れるかもしれないな。


「やりましたね」

「ああ。色々と釣って行こう」

「はい。あ、何か引っかかりました……手ごたえが弱いですね?」


ザバァっと硝子が竿を上げると……長靴が釣れた。


「……」


硝子が切ない目をして長靴を見つめる。


「虚しくなる必要はないぞ? 俺なんてしばらく空き缶を釣り続けていたんだからな」


今でも結構ゴミが釣れることはある。

カニ籠にも混じっていたりするしな。なんだかんだ人間の環境汚染はゲームにも反映しているのかもしれない。


「ゴム長靴だから、ゴム素材としてアルトやロミナが回収してくれるぞ」

「そうなんですね。どんどんやって行きます」


こうして釣り場をちょこちょこと移動して流れのある所にルアーを投げ込む。

するとフナとは別の魚が釣れた。


「ウグイ……かな?」


ミカカゲウグイというどうやらこの国固有のオリジナル魚が釣れた。

見た感じ大きめのウグイだ。大きさは30センチ。

どうも30センチ代の魚ばかり釣れるなー……アメマスは一体どこで釣れるんだ?


「あ、き、絆さん! 引きが強い魚が来ました!」

「お?」


硝子の方を見るとバシャバシャと水音を立てながら魚との攻防が行われていた。

とはいえ、硝子の引っ張る力の方が強い。


「そこは右、うん。良い感じ、そのまま巻いてー」


助言を聞きながら硝子はリールを適切に巻いていった所で魚が抵抗とばかりに水面から飛び出した。


「あ、巻くのはストップ!」


水面から出た直後に巻くと糸が切れたり針が外れたりすることがあるんだ。

ただ、硝子が引っかけている魚は大きかった。ウグイよりは大きいので別の魚なのは間違いないはずだ。

確かに引きがかなり強い魚の様だ。こうパワーのある魚って海の魚が多いけど、川の方でも力のある奴はいるもんだ。


「よーし巻いてー」


ザブンと水に入ったのを確認してから硝子に巻くのを指示。


「はい。ブルブル震えて手ごたえがなんか心地いいです」

「釣りって人間の狩猟本能を刺激するって言うらしいからね」


なんとも不思議な魅力があるのは否定しない。

まー……俺もリアルで釣りが趣味だったかというと時々行く程度だったんだけどさ。

このゲームで釣りをしているうちにどんどんハマって行ったのは間違いない。


「よーし! あとは引き上げるだけ針が外れないように掴むから安心して」

「はい!」


って感じで巻き終えた硝子の代わりに俺が魚を引き上げる。


「お、硝子、やったよ。目的の魚を一匹ゲットだ」


硝子が釣り上げたのがどうやらアメマスだったようだ。

イワナに何となく似た感じの魚だな……ってアメマスはイワナの一種か。

なるほど、これがアメマスなのか。

何となくヤマメとイワナって似ているし、よくわからないと頭の中で混ざっちゃうよな。


「硝子が先に釣り上げちゃったな」

「やりました!」


無邪気な笑みを硝子は浮かべてくれる。

これであんまり楽しい物じゃないですね。って言われたらどうしようかと思ったけど、杞憂だったようだ。


「よーし! 俺も負けてられないな!」