「関所の先はどうなっているんだい?」
「湿原と中継街がある感じだな。またヌシを釣ったぜ!」
と、アルトに釣り上げたヌシを報告する。
「ロミナくんが喜びそうな話だね。次の場所は湿原と……どちらにしても継続して調査をしてくれると助かるよ。君達は今、ミカカゲで最も進んだところにいるのだからね」
「興味があるならアルトもくれば良いだろ」
「僕は僕でカルミラ島の管理とか色々とあるからね。ロミナくんは遊びに行くかもしれないけどね」
「そうか……ロミナが喜びそうな場所があるかもしれないからこっちも探しておく」
ここの前の場所で炭鉱があったけど、こっちでも似たような採掘場とかあるかもしれないしな。
「アルトさん」
「何だい硝子くん」
「今までのフィールドで出てくる魔物のリストとか用意できますか? いずれ回って行こうと思うので」
「出来るよ。そうだね。今後の事を考えると君たちもその辺りを回るのが良いかもしれない」
硝子の提案を即座に察してアルトは話を受け入れたようだ。
なんだか話が早いなー……ま、既存の釣り場であるけど俺はまだ釣っていない魚が待っているぜ!
そんな訳でアルトとの話を終えた。
「さて、紡達に見せつけたヌシを早速解体していくとしよう」
お楽しみの時間である解体を始めるぞー。
と言う訳でヌシイトウの解体を行う訳だけど……かなり難易度が高いな。
単純に刃が入りづらいのは元よりキレイに切るのが難しくなっている。
上げられる範囲の解体技能じゃ失敗する可能性もあるぞ。
現にウロコ落としを少し失敗してウロコの部分が無駄に散ってしまった。
「お兄ちゃん大丈夫? なんか変な感じするんだけど」
「ああ、少し失敗した」
「絆殿の解体が失敗? 相当難しいようでござるな」
「みたいだなブルーシャークより少し難しい……って所だ」
冷凍包丁のお陰でウロコ以外は上手く解体出来てはいるのだけど、ちょっと惜しい感じだな。
そんな訳でヌシイトウの解体は多少の失敗をしたけれど終えることができた。
入手できた素材は魚鬼の鱗、魚鬼の口、魚鬼の心臓、魚鬼の太骨、最高級魚鬼の肉と卵いう魚鬼シリーズ、それと中級王者の鱗とかが手に入った。
結構色々と解体で出てきた感じだな。
「よし、解体完了っと……単純に色々と解体技能を上げて行かないとせっかく釣り上げたヌシとか無駄にしたりしてしまうかもしれないな」
「常に修練ですね」
「これで一体何が作れるか楽しみだ」
他のヌシの素材もまだあったはずだし、そろそろロミナにさらにいろいろと作って貰う時が近づいているな。
釣り具の更新もしっかりできるならしたいね。
ルアーの次は竿とかだろうか。
「さて……クエストは終わったと思うけど、これからどうする?」
アメマスは今夜の飯の分まで確保してある。
紡達も討伐クエスト分は満たしたみたいだ。
「フィールドの探索が良いと思うよ。まだまだいけるところがあると思うし」
「まあ、無難な所だよな、湿原を含めて今回行けるようになった所を隅から隅までチェックするか」
「フィールドボスとかもっと出てこないかな」
「初見で倒せるのか? 敵が結構強くなってきてると思うが……」
大人数で倒すことを前提としたフィールドボスとの戦闘とか紡と闇影、硝子が居ても結構きついときはきついだろう。
「その辺りの区別位は出来るよ。お兄ちゃん達じゃ取り返しがつかなくても私としぇりるちゃんは懲りずに行けるし」
スピリットはその性質上、下手にやられたら損失分を取り返すのに苦労する。
だからこそ戦闘不能……ゲーム内の死は極力避けた方が良い。
まあ……結構ゲームシステムに慣れてきているから全損失しても遅れを取り戻すやり方は何となくわかるけどさ。
エネルギー回復力向上を上げれるだけ上げるようにすれば復帰に致命的な遅れは取らずに済む。
熟練度というか別口の条件はリセットされる訳でも無いし、装備も条件を満たしたら装備すれば良い。
硝子と初めて会った頃とは結構、勝手が変わってきている。
それでも……紡達に比べたら時間が掛かるのは事実か。
季節イベント考察
「とにかく色々とめぐって行こ! 手に入れた騎乗ペットがあるから楽だし!」
「まあ……そうだな」
俺も大きなウサギに片手で持たれている訳だしなー……割とファンシーなスタイルだ。
「ですね。色々と楽しみましょう!」
って事で俺達はクエストを達成したその足でフィールド探索へと出かけた。
湿原を道なりに進んでいく……やはりというか結構広いなこの湿原、途中で結構分かれ道とかあって全部網羅するのは中々時間が掛かりそうだ。
ただ、湿原の手ごろな出口もあるようで陸地というか中継街へと続く森や草原なんかもある。
ん?
「いつの間にか湿原じゃなくて山みたいなところに来たな」
中継街が見える湿原に入らなくても行ける今回行けるようになった範囲の端っぽい場所の小さめの草原になんか見えたのでみんなで立ち寄る。
するとそこには神社っぽい建物と鳥居があった。
「休憩所でしょうか?」
「いや……なんか違う感じだぞ?」
神社の賽銭箱のある所に丸い穴みたいなものが渦巻いている。
で、穴の横にはNPCが立っている。
「なんだろー」
紡が穴の横のNPCに近づいて声を掛ける。
「神社……拙者と似合いそうでござるな」
「硝子も似合うだろうな」
忍者と着物少女が神社な場所に居たら違和感ないだろ。
「お参りとかしておいた方がよさそうですよね」
「まあ……神様に祈っておけば何か良い事とかあるかもなー。というか他のプレイヤーがこの辺りに来れるようになった時、正月イベントーみたいな個人のノリでここにお参りに来るイベントとかありそう」
MMOとかだと正月にそういった場所にお参りに行くって個人イベントが行われたりする。
もちろんゲーム内で正月イベントとかあるんだけどさ。
「このゲームで正月イベントがあるでござるか?」
このディメンションウェーブというゲームはダイブ形式のログアウト不可で数日が数年に感じられるゲームだ。
俺達が数カ月や数年経過してもゲームの外では数日しか経っていないって話なのだから……季節のイベントがあるのだろうか?
「どうなんだろうな? あれだ。ゲームにINした日付から逆算して正月って感じでやるかもしれないぞ?」
「確かにそうでござるな……」
「単純に四季の催しがあるのではないんですか?」
「そう……」
まあ、その可能性もあり得る。
「ところで今はログインした日付から逆算して何時頃に該当するんだ?」
えっと……大体1か月から少しのペースで波という大掛かりなイベントが行われる。
現在3波目の波が終わって大分経っている訳だから……大体、体感3~4カ月くらいは経過していることになる。
まあ、俺の場合は地底湖で15日、余分に過ごしているからさらに多いんだけど。
「もうそんなに経っているんですね。思い返せばあっという間に感じますね」
「このゲームってあとどれくらい遊べるのでござる?」
数カ月から数年ってかなり大雑把な提示がされているゲームで詳しい事はやってみてのお楽しみって触れ込みだったからなー……。
「どちらにしても俺達は精一杯楽しめば良いな」
「そうですね。まだ私たちは世界のすべてを知っている訳ではないですし」
「クリスマス……正月、しんねん、楽しみ。ハッピーニューイヤー? 絆は……スプリングフェスティバルでイースターラビットする?」
イースターラビット?
ふと俺の騎乗ペットに目を向ける。
まあ、ウサギだよな。
「しぇりる殿、絆殿と騎乗ペットの組み合わせはどちらかと言えば不思議の国のアリス、アリスインワンダーランドでござるよ」
なんかしぇりるがポンと納得したように両手を合わせて頷いた。
いや、なんで頷くなんだよ。
「ホワイトラビット、クロック……時計、似合うアクセサリー」
騎乗ペットから不思議の国のアリスつながりで時計を持った急ぎ足の布告役までやるあのウサギキャラを連想したっぽいな。
「俺をアリスとかそういうポジションに充てようとしてるな?」
「絆さんの姿は美少女ですからアリスと言われても違和感はありませんよ」
うう……あんまり意識しないようにしてるというのにどうも女の子として周囲が俺を扱ってくるなー……。
この前の戦争イベントでも幼女とか絆ちゃん言われた。
釣りマスターやペックルマスターと言われるのと美少女扱いされるんだったらどっちが俺には好ましい通称だ?
「話がずれましたね。お正月イベントが催されたら絆さんも着物を着て初詣をしましょうね」
「初詣をするのは良いけど……着物かー……」
硝子が着こなしているから違和感なかったけど、俺も着ようと思えば着れるんだろうな。
「絆殿の場合は巫女服が似合うのではないでござる?」
「確かに似合いそうですね」
「俺を着せ替え人形にするのは勘弁してくれよ。しぇりるは……」
なんかドヤって感じでしぇりるが船長服から海女スタイルでアピールしてる。
その恰好も気に入ってたんだな。
「正月、これで参加する」
「正月感が全然ないでござるよ」
「闇影もそうだがな。お前も着物なり巫女服とか着れば良いだろ」
一応闇影のアバターも美少女であるのは間違い無い。
普段は忍び装束を愛用してるけどさ。
というか地味に服飾の種類多いよな。このゲーム。
「拙者、七五三のようで着物は好まないでござる」
「その理屈だと俺が思いっきり七五三になりそうだけどな」
幼女な外見に着物ってのはそういう問題が付きまとう。
かわいいとは思うのだけどさ……幾ら美少女な外見とは言っても鏡でも見ないと俺の外見って判断しづらい。
自分が美少女になったからと鏡を前にだらしない顔をして欲情はしないぞ!
「絆殿の今のミニドレスも似合っているでござるからぴったりだと思うでござる」
「別に俺は好きでネカマになった訳じゃないからな……実の所、しぇりるやロミナみたいな野性味のあるスタイルでも良いと思ってる」
ここで紡とか騒ぎそうだけど、紡は現在NPCの話を聞いててこっちの話はまだ聞いていない。
「ちょっと勿体ないと思いますけどね」
「似合わない」
「似合わないでござる」
やかましいわい。
「ところで餅とか雑煮、お汁粉とか回復アイテムが大量販売されるんだろうか?」
優秀な回復アイテムとかだとNPCから大量に買い占めたりするのは鉄板だ。
ああ、昔のMMOとかであったらしい……なんでも正月限定の回復アイテムを複数のアカウントで買いまくって回復アイテムとして一年間使い続けるなんて話が。
あまりにもその手を使うプレイヤーが多すぎた所為で翌年から販売個数が制限されたとか、売り出されなくなったとか色々とあったなんて話を聞く。
「既にカニが拙者たちの食料兼、回復アイテムになっているでござるよ絆殿」
「これより優秀だったら需要は移るだろ」
「アルト殿と相談するでござる」
「何々? なんの話?」
紡が話を終えて来た。
「正月イベントがあるのかって話でござるよ」
「はい。絆さんがお餅や雑煮が回復アイテムとして大量に売り出されるのか? と疑問に思った話です」
「お兄ちゃんの場合は金太郎飴じゃない?」
「それは正月じゃないだろ」
全く、妹の奴が無駄に俺に挑発してきやがる。
「どうなんだろうね? ただ、お餅とか回復アイテムに使ったら喉が詰まりそうじゃない?」
「確率で死にそうでござるな」
「お餅……」
しぇりるが何を考えてるのかわからない感じでポツリとつぶやいた。
食べたいのか?
もち米とかどこかで売ってたはずだから料理技能で餅くらい作れるぞ。
ドジョウ鍋
「それで紡さん、ここは一体どんな場所なんですか?」
「えっとね、どうもインスタンスダンジョンみたいだよ。カルミラ島にあるのと同じ感じの奴」
「こんな所にもあるのか」
「うん。なんでもミカカゲ無限迷宮ってダンジョンらしいよ。入る際に脱出用のアイテム、改造植物のロウソクが渡されるからそれを使って潜ってくみたい。失くしたら出られなくなるから注意って言ってたけど捨てられない代物なんじゃないかな? 入場券的な感じで有料みたい」
これでダンジョンか……正月時に参拝に行くとかのイベントは無さそうだ。
「で、NPCの話だと底は無い延々と続く迷宮なんだって、結構細かく説明してくれたよ。途中から聞き流したけど」
「ほー……早速潜るのか?」
「硝子さんどうする?」
「今はここを覚えておいて他にも何かあるか調べるのはどうですか? まだ調べ終えてませんよ」
新しいダンジョンへの突入前に他に何かあるのかの調査が優先……それも良いね。
「それもそうだね。地上の魔物がまだ歯ごたえあるし、ダンジョンは明日でも良いもんね」
まずは探索を優先か……確かに新しい場所では何があるのかを全部回ってから方針を決めた方が効率的だよなー。
今日の目的は探索な訳だし。
「それじゃあ場所は覚えたので次に行きましょうか」
「おう。次はどこに行ってみる?」
「妙に傾斜角度の急な山や不自然に生い茂ってる森とかは侵入不可エリアだからそこをなぞるように壁伝いだね。こっち」
って感じで丘とも微妙に見えた神社から紡が指さしたのは森っぽい所にある道の先だ。
道中出てくる魔物……ハミングイーグルとキラーダンボルって魔物は紡と硝子、闇影のおかげで無難に倒せた。
そうして進んでいくと……今度は洞窟らしき所に出る。
あ、NPCが何名かいる。しかもツルハシとか持ってるNPCだ。
前に覚えがあるぞ……この配置。
「採掘場だね」
「ここの前の範囲にもなかったか?」
「あったけど、別の採掘場って事なんじゃない?」
「ロミナ殿が喜ぶでござるな」
「後で報告するのが良いだろうな」
「そういえば町のクエストに採掘場に関する話が合ったような気がするよ。確かここの採掘場って魔物がいる区画があるんだって」
「倒してくださいって奴か?」
よくあるクエストだな。
採掘場に出現する魔物を倒すことで採掘場が使えるようになるとかそういった類の代物。
「そうなんだけど、それ以外に機械系のレシピをドロップ的な話が混じってた」
「ん」
しぇりるが挙手する。
ああ……マーシーナリー、機械系の技能を習得してるもんな。
気になるか……。
「レシピのドロップもあるのか」
「みたいだね。しぇりるちゃんの為にもここは潜ると良いかもね。ドロップとか狙ってみると良いかも」
「何が手に入るか楽しみでござるな」
「先ほどのダンジョンよりこっちを優先した方が今後の事を考えると良さそうです」
「まあね。ほかにもこの近隣の魔物やボスのドロップとか気になるし、やれることはたくさんあるから楽しみだね」
まだ見ぬ強敵とドロップに期待してマップを埋めて行く俺達は採掘場を通り抜けて周囲の探索を続けた。
わかった事は湿原、神社、採掘場、次の関所が目立つ場所でそれ以外は魔物の居るフィールドって感じの様だ。
ボスなども探せばいるとは思うけれど今回は軽く回った感じだな。
倒した雑魚魔物も一応解体したぞ。
手に入るエネルギーからの逆算でカルミラ島のインスタンスダンジョンの最下層の魔物とかよりも遥かに多く入る。
格上の魔物なんだろうな……。
なんて感じでフィールドをぶらぶらしていたら日が傾いてきた。
「周辺の探索はこんな感じかな? 大体地形は把握したね」
「そうだな」
騎乗ペットのおかげもあってそこそこ広い範囲なのに回り切れた。
「とりあえずクエスト達成の報告をしに街に戻りましょう」
「ご飯にしようよー」
「はいはい。今日は釣ったアメマスを料理しないとな」
「楽しみ楽しみーお兄ちゃん。何を作る予定?」
「作れそうなのだとムニエルだな。他にも作れなくはないが制作時間が掛かる」
設定しておけば作れなくはないがいきなり完成品が出来上がる代物ではないっぽい。
漬物とかの類は少し作成に時間が掛かる。
アメマスの一夜漬けを作るにしても完成するのは明日になる。
「ムニエルかー楽しみだなー」
「あとはなめろうだな」
川魚の場合、刺身よりも難易度の低い料理だ。味噌とショウガや玉ねぎとか香りの強い食材を組み合わせて作る。
「なめろー! 御飯が進むね! ただ魚ばっかりだね!」
「今夜はこの辺りだな。魚料理の他に……から揚げも作ってやる」
「わーい!」
食いしん坊な妹がテンション高めに声を上げる。
「贅沢ばかりしているでござるが、今夜の料理も楽しみでござる」
「そう」
「ふふ……私たちが釣った魚ですから皆さん楽しみにしていてくださいね」
今日は色々と釣ったからな。
料理技能を上げているおかげで色々と作れる料理は多い。
刺身ばかりが魚料理じゃないぞ。
煮付けだってなんだってできるんだからな。
そうして中継街に戻った俺達は宿に泊まり、料理場をレンタルして早速料理を行う。
まず言うまでもなくアメマスのムニエルだな。
解体と同じく料理系のミニゲームをこなすことで料理は完成する。技能に収められたレシピ以外にも新しく発見したり自力で発見できる。
今回はアメマスを調理する際に出た技能でムニエルの作成を優先して行った。
とは言っても調理は簡単だ。
まずアメマスを解体してアメマスの切り身にする。料理よりも解体の方が楽にできるな。
そこから小麦粉と塩コショウを材料に使ってバターを追加してフライパンで焼く。
適度なタイミングでひっくり返しながら良い感じに火が入ったのを焼き目で確認。
こんがりきつね色になるまで焼いて取り出せば完成。
これを人数分作成して、なめろうも今日釣ったクエストの余りの魚で作る。
味噌とショウガと玉ねぎを持ってないと作れないけどその辺り、俺に抜かりはない。
アルトに頼んで材料の補充は常にしているぞ。
もはや遭難したって料理の調味料は尽きさせない。
ほかにペックルたちが釣ったドジョウで鍋も作ろう。
泥抜きに始まり酒漬けにして塩もみ……結構作業工程が多い。
これだけで結構料理系の技能上昇条件を満たせる。
料理系の専門は大変だ……俺も技能的に結構ギリギリだなぁ。あまり手を出し過ぎるのも器用貧乏になるしほどほどにすべきなんだろうか……。
あとは……。
「よーしできたぞー!」
「もうできたのー?」
そんなこんなで出来上がった料理を皆に差し出す。
ああ、当然ながら米も完備だぞ。
「鍋もあるんですね」
「ペックルが釣り上げていたドジョウを使ったドジョウ鍋だ」
「アメマスのムニエルにーなめろうもある! あ、お兄ちゃんの言った通り、からあげもあるね! からあげ先に頂きー」
「あ、紡殿! そのから揚げは!」
っと闇影や硝子が注意するよりも早く紡はから揚げをつまみ食いする。
「ん? どうしたの? 結構おいしいよ?」
「そ、そうでござるか……違和感はないでござる?」
「う、うん……そうだけどー……」
っと、紡は自身がつまみ食いをしたから揚げがなんであるのかと今更になって確認する。
「ちょっとお兄ちゃん!」
「つまみ食いしたお前が悪い」
「確かに紡さんの行儀が悪かったのは事実ですね……ただ絆さんも幾らから揚げと言っても……」
「鶏肉に似てるって聞いたし、解体した素材で料理出来たから作っただけだよ」
今回作ったから揚げはしっかりとシステム欄で確認すると名前がわかる。
その名もジャイアントパープルトードのから揚げだ。
見た目の細工は出来て、肉部分だけでから揚げにした。骨は外してある。
カエルのから揚げ