Wave of dimensions — страница 60 из 111



「絆さんは釣った魚で作っていましたからね……」

「見ればわかるのに迷わず手を伸ばしたのが悪い」

「全然気づかなかったよ!」

「……」


しぇりるが恐る恐る手を伸ばしてから揚げを頬張る。

それから黙々と咀嚼していた。


「……気にしなければ食べれる」

「好き好んで食べようとは思わないでござるが……」

「水棲系にダメージアップが付く。戦闘前に食べるのも良い」

「こういうゲテモノ枠って優秀な効果が付いてるのっていやらしいよな」

「作ったのは絆殿でござるよ」


ちなみにアメマスのソテーは食べるとHPやエネルギー上限が一時的に増える効果がある。

スピリットの場合、マナの生成にボーナスが掛かるぞ。

粗食も良いが料理はしっかり食べた方が最終的には良さそうだ。

合計なのだが一定量食べると永続的に攻撃力がプラス1とか細かい実績みたいなのもある。

料理も奥が深い。もっと専門的な料理人に作ってもらうのも良いかもしれない。

俺が料理をしない場合のカルミラ島とかだと料理店に金を払ったり食材を持ち込んで作って貰うんだけどさ。


「別に食べたらお腹を壊すわけではないですし、紡さんが証明したので食べましょうよ」

「むしろみんな食べなきゃ嫌だよ!」

「絆殿はから揚げを多めに食べるでござるよ」

「勝手に食ったくせに被害者面するなよ……まったく」

「それじゃあ、いただきましょう」

「いただきまーす」


って感じで俺達は料理を囲ってみんなで食べ始めた。

メインのアメマスのソテーを箸で裂いて一口大にして口に入れる。

ふむ……なるほど、闇影が言っていた通り、焼いた時の感覚もそうだけど鮭と似てる。

ちょっと水っぽい感じがするが……ソテーにしているおかげかそこまで気にならないな。


「この味でござるな」

「鮭は食べたことがありますが、アメマスとはこのような味なんですね」

「……そう。サーモン……薄い。塩……」


しぇりる、塩を振っても塩気は増すがすぐに味は濃くはならんぞ。


「ウナギやカニもよかったけど、これはこれで料理って感じで美味しいね。お兄ちゃん!」

「ふむ……もう少し品質を上げるにはどういった配分と焼き加減で行けばいいか……」


と食べながら分析を行う。


「絆殿はやはり凝り性なのでござるなー」

「そうだね。お兄ちゃん。釣りより料理を専門にしたら?」

「それは出来ない話だな」


料理はあくまで釣った魚の処理と腹を満たす手段であって、このゲームで俺は釣りをメインにすると決めているんだ。

あまりキョロキョロとしているとどっちつかずになりかねないしな。


「昼間の釣りを知ると絆さんの気持ちもある程度わかりますよ。しぇりるさんもわかりますよね」

「ん」


コクリとしぇりるは頷いた。

どうやら昨日の鬱憤は晴らせたっぽいのかな?

で、次はから揚げの試食っと。

カエルのから揚げを口に放り込む。もちろん食事効果は水棲系ダメージアップだ。

湿原の魔物との戦闘をする場合はお弁当にこれを作るのは良いかもしれない。

口に入れて感じる感触は……から揚げ独特の風味だな。それから噛み締めた時の肉の感触……。

鶏肉と似てると言うが確かに殆ど同じ……いや、弾力が多いか?

まあ魔物な訳だし、活発に動いて歯ごたえの良い肉となっているのかもしれない。

結構から揚げとしての味は良いんじゃないだろうか?

ゲテモノと侮るなかれって味だな。


「味は悪くないな」

「そうなんだけどさー気持ち的な問題って言うかさー」

「あ、確かに美味しいですね。魔物の肉も料理に使えるのですね」


硝子も合わせて食べて評価する。


「今度魔物の肉とかで料理類を揃えてみるか?」

「せめて普通に釣った魚で料理してほしいでござるよ」

「そうだねー最悪お兄ちゃん。釣り場がないからって適当な所でルアーを置いてネズミ釣りとかして私達に出しそうだし」

「お前は一体俺を何だと思ってんだ」


ネズミ肉をみんなに食わせるような思考をしてると言いたいのか?

人を異常者みたいな扱いして。


「あり得ない話ではないでござるよ」

「……」


闇影としぇりるの反応が冷たい。

俺は異常者じゃないぞ!


「まあまあ、絆さんも雑草でスープを作ったりしないのですから贅沢は言ってはいけないですよ」

「でも硝子さん、私達一応領地持ちなのに魔物の肉を食べてるんだよ? ちょっとおかしいと思わないの?」

「ゲームとはいえ、魔物さんの命を無駄にしないようにする精神は大切だと思いますよ。過去の殿様も猟をして得られた獲物を領民に配ったなんて逸話もありますし」

「硝子さんもなんかずれてる」

「ジビエ料理という発想があるでござるから……あながち間違いではないでござる。もしかしたら飛び切り美味しい魔物肉があっても不思議ではないでござるよ」

「そもそも河童肉で鍋を食った俺達が今更カエルのから揚げに文句を言ってどうするんだ」

「すっぽん鍋って感覚で食べてたから気にならなかったのにー」


紡もカエル肉で妙に反応するな。


「はあ……もういいよ。気にせず食べることにするー」


そういって紡はパクパクと出された料理を食べ始めた。


「好き嫌いしないのは良いですね」


紡の様子を微笑ましいと言った感じで硝子が見た後、なぜか俺の方を見る。


「ただ……ネズミ肉での料理はやめてくださいね」

「わかってるよ。そもそも食えない料理になりそうでしょ」


こう……ありそうじゃないか。食べると状態異常を引き起こす料理とか。

フグとかまだ釣った事ないけど上手く捌けないと毒で死ぬ料理になりそうじゃないか。

というかフグとか絶対あるだろ。

まだ釣ってないのは俺の遭遇率が低いからなのかわからないけど。


「絆さんには戦い以外で厄介になりっぱなしで申し訳ないです」

「気にしなくて良いよ。俺もみんなと遊べて楽しいし特に何か無かったらあんまり戦わずに行ける範囲でちょこちょこ釣りしてただけだったろうから」


ゲームを始めて最初は第一都市に随分と長い事居たし、そこで儲けてしぇりるから小舟を買って海での釣り……新しい釣り場を求めて第二都市の方へ行く途中で硝子と出会って今までの出来事が続いている。

仮にあそこで硝子と会わずに第二都市に行ったら……きっと第二都市でずっと釣りをしながら適度に釣り場を探していて今みたいな生活はしてないのは間違いない。


「絆さんが色々と気を使って下さるからこうして食事と冒険を楽しめるんですよ」

「このゲームだとお兄ちゃん回りだと飽きないのは間違いないねー」

「色々と出来事が多すぎるでござるよ」

「……そう。でも、楽しめてる」

「そういって貰えると嬉しい限りだよ」


なんて礼をみんなに言われつつ俺達の夕食は過ぎて行った。

こうして食事を終えた俺達は各自、自由行動をすることになり、硝子と紡はロミナとアルトに本日の探索結果を報告するとのことだった。

俺は硝子が気を遣わないようにそっと外出し、自身で対処できる範囲で湿原に戻って夜釣りを行う。

やはり釣りと言ったら夜釣りも大事だよな。

規則正しい生活では釣りを満足に楽しめ等しない。

ランプを片手に釣り場を見繕って釣り竿を垂らす。

今回はカニ籠を設置した湿原入り口周辺での釣りだ。

釣りの仕掛けを変えて今回は素直に針で釣るぞ。ルアー釣りはその性質から釣れる魚も決まっているかもしれないし。

小物とかも狙う。

何が釣れるかなー……。

と、釣り竿を垂らして引っかかるのは言うまでもなく空き缶、それとタイヤと長靴……単純にアイテム名のゴミも釣れる。


「お」


久しぶりにボーンフィッシュが引っかかった。

しかし……一人夜釣りとしゃれこんでいる訳だけど……。


「……」

「釣り中ぺん」


騎乗ペットやペックルがいると寂しさは軽減してしまうのは悲しいな。

ブレイブペックルは帰還させた。

あまり長いこと使ってるとストレスゲージがたまって休眠するからな。


でだ……ランプを地面に置いて光源にしているのだが、騎乗ペットのライブラリ・ラビットを見上げると光源の関係で若干ホラーチックだ。

夜にいきなり遭遇したらびっくりしそう。

移動に便利だから出してるんだけどさ……。


ふと考えたがヌシって釣り場に一種類だけなのだろうか?

少々怖いが今度カルミラ島の水族館で新しい情報が追加されていないか確認するとしよう。


木工



「フィッシュ!」


魚が掛かったので釣り上げる。

ウグイが釣れた。

他にタナゴ……やっぱり仕掛けを変えるだけでも釣れる魚は変わるなぁ……テナガエビなんてのも釣れた。

硝子が言ってた今までの狩場を巡る話だけど今まで行った釣り場も再度釣りに行くのも良さそうだ。

そもそもホイホイとヌシが簡単に掛かってくれている訳でも無いし……ウナギにしろイトウにしろ、運が良すぎたな。

……そういえばフィーバールアーを使ってなかったっけ。

どうしたもんかな……ここで変に使って河童みたいな妙な大物を釣り上げたらシャレにならなそうだからやめておくか。

しかしエビか……カニ漁のついでに引っかかることがあるんだっけ。

エビフライとか作れば紡と闇影辺りは喜びそうだな。

思えば結構な種類の魚が引っかかっている訳だし、寿司も良いな。

川魚じゃおすすめできないけど海の魚をまた釣ったら寿司を作るとしよう。


「フィッシュ」


ジャイアントパープルトードが釣れた。

ここでも釣れるのか……で、カニ籠をチェックするとビッグスラッグの小さいのが掛かっていた。

釣り再開。

ヒョイッと釣り糸を垂らす。

……針に何かが掛かる感覚。


「フィッシュ!」


グイっと竿を上げると魚影からボーンフィッシュと確認。

そう思った所で青白い魚影がボーンフィッシュに突撃して竿のしなりが強まった。


「うお! フィッシングコンボか!」


また大物か!?

ともかくやるしかない! っと力を込めて電気ショックを発動させながらリールを巻き取る。

すると思いの外あっさりと魚が釣れた。

コンボが発生してもヌシとか大物が引っかかる訳じゃないんだったっけ……。

で、魚を確認すると……ゴーストフィッシュ。

魚の幽霊さんでした。

まあ……ソウルイーターも魚だったもんなー。

って感じでゴーストフィッシュを掴むとブニョっと……スライム系を掴むような手触り。

いや、もう少し水っぽいというか手ごたえがない。

辛うじて引っかかってる感じだ。

実体がない的な感じなんだろうか?

ボーンフィッシュは解体とかするまでもない骨だけど……ゴーストフィッシュは解体できるよな。

幽霊になってまで捌かれるってなんか哀れだとは思うけど何事も経験だ。

って事で夜が更けるまで釣りをしてから釣った魚をそれぞれ解体する。下処理ともいうかもしれない。

ウロコに骨、身っと……もう馴れたもんだなー。

あ、アメマスの一夜干しの設置は済んでいるから明日の朝食はそれで良いな。


「今夜はこんなところにしておくか……」


明日も硝子たちと何かするだろうから早めに切り上げるとしよう。

そうして宿に戻る。

自由行動をしているので硝子や紡はもう寝てるだろう。

闇影は寝るのが早いので気にするまでもない。闇を愛する癖に俺たちといると寝るのが早いのは実に不思議だ。

なんて思いながら部屋に戻ろうと宿の廊下を歩いていると……しぇりるが歩いてきた。


「あ、絆……夜釣り?」

「ああ、しぇりるはまだ起きていたのか」

「ん……」


寝つきが悪いとかこのゲームでは存在しないのでしぇりるも何かしらの理由でこんな時間まで起きていたのだろう。


「硝子達が心配するから夜に魔物退治とかはやめておいた方が良いぞー?」


俺の場合は日課みたいなもんだから硝子たちもあきらめているだろう。

するとしぇりるはブンブンと頭を横に振る。


「技能上げ」


そういってしぇりるはスパナを見せてきた。


「ああ、マシーナリーの練習か」

「そう、それと木工」


しぇりるって一応、海女であり船大工だからな。

マシーナリーは船の装備作りから覚えたがっていたんだろうし。


「何か良い物作れそうか?」

「うん」


コクリと頷く。


「明日、ロミナ来る。鉱山掘りするって言ってた」

「明日の予定が決まったのね。俺には連絡なかったな」

「シスター紡が絆はどこかに釣りに行ったんだろうから余計なタイミングでチャット送ると困るだろうって硝子に言って連絡しなかった」


まあ……集中している所でチャットが来ても無視している可能性はかなり高いなー。


「仮に夜遅くまで釣りしてて疲れた絆には休んでもらって良いだろうって」

「いや、明日は付いて行くさ。ロミナが来るなら手伝いもできるし」


一応釣りの欲求は解決出来ている。

今日は硝子も一緒に釣りをしてくれたわけだし、付き合わないのは悪い。

色々と手広くやった方が楽しめるもんな。


「そんでしぇりるは技能上げに何か作ったそうだけど、なんか良さそうな物を作ったりしたのか?」

「うん」


しぇりるは頷いて俺にチェーンソーを取り出して見せる。


「伐採に使える。まだ基礎」

「あー……そうか」


機械系の武器の入り口だろうか? マシーナリーでその手の武器ができるのか、それともロミナにここから強化してもらって完成させるのかはわからないけど難易度の高い代物なんだろう。


「森……木が取れそうだったから性能が高いのを作ろうと思ってる。その技能上げ」

「良いんじゃないか?」

「そう。もう少しやってから寝る」

「そうか……ほどほどにな」

「絆みたいに頑張る」

「俺みたいに?」

「そう」


なんて頷いてしぇりるは行ってしまった。

俺みたいにってどういう事だ?

なんて小首を傾げながら俺は部屋に戻り釣り具の整頓をしてから眠ったのだった。




翌日。

アメマスの一夜干しをみんなに出した所、味が濃くなって美味しかったとの評価が得られた。

それからしぇりるから聞いていた通り、みんなロミナと合流するとの話が通っていて一旦ロミナを迎えに行って湿原へと戻って来た。

現在、俺達は鉱山の目の前に集まっている。

ロミナはツルハシを担いで炭鉱夫をする気の様子で立っている。


「君達も私に付き合わず好きに行動していて良いのだが、本当に良いのかい?」

「はい。ね?」

「うん。色々と素材を集めてロミナさんに良い装備作って貰いたいからね」

「そうでござる」

「何時も助けてもらっているからこういう時くらい、手伝うさ」

「そう……」


みんな割と付き合い良いよなー。


「とはいえ私と硝子さんと闇ちゃんは鉱山の魔物が出てくる区画の調査をする予定だよ」


俺は当然ながら戦闘する方は辞退して今回は採掘班になった。

ハンドドリルを出してギュイインと動かす。


「ドリル!」

「ドリル!」


紡もドリルをもって合わせて叫ぶ。


「絆殿達のそのギャグもお約束でござるな」

「ですね。こちらで得られるものや採掘できるところがあったら掘ってきますね」

「頼むよ。なんだかんだ物資が大々的に欲しい所だったからね。採れる物は出来る限り取ってきてほしい。島の設備などのパワーアップにも使える代物があるはずだ」

「カルミラ島で採れるもの以外でも拡張可能なんだな」

「そのようだよ。アルトくんから聞いて私も確認はしっかりしておいた」


死の商人の虚言に騙されず確認はしていると。


「船……強化に使うのわかる」


この辺りはしぇりるが詳しいから間違いは無いか。


「じゃあ人海戦術で行きますか。ペックルも召喚して良いんだよな」

「もちろん。アルトくんには言ってあるよ」


それなら問題ない。


「ロミナさん、お兄ちゃんに何か鉱石堀で夢中にできるようなことできない? 上手くハマればお兄ちゃんならずーっとやっててくれると思うよ。たぶん、ゲーム開始時に釣りじゃなくて鉱石掘りに関心があったらゲーム終了までやってるだろうし」

「おま……」


なんて事を提案しやがる。


「絆くんの根気に関しては人並み以上なのは知っているよ。何か気に入った要素があれば良いとは思うがね」

「あんまり夢中になりすぎるのも極端すぎて困るのですけどね」

「絆殿の集中力は参考にすべきか非常に悩ましいでござる」

「……そう」

「それって褒めてるの? それとも呆れてるの?」

「どっちもだよ、お兄ちゃん」


まったく、失礼な……俺だって付き合いくらいするぞ。


化石



「ここの鉱山にも地底湖みたいなのがあるかな?」

「あったらまた泊まりで釣りするでござるか?」

「カルミラ島みたいな時間操作がある訳じゃないだろうからなー……さすがにそこまで粘りはしないぞ」


俺だって節度くらいは守るわい。


「あったら教えますけどほどほどにしてくださいね」

「ほーい」


って感じで俺達は揃って鉱山に入り、二組に分かれて鉱石掘りを行うことにした。

ペックルたちも呼び出して鉱山内で採掘だ。

ドリルでギュイイイイインっと掘れるポイントに向かって採掘を行い続ける。

なんだろう。渋い顔というか重労働をしているような濃ゆい顔つきをしたくなるなー。

ゴロっと出てきた鉱石を拾って収納しては採掘を続ける。

魔法鉄鉱石に宝石類の原石、火石なる属性装備の材料などゴロゴロ出てくるぞ。

もちろん品質なんかもあって素材に拘ったらキリが無さそう。


「ドリル!」

「たまにはこういう作業もして、いかない、とね!」


ロミナがガツっとツルハシで採掘ポイントを砕いていく。

ドリルはドリルで優秀だけどツルハシも負けない代物らしい。


「しぇりるくん。ここの鉱石を使えばかまどの強化は出来ると思うかい?」

「うん」

「かまどの強化?」

「ああ、カルミラ島の鍛冶場は中々良い設備なのだが、新しい素材群を加工するには出力が足りないのが私の技能でわかってね。設備強化をもっとしなければいけないのだよ」

「へー……」

「だから結構な量の鉱石や金属が必要なのさ」

「ああ、だから今回の採掘にロミナが来た訳か」

「そういう事だね。その場で品質の良い鉱石の見極めもできる。まあ不要な鉱石でも使い道があるからいくらあっても困らないのだけどね」


なんて言いながらロミナは掘りだした鉱石の選定をしている。


「絆くんはどんどん掘り進めてくれて結構だ」

「シールドエネルギーが赤字になりすぎない範囲でやるよ」


定期的に回復するのを確認しながら無理のない範囲での採掘を俺もしている。

そうして掘り進んでいくと……ゴロっとなんか見慣れない鉱石というか塊が出てきた。


「なんだ?」

「ジオード?」


ジオード……晶洞という、鉱石類の鑑定が必要なアイテムの名前だ。

ロミナは鍛冶師だからアルト以外でジオードの鑑定ができる。もちろんこのジオードの中にロミナの望んだ代物とかが入っていたりする。

だが、俺が見つけたのはジオードとは異なる岩の塊だ。


「なんだこれ?」


何かの化石? と記された塊が出てきた。


「ああ、化石の塊だね。ここでも出てくるんだ」

「化石なんてあるんだ」


こういう代物もあるんだなー。


「そのようだね。ちなみに他にも発掘品と呼ばれる代物が出てくることが確認されているよ。ほら、タイミングよく出てきた」


そういってロミナは俺にポイっと小さな金色の飛行機みたいなものを投げ渡してくる。

黄金スペースシャトル

という名前の……なんだこれ? 何かのアイテムなのか?