Wave of dimensions — страница 62 из 111


「恐竜の肋骨の骨の一本とか小さいのだと虚しくなりそう」

「そこはー……現地で掘り出すとかバラバラだけど一か所ずつ見つかるとかではないでしょうか?」

「その辺りも検証する楽しさがある。クリーニングする時は小さいけど掘り出した途端にドンって可能性もある」


ブルーシャークがそれだったしなー……港であんな大きな鮫が釣れたこと自体が不思議だろう。


「どうなるか楽しみです。ただ……全部がいきなり出てきたら凄そうです。恐竜は大きいので」

「さすがに頭とか胴体とかパーツ分けされるんじゃない?」


鑑定した途端、ドン! と大きく部屋を埋め尽くされたら困る。


「ところで……ドリル音が響いてましたね……闇影さんが起きて無いと良いのですけど……」


硝子が気になったのか部屋から出て様子を見に行った。


恐竜の化石

よし、今のうちに二個目に挑戦。

と、二個目にドリルをゴリゴリとやっていると硝子が戻って来た。


「絆さん。二個目をやっているんですか?」

「うん。闇影が来るまでーって思ってやってた。やっぱ怒ってた?」

「いえ……部屋の外では特に物音はしませんでした。絆さんが二個目をやっていたなんて気づきませんでしたよ」

「どうやら個室から音漏れはしないみたいなんだな。何かしらの条件付けないといけないって事か」


思えばカルミラ島の開拓時にロミナが鍛冶場でカンカンしていたけど、俺達は気にならなかったもんなー。

騒音的な嫌がらせ対策をゲームで処理しているんだなぁ。

逆に気づけないけどさ。


「……えっと、そういえば前に絆さんが船で寝ていた時に私たちも騒いでいましたけど起こしたりしてませんでしたね」


ああ、懐かしいな。もう随分と前の話だな。

紡が死の踏み切り板に落とされそうになったのと、硝子の元仲間たちとのやり取りの時だったか。


「俺が図太いとか眠りが深いから気づかなかったって可能性があったけどな」

「騒音にならない範囲なら聞こえるのかもしれませんね」


闇影がアルトを見つけたときは船の部屋でも聞こえたからなー……本当、条件はよくわからん。

起きているなら聞こえるって事なのかもしれない。


「闇影を起こしたなら夜釣りに行くかと思ったけど、それなら気が済むまでやっておこう」

「分かりました。じゃあこれ以上邪魔したら悪いので行きますね」

「おう」


って感じで硝子は部屋を出て行き、俺は8個目のクリーニングが終わった頃に朝釣りに備えて就寝するために集中を解く。


「やはりというか恐竜の化石とかもあるんだな」


なんの恐竜かはよくわからないけど頭蓋骨と首までの化石が出てきた。

たぶん歯が鋭いので肉食恐竜だと思う。ただ、頭蓋骨の大きさからして小型だな。

なんか他のゲームとかで見た事あるような気がするなぁ……。

鑑定できてないけどディノニクスとかその辺りじゃないかと思う。

何個か連結することで全部集まる感じだろう。

こっちもロミナに渡したら何か装備にしてくれるんだろうか?

何となくもったいない気がしてしまうなぁ……NPCへの売却額とかも気になる。

なので試しにNPCに幾らで売れるか聞いたら恐竜の化石は3000セリンで買い取ってくれるっぽかった。

高いような安いような……どの程度なんだろう。島主になってから扱う金額が大きいからよくわからなくなってきてしまった。

アルトに後で確認を取るとしよう。

化石って装備の素材に使えるって話だからプレイヤー間での売買の方が高値になるかもしれない。

他に葉っぱの化石、アンモナイトの化石だ。

リコプテラの化石が2個だな。

ともかく……そこそこ楽しめる他の趣味って感じだな。


「さてと、朝釣りに備えて寝るか」


こうして整頓を終えた俺は化石と機材をアイテムストレージに収納してベッドに入って就寝し、早朝に朝釣りへと向かったのだった。




それから二、三日は似た感じで採掘と釣りを繰り返しロミナ達の物資調達に貢献しつつ化石を集めてクリーニングを行い物資が十分に集まった所でカルミラ島へと帰還することにした。

紡や闇影達はその日その日でクエストを受注して色々と回っていたようだ。

俺も時間を見て硝子に連れまわされて一定の魔物退治に参加させられたぞ。


「島に戻ってきたでござる」

「物資も集まったみたいだし、早く装備の更新したーい」

「わかっているよ。そう急かさないでくれ」


必要分の確保が済んだ所ですぐに物は送っていたので俺たちが到着する事には既にロミナの使っている作業場の設備の拡張は済んでいたようだ。


「うん……前よりも精製することのできる素材が増えているね。より強力な素材や装備が作れるようになったのは間違いない」

「そう」


ロミナとしぇりるが揃って作業場で作れる代物のチェックを行っている。


「絆くんたちが手に入れた素材も含めて……作れる物が多くて目移りしてしまうね。まずは何が欲しいかい?」

「新しい鎌ー!」

「新しい魔法具でござるー!」

「インゴット……鋳造お願い」


紡と闇影としぇりるが声を上げてリクエストをする。


「はいはい。二人はそれで良いんだね。作れるものの中で良さそうなのを探しておくよ。しぇりるくんは私に鋳造をして何か作りたいみたいだね」

「そう……やりたいことがある」


ロミナはそういうと俺と硝子へと顔を向ける。


「二人はどうするんだい? 特に絆くんはヌシ素材を手に入れているんだ。ウナギにイトウ……他にもチョコチョコと変わった素材まで手に入れてくれているからできる限り注文に応じるつもりだよ」

「まずはロミナの雪辱戦であるエンシェントドレスで良いんじゃないか?」

「そこは補修みたいなもんだから気にしなくて良いさ」


ふむ……となると今度は何を作って貰うかなー……。


「武器を作るとして冷凍包丁より性能が高いのとか作れるのか?」

「ちょっと待ってくれ……うーん……少しばかり劣る代物になりそうだよ。ただ、解体にしても適した刃物という意味で作っても良いだろうね」


確かになー……。


「そういえば勇魚の太刀が白鯨素材で何か作るって前に言っていたけど、どうなっているんだ?」

「ああ、そっちもあったね。ちょうど今回の鉱山で足りない素材を見つけられたよ。一応、勇魚の太刀Ⅱとか強化はしていたのだけど……大々的に強化ができるよ。白鯨の太刀<モビーディック>という名前の代物にまでなるね」

「性能は?」

「冷凍包丁より速度は落ちるけど一撃の威力は高いだろうね」

「んじゃ俺はそれで良い。エンシェントドレスがある訳だし、波の大ボス素材はそれだけ高性能なんだろうさ」


冷凍包丁の軽い戦い方も悪くないけど、鯨を切る鯨包丁である勇魚の太刀のパワーアップも悪くない。

片手剣が冷凍包丁とするなら大剣が鯨包丁って感じだ。

白鯨の太刀って奴でブラッドフラワーを使ったらエフェクトもやっぱり派手になるのかな?


「そうそう、料理をする時のお供として鉄の牛刀も出してついでに渡してくれ、魔法鉄の熱牛刀に強化しておくよ」

「切ったその場で肉が焼けそうな名前でござるな」

「その辺りは解体時に設定すれば焼かずに捌けるぞ?」

「そうなのでござる?」


実はそういった効果もある。属性武器の性能故に使えないってのをある程度は補正できるわけだな。

ともかく、料理によく使っていた鉄の牛刀もロミナに渡してっと。


「俺の装備は十分だから残りのヌシ素材はみんなに使ってほしい所だ。もちろん釣り具とかにしてくれるなら万々歳だけど端材で作れるみたいだし……」


本格的に釣り竿の強化とかできるならしたい。


「じゃあどうしようかね。しぇりるくんの銛は既に強化済みだし硝子くんのも十分……そろそろ闇影くんの装備に手を付けようか」

「河童装備があるじゃん」


着ぐるみだけど闇影の新たな象徴となりえる装備だ。


「その喧嘩買うでござるよ!」

「冗談だって、そうだな……闇影に何か作って貰うのは良さそうだ。何が作れそう?」

「オレイカルスターファイアブレスレットが突き抜けて強力な代物だからねー」

「これはアクセサリーでござる!」


ああ、すっかり忘れてたけど闇影が使っているのはブレイブペックルに作って貰ったぶっ壊れアクセサリーだったっけ。

武器だと勘違いできるくらいに闇影の攻撃力を引き上げてくれている。


「そうだったね。そもそもブレイブペックルのストレスゲージに気を付けて貰えば複数確保できるのだからみんなの分を作らせるのが良いだろうね」

「まだ型落ちしてないのか」

「一応同程度のアクセサリーは作れるようになってきているさ。闇影くんにはミラカシリーズを装備して貰っているからね……手甲型の杖装備が闇影くんの好みだから……魚鬼手甲というのが作れるね。それと魚鬼の忍び装束辺りでどうだい?」

「魚鬼って事は硝子が引っかけたヌシ素材だよな……硝子、良いのか?」


むしろ引っかけた硝子の装備品にしてもらえたら良いと思ってた。


寄贈



「良いでござるか?」

「闇影さんもそろそろ装備を切り替えたいですよね。私は問題ないですよ」

「ありがとうでござる」

「了解。強化派生とは別系統だからミラカ装備はそのまま着ていてくれて良いからね」

「じゃあ硝子くんはどんな装備が欲しいんだい?」

「そうですねー……強度の強い糸……を作ってくれないでしょうか?」

「糸かい?」

「はい。絆さんと一緒に使える釣り糸を作ってくれると助かります」


ああ、硝子はヌシ釣りの時に糸が切れちゃった事を気にしているのか。


「絆くんの分も合わせた釣り糸だね。丁度良いから絆くんの釣り竿も一緒に作ってみるとしようか……釣り竿はヌシウナギ、武奈伎骨の釣り竿という名前になるようだよ。糸は……魚鬼で作れそうだ。釣り針も一緒に作るとしようか」

「よろしくお願いします。となると絆さんの今使ってる釣り竿はどうなるのでしょうか?」

「ああ、大鯰の釣り竿だね。素材に使わないから大丈夫だよ」

「絆さん。まだ大鯰の釣り竿を使いますか?」

「仕掛けや性能次第としか言いようがないけど……」

「なら私に貸していただけないでしょうか?」


そういや硝子が使っているのは俺のお古の釣り具で特に目立った性能の無い奴だ。

ここで俺が愛用していた大鯰の釣り竿を使いたいと……。

まあ、硝子になら貸しても良いよな。新しい釣り竿を用意してもらえるわけだし。


「良いよ。これで良いの?」

「ええ」

「ロミナ、要石の扇子が強化出来たんだからこっちも強化とかできない?」

「魚鬼の端材でできるよ」

「じゃあついでに頼む」

「わかったよ。それじゃあ作業に取り掛かるから出来上がったら呼ぶから来てくれ」

「了解」


という訳でロミナは俺達の装備作成に入ったのだった。


「強化したら私の持っている方が強力になってしまうのでは?」

「そこは竿の性質に差があるようだよ。絆くん用に作る竿はしなりが良くて、大鯰の釣り竿は力強さと素直さがあるっぽい」

「甲乙つけがたいのですね」

「硝子用にするなら素直なタイプの竿が良いと俺は思うな」


まだ硝子は釣り竿に関しちゃ入門したばかりなんだし、癖の強い釣り竿を使って妙な癖を持っては元も子もないだろう。

そもそも硝子には大鯰装備を使って貰っている手前、竿も大鯰だと一式そろえている感じがして良いだろう。


「ついでに白鯨骨のルアーも貸そう」

「何から何までありがとうございます」

「良いの良いの、硝子は俺に付き合ってくれているんだから」


他の連中は全然興味を持ってくれないけど硝子は俺の釣りに関して興味を持って一緒にやってくれているんだし、初心者には丁寧にしないとこの手の界隈は衰退しかねない。

「はい」


そんな訳で俺の釣り竿とルアーを一部硝子に貸した。


「ところでお兄ちゃん。そろそろ私の装備もお兄ちゃんが釣ったヌシでほしいなー」

「ロミナに色々と作って貰っておきながらまだ欲するか妹よ」

「だって闇ちゃんも作って貰うとなると、この中でヌシ由来の装備持ってないの私だけじゃん」

「自分で色々と強化して回っているくせに言うなー……」

「紡くんの場合は作成した鎌が十分高性能だからね……あまり性能に差がないよ。精々絆くんと同じく白鯨素材の鎌を作れるけどその前提である勇魚鎌をしばらく使って馴染ませないといけないね」


ああ、お祭りをやっている中継街の金魚釣りで手に入れた素材でも作れる鎌かな?


「少しばかり性能が頼りないが使いこむのを前提にやるかい?」

「うーん……」

「紡の場合、鎌で草刈とかすれば使い込んだって条件は満たせそうだよな」

「えーやだよー! 私戦いたいもん」


草刈りを否定するとは何たる不届きものか……。


「絆くんに化石のクリーニングを頑張って貰って恐竜の化石から作れる恐竜骨の鎌なんてのもあるよ。もしくはエンシェントシックルとかも手だね。攻撃力は近い鎌になる」

「じゃあそっちで、お兄ちゃんおねがーい」


ヌシ素材製の武器が欲しいんじゃなかったのかよ。

全く……単純な妹だ。


「絆さんに甘えているんですよ。かわいいじゃないですか」

「そうかー?」


妹なんて面倒くさいだけだぞ。


「まあ……また化石を掘って行けばできなくはないか……」


いろんな化石が出てくるしコレクションするなら少なくとも1個はキープしておきたい。

素材として使っちゃうわけだしな。観賞用に欲しい。

紡には戦闘面で活躍してほしいから……まあ、良いか。


「じゃあロミナが武器を完成させるまで何をするかね。無難に俺は島主クエストと設置したカニ籠の回収と設置でもしてくるか……?」

「随分と続けるでござるな……」

「まあなーとは言っても加工業務はアルトが子飼いにしている知り合いに丸投げもしてるぞ」


カニポーションに始まり、カニ料理、カニ装備とこの辺りの品々は副産物だ。


「ただ、必須でやる事でもないな」


アルトに在庫を聞いてからでも良いだろう。

この前の漁で在庫はまだ十分確保されているはずだ。


「武器が出来たら第一と第二都市へのエネルギー上限突破、条件解除巡りですね」

「そうだなー釣り場のチェックも忘れないぞ。水族館もチェックしておくか」


元々硝子も言っていたし、あっちの釣り場の確認もしたい。


「水族館ですか、話には聞いてましたが行ってませんでしたね。皆さんで行きませんか?」

「絆殿が確保した魚が網羅されているのでござるな」

「俺だけじゃねえよ。確かに俺が寄付した魚とか多いけど」

「寄付をプレイヤーができるんだったね。見に行ってみよー」


そんな訳で俺達は作業場にロミナとしぇりるを置いて、アルトと合流前に水族館へと向かった。




水族館は島主である俺達はフリーパスで入場できるのでそのまま中に入って色々と見て回る。

そういや硝子と一緒に水族館を回りたかったと思っていたっけ。


「魚がいっぱいーこれって全部プレイヤーが寄贈した奴なの?」

「一応そうなっているな」

「凄いですね。私も新しい魚を釣ってこの中に名を入れたくなってきます」


硝子が水槽の魚に目を向けながらつぶやく。


「新しい釣り場で釣った魚を寄贈したから……淡水魚なら出来ると思うぞ」

「そうなのですか?」

「ああ、入り口にいるペックルに寄贈出来るそうだぞ。一応城の玉座からでもできるな。だから硝子、アメマス辺りを寄贈したら名前が載るんじゃないか?」


少なくともアメマスはあの湿原が初めて釣れる場所だろう。となれば今寄贈すれば寄贈第一号として硝子の名前が載るのは間違いないはずだ。


「なるほど……ですが絆さんはよろしいのですか?」


アメマスを硝子に渡すと硝子は申し訳なさそうに答える。


「ああ、別に俺は名前を載せることに拘っている訳じゃないから、硝子がやりたいなら譲るさ」

「ありがとうございます。では記念に寄贈させていただきますね」

「あ、お兄ちゃん硝子さんにだけずるーい」


ここで妹が抗議をしてきた。

うるさい。お前はずっと狩りばかりしてて釣りなんて微塵もしてないだろうが。


「紡殿、拙者たちは釣りをしてないでござるから我慢でござるよ」

「カニなら寄贈しても良いぞ。名前は載らないと思うが」

「ぶーぶー!」

「あの……」


硝子が気を使って紡と俺を交互に見ている。


「気にしなくて良いからほら、早めにな」

「はい」


そうして硝子が入り口のペックルにアメマスを寄贈しに行き、無事アメマスが登録されたので淡水魚のコーナーに確認しに行った。

するとアメマスがしっかりと水槽で泳いでおり、寄贈者に硝子の名前が記されている。


「これは……なかなか素敵な事ですね」

「硝子が喜んでくれるなら嬉しいな。俺の知らない釣り場とか見つけて釣った魚を登録とかしても良いからなー」


釣り人仲間であると同時にライバルを俺は求めている。

硝子は俺に合わせて釣りを覚えてくれたのだから高め合いたいのだ。


ヌシイトウ



「次は……そうですね。未知のヌシを釣り上げて登録するのを目的にしましょうかね」


くすっと硝子が冗談めいた笑いをする。


「おう。こっちも負けないぞ」

「はい」

「ところで思ったでござるが……絆殿、魚以外も登録されているでござるな」


言われて今まで通過したコーナーを思い出す。

そういえばラッコ型の魔物とかも登録されていたっけ。


「魔物が釣れることは多々あるからな、フィッシングコンボとかでそのまま収納してもって来たんだろう」

「釣れるものは何でもいいのでござるな」

「お兄ちゃん。河童とかも登録できるのかな?」

「そっちはー前に島に立ち寄った際に水族館に行ったときに俺が釣った扱いで登録されたんじゃなかったか?」


と、淡水魚のコーナーを進んでいくと悪行河童が水槽内を泳いでいる所を見つけた。


「河童の居る水族館……シュールな光景でござる……」

「釣り上げると戦闘になるから収納不可扱いで登録だけされるんだろうな」

「他にも種類が居そうだね」

「そうだなー今度探してみるのも良さそうだ」


あの渓流じゃそんなに釣ってないしなーとはいえ、あそこで釣った新種はしっかりと登録済みだぞ。

結構この水族館の寄贈者の名前は俺だし。

鮭がどこで釣れるかの確認もしないといけない。

前線組が既にミカカゲの渓流を通過しているから釣り技能持ちが登録に来ていてもおかしくないはず……なんだが登録されてないな。

あんまり前線組に釣り技能持ちは居ないのか? まあ……渓流は釣り辛い場所だしな。あそこ魔物の出現率高めだし。

そうしてまたもヌシのコーナーに確認に行く。


ヌシウナギ

ミカカゲの宿場町沿いの川に生息するウナギの主。

もうすぐ徳を積んで僧に至る所を釣り人に釣られてしまった哀れな存在。

生息地 ミカカゲ・宿場町の川


……これってどうコメントすれば良いんだ?


「絆さん。私たちっていけないことをしちゃったのでしょうか?」

「いや、さすがにそれは無いだろう。単純に釣っただけだし」

「岩魚坊主の亜種設定のヌシでござるな」

「なんだそれ?」

「色々とバリエーションがあるでござるが、要約すると釣り人、もしくは漁師が川で釣りをするか毒を撒いて魚を得ようとしている所に注意をしに来る坊主がいるでござる。その坊主に食べ物を奢ってその場から去って貰うでござるがその後、釣り上げた大物の魚の腹から奢った食べ物が出てきたという話でござる」


闇影ってなんていうか……こう、物語関連の造詣が随分と深いよな。

白鯨も知っていたし、白焼きも知ってたし……知識は豊富だ。

ただ、パーティーの頭脳担当になれないのは本人の行動の所為か。

リーダーシップは取らないもんな。

しかも慣れていない相手に対しては本人の言う通りコミュ障気味だし。


「岩魚坊主って事はイワナが大本か」

「有名なのは岩魚でござるが亜種としてウナギがあるでござるよ。地域によって変わる話でござるな」