「つまりこのヌシウナギはもうすぐ僧……鰻坊主に成れたけど俺に釣られてしまい成れなかったって事ね」
後味わる!
なんか俺が全面的に悪いみたいな扱いじゃねえか。
「とても悪い事をしてしまいましたね」
「絆殿が橋の下に大量に罠を設置していたでござるから岩名坊主……ウナギ坊主が出てきて注意しても何ら不思議ではないでござるよ」
「シチュエーションはぴったりな訳だね!」
やかましいぞ!
「残念ながら俺に坊主は注意して無いし飯を奢ってないから無効だ!」
「そうなる前に釣り針に掛かっちゃったわけですからね……良いのか悪いのか……」
「逆に考えるとこれってつまりこのヌシ素材って魔法系、特に回復系の装備にすると良いって事だよね」
「紡さん……」
空気を読まない妹の効率的な推測。
そうだよなー僧になれなかったって文面から考えると僧侶系の装備素材にしたら良いってヒントになっちゃうよねー。
「ゲーム感覚の闇でござるな……とはいえ、絆殿が釣らなかったら魔物化して戦う可能性もあったかもしれないと思えば事前に阻止したとも思えるでござるよ」
「悪い魔物なのですか? 僧という事は聖職者であるのですよね」
「……」
闇影が硝子のセリフに沈黙してしまった。
「硝子、あんまりその辺りは気にしちゃだめだと思うぞ。そもそも誰かが釣って、このテキストが水族館に登録されるわけだしさ」
「そう……ですよね」
「しかし……岩名坊主か。渓流の主とかヌシイワナとかだったりして似たような説明文で出てきそう」
「否定できないでござるな。他にヤマメ、沿岸部でタラなどを拙者は聞き覚えがあるでござる」
ヌシヤマメとヌシタラが居たらこの亜種である可能性があるのを心に留めて置こう。
「ロミナさんに確認に行く? 回復系の装備にした方が良いのかって」
「それでもいいが、一番の問題は俺たちの中でヒーラーがいない所だろ。闇影が代理ヒーラーだから注文する武器を変えても良いが」
と、闇影に視線を向けると闇影がブンブンと首を横に振る。
「拙者はドレインがメインでござって回復は必要に迫られない限りはしないでござる」
「闇ちゃんの回復、そこまで上位のスキルじゃないもんね。魔力高いから回復量多いけど」
俺達の中で魔法担当は闇影だもんな。
思えば俺達の中でヒーラーが居ないのは大分負担になってきているのではなかろうか。
「よし、アルト辺りをヒーラーとして育てるか」
「無理強いはしちゃいけませんよ」
「守銭奴のヒーラーは嫌でござる!」
「回復量でお金請求されそうだよねー」
確かに……アルトってなんかそういう事やりそう。
ただ、古きMMOでは回復でお金をもらって小銭を稼いだりする事もあったと聞いた覚えがある。
僧侶系が瞬間移動系のスキルを所持しており、遠い町や狩場などへ行けるスキルを所持していたとかで、転送料金を受け取って送り出したりとか。
「ある意味アルト向きだとは思うけどな」
「絆殿はアルト殿にヌシ素材の装備を預けたいのでござるか?」
「嫌だなー……アイツ、値の付くものなら何でも売り飛ばしそうだから預けた所で無断で売るのが関の山だろ」
アイツの無断販売は数えたらキリがない。
後で売買した金を渡せば良いと思っているんだ。
金銭的な事での信用はしても良いけどせっかくの装備をアルトに渡すのは愚か者がすることだな。
「アルトさんの信用の無さが悲しいですね。ある意味信用しているともいえるのかもしれませんが」
「ま、無理にヒーラーを探さなくても良いさ。俺達はエンジョイで楽しんでいれば良いわけだししばらくは闇影に回復をしてもらえば良いさ」
「あんまり頼りにしてほしくないでござるよ」
「闇影さんは魔法で貢献してますからねー」
「まあヌシウナギ装備に関しちゃ気にしない方向で良さそうだな。次に釣ったヌシイトウを見てみよう」
と言う訳でヌシイトウを確認。
ヌシイトウ
ミカカゲの湿原に生息するヌシイトウの分身にして断片。
本体はシカや人さえも呑み込めるほどの怪魚であり湿原の中で息づいている。
生息地 ミカカゲ湿原
「こっちはなんていうか……分身って不吉な感じだな。それでもヌシ扱いか」
「他にもいる感じでしょうか?」
だからこそすぐに引っかかったって事なのかな?
「っぽいなー……いずれ本体とやらを拝んでみたいもんだ」
「魔物枠だったりしてね」
「ありえるでござるよ。ただ……出てきたら絆殿の餌食になる未来が見えるでござるな」
「お兄ちゃん。魚には容赦ないもんね。白鯨も釣り上げたし」
「褒めてもこれ以上は出ないぞ。むしろこれは硝子が引っかけたんだから俺に責任を持たせるなって言うの」
「また釣れるのでしたらいずれ再挑戦して私一人で釣り上げたいですね」
硝子もやる気に満ちた感想を述べてるぞ。
「分身だからいずれまた釣れるのかもな。それまでに腕を磨いていこう」
「はい」
なんかウナギの時よりあっさりと話が済んでしまった。
一応、ウナギよりも釣り辛いヌシだったし、解体もきつかった。
素材性能はこっちの方が上だろうな。中級王者って所は同じだけどさ。
釣りギルド
「さて……じゃあこれから次の釣り場がどこにあるか俺がしっかりと確認しておくからみんな自由に見ていてくれ」
「ねえねえお兄ちゃん! イルカショーとか無いのー?」
「アルトに聞け、もしかしたら催しを設定してるかもしれないぞ」
問題はイルカはまだ寄贈されていなかったはずだ。
そもそもいるのか? イルカとか。
魔物枠なのかはたまた……。
「ペックルのショーとかならありそうだな」
「ペックルは見慣れてるけど一度は見たいような気がするね」
やはり輪っかくぐりとかするのだろうか? ボール遊びとか?
「さすがにゲームとは言えそこまで運営も想定して作っているでござるか?」
「島まで1プレイヤーに管理を任せる運営だぞ。無いと言い切れるのか?」
家庭用ゲームのシチュエーションならともかくVRMMOにこんなのをシステムを内蔵した運営だ。
何があっても不思議じゃない。
「確かにそうでござるな。ただ……館内の案内図にショーをするためのコーナーが無いでござるよ?」
「無いのか。その辺り増築できるんだったら後でさせるか、図書館の蔵書が一部こっちに移っているそうだから小さな図書コーナーはあるはずだぞ」
「休憩コーナーにあるようでござる」
「じゃあ後でそこで集合な。じゃあ各自楽しんでいてくれ」
と言う訳で俺は入り口からしっかりと第一都市周辺と第二都市周辺にあるらしき釣り場のチェックを行った。
「そういえば……」
釣り場チェックをしていた俺はついでにヌシのコーナーに行って新しいヌシが登録されていないかを確認する。
すると……。
「く……」
とあるヌシの箇所で思わず悔しさに言葉が漏れてしまった。
ヌシクロダイ
ルロロナ側のミカカゲ港に長年生息するクロダイの主。
若かりし頃は無数のメスと交尾をして子供を作り、年齢を重ねて性転換した後は無数のオスと子供を設けた港のクロダイたちの親玉である。
生息地 ミカカゲ港
なんか変な説明文というか気色悪い説明が入ってるな。
コレ、クロダイにおける本当の話なんだろうか?
ともかく……おのれ、釣れる機会があったはずなのにブルーシャークを釣った所為で浮かれていた。
そうだよな。ブルーシャークは神出鬼没のヌシでこっちは生息地固定のヌシなのだから当然だ。
できれば俺が釣り上げたかったが……他の奴に釣られてしまったのならしょうがない。
コンプリートを目指している訳じゃないけど、復活周期が判明したら釣ってやる。
決意を固めるのはこれくらいにして……そういえばクロダイって性転換する魚だったか。
「あ、あそこにいるの絆ちゃんじゃね?」
「ヌシコーナーでなんか見てるぞ」
「クロダイみたいだな、性転換……絆ちゃん、自身と重ねてみてるんじゃね?」
「なんか興奮してきた」
おい来場者、お前この前のイベントでも俺の事で気色悪い話してただろ!
ストーカーか! しかも興奮すんな!
あんまりここで絡むと碌な事にならない。
別のヌシなんかの情報も更新されていないかチェックをして……その場を去ることにした。
そうして情報収集を終えてロミナの所に行くとみんな集まっていた。
アルトもいるようだ。
「やあ絆くん。硝子くんたちから聞いていたけど第一や第二の方に戻るんだってね」
「技能向上のために色々と回ろうって話になってな。装備とか色々と潤沢だからそこまで時間はかからないと思うぞ」
「まあ指定された数をこなしていくんだろうからね。そろそろ次の波が発生するんじゃないかって噂も出ているし、ミカカゲの最前線で最終調整をするか行ってない所を回るのが無難だね」
って所でアルトが軽く咳をしてから、なんか気になる目線で尋ねてくる。
「ところで水族館のヌシコーナーで絆くんが悔し気にしていたという雑談が僕の耳に入っているのだけど」
「え? 絆さん、何かあったんですか?」
「いや、大したことない。むしろそいつら俺に謎の興奮してる変態共だから!」
「変態なのは否定しないね。君のファンなんだからさ、彼らは」
うへ……アルトに言われると嫌だなぁ。
俺に興奮する変態共め!
「迷惑プレイヤーですか?」
「そこまでの事はしてないよ。あくまで絆くんを見かけて遠目で愛でていた者たちさ」
「はぁ……」
ピンと来ないと言った様子で硝子が首を傾ける。
「私とお姉ちゃんの自慢の力作だもんね!」
「外見もあるけど絆くんのキャラクター性なんかも好感を持たれている所みたいだよ。第一都市の港でずーっと釣りをしていたとか最初の波で貢献していたとか、白鯨を釣り上げていたとか色々とね」
「絆さんが好まれているのは分かりましたが、その方々に不満で悔し気にしていたのですか?」
「違うって」
まあ俺に興奮されるのは気色悪いんだけどさ。
「では一体……」
「いや、ミカカゲの港でヌシを釣れずに他の人が釣り上げちゃって先を越されたなーって見てただけさ」
「より希少なブルーシャークのヌシを釣り上げておきながら悔しがるのはどうなんだい? おそらく絆くんが中継街で釣り上げたヌシウナギと似たり寄ったりの素材が解体で得られる位だと思うよ」
「別に素材目当てって訳じゃないって。ちょっと悔しいなーって思っただけ」
思えばヌシなんてそうポンポン釣れる相手じゃないし、チャンスはそこに釣り糸を垂らした者すべてにある。
硝子がヌシイトウを引っかけたみたいにさ。
「再出現の周期がどんなもんか次第だけど俺も釣りたいもんだなって思っただけさ」
「その辺りの情報……ちょっと時間が掛かったけど、幸い聞き出すことは出来たよ」
「おお、わかったのか?」
「まあね。同じ主を釣った事があるプレイヤーからの話だと一週間という話が出ているよ。もちろんバラツキがあるけどね。この辺りは運が左右するから確定ではないけどね。ただ、見えるタイプのヌシを元にした証言だから安心して良い」
「そうなのか。見えるタイプというとヌシナマズみたいな奴か」
釣り針に引っかかるまでわからない奴もいるけど、固定出現って感じで見えるヌシもいるんだろう。
「再出現、思ったより時間かかるんだねー。フィールドボスとか6時間周期だったりするのに」
「あくまで釣りは魔物退治と違うからなー……しかし、よくそんな情報仕入れられたな」
「とある縁で釣りギルドの者たちと話ができるようになってね」
「釣りギルド……いいな。俺も掛け持ちで釣り仲間が欲しいぞ」
俺の言葉にアルトが返答に悩むかのように眉を寄せる。
なんだ? 何か都合が悪いのか?
死の商人が何かやらかしていないか不安になってきた。
「紹介することはできるけど、絆くんは嫌がるんじゃないかなー」
「どういうことだ?」
「この前ギルド名を一新した所だそうで、その名前が『絆ちゃんとアクヴォル様ファンクラブ』というんだよ」
「おい! 何勝手に人の名前を使ってんだ!」
肖像権とかそういう前に本人が許さないぞコラ!
つーかこの前の魔王軍侵攻イベントでのチャットでの冗談を実行に移したのかよアイツ等!
「ちょっと待てアルト、まさかと思うが俺が悔しそうにしていたって情報……」
「正解だよ絆くん。彼らがその所属メンバーさ」
うへぇ……マジでお近づきになりたくない。
「とはいえ、なんだかんだ割と真面目に釣り関連のギルド活動をしているようだよ。第一回目のギルド活動は絆ちゃんの始まりの地と称した、第一都市の港でのヌシニシン釣りだったそうでメンバーで釣り場巡りに行ったそうだから」
釣りをしながら色々と情報交換をするのが目的……っと。
俺の名前を使ったスキル縛りギルドかよ。
面白い事やってるじゃないか。
というか始まりの地とか言っているけど、釣りに限らずプレイヤー全員、あそこが始まりの地だろう。
「せめてギルド名をどうにかならんのか」
「ゲームシステム的なハラスメントにはなっていないんじゃないかな」
「絆さん……嫌ですよね」
「ネットアイドル絆ちゃんだね、お兄ちゃん!」
「中身男とわかっているくせになぜそこまで……」
いや、まあ、ネット文化ってそういうノリと勢いな所があるけどさ。
俺のファンを自称する連中が出てきたことに気色悪さが……確かにそいつらと情報交換なんてしたくない。
白鯨の太刀
「絆殿……仲間でござるな」
「闇影ちゃんファンクラブはあるのか?」
「無いけど闇影くんは結構、いろんな所で人気があるよ。やはり強さは人気につながるんじゃないかい? スキル構成が特殊な割に毎回トップに食い込む闇影くんだからね。闇影くんがパーティー募集すればあっという間に人が集まると思うよ」
まあ……ディメンションウェーブのイベントには必ず上位というかトップに君臨するエースプレイヤーなのは間違いない。
最初の波から始まり第二波や第三波でもトップにいるもんな。
挙句魔王軍侵攻イベントでもトップ……闇影に人気が出ないはずはないか。
「拙者コミュ障ぼっちでござるから困るでござる!」
「抗議しましょう」
「しても良いけど彼らも冗談交じり且つ、絆くんに続けと憧れているにすぎないからね。現に絆くんは知らなかった訳だし、メンバーも自ら名乗る訳じゃないからそっとしておいてあげれば良いさ」
「……下手に拘束するとアングラな所で団結する」
しぇりるが同情の目線でつぶやくように言った。
そうなんだよなー。
人間って押さえつけられると余計面倒くさくなるもんだ。
「まあ俺が前に出て歌って踊ったりする訳じゃないんだし……勝手にやらせておけばいずれ改名なり自然解体するだろ」
「絆くんにはノータッチが信条を掲げているからね」
「興奮するとか遠くで仲間と話してたぞ」
「聞こえていたとは未熟だね。まあ聞かれたことを知ったからには仲間同士で粛正が入るから安心してほしい」
未熟で済ますなよ……粛正って地味に罰が厳しいな。
どういう遊びなんだろうか。
「なんでも彼らからすると絆くんの中身が男だからこそ、安心して愛でていられるし表に出なくても心の支えになるそうだよ」
「それはどうして?」
「だって仮に絆くんがこの先ゲーム内で結婚とか実装されたとして、相手に選ぶとしたら女性キャラだろう? 彼らは君が男性キャラと結婚するのが嫌なのさ」
俺も嫌だよ。
つーか結婚とかシステムができるかわからないもんを前提に、中身男で男と結婚しないだろうから信仰対象にしてんのかよ。
アイドルじゃねえんだぞ。
確かに今の俺に男性のキャラを使っているプレイヤーとの接点はあんまりないけどさ。
一応、アルトが男性キャラか?
だが、勘弁してくれ。こんな死の商人と結婚とか。
ゲーム内だとしても嫌だ。
あくまで友人でしかないだろう。
「今の所、仲良しの硝子くんとのペアが尊いと言われているね。キズ×ショウだね」
「えーっと……」
巻き込まれた硝子も返答に困ってるぞ。
「派閥だと闇影くんが次点だね」
「嫌なギルドでござる!」
俺と硝子か、俺と闇影の派閥かよ。
「釣り専門となると今の所そこに人が集まっているね。ロミナ君経由で君にルアーを作ってくれた職人もそこに所属したそうだよ。嫌なら僕とロミナ君が仲介役をしておくけど良いかい?」
「……頼んだ」
あんまり俺は気にしない方がよさそうだ。
情報だけアルトに吸い取らせる形で良い。
……釣り仲間ができると思ったというのに、そこに行ったら間違いなく俺は姫プレイをする羽目になる。
いや、担ぎ上げられるのは間違いない。
アイツ等ノリが無駄に良いのは戦場で知っている。
中身男でも俺を持ち上げて遊ぶのがたやすく想像できるぞ。
仮に普通のMMOだったら、AFK……INした状態でパソコンとかから離れてキャラクターを放置してたらご本尊とかにされてお参りとかされてそう。
ログアウト不可VRMMOで良かった。
弄られキャラは闇影だけで充分だ。
孤高の釣り人を貫くしかない。
俺は姫じゃない!
「く……良いさ、釣り仲間は硝子がいるもん」
「お兄ちゃんのそういう所、萌えとか言われそうだよね」
「うるさい。お前の所為だろ」
「んー……外見関係なく屈強でもギャップで萌え言われてたと思うよ」
どうすりゃいいんだよ。
「あまり関わらず無視するのがよさそうでござるな」
「そうだな……」
「人が作業している最中になんとも楽しそうな話をしていたね」
ここでロミナがあきれ気味にやってくる。
「ああ、俺に妙なファンギルドが出来てしまってな」
「ご愁傷様と言っておくよ。仲介は私からもしておくから絆くんが嫌なら関わらずに行けば良いさ」
「礼を言う」
「それで何だが、要望通りの品々ができたよ」
「今度は失敗とかは無かったのか」
「工房の改築は元より私自身もしっかり技能上げをしていたからね。同じミスをするつもりはないよ。ほら、絆くんにはまずエンシェントドレスだ」
そういってロミナは俺に改修したエンシェントドレスを手渡す。
エンシェントドレス+3(5)
古代の素材を元にして作りこまれた不思議なドレス。
古代から伝わる不思議な力で驚くべき強靭さを持っており、所持者の魔力を引き上げる。
装備効果 フィッシングパワー+4 バランスアシスト+2 水泳技能+2 古の守り
装備に必要なエネルギーは下級の時と同じだけど防御力は随分と高い。
しっかりと強化を施してくれているのもあって今までよりも受けるダメージは随分と下げられるだろう。
しかもほとんどの属性に、高くはないけど万遍無く耐性を持っている。状態異常にも耐性があるっぽいな。
魔力も上昇するようだけど生憎と俺は魔法系のスキルは取っていないので魔法防御以外は効果は無いな。
汎用的に扱うにはかなり優秀だな。
運動神経の悪い俺は自然と被弾することが多いので非常に助かる装備だ。
「お兄ちゃんのニュー防具だけど……前とあんまり変わらないね」
「色合いが違いますね。前よりきれいなデザインですよ」
下級エンシェントドレスは……今のと比べると装飾が質素というか質素すぎて地味だったのが下級が取れたおかげかリボンとかが増えているし、色合いが鮮やかになっているっぽい。
使いまわしだけど不自然には感じない作りにしてあるっぽいなー。
ただー……もう意識しないでいるのだけどスカートはやっぱり気にならない訳じゃない。
前よりふわっとした感じで……好きな人は好きそうなドレスになってると思う。
「中級エンシェントドレスにするには必要素材が足りないみたいでね。素材がわかったら強化して行こうか」
「そうだけど……戦う敵に合わせて着替えたりするからな」
「当然だろう。ただ、汎用的に使うなら絆くんには良いと思う」