Wave of dimensions — страница 64 из 111

「まあ、釣りをするのに必要な装備効果があるから、文句はないさ」


泳ぎとかも対応しているから装備するだけである程度泳ぐこともできるようになった。

ペックル着ぐるみ程じゃないけど泳ぎにも対応可能で悪くない。

防御性能は河童着ぐるみより上で、これぞ正当な装備って感じだ。


「似合いますよ」

「あ、ありがとう」


褒められてもなー。

普通のゲームだったら女アバターで言われたらうれしいけど……喜ぶべきなのかなー。


「お兄ちゃんは被弾しやすいから防具は大事だもんね」

「まあな」


そこは否定しない。

お前や硝子みたいなアクロバットを誰もが出来ると思うなよ。


「後は言った通りの品である白鯨の太刀と魔法鉄の熱牛刀を渡しておこう」


白鯨の太刀<モビーディック>をエンシェントドレスを装備した俺は受け取る。

魔法鉄の熱牛刀は特筆した特徴は無い至って普通の牛刀……強く握ると火が出る包丁になったようだ。

鉄の牛刀よりも攻撃力が上がっていて、今まで切り辛かった食材も切れるようになると言ったところだろう。

本題は白鯨の太刀<モビーディック>か……前々から大きい解体刀だったから、その重量感は相変わらずって感じだ。


白鯨の太刀<モビーディック>+2(5)

勇魚を解体する太刀に白鯨の血を吸わせて強化することで磨かれた驚異の解体刀。

白鯨の力をその身に宿した一振りで力強く肉を断ち切れるだろう。

固有スキル ボスダメージアップ30% 復讐の力 大型特効3


ちなみに攻撃力は勇魚の太刀の数倍にも上がっていて、青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>よりも少し高い。

その分、小回りが利かないから一撃の重さを重視した武器って感じだろう。

DPS……Damage Per Secondは青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>の方に軍配がわずかに上がるだろうけど、それは敵に張り付いて攻撃することを前提とした戦いでだ。

ただ、ボスダメージとか大型特効がついているからボス戦だとこちらの方がダメージを稼ぎやすい。

硝子や紡が注意を引きつけている所で大きく一撃を当てるのだったら白鯨の太刀で切りつけた方が良いダメージを稼げるだろう。

用途に応じて使う武器を切り替えるのは当然だな。

ちなみに元々が勇魚の太刀なので当然ながら鯨包丁……適した相手は大型の魔物だな。

当然ながら大型のボスを解体する時に使うと良い。


魚鬼の釣り糸



「大きくて派手だねー大剣って言っても過言じゃないかも」

「持ち手を伸ばせば長柄武器、長刀とかになりそうな代物ですね」


紡と硝子が各々評価を下す。

まあ……俺が使う解体武器の中でも一際大きな一振りだもんな。


「これで同じ解体武器カテゴリーだというのだから不思議なもんだ」

「同じ武器種でも大きさが異なるのはありますからね」

「そうだね。私は鎌でも大鎌を好むけど鎖鎌とか小さな鎌を使う人もいるよ。小さい奴だと投げて使うらしいんだ」


へー……同じ武器でも使い方が違うのがあるのか。

そういやしぇりるも銛を投げたり刺したりしてるもんな。硝子の扇子も扇とか使ってるし。


「復讐の力ってなんだろう?」

「ダメージを受けるとしばらく攻撃力が上がる効果だね」


アルトが説明してくれる。こういう所は詳しくて助かる。鑑定とかで詳しく載っているのかな?


「かなりお兄ちゃん向けだね」

「ダメージを受けつつ殴りに行くってか? 俺は脳筋じゃないんだが……」


これだけ積んでも紡や硝子、闇影よりも火力が出せる自信はない。


「しかもボス特化という曲者武器だぞこれ……」


しぇりるは確か白鯨素材で手にした武器は雷属性を宿したって感じだったのに俺のはボス特化とか……同じ素材でも系統が全然違うんだな。


「絆さんもこれで大活躍ですよ」

「どうだろうな……元々解体武器って全武器中でも攻撃力は低めの方だし、まあ期待に応えられるよう頑張るけどさ」


一応、俺が手に入れた素材を集めて作られた変わり者武器だし。


「思えば絆くんは最初から変わった素材を持って来てくれていたね。おそらく同様の武器も何処かで手に入りはするのだろうけど絆くんが初めて所持しているだろうと私は思っているよ」


MMOの世界はなんだかんだ広いからなー……どこかで同等の武器をドロップする奴がいても不思議じゃない。

とはいえ、ロミナが作った白鯨の太刀はこの一振りが最初で、ここまで強化されているのはこの一振りしかないだろう。

しっかりと使いこなせるようにならないとな。

勇魚の太刀……またお前の出番だぞ。と硝子と出会った頃に使い、途中で攻撃力不足から持ち替えてしまった勇魚の太刀が進化した白鯨の太刀の柄を強く握る。

このゲームは武器を使い込めば使い込むほど、強化に補正が掛かる。

また強化する事が出来るようにしっかりと使うとしよう……大物を捌くときにな。


「あとは武奈伎骨の釣り竿とか釣り具だね」


そうして渡された釣り竿を確認する。

大鯰の釣り竿に比べると……確かに力強くしなるが……柔らかいわけでもない。

方向性の違いがあるけど問題なく使いこなせそうだ。


「後は釣り糸だね。魚鬼の釣り糸をルアーを作ってくれた知人に頼んで作成してもらったよ」


と……釣り糸も受け取り確認する。


魚鬼の釣り糸

武器系統 釣り具・アクセサリー

装備条件 フィッシングマスタリーⅨ以上

切断耐性(弱) 強度強化(中) 伸縮強化(中)

ヌシイトウの力を抽出して糸へと付与した強靭な糸。柔軟にしてピアノ線を超える強度を誇る。


なんとも頼もしい説明文のある釣り糸だこと……ピアノ線を超えるとかとんでもないな。

現実に存在したらだけどさ。

ゲームだから誇張表現にはならないか。


「じゃあこの釣り糸を硝子と一緒に使わせてもらうよ」

「お揃いですね」

「そうだな」


なんかちょっとうれしい。

ちなみに釣り糸も修理をお願いすると補充されるというゲーム独自の仕様だ。

餌以外は案外使いまわせる。

ついでに釣り針を貰った。

釣り針に関してはルアーにも付け替えることができるけど、まあ……ルアーの攻撃力というか性能を少し上げる程度の代物だな。

釣り関連は端材で作れる品々ばかりだから目に見えた高性能な代物にもなり辛いのだろう。

俺の装備はこうして新調することができた。

ロミナはそれぞれ注文した新装備をそれぞれ渡してくれる。

闇影がミラカ系の特化忍び装束から別の魚鬼の忍び装束に着替えていた。

鬼っぽい角が付いた頭巾が印象的だろうか?

何処かの和風系の探索ゲームみたいな恰好になったような……そうでもないような。

あとは足とか手甲の手前辺りに鱗が付いている。そういう装飾何だろう。

ウロコと忍び装束のハイブリットみたいな装備だな。


「どうでござる? 魚鱗が良い感じにアクセントとなっているでござるな」

「生憎一点ずつしか作ってないからボーナスは闇影くん好みとなりそうな代物は着いていないけどね」


装備の品質が良い時に追加でボーナスとかついている。今まで闇影が装備していたミラカ系の忍び装束は魔法系特化のかなり拘った代物だ。

ボーナスを気にせず作ったのだから実のところ、性能的には毛が生えた程度というやや悲しい代物となっている。


「これで良いでござる! 何時までも古い装備で拙者だけ置いてきぼりにされるのが嫌なのでござるから!」

「まー闇ちゃんの場合はカニ素材装備で厳選した方が性能は良いのに交換できそうだよねー」

「やるかい?」


ここでアルトがニヤニヤしながら闇影に尋ねる。


「それでもいいぞ闇影」


俺もここでニヤニヤしているとしよう。

何せ闇影はアタッカーとしてはゲーム内でもトッププレイヤーな訳だし、入手しやすい素材で厳選できるならやって悪い話じゃない。


「そこまでしなくていいでござる! 作りやすい装備が見つかるまでまた置いてきぼりになるより一緒に好き勝手装備したいでござる!」

「効率的な装備も良いけど変わった装備を使うのも楽しいよねー」

「じゃあ紡は河童着ぐるみでも着てろ」

「ひどーい! まあネタで使うのは良いけどー」


良いのかよ。


「まあ……あの装備群は派生強化がそこそこあるから使うのも手なのだけどね。ペックル着ぐるみも別の強化ができるようだし、使い込んでくれたらやってあげても良いよ」


ロミナが言葉を選びながら俺達に言ってきた。


「僕が見たところ今の所最強という装備ではなく、ネタにしては強い性能という所なんだけど、そっち方面で突き抜けるのも悪くはないかもしれないね」


アルトが援護射撃をしてくる。


「今確認した所だと、闇影くん好みになるかわからないけど忍び河童着ぐるみというのがあるね。おそらく職業系の河童装備になるんじゃないかな?」

「ちなみにどんな感じになるんだ?」

「忍びのコスプレをしたデフォルメ河童の着ぐるみさ。条件素材は……もう少し河童を狩ってきて貰う必要があるけどね。ほかにもおそらく河童を狩ることで得られる素材から作れるよ」

「性能は?」

「回避系の装備効果があるよ。闇影くんは忍者スタイルを好むけど魔法使い系だからちょっと系統が違うね」


ちなみに今、闇影が装備している魚鬼の忍び装束も魔法系ではなく素早さが上がる系のボーナスが多いそうだ。


「闇ちゃん性能に拘るなら忍者は実は方向性が違うからねー」

「それでいいんでござる! 拙者、性能は大事でござるがこのスタイルを変える気は無いでござる!」

「手甲と巻物がどうにか魔法向けという所だからしょうがないね。でどうするんだい?」

「河童は勘弁してほしいでござる!」


闇影も大変だな。


「ちなみに絆くんが着用するクリスマスペックル帽を込みで強化したペックル着ぐるみを着用すれば……わかるね」


アルトが性能談義で踏んではならない話をしてきた。


「こっちは型落ちしているペックル着ぐるみを強化発展させた代物になるよ。同じく職業に派生するみたいだよ」

「戦士ペックル着ぐるみとかか?」


俺の質問にロミナは頷く。


「かなり使い込んだ上位の盾が材料に必要になるのだけどブレイブペックル着ぐるみなんてのもあるね。攻撃力は大きく下がるけど防御力だけなら……相当な代物になるよ。帽子と組み合わせれば絆くんたち限定でものすごく硬くなれるだろうね」

「だって、お兄ちゃん。作って貰ったら?」


く……紡、お前という奴は闇影だけに飽き足らず俺もネタ枠にする気か!

タダでさえ特に戦闘とかしないときはサンタ帽子を着用させられている方の身になれ!


狩場巡り



「陣形とか考えるならお兄ちゃんがタンクをしても良いんだよね。ブレイブペックルだって長時間呼び出せる訳じゃないし、硝子さんみたいな弾いてダメージを受けないようにするのとは別に受け止める戦い方ってのもできるよ」

「いや……俺は戦闘特化じゃないし……前線組みたいな真似はなー」

「もう君たちが最前線だとみんな思っているけどね」


アルトがなんか言っているけど俺達はやりたいことをしているだけで真面目に戦闘で強化しているのは硝子と紡と闇影だ。

俺はエンジョイをモットーにしている。


「思えば拙者たちは最前線なのでござるな」

「全然実感しませんね」

「割と好き放題してて、今の所敵の強さに壁を感じてるからねー結構ごり押ししてる自覚はあるよー」


それくらい、ミカカゲの湿原は難易度が高いのか。

扇子使いで敵の攻撃を弾いて注意を引く、タンク兼アタッカーの硝子。

大鎌を振り回して運動神経で敵の攻撃を避けてバンバン攻撃する超前衛アタッカーの紡。

ドレインがモットーで時々効果的な魔法を放ちつつ回復でサポートをする基本後衛アタッカーの闇影。

中距離からチョコチョコ攻撃するアタッカーのしぇりる。

……みんな揃ってアタッカーばかりだな。

俺? みんなが魔物を倒した後で解体をして素材を確保、釣りをして食料ゲットの料理担当……サポーターとかバックパッカー?


「真面目に連携とかして魔物と戦っている連中が指さして怒鳴りこむくらい酷い陣形だな」

「それお兄ちゃんが言うの? ペックルを無数に呼び出して一人でパーティー結成しちゃうペックルマスターでしょ」


おおう……なんか俺の自己評価と世間の認識に差異が出ている気がするけど気にしない。

確かに足りない人員はペックルで誤魔化してしまっているような気がするけど、ペックルを使った戦闘って割と忙しくて面倒だぞ。


「そのペックルだってあくまで補佐なんだから今の場所だと結構、戦うのはきついんだぞ」


サポートキャラだけで戦えるほどゲームってのは簡単じゃない。

プレイヤーに比べてペックルは張り合えるほど強力ではない。

ブレイブペックルが辛うじてタンクの代わりになるかなー程度でクリスだって紡の攻撃に比べたら遥かに低い。

一応、サンタ帽子のバフ効果があってこれなのだ。


「それで着ぐるみを絆殿は着るでござるか?」

「却下、ネタ枠装備を使うのは嫌いじゃないけど強要されるもんじゃないだろ。必要になったら装備するもんだ」

「まあそうだよねー」

「ただ、君たちにはそういった選択肢もあるというだけさ」

「そもそも使い込んだ盾が必要って所でねー」

「必要とあらば買い取りをするけど、どうだい?」


ここで空気をぶち壊す証言が飛び出して、俺達は言った人物に顔を向ける。

まあ誰なのかは一発だろう。


「死の商人に揃えられない品は無いとでも言う気か?」

「盾を使い込めば良いだけならロミナ君にそこそこ良いのを作って貰って前線組のタンクに貸せば良いだけさ」

「それで作れるのか……条件緩いなー……」

「何かしらの要素で引っかかりそうなのは否定しないね。もう少し上位装備になった際には出来なくなるかもね」

「絆くんが着ぐるみで戦うのは見ている分には楽しそうだね」


アルトも断られるのがわかってて言ったな!


「まあ、どんな装備が化けるかわからないから頭の片隅にだけでも入れておいてくれれば良いさ」


なんて感じでロミナからみんな装備を貰った。


「そういえばしぇりるは?」

「作業場でずっと何やらやっているみたいだね。言付けを聞いた限りだと第一や第二に行くならここで作業をしているそうだよ」

「つまりしぇりるはこっちでやりたいことがあるって事ね」


新天地を目指すのが目的のしぇりるらしい。

今まで巡った所にあまり興味は無いって事か。

そんな暇があったら蔑ろにしていた作業を重視すると。

確かにしぇりるは元々船大工でマシンナリーをしている戦闘もできる半製造の海女という割とやることが多いポジションにいる。

俺はミカカゲで狩りとかする前にカルミラ島関連のクエストやカニ籠、釣りなどをメインにしていて遅れはほぼ無いだろうな。

精々解体が遅れがちになるか?

いや、新しい魚とか解体したりしているし硝子たちが倒した魔物なんかも俺は捌いてきた。

そういう意味ではしぇりるは何か作ることに関しちゃ遅れ気味なんだな。


「了解、んじゃ次の波まで硝子の提案した第一と第二都市方面に行って条件達成に行くとしますかー」

「私一人じゃミカカゲの湿地帯は厳しいからなー私も行くよー」

「紡も好きに行動して良いのに付き合い良いな」


飽きっぽい我が妹の事だからミカカゲの方で前線組の臨時パーティーで稼いでるとか言いそうだと思ったのに反応が異なる。

どういう事だ?

いや、何か裏があるはずだ。


「だってお兄ちゃんの近くにいないと面白い瞬間を逃しそうじゃない?」


訂正、我が妹はくそ妹であったのを俺は忘れていた。

ネタを探してゲラゲラ笑うために俺の近くにいたいのかよ。


「よーし出発だー」


と言う訳で俺達は第一都市のある大陸へと向かった。





「第一都市に来るのも何となく久しぶりな感じがするな」

「そうですね。もうずいぶんと昔に感じます」

「それだけ色々とあったでござるよ。ゲーム開始当初に比べると活気も落ち着いているでござるな」

「拠点にするには悪くないけど今はもうカルミラ島やミカカゲにみんな移っちゃった感は否めないね。それでもそこそこプレイヤーはいるみたいだけど」


忘れがちだけどディメンションウェーブはセカンドライフプロジェクトという第二の人生を楽しむゲームだ。

魔物退治をして波というイベントをクリアするために強くなる事だけが目的ではない。

住みやすい街で住居を購入して住むなんて事も出来るわけで……そういった意味で最初の街である第一都市ルロロナは施設の使いやすさ等もあって今でも使っているプレイヤーはそこそこいるんだろう。


「お兄ちゃんは確かこの辺りでずっと釣りをしてたんだっけ?」

「元々釣りが目的だったわけだしな」

「ゲーム開始からずーっとここで釣りをしてたでござるか?」

「まあ……少なくとも二週間くらいは」

「絆殿は初めからそうなのでござるな」


懐かしい釣り場だな。

ニシンを釣るならここが良いだろう。

ここのヌシも復活したのかな?


「お兄ちゃんのファンクラブはここで釣りしてたんだっけ」


うっ……嫌な話を思い出させてくれる。


「ここの釣り場は絆さんからするとどうなんですか?」

「最初の街だから釣り人としても入門としておすすめだな。釣れる魚はニシンを中心とした魚だ。夜は空き缶が釣れるぞ。ほかの場所でもそこそこ釣れるけど」

「お兄ちゃんが釣った空き缶で初期はみんな鉄装備を高値で買ってたと思うと複雑だよね」

「そのようなやり取りがあったとは聞きましたね」


紡や奏姉さんは知らずに元が空き缶の装備をしばらく使っていたらしいな。


「硝子と闇影はあの頃は鉄装備は使ってなかったのか?」

「鉄扇を一時期使ってましたけどすぐに変えましたね」

「拙者は木製の杖を使っていたでござる」


まあ、闇影はドレイン忍者だから金属製の装備は後回しにしたのか。


「それでお兄ちゃん、初心に戻るとかでここで釣りする気?」

「えーっと……まずは狩場を巡りたいんですけど」


紡のセリフに硝子が提案をしてくる。


「初心に帰るとか誰が言った! ここのヌシは既に釣った事あるし、何か別の大物が掛かる可能性はあるけど硝子との約束が先だろ」


みんな俺をどこでも釣りをするアホとしか思ってないだろ。


「そもそも俺にはカニ籠があるんだぞ! ここでも設置をする程度だ!」


ドンドンドンと俺は港沿いに補充したカニ籠を設置しておく。


「これである程度釣れる魚をカバーできるな。釣り具を強化したことで釣れる魚のチェックは後でも良いだろ」


あの時はそこまで強力な釣り具を持っていなかったからな。

前より大物が釣れる可能性は捨てきれない。


ダンボル



「そもそも気になったのですけど釣れる魚って潜って確認とかできないのでしょうか?」

「素潜り漁はあるから出来ない話ではないがな……」


しぇりるが素潜り担当だし、俺も技能の条件を満たしているからそこそこ素潜りは可能だ。

先ほど話していたペックル着ぐるみとか装備すればよりやりやすいだろう。


「ただ、条件によって増える可能性だってある」


少なくともブルーシャークの時は港にあんなの居たら一発でわかったはずだし。


「フィッシングコンボが発生したらどうなるかわからないな」

「奥深い話ですね。カニ籠では得られない魚もいるという事ですね」

「そうなる……ま、今はその確認は後回しにするさ」

「お兄ちゃんも義理堅いね」

「言ってろ」

「では狩場に行くでござるな」


そんな訳で第一都市を通り抜けてフィールドの方に出る。


「戦った事の無い魔物を重点的に巡ろうと思っているのですがまずは何と戦いましょうか?」

「そういわれると漠然としてるな」

「フィールドは広いでござるからなー」

「硝子さん。お兄ちゃんがいるんだよ? ここは確認の為に聞かなきゃいけないことがあるよ」


なんだ? 紡が俺がいるからこそ聞かなきゃいけない話なんてのを聞いてきやがる。


「え? 何か問題が? 確か絆さんは私と出会うまで海方面以外で第一都市を出たことが無いとおっしゃってましたけど……」