「となると……お兄ちゃん。硝子さんに会うまでに戦ったのは?」
「ラファニア草原でコモンウルフを狩って、行けそうだとそのまま進んでった」
「ゴブリンアサルトと私が戦っているときに出会いましたね」
懐かしいなー。
「ちょっと待つでござる。絆殿……もしやダンボルを知らない訳ではないでござる?」
「ダンボル?」
「ここからかー……となるとクローラーも知らないね」
紡と闇影が俺の知らない魔物名を言ってきた。
「トレントは拙者たちも戦ったでござるな」
「常闇の森で闇影と出会ったな」
「となると……うん。お兄ちゃん本当、第一と第二都市近隣の魔物を知らないみたいだね。硝子さんや闇ちゃん。ダンボルから狩っていった方が良いよ」
なんか俺の引き上げみたいになってないか?
エネルギーの限界突破の条件稼ぎだけどさ。
「そうでござるな。とはいえ今の拙者たちなら騎乗ペットであっという間に必要数を倒せると思うでござるよ」
今の俺達は騎乗ペットという早い移動手段を持っている。
目当ての魔物を探す索敵等、お手のものだろう。
「ま……ダンボル草原に行った方が良いかな? あそこなら運が良ければラブリーダンボルとか、エンジェルダンボルとかボス系も時間湧きするし」
「なんだその妙なフレーズ……そんなフィールド無いぞ」
「プレイヤー間で言われている俗称の狩場だよお兄ちゃん」
ああ……オンラインゲームだとわかりやすい名称とかあるもんな。
「ちなみにクローラーのドロップには糸があるでござる。これを布に加工する事ができるのでござった。あの頃はみんな勝手がわからずクローラーは無数に狩られたでござるよ」
「今は?」
「カルミラ島でも農業の一部で産出される植物由来の布にシフトしたでござる。クローラーの糸の性能はそこまで高くないでござるからな」
なんか色々と複雑みたいだ。
「糸ならジャイアントスパイダー辺りがもっと落とすし性能が上らしいからねーお兄ちゃんが居れば解体でスパイダーからもっと採取できるんじゃないかな? 」
うわ……蜘蛛の解体とかもあるのか……カニを解体する感じでできるかな?
しかし、蜘蛛を解体して糸を得るって何か間違っているような気がしなくもない。
「蜘蛛山脈のドロップ品で私は装備を揃えましたよ。着物が肌に合うので」
「あー初期ドロップで着物はその辺りのだったね。お兄ちゃんに貸してた羽織りもそこの中ボスがドロップする奴だったよね」
「はい」
うーむ……硝子たちの軌跡を聞くのもなかなか興味深いな。
硝子に借りてた羽織りはそこの中ボスから得た物だったのか。
「とにかく、まずはダンボル島から巡って行くのが無難だね。倒せる相手は全部倒していこう」
って感じで紡が先頭に立って騎乗ペットの犬に跨って走って行く。
そのあとを俺たちもすかさず追いかけて行った先の草原に到着した。
「ここからがダンボル草原、ダンボルの生息地だからしっかりと確認してね」
「確認って……なんかいるな」
四角い箱みたいなのがピョンピョンと跳ねている姿が確認できる。
箱の上にはダンボルと書かれていて……というか段ボールにしか見えない。
「段ボールの魔物だからダンボルってか?」
「そんな感じのネーミングなんじゃないの?」
「安直な……」
「これがこのゲームで最弱の魔物の一種類のダンボルって魔物ね。ほかにコモンウルフにクローラーがゲーム開始当初にプレイヤーが戦う相手なんだよ」
「そ、そうか」
跳ねまわるダンボル達を俺は見つめ続ける。
あれがこのゲームのマスコット的な魔物なんだろうか?
どちらかと言えばまだペックルの方がマシに見えてしまうんだが……。
「ダンボルマニアなんてプレイヤーもいるらしいでござるな」
「みたいだね。ダンボルのドロップ品である段ボールを集めて段ボール装備なんてのを初期にやっていた人がいたよ」
「見た感じ子供の作った装備と言った出で立ちだったでござるなー……」
なんか思い出に浸るように闇影がつぶやいている。
硝子も見覚えがあるって感じで苦笑してるぞ。
俺はその話を聞いた瞬間、謎の外国人がロボットの名前の書かれたダンボールを付けている姿を想像したがな。
「あんなの見たこともなかったぞ」
「海の方じゃ全然いないからこの大陸限定の魔物なのかもしれないね。とにかく、ここは大体のダンボルを網羅した狩場だからお兄ちゃんは突っ走って片っ端から倒して回ると良いよ」
「わ、わかった。って俺一人で大丈夫なのか?」
「お兄ちゃん……今の装備でダンボルに負けるなんてありえないから、刃先を当てるだけで勝てるし、お兄ちゃんならルアーを当てるだけで即死させれると思うよ」
なんかすごく面倒くさそうに紡に言われてしまった。
「そうでござるな……正直に言えば騎乗ペットで跳ね飛ばすだけでも倒せると思うでござる」
「そこまで?」
硝子に念のために確認すると頷かれてしまった。
「あまり無意味な虐殺を私は好まないのですが絆さんが強くなるためですからね……一通り回ってみてください。どうやらプレイヤーもほとんどいないみたいですので大丈夫でしょう」
「昔はここも賑わっていたのか?」
「絆さんと出会った頃はそれはもう……人気狩場の一つでしたよ?」
「効率の良いパープルダンボルが居たからねー最初期だと鉄鉱石を極々稀に落としたからみんなこぞって狩ってたよ。お兄ちゃんが空き缶でインゴットを売り出すまでだけどね」
狩場に歴史ありか……なんとも物悲しいな。
「それじゃあ絆さんの討伐カウントを稼ぐためにみんな分かれて狩りましょう。絆さん。ここにいるダンボルの討伐を殆ど満たせたら連絡をお願いしますね」
「はーい」
なんかみんなにパワーレベリングしてもらいに来たような感じがしてきた。
「ま……30分あれば十分だと思うけどねー」
って紡がつぶやき、俺達は通称ダンボル草原を駆けまわった。
俺の騎乗ペットは俺を片手で支えながら風のように駆けて行き……ダンボル達を跳ねまわしていく。
ピョンピョン跳ね回るダンボルは騎乗ペットに蹴られて目をバツ印に変えて転がったり、砕けていた。
硝子たちの話だとダンボルは別に解体とかするほどの物はないとの話だ。
「ペン」
あ、ブレイブペックルを連れてたの忘れていた。
頭と腕、背中にダンボルが器用に噛みついているけどケロッとしている。
ラブリー親衛隊扇子
「ぺーん!」
引っ付いたダンボルをブレイブペックルは他のダンボルに投げつけて同士討ちをさせていた。
なんか妙なギミックを持っているな……とりあえず今は居なくても良いからとブレイブペックルを休養指示を出しておく。
さて……一応一種類ずつダンボルの解体を軽くしたのだけど、ダンボルの欠片とかダンボルの皮ってのが手に入るな。
ぶっちゃけ……段ボール紙一枚って感じで使い道はつなぎ合わせて段ボールにするしかないだろう。
ロミナに後で聞いたところ、ミカン箱のテーブルと言う家具とか収納ボックスが作れるとかなんとか。
現実の段ボールと異なり水には多少強いそうだけど……強度はお察しって感じだった。
なんて思いながらダンボル草原を巡っていると……ハート柄の……なんか大きなダンボルがいる。
しかも無数にダンボルを連れてて……取り巻きって感じだ。
名前は……ラブリーダンボル。
俺でも勝てるとか言ってたけど……大丈夫なのか?
念のために白鯨の太刀を取り出して大きなダンボルに向かって突撃!
「おー!」
ピョーンと俺の騎乗ペットは高らかにラブリーダンボルに向かって走り出し、俺は白鯨の太刀を構えて切りかかった。
ズバァっと一太刀で取り巻きのダンボルを仕留め、二撃目がラブリーダンボルに命中。
ドッス! っと深々とラブリーダンボルに白鯨の太刀が食い込んだ。
「クレーバー!」
まだ動き出しそうだったので解体スキルを発動させて強打する。
ドン! っと衝撃が走ってラブリーダンボルが弾けてしまった。
攻撃が強すぎたか?
確かにボスっぽいのに弱い魔物だったなー。
と思っているとラブリーダンボルの体というか顔がヘロヘロと地面に落ちる。
近くにイチゴと……結晶が落ちているので拾う。
ショートストロベリーとラブリーダンボルの魂結晶ってアイテムの様だ。
ボスドロップって奴かな?
念のためにラブリーダンボルの体を解体できるか確認。
……ダンボルの皮しか手に入らないか……。
とにかくもったいないから持ち帰ろう。
そんな感じでダンボル草原で俺はダンボルを狩り、限定解除の条件を満たした。
30分して集合地点に戻る。
「どうだったお兄ちゃん?」
なんか紡の頭に羽を模した髪飾りがついてる。
「あ? これー? ダンボルのボスが結構高めにドロップする奴だよ。デザインが良いから初期は人気があったんだ」
どうやら紡達はボスを見つけて速攻で仕留めてしまったっぽい。
「解体は不要か?」
「ダンボルを解体しても皮というか段ボールしか出ないでござるよ」
「ボスを解体したら何か出そうなのにねー。気になるならこっちー」
と紡たちは消える前のダンボルのボス……羽の形の段ボールが付いた子供のお遊戯会とかで作られてそうなダンボルの死体へと案内してくれた。
確認のために解体……やはりダンボルの皮だな。
一応翼の模様がついている。ただの収集品か。
「それでお兄ちゃん。さっきも聞いたけどどうだったー?」
「確かにただ走って回るだけで良い場所だったな」
「これでダンボル系は大体網羅したと思うよ。中ボス系も私たちが倒したし……ラブリーダンボルはお兄ちゃんが倒したんだっけ?」
「ああ、簡単に倒せたな」
「開始当初はちょっと強い魔物って感じだったんだけどねー。今の私たちからしたらこんな所なんだろうね」
インフレって程じゃないだろうな。
Lv5くらいが適性の場所でLv30で来たら圧勝出来るだろうし。
「ショートストロベリーってイチゴとラブリーダンボルの魂結晶ってのが手に入ったぞ」
「どっちも確率そこそこのプチレアだね。ショートストロベリーは確かデザートとかの材料だったっけな? ラブリーダンボルの魂結晶って確か最初のアップデート後にドロップするようになったスピリットの媒介石の素材らしいよ」
「となると俺達向けのか」
「問題は趣味用品って位の媒介石になるそうだけどね。詳しくは知らなーい」
まあ……そうだよなー。
あとでロミナに聞いた所だと戦闘系の技能が低いほど性能アップっていう救済系の媒介石だそうだ。
ただ、上限は言うまでもなく低く、実用的かというと無理な類のネタ装備に等しい代物だ。
「硝子もここで戦って稼いだのか?」
「少しだけ戦いましたけど、歯ごたえが無くてすぐに次の場所に移動しました。あ、でも扇子はここで出た物をしばらく使ってましたよ。ラブリーダンボルのドロップでしたね」
硝子は戦闘センス高いもんな。
あまり長居はしてないけど扇子はしばらく使ってたのね。
「どんな扇子?」
硝子がサッと扇子を俺に見せてくれる。
「えー……なんか恥ずかしい装備ですね」
LOVE! と書かれたハートマークな模様のある扇子を硝子は見せてくれる。
ラブリー親衛隊扇子と書かれているなぁ……。
完全にネタ装備だ。
ちなみに俺が解体で得たラブリーダンボルの皮でも作成できるネタ装備らしい。
武器としての効果はクリティカルで相手をわずかにスタンさせるとかそういう代物だそうだ。
硝子なら的確に使いこなしていたんだろうなぁ。
「使っていた頃の硝子を見てみたかったな」
「やめてくださいよ。今だと結構恥ずかしいんですから」
「確かにこれはねー。お兄ちゃんのファンクラブに転売したら売れるかな? 絆ちゃんが確保した応援扇子だよー! って感じで」
「おいそこに繋げるのやめろよ。アルトじゃあるまいし」
ちなみに後日判明してアルトに注意する事なのだが俺の持ち帰ったラブリーダンボルの皮で作られた扇子と羽織りがファンクラブに転売された。
死の商人は売れる物なら何でも売りやがるな!
アイドルのライブじゃないんだぞ。
「それじゃダンボルの次はクローラーの方に行こうか、今日だけでも回れるところは全部回るよー!」
「そんなスパルタをしなくても良いんだがー」
むしろ俺としては今まで行ってない釣り場の方が気になるんだけどな……。
「良いから行くーお兄ちゃんはついでで硝子さんと闇ちゃんの底上げが目的なんだから」
足を引っ張るなって言いたいのか?
エンジョイ釣り勢を捕まえてスパルタな事で。
とはいえ、エネルギーとかマナの底上げをしておけば行けるところは増えるから良いか。
一応解体技能の限界突破条件も似た感じに種類をこなすのが増えているもんな。
ま……やって行くか。
って感じで初心者用の狩場を俺達は文字通り駆け抜けていった。
正直に言えばパーティーで必要数を狩って行くのでかなり効率的に動けていたのではないかと思う。
そんなこんなで……俺達は夜間にしか入れない常闇ノ森へとまたやってきた。
「常闇ノ森……拙者が絆殿達と出会った場所でござる。懐かしいでござるな」
闇影と遭遇したのは確かにここだったな。
ドレイン特化なんて微妙なビルドでやっていたソロ忍者とは……よくやるとは思っていた。
「ここってお兄ちゃんを含めて闇ちゃんもここの雑魚もボスも戦ってるんだよね? なら無視する?」
「紡、お前は大事な事を忘れてるぞ」
「何? お兄ちゃん」
「ここには釣りポイントがあるそうだ」
俺の言葉に紡が呆れるように肩を落とす。
「まあ、絆さんはここで釣りをしたいですよね」
「お兄ちゃんらしいと言えばらしいけどー」
「夜だし、なんならみんな宿に戻っていても良いぞ。俺はそれでも釣りに行く」
今の俺ならここの魔物だって遅れを取ることはないだろう。
ごり押しでだってきっと勝てるはずだ。
「リザードマンダークナイトはまた出ているでしょうか?」
「もう人気の無い狩場になっちゃってるからねー解体とドロップ品目当てじゃないと張り付いている人はいないと思うよ」
「そこまで優秀な装備でござるか?」
「一時期は優秀だって狩られてたけど、今はもっと強い装備があるからどうなんだろ?」
ペックル追加スキル
「いる可能性は相変わらず高いか」
「今度こそ正々堂々と私たちで勝ちたいですね」
「あの時は嵌めたでござるからな」
「そうなの?」
硝子と闇影は紡にこのリザードマンダークナイトとの戦いに関して教えた。
洞窟に引っかけて遠距離でチビチビ仕留めた事を。
「うわー……なんていうかシステムの穴をよくついたねーあの頃だと結構強かったでしょ。よく引っかけられたと思うよ」
「まあ……な」
「今なら苦戦せずに倒せるんじゃないかな? それでも気は抜いちゃいけないとは思うけど」
「硝子も言ってたが人気のある頃はどうやって倒してたんだ?」
「そりゃターゲット権の奪いあいもあったけど数でどうにかできたかな。ヘイト管理はしやすい方のボスだったし」
紡も硝子と同じ感想か。
「あの頃の装備でも二、三発くらいなら誰でも辛うじて耐えたから当たったら即時回復でね。もちろんタンクが居たらその限りじゃないよ」
「で、俺が行く頃には廃れていたと……」
「そうですね」
「正直、楽に勝てる方のボスになっちゃってるね。ドロップもそこまでうま味は無くなってるかな」
一応ここの敵は討伐済み、だけど卑劣な手で勝ってしまったのだからせめてもの礼儀としてしっかりと挑みたいな。
「では行きましょうか」
「ああ、正面から行く」
「良いですよ」
さて……記憶の中のリザードマンダークナイトは巨漢のボスだった訳で、洞窟の入り口に引っかけて倒した。
あの大きさからして俺の手持ちの武器的に相性が良いのは白鯨の太刀……だな、ボス狩りに適した一品だ。
そうして記憶の中にある森の中を進んで行き、出てくる魔物達を倒してリザードマンダークナイトを探して行く。
「あ、いますね」
ドスンドスンと……闇影が必死に逃げていた時に遭遇したあのリザードマンダークナイトが闊歩している姿があった。
「じゃあ、一気に畳みかけるか。紡、今回お前は戦闘に参加しなくて良いぞ。俺達のけじめだからさ」
「えー!」
「紡さん。今回だけはどうか我慢してください。私も絆さんの気持ちが痛いほど分かりますので」
「拙者もでござるな。あの時のけじめをつけるでござるよ」
「お兄ちゃん達、妙な所で真面目ー」
はいはい。
って事で俺達はリザードマンダークナイトに向かって近づき、戦闘態勢に入った。
先頭はもちろん硝子でリザードマンダークナイトの攻撃をいなして注意を引きつける担当だ。
「ドレインでござるよ!」
バシィン! っと闇影のドレインが思いっきりリザードマンダークナイトに命中して吸い取る。
初期とは言えフィールド徘徊のボスだからかHPは高い。さすがの闇影の一撃を受けてもビクともしていない。
あまりヘイトを取り過ぎると闇影に攻撃が行ってしまうので注意が必要だ。
「はぁ! 輪舞零ノ型・雪月花!」
硝子お得意の決め技、雪月花をお見舞いしてヘイトを稼いで注意を引く。
バシバシと多段ヒットでリザードマンダークナイトへと攻撃を当てていく……これだけで随分とダメージが入ったはずだ。
「あの頃は倒すのに30分以上掛けたっけな」
「3人で戦ったからしょうがないでござるよ」
「お兄ちゃん達も無理してたんだねー」
「まあな」
で、俺はブラッドフラワーのチャージを行う。
できる限り一撃を重く……最大火力であの時よりも遙かに成長したことを知るために力を振るう。
硝子と闇影が適度に攻撃して削っていく所で……キン! っとチャージが完了したので、白鯨の太刀を振りかぶってブラッドフラワーを解き放つ。
「行くぞ! ブラッドフラワー!」
ズブシュ! っと良い手応えと効果音が響き渡り、俺はリザードマンダークナイトの背後に立っていた。
派手な血しぶきの演出が入り、リザードマンダークナイトが切り刻まれる。
「おおー!」
ドスン! って音と共にドサドサと解体素材が散乱する。
どうやら俺のブラッドフラワーがとどめとなってリザードマンダークナイトを仕留める事が出来たようだ。
「あの頃の苦戦が嘘のようですね。私たちが成長した証です」
「だな……なんかボスドロップとか落ちてないかな」
前回倒した時に手に入れた解体素材が大半だ。その中で良いモノがないかな?
闇ノ破片と闇槍欠片……前にもドロップしたな。
「槍の素材なんだっけか? 今だと思い切り型落ちしてそうだな」
「一応、使い道があるんじゃなかったかな? 他にも効率的に落とす魔物がいるから狙われなくなっただけだったはずだよ。お兄ちゃん」
へー……素材の無駄にはならないって事ね。
「あれ? なんかリザードマンダークナイトの素材が反応してる……?」
ボックス欄に素材を入れたところで素材が何か反応をしている事に気づいた。
どうなってるんだ?
と確認するとブレイブペックルに反応があるっぽい。
「カモンブレイブペックル」
「ぺーン!」
そんな訳でブレイブペックルを呼び出す。
「どうしたんですか?」
「ああ、なんかブレイブペックルとリザードマンダークナイトの素材が反応を示していたから呼んだ」
「お兄ちゃん限定の効果かな?」
「どうなんだろうな? えっと……リザードマンダークナイトの素材をブレイブペックルにっと……」
ボックスからブレイブペックルに渡す素材を選択する。
ブレイブペックルがリザードアックスを習得!
「来るペーン!」
メッセージと共にブレイブペックルが盾を掲げて声を上げる。