Wave of dimensions — страница 70 из 111


ここは一緒に楽しんでいる釣り技能が高い硝子と、必然的に上がってしまっている闇影と紡に声を掛けるとしよう。

ついでにペックルもこの辺りの技能は高いから想像通りなら上手く行くはずだ。


「なんですか?」

「激しく嫌な予感がするでござるがなんでござる?」

「お兄ちゃんから嫌な気配がするね」

「ちょーっと閃いたから連携が出来るかどうか手伝ってくれ」


と、俺は船に乗り込んだ。


「何を始めるのか、見物だわね」

「絆くん達の連携技がどんなものか」


奏姉さん達が高みの見物とばかりに答えたのが印象的だ。

まあ見てろって、なんとなく出来そうな気がする。




「オーエス! オーエス! もっと力の限り引けー!」


俺達は島の海岸で二本の綱を呼吸を合わせて引いていた。

右側は俺と硝子、そしてペックル。もう片方は闇影と紡に、もちろんペックル。


「呼吸を合わせて引くんだぞー」

「こ、これも、共同作業でござるが……やりたくないでござるよ!」

「良いから黙ってやれ、俺達のコレまでの努力で最も効率良く出来る連携技だぞ」

「こんな連携技嫌だよー! もっと戦闘で貢献出来る奴が良いのにー!」


闇影と紡がブツブツと抗議しているが、しっかりとCooperation! って表示が出たのでコレが正解だったんだ。


「なんか釣りマスター達がまた何かしてるな」

「絆ちゃん達がまた可愛らしくしているでござる」


闇影じゃない奴がまた俺に萌えを感じてやがる。お前は俺が何をしても萌えるんじゃないのか?


「海岸で綱引き?」

「なんかテレビとか動画で見たことある奴だ。何だっけあれ?」


島にいるプレイヤーも俺達がしている事を見ながらブツブツと話し合っているが、今はとにかくこの綱を引き終える事が重要だ。


「これが皆さんとの共同作業ですか……船造りをする時みたいなのとも異なりますね」

「まあなー」

「あと、これって釣りというより罠寄りな連携技なのでは?」

「……かもな」


一応釣りで罠って事なんだろう。

さて、俺達が行っている連携技が何であろうかというと文字通り地引き網という沿岸漁法である。


「ペーン! ペーン!」


ペックル達も綱を引く手伝いをして声を出している。

ミニゲームのアクションは適切なタイミングで綱を引く感じだな。

ある意味音ゲームみたいな側面があるかも知れない。

タイミングが合ったら力の限り引く。これで網がどんどん岸に近づいてくる形だ。


「拙者達は一体何をやらされているでござるか? カニ漁よりもシステム的に認められて嫌でござる」

「奥深いにしたって限度があるよね。頭おかしいよこのゲーム!」

「良いから黙って手伝え!」


徹底したカニ籠漁によって上がった熟練度で最も効率良く出来る連携技だぞ。

と、闇影と紡が嘆く中で俺達は綱引きを完遂させると、ミニゲームの終了を告げる告知が表示され海面から出た網からキラキラとした輝きを見せながら大量の魚が出てくるエフェクトが発生してリザルトに入った。


よし、連携技は大成功だ!

何が手に入ったか確認だぞ。

ピロンと音がして大量の魚……単純に釣り糸で引っかからない魚が掛かっている様だ。

見覚えのない魚がチラホラ確認出来る。


スリープヒラメ? ボマーフィッシュ……ニードルメゴチ……シルバークエ。


結構色々と魚が見つかるな。

他に換金用らしき沈没金貨や銀貨なんかも混じっていて、パイプ……空き缶なんかも混じっている。

あ、ヌシ素材を解体した時に手に入る低級王者の鱗とかが混じってる。

ヌシを釣れなかったプレイヤー救済も兼ねている連携技って事か?

検証次第だけど馬鹿に出来ないぞ、これ。


効率化



「単純に船の投網じゃ手に入らない品やヌシ素材とかが手に入るみたいだな」


個人的には奇妙な魚でも釣り上げたい。


「いやー……絆くんなら何か変わった連携技を使いそうだと思って居たけど徹底しているね」

「徹底しすぎでござるよ。そして拙者達も連携技の組員に巻き込まれているのが悲しいでござる」

「そうそう」

「まあまあ……色々と採れましたね」

「ああ。悪いとは思わないが釣りの醍醐味が少し損なわれて居るのが残念といえば残念だな」


俺は釣りをしたいのであって漁師でありたい訳ではないのだ。

まだ見ぬ強力な魚を釣り上げるのが俺の目的だ。


「ただ、かなり便利なのは間違いない! みんな、もう少し検証の為に続行するぞ!」


っと再度連携技を使おうとした所で視界に再使用時間が表示されてしまった。

……6時間ほどか。


「あれ? 再使用するのに6時間掛かるみたいだ」

「技能系の連携技の中には再使用するのにクールタイムがあるらしいね」

「料理とかの連携技はクールタイムは短めだけど、その地引き網は6時間掛かるって事なんでしょ」

「大量に採れすぎる事によるバランス調整なのでは無いかい?」

「今更でござると強く拙者は思うでござるが? 主に絆殿が各地に設置している代物に関して」

「そうそう」


闇影と紡が露骨にカニ籠漁へのバランス調整の要望だ。

気にすんな。アレはアレで採れる魚とか限られてるんだ。ゴミも結構採れるんだぞ。


「あんな連携技あるんだな。釣り系……だよな? 今度みんなでやってみるか」

「面白そう。トリガーとなるスキルがフィッシングマスタリーだけじゃないよな。船操作系か?」


と、俺達から離れた他のプレイヤー達が考察をしている。

具体的にはフィッシングマスタリーとトラップマスタリーが主だな。

他に当然のことながら舵スキルも必要だ。

みんなで協力して事を成すことで手に入るってのは中々奥深いと思う。


「より検証を深める場合は海岸限定だろうけど、場所によって何が採れるかも確認だね」

「そうだな。第一都市の港から海沿いに海岸があったし、ミカカゲ方面にも海岸がある。他にも各地の小島なんかでも出来そうだ」


闇影と紡が聞こえないとばかりに耳に手を当てているが余裕があったらするぞ?

何か良い素材が見つかったら良い感じの装備をロミナに作って貰える可能性があるんだからな。


「絆さん。このニードルメゴチって投擲武器として使えるみたいですよ? 攻撃力が記載されてます」

「イカを無理矢理バリスタに乗せて代用出来たけど、こっちはしっかり武器扱いなんだな」

「クナイ投げみたいに投げるでござるか? 鋭いのは認めるでござるが締まりが無いでござるよ」

「本当、お兄ちゃんと一緒に居るとネタ武器に事欠かないね。何処かに凍ったままの魚で武器に出来るのとか釣れそう」


と、紡が呟いた所で硝子が苦笑いを浮かべていた。

ありえるよなーネタ武器って馬鹿に出来ないのがこのゲームだ。

河童装備が物語っている。


「何にしても絆達もしっかりと連携を意識するようになって良かったわ。それじゃアルトさん。行きましょうか?」


奏姉さんが馬鹿な事をして居る俺達を尻目にアルトに出発を促す。


「そうだね。じゃあ、ちょっと行ってくるとしようか。絆くん達は当初の予定通り、今までの狩り場巡りに行くんだろう?」

「ああ、今までの狩り場……海岸で地引き網をする」

「違うでござる!」


闇影のツッコミが早いなー。


「冗談だよ。いい加減そろそろ次の波が来そうだし色々と準備していくさ」


時期的には何時来てもおかしく無い頃なのだ。

なので今まで硝子の提案通りに俺達自身の底上げをして行きたい。


「それは何より。じゃ、僕たちは行くとしようか」

「じゃあね絆。あんまり釣りばかりしてないでやる事をやるのよ」


と言うわけで奏姉さんはアルトに連れられて船で出発していった。


「これで拙者達の仲間が増えるでござるな」

「うん。お姉ちゃんも仲間になるね」

「あなた方は……」


こうして腹に一物を抱えた連中に硝子は呆れた声を出しつつ俺達は第二都市へと戻って狩り場巡りを再開したのだった。


「あ、お兄ちゃん。私、ちょっとフレンドから聞いた種族クエストをクリアして来るよ」

「あー……なんかあったな」


第三波をクリアしたときのアップデート情報で見た覚えがある。

紡の種族は亜人、特定のクエストをクリアすると獣化出来る様になるって奴だ。


「お手伝いしましょうか?」

「そこまで難しいクエストじゃないんだって、それと参加するには同じ亜人の種族じゃないとダメなんだってさ」


文字通り種族クエストなのか。


「色々と面倒そうだけど大丈夫なのか?」

「大丈夫、フレンドから聞いてるし必要なアイテムもアルトさんが用意してくれてるからすぐに終わるよ」


それは何よりだな。


「種族クエストですか……スピリットはどんな物があるのでしょう?」

「よく分からない感じだったよな。倒したモンスターを集めて力に出来るってのも限界突破の条件にも読み取れるし」

「クエストを受けてないでござるよ」


確かに、種族毎に何かしらのクエストがあるのだったら何処かで達成しなくちゃ出来ない事だ。


「スピリット系のクエストの話は聞かないから分からないね」

「あるけど不明って面倒だよな」


思えば魔王軍侵攻イベントでスピリットで俺達以外に印象付けられる何かをして居るプレイヤーは見なかった。


「人間とかジュエル、エルフとかもよくわかってないみたいだよ。だけどライカンスロープ、亜人はクエストが分かってるんだって」


これを優遇や不公平と取るか、キークエストが分かって居ないだけと取るかは判断に悩む。

けどどちらにしても紡の底上げには必要な事か。


「亜人のクエストを達成するとどうなるんだ?」

「獣化スキルって奴が開花するんだって、現段階だと自分にバフを掛けるスキルだけどアプデでもっとスキルが強力になるんじゃないかって亜人のフレンドが言ってた」


実装したばかりでまだそこまで強く無いスキルか。

単純に上がりが悪いスキルか。


「どっちにしても覚えられるなら早めにやっておいた方が良さそうだな。紡、行ってこい」

「うん。すぐに合流するからみんな待っててねー」


と、紡も種族クエスト達成の為に別行動をする事になった。


「じゃあ……やっていくか」




それから二日経った。

紡はあっさりとクエストを終えて俺達と合流を果たした。

紡曰く、種族クエストは簡単にクリアできたらしい。

宿で化石のクリーニングをしているとアルトから連絡が入った。

硝子も部屋で一緒に休んでいたので共に話をする事になったぞ。


最近の硝子は釣りの練習とばかりにルアーを思った通りに投げる練習をしていた。

俺ほどじゃないけどかなり正確にルアーを飛ばすことが出来る位にスキルが向上している。

奏姉さんはカニ漁と加工業務に励んでいるとの話だが、何やらアルトが感心していたと呟いていた。


「いやぁ……さすがというか奏くんは君の姉であるとマジマジと理解させてくれるね」

「なんで納得したのか聞くべきだよな?」

「やはり絆さんのような異様な集中力を見せているという事ですか?」

「うーん……ベクトルは違うかな。彼女にカニの加工業務をしばらく頼んでいたんだけどね。船内の作業工程のライン作業の間取りが非効率的だって全体の見直しを提案してきたんだよ」


なるほどな。

展開は読めた。


「姉さんの事だから言い逃れして逃げる理由とかにしようとしている可能性もあるけど、アルトの反応からして違うんだな?」

「うん。配置的に無駄な所を削って、効率化する見取り図まで出してくる始末だよ。僕も舌を巻いたよ。確かに彼女の言う通りにすると今までよりも効率が良くなるんだ。自分でもなんでこんなに無駄な配置だったんだって思う位、洗練されていたよ」


カニを茹でて捌いたりする作業なんだけど、そのライン作業を更に効率化させる提案をするとか……姉さんらしいと言えばらしいのかね。

あの人、攻略サイトとかあればテンプレートになる様な配置を思い付くんだよな。

別のゲームで楽をさせてもらった経験があるのでよくわかる。


理屈と膏薬



「徹底した効率的な行動主義……彼女が前線組であり、君の姉なんだと納得したよ」

「姉さんはなー……色々と狩り場とか常識とか固まってくると頭角を現すタイプなんだよ。紡とは逆のゲーマーだから、単純作業に対して効率を求めるんだよね」

「絆さんは非効率的でも黙々と続けられるのが違う点という事ですか?」

「まあね。俺は行程も楽しむ主義なんだけど姉さんは効率的に結果を出す事を求めて、紡はプレイヤースキルの訓練とかいろんなやり方を探す感じだな」


だからスタートダッシュは紡が一番早いんだ。

で、姉さんはエンドコンテンツが主流になると頭角を現す。

俺? 俺はこの手の話だと目立つ事はほとんど無いな。


「本質は似てるけど色々と差がある姉妹って事なんだと納得するしかないよ。ちなみに自分は普通だと思っているみたいだけど、君は根気の化け物だ。二人がそのゲームをやめた後も続けていて、ゲームを完全網羅するタイプだろう?」

「十五日も地底湖に潜っていられた方ですからね」

「まあせっかく始めたゲームだし、余程のクソゲーでもない限りは最後までやるけど……」


しかし、あのホームレス生活をしていた姉と、刹那的な楽しみを追い求めるおバカな妹と血の繋がりに納得されるのは非常に不服なのはわかっているのか?

どうして家族でこんなに性質が違うのかは謎だ。


「それじゃあ奏さんはカニ漁に馴染んでいるという事でしょうか?」

「そうだね。メキメキと上達する罠技能を確認して笑みを浮かべていたよ。船上戦闘スキルも上がって来てて良いわねって言うくらいに」


なんとも……姉さんらしい話だな。

見栄を捨てて、新しい環境に放り込まれたら足踏みは遅いけど着実に結果が出る様に研鑽を積んでいくか。

結果的にだが、紡と闇影の暗躍は失敗に終わったな。


「まあ、我がギルドに入る洗礼は終えたような物だからキリの良いところで合流してもらえば良いかね。もちろん人手が足りなくなったら、また来てもらうけどね」

「ああ、元々姉さんが俺達に素直に甘えられないのが原因だしな。しっかりと働いたと思ってくれたらこっちの戦闘に参加してもらうさ。硝子達も俺の底上げをそろそろ切り上げて、波に備えてLvアップに励んでもらいたいからな」

「本音で言えば絆さんも来てくださると良いんですけどね」


なんだかんだ合間で釣りとかさせてもらって解消はしているけど、俺は本来いろんな釣り場で釣りをするのが目的なんだから一日中釣りをするのも悪くないんだ。

Lv上げと同じ位、資金稼ぎも重要だしな。


「もちろんミカカゲに設置したカニ籠の採取をして行かないといけないし、やっていくさ。ついでに海の方でも挑んでない魔物に挑むのも良いな」

「ええ、波に備えてラストスパートです。がんばりましょう」


っとアルトから姉さんの近況報告を聞いた後……俺達は就寝をしたのだった。

そんな夜が明けようとした時刻での事……。

バリン! ……っと朝靄が掛かる時間に波の到来を告げる音が響き渡ったのだった。

波の到来する場所はみんなの想像通り、ミカカゲ……ではなく、第二都市ラ・イルフィ近くの山脈近くで発生したのだった。




朝……寝起きに泊まって居た宿の前に出て朝の背伸びからの散歩、川で軽く釣りをしようとしていたらかなり近い所に波の到来を告げる空模様があったので驚いた。

部屋に戻ってみんなと相談をする。


「まさかまた第二都市近くで波が起こるとは予想外だったでござる」

「だねーてっきりミカカゲの方で発生すると思ったのにね」

「ええ、まさかこんな近い所で起こるとは……」


やっぱりみんな波が起こる場所はミカカゲ周辺で起こると思っているよなー。

俺もミカカゲで起こると思っていた。


「ただ、結果論だけで言えばミカカゲじゃないのも納得出来なくも無いな」

「絆殿はどうしてミカカゲじゃなかったのか納得出来るでござるか?」

「ああ、まずミカカゲの入国システム。ビザのランクアップをして行かないと関所を通過出来ない仕様だぞ? 好きにプレイしているプレイヤーには著しく行動を制限しかねない。一応、全プレイヤーに参加権がある波への公平性が損なわれる」

「今更だと拙者は思うでござるが」

「お兄ちゃんと硝子さんは第二波に参加出来なかったもんね」

「そこは免除って扱いになっただろ? そもそも開拓クエスト、第三都市のカルミラの解放クエストだったんだ。プレイヤーがミカカゲのクエストが参加資格になるのは参加出来るプレイヤーが減りかねない」


ゲームの目玉イベントを参加出来なかったとしてもそれに匹敵する大規模クエストに参加中だったからこその免除だ。

セカンドライフプロジェクト、好きに第二の人生を楽しむゲームでミカカゲのクエストをやってないから波に参加出来ないのとは事情が違いすぎる。


「次にミカカゲのクエストはちょっと前に行われただろ?」

「魔王軍侵攻イベントでござるな」

「そういうことだ。近い所で大規模イベントが何度も行われては芸が無いと思わないか?」

「言われて見れば確かに発生する場所を考えると別の場所で起こっても不思議じゃないね」

「いや、それにしても第二都市近くで起こるのは妙でもあるでござるよ。だって初回と二回目の波はこの辺りで発生したでござる。それこそまた海上で波が起こっても良いはずでござるよ」


闇影の異議を俺は否定しない。確かに初回と二回目は第一都市と第二都市の間で行われていた。

行ける所が増えた今の状況で第二都市近くで波が発生する理由にならないか。


「第二波ってどの辺りで行われたんだ? 俺と硝子はカルミラ島に居たから詳しくは知らないんだが」

「第二波はリユート街道というフィールドで行われたでござるよ。第二都市から少し離れた道でござるな」

「あんまり目立つ狩り場でもない街道だから印象は薄いかもね」

「そうだったのか。まあ波の発生地点の法則に関しちゃ俺もゲームを作った奴じゃないから分からないけどな、ミカカゲは立地的な意味で不向きって事だ」


最初に述べた通り、ミカカゲは現状だとプレイヤーに優しい場所ではない。

カルミラ島の場合はダンジョンのシステム的な面でプレイヤーが戦いやすい環境を構築しやすかった。

船上戦闘スキルだって波までの間に船に乗っていれば戦えないという程では無い位には動けていた。


「まあ、波に対する救助要請って事で関所がシステム停止して現地の場所までフリーで行き来出来るとかでも良いとは思うんだけどな」

「便乗してビザを無視出来るでござるな」

「その場合、ビザを必死に上げて入れる様にしたプレイヤーが不公平感を覚えるかも知れませんね」


この程度で不満には思わないけど、あり得ない話ではない。


「かなり独特なシステム回りをしている国がミカカゲだからな……何にしても現段階では波の発生場所を外されたって事だろうな。もしくはある程度ランダムなのかも知れない」


セカンドライフプロジェクトは同じプレイヤーは一度ゲームが終了した場合、再度ゲームが開始した時に参加は出来ないってルールがある。

前回のプレイ知識を事前情報で広められても次のプレイで色々と修正が掛かって役に立たないのが触れ込みにあった。

スピリットが弱種族だって事前情報の話もこの辺りに起因する。

実際は癖は強いけど弱い種族では無い。


「理屈と膏薬はどこへでも付くでござるか。確かにあまり深く考える必要は無いのかも知れないでござるな」

「そういうこと。今の俺達に出来る事は次の波が本格的に開始する前に事前準備をできるだけする事だ」

「とは言いましても既に色々と準備は済んでいますよ」


確かになんだかんだ色々と装備は潤沢にはなってるか。

俺、硝子、闇影はスピリットでエネルギーの限界突破にいろんな魔物との戦闘が求められていた訳で、できる限りいろんな魔物と戦うとここ最近、今まで行かなかった狩り場を回っていた訳だし。


アットホームなパーティー

手頃な狩り場はもう大分一巡した。


「ミカカゲの方で最終調整に予定を切り上げるか」

「私もフレンドと情報交換した感じだと、Lvは若干負けてるね。ガッツリやってた人にはさすがに追いつけないかな」

「けど負けるつもりは毛頭無いんだろ?」