できる限りの準備……割と好きな事をずっとやっていたような気がするけど、準備は大分進んだ。
今までの狩り場の魔物を倒してエネルギーの上限突破を済ませて居るし、当面はやらなくて良いだろう。
むしろ波が来なければミカカゲのクエストに集中してたよな。
「明日か明後日には波が始まるわ。アルトが居ないけど、やっていくわよみんな!」
「おー!」
そんな訳でアルトが抜けたまま、俺達は準備を終えた。
翌日。
ディメンションウェーブが発生するフィールドで待機している。
「そろそろ始まりそうだよな」
「もうみんな馴れた感じでフィールドで待機してるね」
「物資運搬組も手慣れてるよな。ロミナ、アルトが居ないけどどうにかなりそうか?」
ロミナにチャットを飛ばして尋ねる。
「問題無いよ。ペックル達にも任せているからね。しぇりるくんがペックルカウンターを一つ使いたがっていたから渡してある。何かあったら彼女か絆くん、君が物資運搬でフィールドへの搬入をしたまえ」
「はいはい」
俺としぇりるがアルトがしていた物資搬入の合図班な訳ね。
「みんな強いのは分かってるけど、ちゃんと連携して行くのよ? 今までは装備とかLvのごり押しで行けたけど今度は失敗だってあり得るんだからね」
奏姉さんの注意に俺達は頷く。
まあ……一番恐いのは俺と硝子と闇影だもんな。
スピリットは媒介石のシールドエネルギーを超過するとどんどんエネルギーが減っていって、弱体化して行く。
下手にエネルギーが無くなって死んだら取り戻すのに大幅に時間が掛かる。
少なくとも戦線復帰は不可能、物資補充とかが関の山になる。
幾らやりがいのあるメインイベントとは言っても後先考えずに突撃して、後に響いたら目も当てられない。
強力な分、死んだら恐いのがスピリットだ。
連携技なんて概念もある訳だし、敵の攻撃も苛烈になるのは想像に容易い。
「今回も良い順位を狙うでござるよ」
「そうだな」
前回のディメンションウェーブでは1位を取れたけど今回も同様の結果になるなんて自惚れてはいけない。
現に魔王軍侵攻イベントで俺は思ったよりも活躍出来なかった。
今度こそとは思うけどなんだかんだ硝子や闇影みたいなプレイヤースキルは無いからな。
「闇影ちゃんは何時も良い成績を残すわよね。私も羨ましいと思うわ」
……ブレイブペックル着ぐるみを着用している奏姉さんが抜かしている。
周辺にいるプレイヤー達が奇異な目を向けてるぞ。
「親子ブレイブペックルだ」
「島主パーティー、一体何処で二匹目のブレイブペックル出したんだ? というかでかい」
「ちげーって、アレ、ペックル着ぐるみの派生装備だ。強化のキー素材は何だろ? 使い込んだ盾が素材だってのは分かってるけど他は知らないんだよな」
「カッパッパ!」
ネタに走ったプレイヤーの一部に河童着ぐるみを着用している奴が混じっている。
一部販売した着ぐるみがプレイヤーを汚染し始めている。
これが標準になると非常にシュールな光景になるぞ。
ネトゲではよくある光景だけどさ。
ちなみに奏姉さんは宣言通りスパイクシールドを装備している。
装備はカニ装備の盾でクラブスパイクシールドというらしい。
「そ、そうでござるか」
闇影が物怖じしてる。人見知りするという自称は相変わらずなんだよな。
「波のランキングって耐えるとかも貢献度あがるの?」
「そりゃあ上がるわよ。まあ、さすがに今の私じゃ1番は難しいとは思ってるわよ。新入りだし今回は捨てて次こそトップを狙うだけよ」
計画的な運用を目的にしてるのね。
「よく闇影ちゃんは話題になっていたのよねー波の戦績で必ずトップ帯に居るアタッカーだもん。魔法使い系はみんな一度は真似をしようとするのよね」
「この辺りは模倣と研究をするのがゲーマーの性だよね」
「その割に闇影みたいなドレイン忍者って波での戦闘で見ない気がするけど、どうなの?」
奏姉さんは臨時パーティーとか色々とやっていた訳だから詳しそう。
アルトが情報屋をしていたけど戦闘スタイルに関しては俺達も聞かなかったから知らない。
姉の分析
「それがね。ドレインの威力が想像より低いし癖が強すぎて真似するより他の属性魔法を使った方が良いってなるのよね。なんかダメでおかしいとか言われてるし」
まあ……闇影が使っている装備にはドレイン特化のアクセサリーに始まり、他の装備も付与効果を山盛りにしてるもんな。
俺と硝子が不参加だった二度目の波だって、海で戦って居た差があって伸びは十分だったし、カルミラ島の波……三度目の時から能力値はおかしい訳で。
「他の追随を許さないドレイン忍者だな闇影」
「ふ……拙者に追いつけるでござるか?」
別にお前のドレインを全く羨ましいとは思わないけどな。
「スピリットが元々負け種族って前情報の噂があった所為でスピリットのプレイヤーは全体で言えば少ないのも理由かも知れないわね。ドレインとの相性が良いって考察の進みが悪いのよ」
「その理屈だとお兄ちゃんと硝子さんも同様の事が出来る事になるね」
「俺と硝子は魔法は使って無いからなー」
俺、硝子、闇影は揃って戦闘スタイルがバラバラだ。最近、硝子が釣りを一緒にしてくれるようになったけど、使う武器が違うのだから当然だろう。
「サブウェポンでドレインを覚えて見るのはどうなの? 普通に魔物を倒すよりエネルギーを稼げる事になるはずよね?」
姉さんが俺と硝子に提案してきた。
うーん……。
「ゲーム開始当初ならともかく、アップデートまでエネルギー上限が決まっていて、しかも上限が近い俺達からするとなー」
今は条件を満たして上限突破させるのが、ゲーム開始直後は上限が遠くてコツコツエネルギーを貯めて運用してたもんだ。
硝子なんて貯めていたエネルギーをみんなの為に壁となって攻撃を耐えて都市解放のボスを倒したのにパーティーから追放されたんだしな。
「あんまりスキルを覚えると時間消費のエネルギーがなー」
付け替えするとマナが相対的に減ってしまうから高頻度での付け替えや上げ下げは結果的にマイナスになる。
エネルギー生産関連も上げて居る状況なんだけど、それもまた上限がある。
で、ドレインを俺が覚える場合、コスト面でかなり重い。
「そもそもカルミラ島で開拓中に俺や硝子が魔法を覚える案もあったけど、重いし習得条件もあって先送りにした問題なんだよな」
「アレもコレも覚えるには厳しいのが難点なんですよね」
「もうちょっと覚える幅が欲しいでござるな」
俺達がそれぞれスピリット故の悩みを共感していると奏姉さんを初めとした紡、しぇりる……チャット中のロミナまでもが眉を寄せて見てくる。
「他種族だと何でもこなしている様に見えるのだけどね」
「そうよねーかなりサクサクとスキルを付け替えして型を切り替えて見えるわ」
「ねー」
「隣の芝生は青いだけですよ」
だよなー他の種族の方が羨ましいってのはあるし。
マナ生産力を向上させては居るけど、上位スキルともなると常時消費するエネルギー以外にマナも減るんだよな。
「そもそもそれを言ったら他の種族の人だって型を変えたりするもんだろ?」
俺達だけに強制されても困る話だ。
「そりゃあ、色々とやって型を大幅に変えようってする人は居るわね。そういう人はカルミラ島のインスタンスダンジョンで時間短縮図るわ」
ああ……熟練度の関係で型を変えるためにインスタンスダンジョンが使われるのね。
「ま、絆達はみんな好き勝手で楽しむスタイルなんだし、あんまり型を押しつけて良い事は無いわよね。じゃなきゃアンタたちがみんなの憧れパーティーになるはずないもの」
「あ、あこがれでござるか?」
「そりゃあね。闇影ちゃんの真似をするのも当然でしょ」
「硝子ちゃんや紡は素の運動神経が凄いのもあるわね」
確かに……エンジョイが俺達のモットーで遊んで居るけど硝子達は揃って腕は一流だもんな。
そもそも紡も奏姉さんもゲーマーとしての腕前は一流だ。
格闘ゲームの大会で優勝商品でこのゲームの参加権を得た訳だし。
「……」
しぇりるがここで黙ってこちらを見つめて居る。
なんか恐いな。嫌な予感とでも言うのだろうか。
「しぇりるちゃんも槍系を武器に使う人が名前を言うくらいには有名人よ。木工職人なのか槍使いなのか本業談義を良くされてたけど」
「アレか、どっちなのか本人が居ない所で談義される奴」
アイツはこうだ、いや、こうに違いない。
スキル構成のメインはこっちでサブはこっちだ! みたいな明確な答えがあるけど推測で白熱する議論がされる奴。
「……そう。どっちだと思われてる?」
あ、しぇりるも気になるのね。
「槍って言う人が6割、船専門の木工職人ってのが3割」
「残りはなんでござる?」
「海賊って人と捕鯨船長って人がいたわ」
他プレイヤーから見たしぇりるの内情予想か。
「……」
なんとなくしぇりるが照れる様に俯いているような気がする。
「実際はどうなのかしら? 絆わかる?」
「海女」
「……そう」
あ、この発音は間違いじゃ無いけど正解じゃないって感じだ。
「絆殿、しぇりる殿は探検家でござるよ。エクスプローラーでござる。船造りも新大陸を目指してでござる」
闇影の言葉にしぇりるは頷く。
そういやしぇりるは新大陸を目指して船造りしてたもんな。
漁師関連で海女と覚えてしまっていた。
「色々と私たちの噂があるのですね」
「ちなみに俺は?」
「萌えるネカマ、絆ちゃんって」
「あー! あー! 聞こえなーい!」
くっそ、奏姉さんの耳にも聞こえてんのかよ。
俺に萌えるとか、これも全て姉さんと紡の所為だろ!
「ま、絆の場合は釣りマスターとか良く言われてたわよ。当然のことながらね」
「前回の波での事が印象的だからでござるな」
「ええ。風の噂で地底湖でおかしいくらい長期滞在する神経をしてるから釣りを誘われても行かないのが身のためだとも噂されて、私に聞いてきた人がいたわよ」
「ど、どう答えたわけ?」
硝子や闇影の目が冷たい気がする。
「そりゃあ、あの子はコレと決めたらとんでもない根気を持ってるからやるでしょって答えといたわよ? 一月は地底湖生活しても不思議じゃないわってね」
「あ、実際は半分ですね」
硝子、ここでホッとするように言ってるけど姉さんには逆効果だから!
「様子見で十五日って所でしょ。波が終わったあとに地底湖で三十日釣りしてなさいって言ったらするでしょ、あなた」
「そ、そこまでやらないよ」
「嘘おっしゃい! あれだけのカニ籠を設置するあなたがしないはず無いわ」
「よく分かってるでござる」
「さすがは姉君という事だね」
闇影とロミナ! 納得しないでくれ!
「ま、釣りなんてあなたみたいな根気が無いと安易に出来る要素じゃないとは思ってるから感心してるわよ」
「ゲームを始めた当初とは全然違う結果になってるのは間違い無いよねー」
「そこそこ強くなったらお兄ちゃんを連れて底上げする手はずだったのに、お兄ちゃんが想像以上の速度で強くお金持ちになっちゃったもんね」
「ヌシニシンを釣って私たちを爆笑させた時が懐かしいわね」
う……随分と前の事を未だに覚えてるのかよ。
「空き缶商法を閃いたのがアンタって聞いたわよ。本当、上手くやったわよね」
「逆にお姉ちゃんを私たちが引き上げる事になっちゃったもんねー」
「うるさいわねー。アンタも絆の所に行くのが早すぎるわよ。もう少しゲーマーとしてのプライドが無いの?」
「勝ち馬に乗るのもゲーマーとして大事な事だよ、お姉ちゃん」
見栄を張らずに面白そうと俺達に合流した紡と、姉としての見栄と信じた方法を突き進んだ奏姉さんの違いか。
おまけの姉妹
「まったく……正直、このゲームは今までのゲームと違う所が多くて経験が役に立たないわよね」
「姉さんは型が決まってから頭角を現すタイプだから出遅れるのも当然かもね」
「効率主義なのよ、私は」
アルトも舌を巻いてたし、姉さんの得意な事は分かるけどさ。
「とは言っても、セオリーが役に立たないし、アップデート頼りに装備を妥協すれば良いって分かったからもう出遅れたりしないわよ。むしろ絆達こそ、アップデートに合わせて行かないと出遅れるわよ」
「俺はともかくみんなが環境に適応するって」
こう……俺はこうと決めた遊びをずっとするタイプな自覚はあるからなー。
「絆さんは私たちと一緒に遊びながらずっと釣りをしていますからね」
「そうでござるな。徹底してるのは間違い無いでござるよ。これからもそのスタイルで良いと思うでござるよ」
「絆くんは変わらないで居た方が良いと私も思うよ」
と、みんなが俺のありのままを受け入れてくれる。
ありがたい状況だ。
願わくば硝子以外も釣りを付き合ってくれたら良いのになー。
「本当、奥が深くて飽きさせないセオリーの通じないゲームよね。定期的にアプデもあるし、セカンドライフプロジェクトとは言ったものよ」
「お兄ちゃんのファンクラブギルドがあるくらいだもんね。本当、面白いよねー」
「面白く無い!」
俺のファンクラブとか訳の分からないギルドを作るのはどうかと思ってんだぞ。
釣りギルドだから黙認しているんだ。
「ファンがいるって大事よ絆」
「そういえばさお姉ちゃん、確かこのゲームに参加するってアイドルが言ってたよね」
「あ、聞いた事があるね」
ここでロミナが紡の話に同意した。
「アイドルに会うためにゲーム参加するんだ! と参加権の競争倍率が跳ね上がったと聞いたよ。私は運良く参加権を購入出来たけど」
「そう言ったアイドルオタクでゲーマーな人がお兄ちゃんに萌えを見いだしたのかもね」
嫌だな……アイツらの事情がそれだったら。
「実はアイドルが絆なんじゃないかって思ってる人居たりして」
「俺のリアルはアイドルじゃないぞ! ちゃんと男だからな! アイドルだけど男って言ってるわけじゃないぞー! それでも本当はアイドルなんだろ? って言ってきたら下ネタを連呼してやるからな!」
思いっきり下ネタを言ってやるぞ! コラァ!
『絆ちゃんが波が起こるフィールド内でリアルアイドルじゃない宣言してるでござる』
『ぶひひ、わかっているでござる。それでも我らは応援してるでござる』
『絆ちゃんの下ネタ連呼、ご褒美でござる』
『是非言ってほしいでござる。ピー音で興奮出来るでござるよ』
『二次元を作っているのはおっさん……コレ、常識』
『美少女は二次元。つまりおっさんは美少女』
『ネカマ最高でござる。おまけの姉妹は良い仕事をしたでござる』
気色悪い俺への萌えを見いだした連中がフィールドチャットで返してきやがった!
しかも尋常じゃない偏見が混じっている。
「誰がおまけよ! 誰が! 私はコレでも学校で美少女姉妹って言われてるのよ!」
奏姉さんがここで噛みついて行った。
まあ本当の話ではあるんだけど、ゲームの中でそんな事言われても信憑性皆無だよな。
『精錬貧乏のブレイブペックルが何か言ってるでござるよ』
『気にするな。アレはポンコツだ』
『そうでござるな』
「気にしなさいよコラァ!」
まったく……真性の連中は恐れを知らない。
姉さんが根に持って今後、ずっと俺が弄られる事になるかもしれなくなったんだぞ。
「拙者……語尾を変えるべきでござるか?」
「あんまり気にするな」
アレと同類と思われたくないのかも知れないが、闇影は女キャラだし大丈夫だろう。
「話は戻るけど幾らゲームでアイドルが参加するからと言って、本人の見分け付くのか? このゲーム、ボイスチェンジャーが完璧だから変えたら分からないだろ?」
「そうなのよねー探してる人って今でも居るのかしら?」
怒るのを切り上げて姉さんが答える。
『探してるでござるが分からないでござるよ。ぐふふ』
『この中でリアルがアイドルの人! 誰か手を上げてあの歌を歌ってくださーい!』
『うほほー!』
フィールドチャットがノリノリになってきたな。
「こんな状況で名乗るアイドルがいたら凄いな……」
とりあえずパーティーチャットを開いてっと。
「で、リアルアイドルって俺達の面子にいる? あ、姉さんと紡は一応本当にリアル美少女扱いではあるぞ」
少なくとも学校では良く言われてた。
俺はその間の地味な長男って扱いだ。
姉や妹萌えに目覚めなかった理由でもある。
アルトをして俺の姉や妹じゃね……って感じだ。
「私は違います。アイドルではないです」
「拙者も違うでござる」
「ノー……」
で、ロミナに尋ねる。
「生憎違うよ」
「これでアルトだったら冗談も良いところだよな」
「今居ないのが悔しいが、アレでアイドルだったら私はそのアイドルがテレビで写っていたらスイッチを切る」
死の商人がアイドルでは無い事を祈るばかりか。
とはいえ、アイドル業界ってキナ臭い話が多いし、あれ位ギラギラしている方が向いている様な気もするんだよな。
まあ少なくとも俺達の中に隠れてゲームに参加したアイドルはいないようだ。
そもそも居たからなんだって話ではあるが。
「さ、波が始まったら無駄口叩いてる暇なんてなくなるわよ。みんな思い思いに戦うのがここのポリシーなんでしょうから、私が合わせて戦いやすくすれば良いだけよ」
と、奏姉さんがやる気を見せたと同時だっただろうか。
今までと同じく黒い次元の亀裂が鈍く発光し始め、イベント開始の合図をする。
『お? 始まった始まったー! おーい! 魔物が出てるぞー!』
フィールドチャットで報告の声が上がる。
『さーて、今回のディメンションウェーブは陸地での戦い。魔王軍侵攻イベントに参加した奴らも不満に思う所があっただろうから、今回はみんな本気で行こうぜ!』
って元気な声が木霊する。
そういや……最初の波と三度目の波で指揮をしていた人のチャットが見えないな。
「さーて……今回の敵はどんなのが出て来るのやら」
出現する敵の姿を確認しようとばかりにフィールドで出現する魔物の姿を見る。
次元ノナーガ……下半身がヘビの人型魔物。
更に次元ノガルーダ……鳥人間みたいな魔物。
更に次元ノジン……ランプの魔人みたいな魔物が姿を現し、その背後に大型魔物として次元ノアイラーヴァタという三つ首のゾウみたいな魔物が現われた。
「なんか人型っぽい魔物が多いラインナップだな」
「だね。ゲームとかでたまに見る魔物だよね」
「そうだな」
「一応統一感があるラインナップね」
姉と妹と一緒に出て来た魔物たちのラインナップへの感想を述べる。
インド神話とかで見る魔物が大半だ。
「お手並み拝見ですね」
「今回も好成績を収めるでござるよー!」
「……いく!」
っとみんなやる気を見せている。
んで、マップを確認っと。
A
B
C
D
E
1 2 3 4 5 6
『報告ーAの2に黒い塔を発見ー大分馴れて来たなー』
『えーっと……今急いでマップの奥を確認中ーたぶん、Bの5か6辺りにそれっぽい影がある』
『Dの3辺りにニョキニョキ生えて来てんなー』
と、戦場チャットで報告が上がってくる。
俺たちの所在地はEの5辺り。ちょっと山岳地帯っぽい場所で地名は……メシャス山脈地帯だったか。
若干勾配があるマップで崖上に上がるのにちょっと回り道とか求められる厄介な場所だ。