Wave of dimensions — страница 73 из 111

ただ騎乗ペットに乗る事で機動性は確保出来るので、ある程度問題は解決できるか。


『んじゃみんな! やっていくぞコラァ!』

『おー!』

『イー!』

『イー!』

『イー!』

『毎回いるけど戦闘員やめろ! 負けたいのかお前等!』


相変わらず自由な戦場チャットをしてるな。


「じゃあ俺達もやって行くとして、どうしたもんかな」

「まずは出てくる魔物がどの程度か、前衛の私と硝子さん、紡で様子を見るわよ! 目的地は一番近いDの3ね」


奏姉さんがここで拳を振り上げて宣言する。

バラバラに行動するのは後回しって感じか。

ちなみに当然のことながら俺はペックルを何匹も連れている。

船に乗っている訳じゃないのでペックル達の頭装備は個性豊かだ。


お兄さん



「わかりました。手始めに行きましょう」

「やってみよー!」


っと姉さんを先頭に硝子と紡が近くの魔物の群れ目掛けて突撃する。


「……私は別に準備する」


しぇりるはここで何やらやりたい事があるらしくガチャガチャと屈んで何かをし始めた。


「絆と闇影ちゃんも準備なさい」

「はいはい」

「やるでござるな。パーティーでの連携の見せ所でござる!」


俺は冷凍包丁を取り出してブラッドフラワーのチャージを行い、闇影が魔法の準備を始める。


「ほらほら! ヘイトコール!」


ふわっとなんか風の竜巻みたいなエフェクトが奏姉さんが指さした魔物の群れを中心に発生する。

すると魔物たちがこちらに顔を向けて駆けだしてきた。

魔物を引き寄せるスキルなんだろうな。


「打ち合わせ通りに行くわよ! シールドディフェンス!」


姉さんが盾を構えて掛け声を発すると姉さんに透明な盾のエフェクトが発生、次元ノナーガと次元ノガルーダが姉さんに向かって各々武器で切りかかってくる。

ガツン! って音と共に姉さんは魔物の攻撃を受け止めていた。

流れるように次元ノジンも炎の魔法を放って来て姉さんに着弾する。

大丈夫か? っと思ったけど姉さんはピンピンしているようだ。


「……耐えられない程じゃないわね。この装備でこのダメージって事は前の装備じゃそこそこ痛かったかもしれないけど」


今の姉さんの装備は防御特化のブレイブペックル着ぐるみ。見た目はシュールだけど性能はお墨付き。


「まだヒールを使うほどじゃないわね」


かなりタフになっているようで姉さんはかなり余裕があるっぽいな。

で、ぞろぞろと魔物が姉さん目掛けて群がって来た。


『うわ! 魔物の攻撃いてぇ! 過剰したカニ装備でこれだけダメージ受けるってタンクはあんまり抱え込まない方が良いぞ! しっかりとパリィしろよ』

『今回は攻撃力高めかぁ……』

『ちょ! ブレイブペックルが大量に魔物を抱えて平然と耐えてる件、回復エフェクト見えねーぞ! 大丈夫なのかあれ?』

「島主パーティーだろ? 死の商人の話だと島主が被ってる頭装備で戦場にいるペックルたちの能力アップかけてるって話で着ぐるみにも補正掛かるらしいぞ」


アルトが流した情報がここでも流れる事になるのね。

そりゃあカルミラ島でのディメンションウェーブの際にペックルたちが活躍した理由を知りたいと思うか。

もちろん魔王軍侵攻イベントでもな。

俺がいたフィールドだとペックルの能力上がっていただろうし。


『いいなー。割とガチで欲しくなってきた』

『アイドル絆ちゃんを護衛する親衛隊になりたいでござる。ブレイブペックルになりたい人生だった。ぺんぺん』

『そんな光栄な立場にいるうらやま……じゃない。不届き者は誰だぁ!?』

『姉』

『姉らしいぞ』

『ああ、過剰マニアのホームレスか』

『カニバイキング常連の雌か、残念だな』

「うるせー! 誰が雌だコラ! 残念いうな!」


姉さんがキレた!?


『姉って言ってるけど本当は兄なんじゃね?』

『絆ちゃんの……お兄さん、だと!?』

『男の娘キタコレ!』

『説明しよう! 男の娘とは女の子として登場した人物が実は男だったというハプニング展開の総称である。海外ではtrapというスラングで――』

『なんか始まった』

『長い。3行でよろしく』


『絆ちゃんの姉、兄説浮上。

ブレイブペックルは男の娘。

つまり――わっしょいわっしょい!』


『わっしょいわっしょい!』


『イー! イー! イー!』

『それはそれで萌えるでござるが実際の所は?』

『実姉らしい』

『ちっ……!』

「言うに事かいて私を男だと思うってどういう事よ! トラップ言うな! それと舌打ちした奴! ちょっと出てきなさいよ! コラァ!」


と、姉さんが魔物の猛攻を耐えながら戦場チャットで抗議の声を上げている。

ガツガツと魔物どもに群がられているけど余裕だなー……防御力が高いからこそできる抗議か。

反撃効果のあるスパイクシールド装備なので魔物共に均等にダメージが入る仕様だ。


しかし、さすがは大規模イベント。

チャットが凄い速度で展開されているな。

今は主に姉さんの兄疑惑で盛り上がってるけど。

わっしょいわっしょい。


「奏さん……凄いですね。私ではあの数を捌きながら戦うのは厳しいですのに……」


さすがは片手剣盾と言った所か。

硝子は魔物の攻撃を弾いて耐える少人数耐久スタイルだからか、大量の魔物を抱える姉さんの防御特化構成は素直に感心してしまうようだ。


「っと、怒っていたら地味に痛いわね。ヒール! 硝子さんに紡、一匹弱らせて!」

「わかりました!」

「いっくよー!」


と、硝子と紡が姉さんに猛攻を繰り返す次元ノナーガに向かって背後から近づいて各々武器を振りかぶる。


「乱舞一ノ型・連撃!」

「ウインドシックル!」


硝子が使う基礎スキルと紡の鎌の基礎スキルが放たれた。


「シャアア!!」


ザシュっとクリティカルなエフェクトが次元ノナーガに刻まれて大ダメージが入ったっぽい。

強さ的にはどんなもんなんだろうな。

姉さんからするとそこまでじゃないみたいだけど……と言うか結構魔物を抱え込み始めたぞ。

なんて感じで俺もチャージしていた訳だけど、完全チャージまではしなくても大丈夫か?


「絆! 闇影ちゃんも!」

「じゃあ闇影、行くぞ」

「わかってるでござる」


姉さんの指示に合わせて俺はノーマークのまま次元ノナーガに近づいて、闇影と呼吸を合わせる。

ポン……っと軽い音と共に闇影の魔法と俺のブラッドフラワーが連携スキルとして合体して発動する。


「「ブラッディボムスプラッシュ!」」


闇影が唱えたブラッディレインと俺のブラッドフラワーが連携スキルとして混ざり合い、俺の冷凍包丁の刃先に闇影の放った闇の魔法が宿って刀身が赤黒い光を宿しながら狙った次元ノナーガを切り刻んでトドメとなって絶命する。


「シャアアア!?」


ズブシャ! っと赤黒い派手なエフェクトと共に血飛沫が周囲の魔物たちに派手に降りかかる。

と、同時に周囲の魔物たちの体から煙が発生した。


「よーし、これで周囲の魔物たちに強めの防御力低下と継続ダメージのデバフが掛かったわ! みんな一気に片づけなさい!」


本来はフィニッシュで仕留めると解体をしてしまうブラッドフラワーなのだけど、ブラッディレインと合体したおかげで対象の魔物にトドメを刺した際、魔物の死体が血の塊となって周囲に飛び散り、掛かった魔物に強力なデバフ効果を引き起こす攻撃となる。


「もちろん行きます! 輪舞零ノ型・雪月花!」

「死の舞踏!」


硝子と紡のスキルが発動し、奏姉さんに群がる魔物たちに命中して薙ぎ払う。

わー……デバフ効果とかしっかりと意識すると一瞬で魔物どもが消し飛んでいくなー。

一瞬で魔物の群れが全滅だ。


「戦闘終了ね。ヒールっと」


手早く姉さんが受けたダメージ分を着ぐるみの固有効果にあるスキルで回復させ切る。

波の前に模擬戦闘をしたけど安定性が段違いだなー。


「やっぱりみんな中々やるわね。攻撃能力は天下一品よ」

「光栄ですね」

「魔物の群れを一撃で散らすのは爽快だけど、ちょっと歯ごたえ薄くて面白味が無いよお姉ちゃん。もうちょっとビシバシ殴れる方が私は好みかなー」


紡の意見も納得は出来るか。

効率的に戦うのも大事だけど、歯ごたえが無さ過ぎるのも面白みに欠ける。

姉さんが耐えて俺と闇影で相手に強力なデバフを施し、硝子と紡で仕留める。

連携としては十分だとは思うのだけどな。


「まだ始まったばかりでしょ。とは言っても絆と闇影ちゃんの連携技の倍率がかなり高いのは事実ね。二人とも、その連携を維持できる?」

「出来なくはないけど……」

「拙者も暴れたいでござるよ」


俺は援護担当でも良いけど闇影はアタッカーとして存分にドレイン三昧したいだろうなー。


「まあ、好きにやるのがアンタたちのプレイスタイルだもんね。もっと手広く戦場をかく乱するのが好みかしら?」


ってなんかカッコつけてるけど姉さんは着ぐるみを着ている訳で何の迫力もない。

ぶっちゃけかなりシュールな光景だ。


「そうですね。波に備えてみんなで色々とやってきましたので遅れを取ることはまだないと思います」

「まあ、そうよねー。私もこの装備でガッチガチだもの。割り切ってたけどここまでとはね」

「だね。男疑惑が浮上した姉さん」

「大丈夫だよ、お姉ちゃん! 私サバサバ系だからーとか澄ました顔をしてるのに実は陰湿な所が本物っぽいよ! わっしょいわっしょい」

「絆! アンタまで言う気!? 紡はリアルでゲンコツね」


まあ弄れる時に弄るのが我が家のスタイルだろうに。

それとお前もわっしょいするのかよ。


「むしろアンタのファンって真正ばかりじゃないの! ネカマ姫してきなさいよ」

「勘弁願いたいね! 俺に萌えてどうすんだ! 野郎だっての!」

『萌えない姉と萌える弟の攻防』

『現実は非情である』

『金さえもらえればなんでもするという行動からくるイメージが彼女の悪い風聞を振りまくのです。わっしょいわっしょい』

『イー! イーイー!』

「アンタらいい加減にしなさいよ!」


俺と奏姉さんが戦場で話し合っているだけで姉さんがこう……お金の為に如何わしい商売をしていたというイメージが補強されて行くんだが。

ネットって一度付いたイメージが延々と続くのが良い所でもあり、悪い所でもあるよな。

後、最後の戦闘員は人間の言葉を使ってくれ。


クリティカル・ワイヤー



『待てお前等、冷静に考えるんだ。今回の魔物は人型に近い要素を持っていて群がっている。実に彼女らしい末路に思えないか?』

『なるほど、姫という事か! モンスターサークルの姫ざまぁ』

『群がるのは魔物ばかりだな。同類になってしまってはいけない』

『この場合のモンスターとはペアレントと、本物のモンスターを絡めた――』

『解説オツ』

『3行でよろしく』

『つまり良い子のみんなと絆ちゃんファンクラブのみんなは真似をしちゃだめだぞ? 遠くでご本尊を眺めるのが大事』

『ネカマ疑惑のお兄さんと絡むよりも闇影ちゃんとか硝子ちゃんと絡んでる方が良いよなー』


だーかーらー!


「……ちょっとみんな、私アイツ等MPKしてくるわ。好きにしてて頂戴」


あー……姉さんの堪忍袋がブちぎれてラースペングー化しちゃったか。

ドタドタと姉さんは魔物をかき集めながら何処へと走って行ってしまった。


こういう大規模イベント内の悪ノリってイジメとの境界線が曖昧な事があるんだよな。

まあ雰囲気的にヘラヘラやっているし、マジでやっている奴はいない。

悪ふざけの範疇なので気にしたら負けだ。

むしろ美味しいネタを提供出来た位に考えるのがイベントを楽しむ秘訣と言える。

明日にはほとんどの人が『ああ、そんな事あったなぁ』としか考えていない。

とはいえ、大丈夫だろうか……とは思うけど姉さんは別にやられてもデスペナはそこまでないし大丈夫だろう。


「えーっと……奏さんを追いかけなくて大丈夫でしょうか?」


『待ってください、お兄さん! これは誤解なんですよ!』

『ギャー! 親ブレイブペックルが魔物を引き連れてきやがった! 引かれるー!』

『お前等早くお兄さんに謝れ! な? ぎゃあああ!?』

『嫌だ! 俺達は間違ったことを言ってない!』

『絆ちゃんとずっとお話をしていたのが羨ましいから謝んない!』

『経験値持って来てくれてありがとうございます!』


「……まあ、首謀者をMPKしてきたら戻ってくるんじゃない?」

「アハハハ! お姉ちゃんも面白い役所を得たねー! 闇ちゃんみたいだね」

「全く嬉しくないでござるよ!」


緊張感のないまま波の戦いが進んでいくなー。


「とにかく、みんな思い思いに行くか。姉さんの勧める戦いもいずれは求められる大事な連携だって心に刻んでさ」

「そうですね。絆さんと闇影さんの連携スキルがとても強力でした。私たちも負けていられませんね。絆さんと戦闘でも連携したいものです」


硝子との連携で何か組み合わせられるスキルあると面白いんだけどな。

やっぱり単純に魔法とか覚えるのが良いのか?


「連携するだけならルアーダブルニードルからの大技とかで良いとは思うのだけどな」

「もっとちゃんと連携してるってスキルが良いですよ」


うーん……あったらいい組み合わせってのはわかるんだけどな。

要検証って所か。


「まあ、姉さんが俺たちから離れて行ってしまったのでペックルたちに抜けた穴を塞いで貰いながら最寄りの塔まで行こう」

「ええ」

「拙者も畳みかけるでござるよ! サークルドレインでござる」


っと周囲に湧き出す魔物相手に闇影が恒例のドレインを施していく。

バシィ! っと良い感じにダメージは入るけど仕留めきるには足りないようだ。

超火力のドレイン攻撃でも削りきる事は出来ずにいるか。


「私もやるよー! 覚えたての新スキル! ハァアアア!」


っと紡が掛け声を上げると、紡を囲うように何やらエネルギーの膜みたいなモノが精製され、手足がモサモサの毛が生える。


「いっくよー! 紅天大車輪!」

「シャアアア!」


闇影がダメージを与えた次元ノナーガやガルーダに向けて紡がスキルを放って仕留めきる。


「どんどん行くよー」

「で、紡、そのスキルが亜人の獣化スキルなのか?」

「うん。まだ熟練度が足りなくて攻撃力アップ効果しかないみたい何だけどね」

「熟練度が上がるともっと獣化していく感じなのかね?」

「どうなんだろ? アバター作成時のキットにはモーションに内包されてなかった所だからわかんないかなー」


あ、そうなのか。

なんか種族とか設定とかで色々と初期に仕込むことが出来るっぽい。

スピリットにはそんな要素は無かったはず。


「このスキルを発動させるには攻撃してゲージ貯めないといけないから初手から使えないのが面倒な所だよねー」


自力でブーストするスキルだけど攻撃してゲージを貯めて発動か、面倒と見るか決め技と見るかは個人の自由か。

っと近づいてくる次元ノナーガに冷凍包丁で切っていたらオートスティールが作動してナーガの鱗をスティールしてしまった。

後でロミナに提出だな。


「でさ、このスキル……謎のチャージが可能なんだよね」

「連携スキルにもなるって所なんじゃないか? 組み合わせはわからないけど」

「かな? 闇ちゃん、後で検証しようよ。それとイベント中に使っている人いないか探さないとね」


こういった場は強い人や見慣れぬスキルを確認する場としては最適だ。

俺達は他のプレイヤーに興味を持たれて見られるように、俺たちも戦っているプレイヤーたちを観察できる。

我が道を行くけど、学べるところは多々存在するのだ。

姉さんが俺たちに色々と教えてくれたように。


『ネカマ姉さん。ゴチです!』

『耐えてくれてありしゃーす!』

『魔物の追加ありでーす!』

『お兄さん、これからファンになります!』

『アンタらいい加減にしなさいよー!』


……その姉さんは現在MPKの旅に出ているけど。

魔物の群れに向かって大技や魔法を放てる訳だから来るとわかっていたら腕に覚えがあったら美味しいカモだよな。

黙っていても沢山来るんだしさ。

姉さんがあの連中をMPK出来ることを祈ろう。


「そ、そこの島主パーティー! 助けてー!」


するとそこで助けを求める声が聞こえて来た。

姉さんのMPK被害者かと思ったけれど、どうやら違うようで無数の次元ノガルーダと次元ノジンに襲われて半壊してしまったパーティーがこっちに助けを求めている。


「OK、急いで助けに行こう!」


俺は急いで釣り竿に持ち替えてヘイト&ルアーでコツンコツンとルアーを飛ばしてターゲットをこっちに向けさせる。


「いくペン!」

「こいペーン!」


ここでペックルのクリスとブレイブペックルが上手い事動き出し、クリスは水を纏って突撃、ブレイブペックルはリザードマン召喚で俺がターゲットを奪った魔物に向かって攻撃して弱らせた。


「ここは私が……絆さんとクリス達がやってくれたのですから新技をやりますよ。見てくださいね!」


と、硝子がなんか負けじと俺と同じく釣竿を取り出した。

いや……硝子の場合、扇子でスキルを放った方が良いんじゃない? と思ったのだけど距離があったからこその攻撃だと判断して見守る。

ヘイト&ルアーを使うんだろう……そう俺は思っていた。

硝子のルアーは次元ノガルーダと次元ノジンをぐるぐると縛り上げるように近くを器用に飛び……首に巻き付いたかと思うと、硝子はキュっと釣竿を上げ、近くの岩場に糸をひっかけて釣り上げる。


「クリティカル・ワイヤー」


と、リールから伸びる糸をピン、っと弾くとバシュ! っと次元ノガルーダ達の首元にクリティカルエフェクトが発生して絶命した。

人型故に……こう、必殺! って感じでポロっと首が落ちて怖いぞ。


「おお! 硝子殿! 凄いでござる!」

「仕事人な感じだね! 私も首は狙って仕留めるけど、手際が良くて凄いね」

「どんどん行きます! はぁ! バインドロープ! からの乱舞一ノ型・連撃!」


硝子は助けを求めるパーティーの近くを飛ぶ魔物をルアーではなく糸で縛り上げてから近くに寄せて扇子で動けない相手に扇子で攻撃して仕留めた。


「絆さん程ではありませんが私だってこういった戦い方が出来ます!」


いやぁ……それって釣り竿の戦い方じゃないだろうと思うんだけどルアーで魔物の口に引っかけたりして無理やり一本釣りをする俺が言えるかと言うと怪しい。


防御低下デバフ



「えっと、ロープスキル?」

「そうなんですよね。釣り竿を使っているのにロープの条件が満たされて行くんですよ」


まあ……釣り糸を使って攻撃をしていたり抑え込んだりする訳だからロープ系の熟練度が含まれているのかもしれない。

釣り竿って複合武器なカテゴリーなんだろうか?

ルアーをぶつけるだけが釣り竿の使い方じゃないんだなぁ。

単純な火力は低いけどさ。

このパターンだと投擲系の熟練度も多少は上がっていたりするんだろうか。


「絆さんもやりませんか?」

「そ、そうだな」


首に釣り糸を巻き付けてからのポロリって俺に出来るだろうか?

普通に出来る自信がない。

と言うか硝子もいつの間にか成長しているんだな。

ちょっと前まで俺の真似をして釣り糸を垂らしていたのに。


「硝子」

「なんですか?」

「ルアーをぶつけたりひっかけて釣り上げるとかもやってみない?」

「絆さんは当たり前のようにやってますけど中々難しいですね」


いや、糸でぐるぐる巻きにする方が難しいと思うんだけど。

口に引っ掛ける方が簡単だと思う。

そう思って、俺は次元ノガルーダの口目掛けてルアーをひっかけて一本釣りで転ばせる。