Wave of dimensions — страница 80 из 111

出店は俺達の所からだった訳で。


「仕舞いには呼んだ所で『型落ち開拓地に呼ぶんじゃねえよ!』と罵倒までされる始末……少しでも遅れを取り戻そうとみんなダンジョンに潜りきりになり、妾は一人開拓をのう……」


うわ……未だに戦う事しか頭にないって偏ったゲームプレイをしている連中がいるのかよ。

アルトが言葉を濁していたのはこういう部分の事だろうな。


「呼んだ当初は島主パーティーよりも遙かに強くなれるとやる気を見せていたんじゃがな……あやつ等……仕返しに来ても追い返してやると毎日恨み節を呟く者もおったぞ」


……なんか硝子の元パーティーメンバーっぽい奴の話だなぁ。

嫌だなぁ。ここにいるのかよ。


「ノジャ子の指揮とプレイヤースキルもあるけど、変に面倒見が良いからアレな奴らも集まってたのよ。私をリストラした奴も呼んでたみたいだけど」


ある意味、敵対ギルドに俺は呼ばれたのか?

ちょっと不安になってきた。

ちゃんと俺の顔を立ててくれないと俺がストレスで胃に穴が開くぞ。

俺はストレスに弱い虚弱キャラなんだ。多分ね。


顔文字さんはその後の出来事は概要で説明した。

きっとドロドロで殺伐とした環境なんだろう。

かなり疲れた様な顔をしている。


こう……開拓地に閉じ込められるって相当ストレスだよな。

俺も島から出るのに相当時間が掛かったから浦島太郎気分だったぞ。

その中でもカルミラ島が最前線を超えた場所で強力な武具や道具、魔物と戦えるからやる気が出ていた。

けど、ここではカルミラ島さえあれば十分って空気が蔓延していたら……サッサと開拓を終わらせるなりしたくもなるのがゲーマーの性か。


「ゴールがわかってるならササッと目的に対して頑張りゃ良いのに」

「そこで色々と問題が起こってのう。ただ、ここは話の趣旨から少しずれるので後回しをするのじゃ」


何か問題が起こっているけど、そこは俺を呼ぶ状況とは別と。


「後から来る者の方が強くなっている状況でドンドン空気が悪くなって」


そんな矢先に起こったのが魔王軍侵攻イベント。

開拓メンバーは免除されてそれなりの報酬が貰える。

それでも型落ちの開拓イベントに閉じ込められて居た訳で。

そういえば顔文字さんを見なくなったのはその辺りからだっけ。

イベントの関係もあるけどかなり大雑把な感じになったもんなー……クリアは出来たけど。


「ミカカゲの更なる奥地へ行けるようになったと次に呼んだ者が話した辺りで関係は決定的な物へと変わって行って、みんな妾の悪口を言うようになったんじゃ」


うわ……それは辛い。

とんでもない針のムシロ状態だろ。

俺も下手すりゃそんな状況になりかねなかったんだよな……知り合い少ないし、硝子達が気の良い人たちだったから許してくれているだけで。


「開拓は決定的に上手く行かずに頓挫しておった。どうやっても上手く行かず詰んでいる状況だったのじゃよ」

「何が問題な訳?」

「それはの――」

「絆、アンタ農業得意でしょ?」


顔文字さんが説明するより早く痺れを切らした姉さんが間に入ってきた。

待ってましたって感じだ。


「得意って程じゃないけど」

「嘘おっしゃい! あの農業特化の頭おかしいゲームをやりこんでいたんだから間違い無いでしょ」


確かにそう言ったゲームをやりこんだ覚えはあるけど、そこでなんで聞かれなきゃいけないんだ?


「そりゃあ農業系のホームページや動画とか書物が攻略サイト扱いされるようなゲームをやってたけどさ」


大体の農業ゲームって地面を掘ってタネを植えて水を与えてたら育って収穫出来してお金を得られるもんだ。

けど俺がやっていたゲームは他に色々とリアルに近い難しい要素を大量にぶち込んでいたんだ。

そういう部分が話題になって有名になったゲームだしな。


……もしかして俺が姉さんに呼ばれたのってその辺りからか!?

ウサウニーの食料って人参だろうから農業で得た作物で働かせるんだろう。


「いやいや、ディメンションウェーブの開拓要素ってかなり大雑把だよ。釣りがそうだっただけだし」


呼べなかった



釣りで得た魚を与えるだけでペックル達は働いたぞ。


「敢えて言うとしたら……この開拓地は砂漠故に元々の難度が高く設定されておるのかもしれん」


ああ……報酬や得られる経験値は据え置きなのに難易度だけは高いと。

そりゃあ愚痴も言いたくなるのは分かるような気もする。


「そもそもよ、絆。あなた釣りする際に釣り具を色々と弄ってるでしょ」

「そりゃあね」


姉さんだってそれなりに良い装備してるじゃん。

それと同じだろ。


「同じ事よ。釣りの場合は事前の道具と場所なんか加味されるでしょ。農業にも似た要素があるって事よ」

「それにしたって、それ相応のマスタリー覚えればヒントが提示されるでしょ」

「あんた。釣り場での釣り具厳選、スキルでやってたの?」


……やってないな。総当たりだ。

後は水族館とか図書館でのヒントを元にやってた。

まあ、スキルだけじゃどうにもならない所があるか。


「かといって農業で問題があるって何があったわけ?」

「想定より収穫少ないのと上手く実らないのじゃ」

「まあ……こんな砂漠じゃ農業なんて相当難しいと思うけどさ」


場所も悪いよな。

こんな所で何を植えろと言うのかって位、場所が劣悪だろう。


「他にも色々とのう。まずはそこの畑を見てくれんか?」


と、言われて俺は顔文字さんの案内で砂漠にある畑……不思議と農地はあるみたいだ。


「作物の成長はどんなものなんだ? カルミラ島の作物は数日で収穫出来たけど」


一応別枠で作物もある程度育ててはいたんだよな。

あくまでメインではなくサブって形でペックル達に任せきりにしてた。


「その辺りは同じじゃ。マイホームの家庭菜園でも同様じゃった」


日差しは強いけど夏の作物……きゅうりとトマトとナスの畑だ。

ちょっと近づいて様子を確認してみる。

枯れてるのが多くて、よろしくないな。

隣にあるのは白菜の畑っぽいけどこっちも発育が良くなくて収穫は出来る様な状態じゃない。


あ、スプリンクラーはあるみたいだ。

農業ゲームだとあると便利な品だよな。

罠カテゴリーみたいで狩猟具に統括されてしまったけれどカニ籠と同じく作成レシピが分かる。


ちょっと確認するとこの砂漠の拠点はオアシスがある。

そこから水が繋がっているっぽい。

きゅうり畑も確認。

発育不全ときゅうりが実らないままって感じか。


「……この砂漠みたいな場所でうどんこ病に覆われてるとはな」

「何かわかったのかの?」

「農業スキルを取っているならこの辺りはさすがにわかると思うけどな」


開拓地による開拓の七つ道具補正で俺も農業系は多少判断出来る。

まあ、別のゲーム知識は元より親の家庭菜園なんかでも知ってる程度の物でもあるけど。


「一部はそうじゃったが問題無く収穫出来ていたんじゃ」


ある程度は大雑把な判定で作物が実ってくれていたって事かね。

ただ、それにしたって畑がメチャクチャって印象しか無い。


悪い意味でリアルとゲームの差を見ている気がする。

考えてみればリアルなら特定の気候や場所、状況で発生しない病気でも、ゲームなら発生する場合があるよな。


白菜の畑も確認……枯れてるな。

試しに引っこ抜いて即座に畑に戻して原因判明。


「根こぶ病か」


トマトの方は……枯れてる茎を切断……ドロドロ。


「青枯病……」

「おお、よく分かるのう」

「なんて言うか素朴な疑問なんだけど……農業ってディメンションウェーブだとメインコンテンツなのかな? 釣りとのギャップを感じるんだけど」


釣りがサブのミニゲーム要素が強めで不安になってくる位、農業系の要素が複雑だ。

正直、リアル農業で発生しそうな作物の病気とか、土地の病気とか、そういうもん入れてくるなよ感まである。

制作者はゲーマーに何を求めているんだろうか。


「そうなのかの?」

「というか……なんでここまで畑が全滅状態なんだ? スキルLv不足とか?」

「わらわもよくわからん。植えても植えても枯れて育たないのじゃ。最初は上手く行っていたんじゃぞ。と、話が逸れておったな」


俺を召喚した理由は姉さん経由なのはわかる気もするか……たぶん、一番詳しそうって事で呼ばれたんだろう。

それ自体は問題ないんだけど……。


「嫌だなぁ……俺の事を敵視してる連中の手伝いとか」


釣りも出来ずに尻拭いは勘弁して欲しい。


「そこまで私等も鬼じゃないわよ」

「うむ」


どういう事?

いや、姉さんは普段、割と鬼な気もするとは言えない。


「もうおらんからな、アヤツら」

「え? 呼んだってさっき言ってなかった?」

「アヤツら、突然居なくなったのじゃ」


顔文字さんは経緯の続きを話し始めた。

ギスギスした関係のまま日は過ぎて行き、農業は細々だけど進めていて……日々どうにかしようと頑張っている所でこの前の波の予告が砂漠でも確認出来た。

すると再度、顔文字さんのギルドメンバーは発狂してイベントに参加出来ない事を顔文字さんに当たり散らした。

さすがに顔文字さんも心が折れてしまったとの話だ。


彼らとの和解をどうにかしたかったけれどギルドメンバーとの心は離れてしまっていた。

仕舞いにはみんな毎日罵り合っている始末。

概要だけだけど、本当辛いなその状況。


「もうわらわも手の施しようが無くてのう……まあ口だけで手が出ないゲームじゃからな。刃傷沙汰が無い分マシじゃが、そろそろ面倒になって来たと思っておったんじゃ」


これは大らかと言えば良いのか?

心が折れたとの話だが、顔文字さんって割と鋼のメンタルの持ち主なのかもしれない。


「で、その翌日の話じゃ。みんな揃って居なくなってしまったのじゃ。開拓地内ならチャットが届くはずなのに音信不通になってのう『この愚か者は電波の届かない所に居るので~』とな」


……その定型文、俺も聞いた覚えがあるな。

何かしらの要素で開拓地から出られたって事なのかな?

適した人材では無いと判断されたみたいな感じで。

どう管理しているのかは不明だけど、運営とかシステムが判断したって感じかな?


「すると最初のサンタ帽子ウサウニーが「誰か会いたい人はいるピョン?」と立て続けに聞いてくるようになっての。様子を見ながら呼ぶ事にしたんじゃ」

「結果、姉さんが呼ばれて俺が呼ばれた感じ?」

「そうなるわね。他にも何人かいるわよ。ノジャ子も気を利かせてディメンションウェーブイベント後に呼んだみたいだし、今度は相手も選んでいるから喧嘩もしてないわよ」


開拓失敗時のケアまで完備なのかな?

問題プレイヤーは解放されると……それもまた良い事なのかも知れない。

なら一安心。


「ただ、おぬしを呼ぶ時に他とは違う反応をサンタ帽子ウサウニーにされたぞ」

「へー……どんな?」

「『その人と巡り会うと他に会いたい数人と会えなくなるかもしれないピョン。それでも会いたいピョン?』 って言ってたわよ」


それってメッセージ的に召喚できる人数が減るって暗喩か?

俺は他の人よりコストが高い的な。

まあ島主だしなぁ。

いや……ユニークスキル持ちという可能性もあるな。


「俺を呼ぶ場合はコスト高めって感じっぽいけど呼んで良かったの?」

「そこはアンタの能力を加味して余るから良いでしょ」


ペックルを呼べば人材の不足分は補えるか。


「せめて硝子辺りは一緒に呼んで欲しかったけどな」


じゃないと心配しそうだし……硝子は。

隔離されるからなー開拓イベントだと。


「そこは流れ的にアンタを最初に呼んで、次に紡、硝子さんって感じで入力していくでしょ?」

「まあ姉さんのフレンド的にそうだろうな」

「アンタは私を呼ばなかったけどね。で、呼ぼうとしたんだけど呼べなかったのよね。その人とは巡り会えないピョンって、アンタの仲間を呼ぼうとしたけど全滅よ。最初に入力したアンタだけ呼べちゃったのよ」


農薬

「なんで?」

「さあ……既に開拓イベントに呼ばれたからフラグが立たなかったとかの推測になったわね」


あー……ありそうだな。考えて見ると俺は呼ぶ側で呼ばれた事は無かった。

コスト高くても俺は呼べるって事か。

まあいいや。事情はある程度分かった。

ギスギスもメンバー一新で無いならある程度は安心か。


……いや、そのフラグ理論が正しい場合、アルトはどこに行った?

まあいいか。

行方不明の理由が開拓イベントとは限らないしな。

アイツならどこでもそれなりに上手くやっているだろう。


「なんか他に良さそうな子いない? 呼んで無い子」

「姉さん、俺の様なコミュ障ボッチに何を期待しているんだよ」


闇影じゃないけど、思えば俺って繋がり少ないよな。

謎のファンクラブ会員程度しか後は知らん。


「本当……アンタはなんでそんなに活躍出来るのか不思議でしょうがないわ」

「それは自分でもそう思うよ。プレイヤースキルの必要なゲームで活躍出来たのは珍しいしな」


事実ではある。

しかしホームレスしてた人にそんな事言われたくないぞ。


「とにかく農業しなさい! 詳しいのはアンタだけなんだから!」

「俺は釣りをしたくて――あ……嫌じゃ! 野菜なんて摘みとうない! 農業なんてやりto night!」

「それは妾の口調じゃろ!」


俺が今やりたいのは釣りなのだアピール。


「あ……ってなによ。言う程嫌だと思ってないでしょ。アンタ、ウケ狙いで言ってるでしょ!」


まあ実はそうなんだよね。

基本的には釣りがメインだけど、硝子達との狩りもやっていた訳で……こういう場面で農業やろうぜって求められたら、別にやっても良いって思っている。

そもそも農業ならカニ籠と同じで、そこまで張り付いてなくても大丈夫だろうし。


「ウケ狙い……これこれよさぬか、ビッグブレイブペックル」


あ、顔文字さん、乗りが良いな。

俺の悪ふざけに便乗して姉さんを注意している。

せめてからかってやろうとしたのにネタを取られちゃったな。


う~ん、さすが大規模ギルドのマスターをしていただけはある。

ノリが良いというか、楽しそうな人だ。


「誰がビッグブレイブペックルよ!」

「姉さん、そこは『よさぬペン』だよ」

「あんた等、初対面の割に息が合ってるじゃないの……私で遊ぶんじゃないわよ。良いからやりなさい! ノジャ子も絆に教わって覚えなさい!」

「ラジャーなのじゃ! やりたかったから教わるのじゃ」

「しっかりと仕事したら絆。アンタは好きに釣りでもしてれば良いから。ここにライバル居ないし、何処かで釣りでもしてヌシでも釣って遊んでなさい」

「うぇーい」


しょうがないな。最低限顔文字さんに農業をたたき込もう。

まあ、やる気はありそうだし、戦闘ギルドのマスターやっていたくらいだ。覚えるのも早いだろう。

そしてこの地域に釣りのライバルは居ないので……少なくともオアシスとやらのヌシも狙える。

なので悪くない提案ではある。


「人員は様子を見つつ呼ばんと同じミスをしかねないのでな。呼べても今は様子見じゃ」

「わかったよ。とは言いつつ、植えてある作物が全滅に近いってのも逆に凄いよなぁ。まずは原因を特定しないといけないな」


畑を入念に確認……こう、パソコンが苦手な人みたいな色々と弄くった癖に勝手に壊れたとかぶちかまされるようなイラッとする要素を探すみたいな空気感がある。

顔文字さん、農業好きみたいだけど基礎知識が無さそうだ。

まあ、これが一般的な農業系のゲームに対する認識なのだからしょうがないんだけどさ。


んー……しかし、ここまで畑が壊滅してるってどういうことだ?

何処もレッドゾーンって感じでメチャクチャだ。

うどんこ病に根こぶ病、青枯病に発育不全……大豆畑もあるけど、こっちはダイズリゾクトニア根腐病とダイズ黒根腐病。


「何なのこの開拓地……汚染された土地で難易度マックス設定なの?」

「そんなに酷いの、絆?」

「酷いなんてもんじゃないよ。ぱっと見のゲーム性的に大豆畑なんて土地ひっくり返して全部滅却処理した方が早いんじゃないかな。病に感染した畑になってる」

「うはー……そりゃ凄いわね」


姉さん、よくわかってないな。


「むしろ絆。アンタ随分詳しいわね。想像以上だわ」

「そりゃあ色々とゲーム情報を調べてたらついでに覚えた感じだよ」

「アンタさ……大学、農業系行きなさいよ」

「嫌だよ。うちは農家じゃないじゃん」


そもそもな話、土地が無いでしょうが。

しかも儲からないって話で有名じゃん。

ちょっとリアルよりのゲームに詳しい程度で調子に乗って農家とかアホ過ぎでしょう。


「ともかく……ここまで畑の状態悪い原因って……顔文字さん、ここの作物、前は何植えてた?」

「ん? そりゃあ大豆畑は大豆じゃな。どれも収穫後に同じ物を植えるぞ。あ、ちゃんと肥料をやるのを知っておるぞ」

「となると連作障害が設定されてそうかな……後、ここまで細かい設定だと多分、植えてる距離が近い。肥料の件も肥料だけが全てじゃないと思う」


追肥とかあるけどさ。

肥料は一応農業系スキルであるもんな。

魚とか肥料に使えたし、オアシスで釣って支援って流れもありか。

更に肥料を入れる量とか、撒く水の量とか、作物によって設定されてそう。

……この辺りの面倒そうな要素をちょっと面白そうだと思ってしまうのはこの手のゲームをやりこんだ経験故か。


「それと農薬は? 確かあったよね」


俺でも知っているこのゲームにおける農業スキル関連の情報だ。


「妾の畑は完全無農薬と決めているのじゃ」


うわぁ……まあ気持ちはわかる。

緩くて楽しいスローライフ系農場ゲームではその方が正解である事が多いしな。

むしろゲームという媒体的にはこっちの方が珍しいだろう。

安全性どうこうがある現実的にも農薬に頼った農業をゲームで推奨するのはどうかと思うしな。


あるいは……なんとかして農薬を使わなくても良い状況を作り出して最高級食材を作る~~的な農家プレイが想定されているのかもしれない。

そこまでやったら面白いだろうし。

まあ、今は農薬を使った方が良いだろう。


「それで上手く行くのは簡単な牧場系のゲームだけなんだよ。リアルよりだと肥料と同じ位重要なんだよね」

「ええええ!? のじゃあああ!?」


思い出したみたいにのじゃを付けたな。

やはりキャラ作りか。わかりやすくて良いけどな。

やっぱり闇影みたいな子だ。


「農薬無しで作物を育てるというのは農家に初期装備。Lv1でラスボスを倒そうとしている様な、死ねって言ってるぐらいの暴言なんだよ」


俺は色々と学んだ結果、完全無農薬が如何に面倒で愚かな幻想であるのかを知ったのだ。

リアル農家の皆さんがどんだけ苦労しているのか……しかも無農薬だからと言って超美味しい訳でもない。

安全な食物を得るのはそれだけ大変だという事だ。

RPGで例えるなら肥料が武器なら農薬は防具みたいな存在だ。


「そ、そんなにもなのかの?」

「ああ。これはリアルの話だけど、作物に虫が付いた時に市販の殺虫剤を使っただけでもアウトなんだってさ。それも薬だからな」

「な、なんと……だからウサウニーは農薬を使おうと提案するのじゃな」


ウサウニーが提案するヘルプには従おうぜ……。

いや、俺も城を作る事を放置していた事があるので人の事は言えないが。


「牛乳を霧吹きで掛けて殺すという方法もあるんだけど、根本的な解決にはならないんだ。安全な農薬が使えるなら使おう。戦闘組だったなら効率的な装備をするのと同じ事だよ」


農薬って言うのは装備品みたいなもんだ。

無農薬というのはそれだけ難しいって事だな。


「じゃが無農薬とは聞くぞ。何より新しい畑じゃと上手く行くのじゃ