Wave of dimensions — страница 83 из 111


クレイさんが笑顔で提案するとてりすは了解って態度で軽く手で合図をする。


「あーい……コホン。じゃあこれからよろしくね、絆ちゃん。色々と巻き込んでしまったけど、これから一緒に開拓しながら話が出来るのは楽しみなの」


……なんだ? さっきの軽い感じの態度は也を潜めて超絶丁寧な口調だぞ。

どうなっているんだ?

これが公私を切り替えるという奴?

完全に別キャラの清楚キャラに見えてきた位、立ち振る舞いから動きの変化を感じてしまう。


「あんまり引かねえでやってくれよな? 絆の嬢ちゃん」

「もー引くって酷いわよー折角営業モードを披露したのにー」

「彼女はあっちでは接客業をしているそうでね。親しい相手だと砕けた口調で話をするそうなんだ」

「ああ、そうなんだ」

「世代を感じて引いてるんだぜ。てりす」

「人をおばさん扱いしないでよー。さすがにそんな歳じゃないわよー」


どうなんだろ? らるくの実年齢も怪しい感じになってきたなぁ。

クレイさんより年上なのだろうか?

ほら、起業家ってイケメンの若社長みたいなイメージあるし、年上の社員とか居てもおかしくない。

じーっとクレイさんを見ていると微笑まれてしまう。


「らるく君とは六歳差だったかな? 私の方が年上だし、二人に関しても理解はしてるさ」

「ああ……そうなんだ? で、確からるくはてりすさんと一緒に細工をやるんだっけ?」

「そうそうー! てりす、リアルは宝石販売店の店員で宝石が好きなのよー。あ、高い宝石が好きとかじゃなく単純に綺麗な石が好きって意味よ? 金なんて二の次だからね」


何か念押しで宝石好きを誤解しないようにって言われてしまった。

どうやらてりすはアクセサリーを単純に楽しむ意味で宝石が好き、と。

ちなみにディメンションウェーブにおける宝石関連は結構重要度の高いスキル項目で、晶人の強化システムに深く関わっている。

このてりすさんも晶人なので相性自体は最高だ。


「自己紹介の途中だったわね。てりすは戦闘では魔法が得意で、サブで細工と掘削を専攻してるの」

「細工職人志望って事かな?」

「そうそう! 理想のアクセサリー作りをメインに置くって良いわよね。ついでに料理も一式技能は揃って持ってるわ」


ノワール

「この面子じゃ私とてりすさんが料理担当になるかしらね。絆、アンタも料理技能持ちなんだから手伝いなさいよ」


はいはい。料理技能持ちが三人で連携スキルをすれば料理は良いモノが確保出来るな。

……逆に硝子達は料理技能持ちが居ないから不安になってくるな。

カニの加工業務とかで技能は上がっているから誰か代行してくれていると良いけど……。

悲しいかな、我等がパーティーの料理担当が開拓イベント行きとなる。

ロミナも愛用のペックルを召喚してしまっているし、後で謝らなきゃいけないな。


「色々とわかったよ。みんな、これからよろしく」


俺の言葉にみんなすんなり頷いてくれた。


「とりあえずこれからどうしたら良いかな? 畑の浄化はクレイさん、調合担当だろうから薬剤を作って。奏姉さんがある程度耕したりしてくれるからさ」

「何か植えるのかい?」

「植える前に畑の浄化と休眠が優先かな。まあ……全部の畑を一旦確認しないといけないけどね。少なくとも今植えてあるのは諦めた方が良いよ」

「ほう……ではらるく、君は鎌の使い手だろうから草刈りをお願い出来るかな?」

「あいよ。社長」


今社長って言ったな。

重役って誤魔化していたはずだが?

リアルでの関係って大変だなぁ。

まあ、ゲームで協力して貰ったからリアルでの関係向上に寄与してそうだけど。


「とりあえず畑を全部一旦見て回るのが優先かな。顔文字さん、案内出来る?」

「了解なのじゃ。島主……絆は騎乗ペットを持っておるかの?」

「ああ。そりゃあ配布されてるから持ってるよ」

「では騎乗ペットに乗って移動するかの」


顔文字さんが工房から出ると騎乗ペットを呼び出す。

するとズモモ……っと現われたのは俺が持っている騎乗ペット、ライブラリ・ラビットとほぼ同じ騎乗ペットだった。


「顔文字さんも持ってるのか」


顔文字さんに合わせて俺もライブラリ・ラビットを呼び出して並べるように立つ。

俺が所持するライブラリ・ラビットは白い毛皮に青い瞳で法衣を着用した大型のウサギ獣人みたいな感じなのだが、顔文字さんが所持する騎乗ペットは黒い毛皮に赤い瞳で法衣を着用している。

対で立つと圧巻というか……兄弟みたいな感じで絵になるような気がしなくもない。


「わらわが持っているのはライブラリ・ラビットのNじゃな」


言われて騎乗ペットの召喚に必要な本を確認すると俺のはSと書かれている。

Wじゃないのか。ホワイトとかその辺りで。


「じゃからわらわはライブラリ・ラビット・ノワールと呼んでおる。絆の所持するライブラリ・ラビットとは逆の色合いなんじゃな」


S極とN極って可能性も否定出来ないけど好きに呼ぶのは良いよな。

黒に赤い瞳……ちょっと高貴な感じだな。


「乗り方は同じか」


まさか同じ乗り物があるとはなー……ってライブラリ・ラビットはペックルの笛とのシナジーでこの姿になっているっぽいので顔文字さんもウサウニーの笛とかそう言った代物を所持しているということになるか。


「ちょっと絆、ノジャ子、触れる様に設定なさい」

「ん? どうしたの姉さん?」

「のじゃ?」


ここで奏姉さんが騎乗ペットに乗った俺達に声を掛けて来たので振り向く。


「そうそう、そこ! もっふー!」


ズボ! っと俺と顔文字さんがそれぞれ所持するライブラリ・ラビットの間に入り込んでモフモフさせた。

設定を弄ると他プレイヤーも触っても良いように出来るけど呼び止めてまで触ってくるって……。

まー……気持ちは分かる。モフモフな感じではある。


「あ、奏ちゃんずるーい! てりすもやるー!」


ここでてりすも俺と顔文字さんの騎乗ペットの毛皮を堪能し始める。


「わー楽しかったわー」


堪能したのかてりすは下がって行き、姉さんも離れる。


「んじゃ姉さん。畑の状況を見てくるから草刈りと畑の浄化作業はお願いね」

「わかってるわよ。まだ始まったばかりだけどやってくしかないわね」

「そんじゃ顔文字さん。出発」

「ラジャーなのじゃー!」


そんな訳で顔文字さんの案内で俺達は開拓地にある畑を一周見てまわって行った。

結果として使えそうな畑は2割で残りは一度浄化しないと行けないとの事となった。

騎乗ペットのお陰で開拓地をすぐに見て回れたかな。

オアシスを中心に作られた開拓地で所々に石造りの敷地がある感じ……なんて言うかカルミラ島より遺跡っぽい名残がある。


「大体の施設というかオブジェクトはカルミラ島と同じ感じかな」


伐採場や狩猟に使うスペースが存在している。

ただ、伐採場は石切場って感じでプラド砂漠の場合は木ではなく石作りの建物がベースになるっぽい。

建物に関してはそこそこ建っているが閑散とした感じな印象だ。

俺の場合はアルトやしぇりるが島を賑やかにする設置物を仕掛けてくれていたからなぁ。

街灯とか石畳とかな。


「うーむ……想像以上に畑がダメな様じゃな……」

「一応ゲーム的な要素で畑の作物の時間経過は異様に早いから現実の農業より簡略化はされてるみたいなんだけどな」


だから姉さん達に畑の浄化を軽くお願い出来る訳だし。

で、姉さんとらるくが主体となって畑の草刈りをして貰いながら俺達はクレイさんの工房内で作戦とばかりに開拓地の畑の方針を決めていく。


「少なくとも畑の浄化と肥料を与えつつ適度に畑を耕して行かないと行けない……この辺りはペックルにやって貰うのが良いかな」


システムアシストがペックルには備わっているし現状の物資だとウサウニーは休眠状態が多くて運用が上手く行かない。

まずはウサウニー達が飢えずに活動出来るだけの食料調達をしなくてはな。


「こう……トラクターとかあれば良いんだけどな。騎乗ペット辺りで代用出来ないかな?」

「おそらく出来ると思うよ。トラクターはさすがに高度なマシンナリーが必要だと思うけどね」


開拓の七つ道具のクワでも出来なくは無いけど鋤というクワより前に存在する農具でこれを馬や牛に引かせて畑を耕す農法が存在する。

トラクターが無いなら騎乗ペット辺りかそれこそ顔文字さんが持って居るだろうと思えるウサウニーの笛で大きなウサウニーを出して動かして畑を耕すのが良いだろう。


「ともかく、効率的に畑を適切な環境に持って行くとしてー……その間に何をするのが良いか。農業だけじゃ開拓は進まないし……こう、何か良さそうな事をしていかないと」


みんな一丸になって畑の世話ってのも間違いは無いけどウサウニー達の食料調達だけが全てでは無い。

カルミラ島では魚の調達は俺が担当しつつ、漁とか船でやるようになって食糧事情が安定してから一気に開拓を進めていった。


「最終的に城の建設が目的となるけど顔文字さん。サンタ帽子ウサウニーはそう言った話は?」

「してないのじゃ!」


……城の建築を提案するほどの発展をしていないって事だろう。

ウサウニーカウンターを口頭で聞いた感じだとウサウニーも食料が足りないのは元より数が少ない。

人の入れるダンジョンの入り口が見つかり、速効でクリアしてブレイブウサウニーをゲットした所で足踏みとなっている段階なんだろう。

俺の場合……三人目に呼んだ人物がロミナだったのは正解だったんだろうなぁ。


「今はとにかくウサウニーの確保と活動させるための農業改革が必要だな」


かといって……劇的な方法がまだ出てこない。

この開拓地にある物資は自称前線組が不要と捨てていった品々が多少倉庫にあるだけだもんな……。

ドロップ品とか色々と物資を倉庫に入れておけよ……。

硝子や紡だって手に入れた品々を倉庫に入れていたのにな。

人的要因で単純に難易度が高いなぁ。


「ウサウニーってやっぱり畑を耕したりすると増える感じ?」

「それもあるが最近は出てこないのじゃ。収穫をしているとその雰囲気に釣られて姿を現すのが多いのう」


ある程度釣りだけでペックルが釣れた時期はあったけど、ある時全然出てこなくなった事があったっけ。

色々と挑戦する事で数が増えるから挑戦して行くのが大事か。


「結局は農業で作物が収穫出来なきゃ話にならないか……」

「後はそうじゃのう。すぐに使えそうな畑というとダンジョン内にある畑じゃのう」


ブートキャンプ

「ダンジョン内に畑か……」


カルミラ島のダンジョンにも釣り場があったのを思い出すな。


「ダンジョンってそのまま耕せる感じなの?」


よくよく考えるとカルミラ島のダンジョンの床を掘るって事はしてなかった。

顔文字さんはどうもブレイブウサウニーを手に入れる段階でやっていたっぽい。


「普通のダンジョンでは地面は掘ってもすぐに戻ってしまうがのう。特定の階層では畑に出来る様なのじゃ」

「ダンジョン内は時間の流れが違う感じ?」

「もちろんじゃな。あ、エレベーターの修理はどうにか出来たのじゃぞ。じゃなきゃヤツ等がうるさかったからのう」


顔文字さんはマシンナリーも少しは習得してるのか。

ふむ……どうやら俺が前に地底湖に潜って大量に魚を確保したのと同じ感じで特定の階層が畑として使用可能か。


「どうやら階層ごとに四季があるようで、絆が釣りをするのが好きなようじゃし水晶湖のある地下50階がおすすめかのう。水晶が時間で光を放って照射量が変わって時間の流れをわかりやすくしておって綺麗な場所なのじゃ。ただ、迷宮から出て戻ってくると作物の世話が出来ず枯れてしまったり収穫時期を逃してしまう事が多くてのう……」

「時間経過が別なのか」


カルミラ島のダンジョンではダンジョン内部の五日が外での一日経過という時間が流れていた。


「へー……じゃあ、あんまり本意じゃないけどダンジョン内の畑で徹底的に作物を短期間で作ってウサウニーを動かせるだけの量を確保してくれば良いか」


釣りも合間に出来るみたいだし、現在逼迫している地上での畑の浄化作業の合間にするには良さそう。


「畑の部分はそこまで多くはないのじゃぞ?」


ゲーム的な表現だと温室みたいな所だと思えば良いだろうか。

牧場系のゲームで温室というと季節を気にせず作物を植えられる便利な施設だ。


「無いよりマシって奴だな」


現在の状況に適した場所を見つけたって感じだ。

何より水晶湖って所に居るヌシがどんなヌシなのかも非常に気になる。


「そんな訳でダンジョン内で物資調達の為のブートキャンプを行う!」


全員が一旦集まった所で俺は堂々と宣言した。


「ほう」

「のじゃー」

「……」


反応はマチマチだ。

ちなみに一番反応が悪いのは姉さんだ。


「誰か俺に付いてくる人いるー? 15日くらい潜って畑の管理と俺の釣りの付き合いになる。超楽しいよー」

「……」


サッと奏姉さんは顔を逸らして黙り込む。

嵐が過ぎ去るのを待つかの様な態度だ。

最近はピーピーと口やかましく騒いでツッコミを入れていたけど、さすがにこの状況ではツッコミを入れる気も起きないらしい。


「私はアンタに頼まれた畑の浄化作業があるし! ダンジョンは戦闘で別の物資調達をするから降りるわ」

「あ、奏の嬢ちゃんずっりー! 俺もだぞ!」


姉さんとらるくは来ないか。

まあ、最初から期待してなかったし、俺が一人で色々とやってくるのが無難か。


「はいはーい! わらわは一緒に行くのじゃー!」


ここで顔文字さんが元気よく挙手している。

おお……ダンジョン生活を顔文字さんは付き合ってくれるのか。

なら徹底的に顔文字さんに農業を教えられるな。

本当にやる気があるって感じだ。


「私はちょっと遠慮させて貰うかな。薬の調合やウサウニーとペックル達の指示をするから」

「ええ……開拓地の発展を優先したいわ。色々と建てて行きたい所ね」


クレイさんとミリーさんは開拓地の整備と建造を優先したい様だ。

感覚的にはアルトに任せていた事をやってくれている。


「てりすは途中までだけどダンジョンで採掘したいから一緒に行こうかしら。水晶湖、てりすも見てみたーい!」


お? 三人目も登場か……ちょっとてりすのミーハーな所が、陽の気配を感じて苦手だけど目的がわかりやすいから良いとしよう。


「了解。という訳で俺と顔文字さん、てりすの三人でダンジョンの水晶湖にブートキャンプに行こうか」

「頑張るのじゃ!」

「やってくわよー!」


ちょっと不安の残る二人だけど、まあ音を上げるまでは付き合うとしよう。


「ちなみに水晶湖の季節は春じゃな」

「じゃあ春に植えられる種とかを持って行くのが良いけど……そんな種類ある?」

「そうじゃな……イチゴとじゃがいもとにんじんのタネを確保しておるぞ。他にクワに初期のタネとしてカブがあるのう」

「確保って……どこから?」

「ウサウニーを探検に行かせたりすると持って帰って来るのじゃ。他にダンジョンで魔物がドロップしたりするのう。ダンジョン内で生えていたりもするのじゃ」


へー……そんな代物もドロップする様に設定されるのね。


「工房内に最初からシードメーカーが設置されていたね。出来上がった作物を入れると作物の種を生成する道具のようだよ」


出来上がった作物の使い道がまだまだあるって所か……。

普通に面白そうだよな。

ここまで農業で色々あるなら仲間と連携が取れていたら結構凄い事出来ると思うんだけどなぁ。


「ここで習得出来るマシンナリーのレシピもあるようだし、使えそうな物資で技能強化はしておくよ」


クレイさん達にはその辺りの技能強化をしておいて貰うのが良いか。

しぇりるが居たら技能的に助かる状況だが……いないのだからしょうがない。


「とりあえず植えられそうな種を持って出発ー!」

「なのじゃー!」

「いえーい! らるくー! お土産沢山持ってくるから後で細工をしてくわよー!」


と俺は愉快な二人を連れてダンジョンの水晶湖って所へと向かったのだった。




「おー」


砂漠のオアシスにあるダンジョン内のエレベーターに乗り、出た場所には……カルミラ島の地底湖に似た感じの地底湖に無数の水晶が生えた幻想的な階層に出た。

水晶が光っていてダンジョン内でもそこそこ明るい。

如何にもファンタジー感あって中々良い場所だなぁ。

で、水晶湖の地面がある所の一部が柔らかい土があり、どうやら耕す事が出来るようだ。


「わー綺麗ね。この水晶、採掘で持ち帰れるのかしら?」


てりすは水晶に目を輝かせつつ笑顔で顔文字さんに聞いている。


「破壊不可な所が多いが一部は掘れるようじゃぞ」

「なるなるーノジャちゃんありがとー!」

「さて……さしあたって、ここで泊まる訳だけど……」

「テントじゃな! やや奮発して持ってきた木材でコテージ作成でもしてみるかの?」


想像以上に顔文字さんがアグレッシブな提案をしてくるな。

木材をそんなに持ってるのか? この砂漠で木材は割と希少だろう。

まあ……オアシスにある謎の林で定期的に生えてきて伐採出来るみたいだが。

木工も多少覚えているらしいからな……この人、戦闘組って割にはサブで色々と持ってるな。


「そんな心配は無用だ。俺達にはコレがある」


チャチャチャーン! と、ここで俺が取り出したのは前回のディメンションウェーブイベントでの報酬で出たペックルハウスだ。

前にも試した一見するとドールハウスの様な代物。

それをイベントリから出して顔文字さん達に見せる。


「なんじゃこれは?」

「わー懐かしい感じの玩具ね。てりすも子供の頃に持ってたわー」


うーん……やっぱり女の子の玩具って感じにしか見えないよな。


「これをこうしてこうやって」


ペックルハウスを拠点として使うのに良さそうな場所に設置するとムクムクっとペックルハウスは大きくなる。

後は鍵とばかりにペックルの笛を入り口に差し込んで完成っと。

パーティーメンバーは入って使用する事が出来る。

このペックルハウスは携帯シェルターなので使わせてもらおう。


水晶湖



「おー……これは凄いのじゃ。下手な地上の住居より快適に過ごせそうじゃな」

「やーん。絆ちゃん凄いの持ってるわー。これも島主の特典?」

「特典なのかなー……この前のディメンションウェーブイベントの報酬で出たんだけど」

「なるほどなのじゃ。つまりわらわもいずれコレに匹敵するアイテムを入手するかもしれんって事じゃな」


確かに、条件的に顔文字さんは手に入れる可能性がある。


「まあウサウニーカウンターみたいに反発する可能性があるから顔文字さんがこのペックルハウスに入れるか試しておいて」

「了解なのじゃ!」


顔文字さんがペックルハウスに入って色々と確認を取る。

どうやら反発は起こらない。


「これは……中はペックルグッズが大量じゃな!」


家具の一つ一つがペックルをコンセプトに設置されてるからファンシーであるのは間違い無い。

何人かで生活出来る程には設備が揃っている。ベッドもあるしキッチンも完備だ。


「水まで通ってるのね! 下手をしたら地上の住居より豪華なんじゃないかしら?」

「狭いけど浴室もあるからシャワーや風呂も入れるみたいだぞ」

「うむ。ここまで設備が揃っておるなら否定出来んぞ」

「凄いわね! 想像より豪華な生活が出来そうでてりす、期待に胸が膨らんじゃうわー!」


燃料は……ハウスの一部に魚をエネルギーに変換する装置が置かれていて魚を一定数入れると補充される。

実に俺向きのアイテムであるのは否定しない。

本来は安全そうなフィールドの釣り場とかで設置してキャンプするための代物であるが、ダンジョンの水晶洞にも使えるというのはありがたい。

ここで俺達は……まあ、15日くらい気楽に農業と釣り生活に入ることになる。


「みんな気に入った部屋を使って貰う事にして、ここを拠点に作業をするぞー」