Wave of dimensions — страница 85 из 111

進んだ先にも湖面があってそっちにも畑に出来そうな場所があったのは報告したな。なんか木箱に種袋が入ってたし……マジックオニオンって奴。

さすがにゲーム独自の野菜は俺も判断出来ないけど……オニオンって所から考えてタマネギかな?

とりあえず植えてたけどちょっと俺も自信無いな。実ったら一部は持ち帰って地上でシードメイカーを通して種にすると良いかもね。

所でヌシがまだ掛からないのが気になって来てる。

もしかしてと思うけど遭遇条件にこの開拓地の技能Lvとか関わってる?

そうなると今回の合宿じゃ釣り上げるのは難しい事になりそう。

なんだかんだ発展度とか……俺の場合は釣りメインで基礎は高かったけど、まだここは低いみたいだからなぁ……。

ここに釣果もついでに載せておこうかな。

本日の釣果、鯉45匹、鯰30匹、イエローパーチ152匹、ナイルパーチ18匹、肺魚15匹、コンゴテトラ40匹。クリスタルフィッシュ16匹、吸血魚40匹、ゴーストフィッシュ20匹。カタツムリ30匹。他、水晶の欠片や宝石の原石類。

カニ籠との合計なんでこんな所。

仕掛けは大分分かってきた。てりすの望む通りにクリスタルフィッシュをもっと釣り上げる方向にしたいんだけど何が引っかかるのかちょっとわかんない。フィーバールアー中に引っかけてる数なんだよね。

イエローパーチが多いなぁ。食い切れないのは肥料行きかな。


8日目 担当・わらわ

釣果の単位がおかしく無いかの?

ヒョイヒョイ釣ってると思ったがこれ……一日で釣ってるっておかしいと思うのじゃ。

いや……これくらいしないといかんという事か! わらわもできる限り農地に植えて作物フィーバーをさせるのじゃ!

狭いと思って居た所に新しい農地が見つかって良かったのじゃ。

もしかしたら他の安全階層にもこのような拡張地があるかもしれん!

検証が必要じゃがダンジョン内じゃないと作れない代物があるかもしれん。ダンジョンキャロットじゃ、ドロップ限定だと思ってたがあり得る!

他にもダンジョン系があるかもしれん。

マジックオニオンも楽しみじゃな。

張り合って本日の収穫物じゃ! 枝豆が300莢取れたのじゃ! しかも一部品質が髙品質じゃ! 一部収穫した際にゴールドビーンなる種が手に入ったぞ。これは突然変異とかかもしれん! 生憎数が少ないがのう。

それと枝豆の収穫は程々に残しておけば大豆が作れるのじゃったな。

明日辺りには大豆が取れると思うのじゃ。



「んー……島主よ。ちょっと良いかのう?」


顔文字さんが交換日記を書きながら俺に声を掛けてきた。


「何?」

「島主は米作りはわかるかの? 手持ちの物資で白米は所持して居るのじゃがわらわの手持ちが心許なくなってのう」


稲作



ああ、米ね。

料理をする俺はNPCからそこそこ購入しているので開拓イベントに呼ばれたとしてもしばらくは持つ量を持って居る。


「米なんてカルミラ島を開拓してる時はペックルが売り出してたぞ」


それまでは魚とかで俺達は飢えをしのいで居た訳だけどペックル達が売り出したので困らなくなった。


「ウサウニーは売ってくれんのう」


ただ、プラド砂漠の開拓は中途半端で購入は出来ないか。


「米か小麦辺りは無いと主食の確保が大変になるわね。てりすもちょっと思ってた」

「農業プレイが推奨されるプラド砂漠じゃ売り出されない可能性はあるか。大豆は確保出来そうだけど……」

「豆腐作りが出来そうよね。オカラも一緒に出来るかしら、色々とアレンジレシピがあるのよね」


俺とてりすは料理技能持ちなので大豆があればそこそこ作り出せる。

豆腐にはにがりとか必要になるはずだけどそこはゲームなのでミニゲームで作成だ。


「自作納豆も作りたいわね。だからお米の補充はしたいわね」

「米は玄米を精製して作り出すものだろうけど……玄米は?」

「てりす、NPCから購入した玄米を少し持ってるわよ。これ使えない?」


てりすが玄米の入った袋を渡してくる。

農業スキルを上げて居る顔文字さんに見て貰う。


「植えられるようじゃな」

「持ってるのか。なら植えられなくはないとは思うけど……米は春に植える作物でもあるから」

「やり方わかるかの? 普通の畑とは異なるのじゃろ?」


こう……顔文字さんって経験者である俺に聞いてくるけどこのディメンションウェーブで俺の知識が何処まで通じるか未知数なのか分からないんだろうか。


「まー……顔文字さんが引っかかってた連作障害に関しては米は無いって長所はあるんだけど……」


姉さん達があのゲームで投げ出した位には米も癖が強いんだ。


「出来ないのかの?」

「色々と温度とか水の量とか気を配らないと行けないからなー今までよりも害虫に注意しないといけない。まだ初心者の顔文字さんに出来るかな……畑じゃなく水田にしないといけないし」


なんだかんだダンジョン内の合宿で俺は顔文字さんに害虫駆除とかを見つけては注意した。

日付変更が発生すると害虫が湧いたりしていたのでその都度顔文字さんに助言して駆除をな。

クレイさんが持たせてくれた薬で処理をしていたからこそ今回の合宿で収穫まで上手く事が運んでいる。


「水田じゃなくて畑で育てる陸稲って手もあるが……この水晶湖の畑を水田に出来るか?」

「んむ? 米とは水田だけではないのかの?」

「ああ、マイナーな方法で陸稲って言う方法があるんだ。こっちだと連作障害が発生するし収穫までちょっと時間が掛かるけどね」

「そんなのあるんだー? てりす知らなかった。絆ちゃん詳しいー!」


農家にならないのー? って姉さんにも言われた事をてりすは続けてぶっ放してきた。

なので家の事情でうちが農家じゃない事や俺自身にその気が無い事を説明する。


「米は農業の醍醐味じゃろ? 水田でやりたいのじゃ」

「そうだな」


難しいからこそ挑戦したいって気持ちを俺は否定しない。

だってまだ見ぬヌシを釣るってのが俺の目的であるわけだし。


「とりあえずシンプルに米……イネとはどんな物かと言うと湿性植物、沼地みたいな湿潤地で生育する植物って側面が強い植物って事。陸稲が出来るとは言ってもな」


俺は水晶湖の耕作地を確認する。

少々段差となっている……水が流れを作って居る所に隣接する耕作地を見つけた。

おあつらえ向きと言うかなんと言うかって感じだ。畦も上手く作れている。

本当は肥料とか色々と使って事前準備をしなくちゃ行けないけど、俺達が現在持って居る物資には限りがある。

準備はそこそこにするのが良いな。


「ここが向いてるかな。顔文字さん、こことここをクワで掘って、そこが排水先で畑を水田に変える」

「了解なのじゃ!」


顔文字さんが俺の指示通りにクワで掘ると水が流れ込んで水田へと変化していく。

俺はその水の流れを作って居る箇所の隣に石材を仮置きした。


「稲作で大事なのはまず玄米から苗……はすぐに変化出来るみたいだから良いか」


状態を確認して使えそうな質の高い玄米を顔文字さんに確認して貰ってある。

農業スキルをしっかりと振っている顔文字さんと知識はあってもスキル熟練度の低い俺では見える情報は違う。


「後はこれを一定間隔で植える。水田くらいは見た事あるでしょ? あんな感じ、さすがに俺も手伝うから」

「了解なのじゃ!」

「まずは苗をこう持って水田のここに埋める感じで……そうそう」

「おー……島主、ゲーム経験だけなのに随分と詳しいのじゃな」


そこはちょっと農家の人に興味があったのでゲームの事なんだけど……と、質問したら植え方を実践形式で少し教えてくれたのを覚えてるに過ぎない。


「あ、なんか楽しそー! てりすも混ぜてー!」


俺がレクチャーしながら顔文字さんは楽しそうに田植えを行った。

てりすは……うん、古い言い方のミーハーなギャルって感じで田植えを少し手伝っていたかな。


「ふんふ~ん……ふ~ん」


顔文字さんが鼻歌を歌いながら苗を植えて行くんだけど鼻歌でもなんか聞きやすいように感じる。

夜に畑の前で焚き火をして鼻歌を歌ってたし……クワの柄をマイクみたいに持ってたっけ。

なんか買い物に行った際に聞いた流行りの曲っぽい歌だったなぁ。

さて、元々そこまで水田を大きくは確保してないので割とすぐに終わった。


「おー! 簡単に田植えは終わったのじゃ!」

「実際はもっと大変なんだけど、そこはゲーム独自の簡略化って奴だろうな。ここから注意していかないといけないんだけどな」

「具体的には何なんじゃ?」

「言うまでも無く病や虫が付くのを注意深く確認して除去する事、害鳥とかも注意しないといけないし……」


ここは水晶湖だけど何処まで反映される事か。

虫は害虫って事で現われていたか。

ゲーム的な要素で案山子を設置すると鳥は追い払えるみたいだな。


「深水管理と言って寒さを避けるために水を深めに張って稲の発育を見守ったりしないといけないんだ。まあ、この水晶湖の温度は一定みたいだけど」


温度が何より大事で、この川の部分は水晶湖本体よりも高めだ。

なんて言うか文字通り稲作の為に作られた場所っぽい。


「稲作の半分は水の管理って言って水見半作って言葉があるくらい大事なんだ」

「色々と大変なのねー。好きじゃないとやってられない位細かくててりすだったら売っているお米だけで満足しちゃうわ」


俺もそう思う。

何が悲しくてディメンションウェーブで農業しなきゃ行けないんだよ。

細かすぎだろと思うけどそこは釣りも同じでやりたい人がやれば良い。

そもそもそこまで細かくやらなくてもゲームシステムはそこそこの代物を作ってくれるとは思う。

最初から良いモノを作る工夫程度の補正だな。


「なるほどなのじゃ」

「農薬代わりのポーションはしっかりと使ってくれよ。虫とか出てきたら報告して駆除をしていけば……まあ、技能がそこそこでも良いのが出来るんじゃ無い?」


稲には虫が非常に付きやすい。連作障害や病よりも恐いこともある。

ウンカとか見つけたら親の敵より嫌な気持ちになるって農家の人が言ってたっけ。

防除剤はこの虫の為にあるっぽいのでポーションで抑制は出来るはずだ。

って感じに顔文字さんに稲作を教えて行く事になった。


「ワクワクなのじゃ!」


まあ、水温のチェックと湿度管理がメインで顔文字さんはマメに畑を確認して回っている。

俺は釣りをしたりして過ごし、てりすは水晶湖内で掘れるところを巡回してたなぁ。

……てりすが掘っている所が徐々に壁の形状が変化して行っている気がする。もしかしてマメに掘ると地形変化も起こるのだろうか?


交換日記《下》

9日目 担当・てりす

昨日から稲作をノジャちゃん始めたわね。帰るまでに収穫出来るのかしら?

とは思ったけど翌日にはそこそこ稲が伸びててびっくり。

拡張した農地が出来たのは良いけど行き来に泳ぎが必要なのは大変よねー。

カルミラ島のイベントに備えててりすも泳ぎは少し覚えてるから問題無いけど。

水から出て少し経つと服が乾くから助かるけどこういう所がゲームで良いわ。じゃないとここじゃ焚き火を使わないと服は乾かなそうだし。

そうそう、絆ちゃん。オレイカル鉱石とスターアイスって宝石を手に入れたんだけど加工はブレイブペックルちゃんに手伝って貰えない?

何か作れそうなんだけど協力スキルで作りたいのよね。らるくはまだ細工を覚え始めたばかりだし人手は多い方が助かるでしょ。

っててりすも鉱石確保の報告すべきかしら? まず石が200個、オレイカル鉱石が5個、スターファイア2個、スターアイス3個、ミラカ鉱石40個、銅鉱石16個、鉄鉱石6個、化石4個、水晶原石が30個、ルビー原石が4個、アメジスト原石3個、トパーズ2個、サファイア原石3個、アクアマリン1個ね。

他に開拓地専用の鉱石も手に入ったわ。こっちが多いけど普通の鉱山で手に入れる原石の入手数が少ないのはダンジョン仕様って感じね。

絆ちゃんのクリスタルフィッシュが手に入らなきゃ割に合わないって思っちゃうわ。

で、クリスタルフィッシュは砕くと中に原石が結構混じってるからその分を集荷してるわよ。

てりすもクリスタルフィッシュ目当てに絆ちゃんのカニ籠で技能上げしちゃおうかしら……引っかける仕掛け分かってきたんでしょ?

ポンポン釣り始めたからてりす、まだ滞在するわよー!

クリスタルフィッシュがびっくり箱みたいで面白いのよー!


10日目 担当・絆

ああ、クリスタルフィッシュが何に引っかかるのか分かったぞ。

てりすのリクエストであるし検証してたら仕掛けを見つけた。

まあ……ルアーになんか近づいていたり食いつきはしないのにちょっかいを出してたからヒントって感じだった訳だけどな。

ある意味餌釣りになるのかね……ガラスの欠片を巻き付けて釣り糸を垂らしたら引っかかった。

主食がガラスって事ではないとは思うけど鉱石を食べて成長する魚って事なんだと思う。

で、釣り上げる事なんだけどカニ籠で上げた技能だけじゃ厳しいんじゃないかな?

予備の釣り具も用意してないし、色々とスキルを重複させてやっと釣るくらいには引きが強く感じる。

てりすのリクエストがあるから釣ってるけどそれ以外のも釣りたい所だなぁ……。

後はそうだな。

俺の仲間のしぇりるが得意としてる銛での漁もして見た。

引っかかるのはナイルパーチとナマズ、それとクリスタルフィッシュ。吸血魚。

こっちの方が簡単かな? 魚影が見えたらだけどさ。

稲作なんだけど、定期的に水温チェックをしてるけど温度が思ったより安定しないのな。

水晶湖だから温度は少し低いかと思ったけど温かめだったりするし、時間帯によって変わるっぽい。

収穫時期は成長の様子から俺の読みだと……6日から7日くらいだな。明日辺りで成長が一旦止まって二日くらいは変わらないんじゃないかな?

顔文字さんがマメに雑草の処理や害虫駆除をしてくれているから排水をしやすいように準備してる感じ。

明日辺りから放水してガス抜きすると根が力強く地中に根を張ってくれるようになるんだ。

ゲームだから案の定成長早くて助かるな。

この辺りから害虫の出現が増すから要注意。ポーションは惜しまないように。


11日目 担当・わらわ

やっと稲作は半分なんじゃな。マジックオニオンも大分大きくなりつつあるのう。

しかしこの交換日記も11日目とは驚きじゃな。

11日も一緒に居ると島主の性格も分かってきておる。

根気に関しては奏を凌駕するのは間違い無いのう。何事もやり遂げる意識を持っておるので将来は大物になり得る逸材じゃ。

例え初期は弱くてもコツコツ……将来有望じゃぞ。

っと、のじゃロリ狐娘ムーブをして見るのじゃ。

さてさて、色々と学ばせて貰っておるが持ち込んだ種が大分減ってきたのう。クワから出せる種以外は使い切ったようなもんじゃが、どれもしっかりと実を付けてきて何よりなのじゃ。

そうそう、枝豆が大豆になったので収穫したんじゃった! 枝豆の残りで200莢じゃ。品質はそのまま維持で美味じゃったぞ!

てりすと島主が豆腐とおからを作っておったが絶品じゃった。

明日は納豆が出来ると言っていたが今から楽しみじゃ。

わらわが作った大豆で絶品料理……これほど美味い食べ物はないのう。

所で油揚げは作ってくれないかの? いなり寿司も食べたいのじゃ。


12日目 担当・てりす

ノジャちゃん。食いしん坊さん!

とはいえ大豆があると色々と料理が出来ちゃうから便利食材よね。

枝豆も美味しかったし、らるくが居たらお酒を望んだと思うわよ。

ただ、このゲームだとアルコール類は料理酒以外は無いのよね。健全なゲームだからしょうがないのかしらね。

あービールをてりすも飲みたいような気がしちゃう味わいだったわ。

話は戻って大豆だけどもっと数が欲しくなってきちゃうわね。その分、色々と作れるようになるはずよ。

味噌とか醤油とか調味料も作れるようになるはずだけど……この辺りは錬金に力を入れてるクレイさんにお願いする所かしら?

ちょーっと料理とはズレてるのよね。レシピが出ないのよ。

塩分は岩塩で確保なのよね。プラド砂漠は。

ノジャちゃんも農業に関して分かって来た感じかしら? 稲がどんどんそれっぽく成長してってるのを見ると凄いと思うわ。

絆ちゃんが釣りをしてるところに色々と季節の作物の育て方を聞いてたわよね。

で、絆ちゃんだけど……釣りするか化石のクリーニングするかしかしてないって位ずっと同じ作業を出来る集中力は素直に凄いわ。

動画配信とかずーっとやれそうよね。釣りをしつつノジャちゃんと話が出来てたし、才能あるんじゃないの?

クリーニングも綺麗にやってて飾ってたわよね。あの大量の化石の山は感心するわ。


13日目 担当・絆

のじゃロリ狐娘をてりすからスルーされる顔文字さんに黙祷。

動画配信って言ってもなー……俺ってダイヴ系のゲームは体質的に出来なくてさ。このディメンションウェーブはそれに対応した奴だから参加出来てるだけなんだよな。

レトロゲームの配信は出来なくは無いけど人気ゲームはやっぱりFPSとか対戦ゲームが多いでしょ?

ずっとは出来ても人気配信者にはなれないと思う。

そんな上手くないんだよね。根気があるって言っても単純作業が苦じゃないってだけだから。

姉さんや紡にボコボコにされる程度の腕前なんだよね。

硝子には磨けば光るって言われてるけど。

明日辺りに米の収穫が出来るかな? 顔文字さんは知識は無くてもやる気はあったから稲もちゃんと育って良かったよ。

ただ、やっぱり害虫が湧きまくったね。どこからあんなに湧いたのか……ポーションを使わなきゃどうなっていた事か。

所で、顔文字さんさ……なんか晴天の空でいなり寿司を食べてますって感じで休憩中に食べてたけどここ水晶湖で天井あるから締まり悪かったぞ。

まあ、畑に顔文字さんが張り付いて居たからこそ色々と問題も気付いてたから上手く行ったんだけどさ。

マジックオニオンも収穫出来た……マンドラゴラみたいな顔のあるタマネギって感じだったな。

てりすと相談して料理した感想は魔力回復効果の高いタマネギ?

でさ、もう水晶湖生活も13日目か。相変わらずヌシが引っかからないなぁ。

まあ本命はウサウニー達を確実に活動させるための野菜の調達だから目的は十分かな?

カブは十分確保出来たし人参とかジャガイモもさ。

まー……今後の食事の確保を考えると枝豆と大豆辺りは楽な作物だね。

で、こんな長く付き合ってくれる二人には驚きだよ。

あの硝子だって15日の釣り生活には付き合ってくれなかったのになー。

今回のダンジョン生活で二人の事を大分分かったし楽しく過ごせたと思う。

交換日記も楽しかったし、この場を借りてお礼を言っておこうかな。ありがとう。

俺は二人が本当は引きこもりでニートの子供部屋おじさんのネカマだったとしても嬉しいよ。




「誰が子供部屋おじさんじゃ! 最後のは余計じゃろ!」


14日目、顔文字さんが米の収穫を終え、交換日記を開いて読み始めた所で叫んだ。


肺魚



「ちょっとどうしたのノジャちゃん!?」


てりすも驚いたのか顔文字さんに尋ねる。


「どうしたもこうしたもないのじゃ!」


顔文字さんが日記をてりすに渡して読ませる。

するとてりすも眉を寄せた。


「絆ちゃんひどーい。てりす、リアルがどんなのか話したじゃなーい」

「そこはこう、あくまで自己申告だし」

「らるくの話とかどうするのよ。てりすの彼氏よ」

「口裏を合せている可能性は捨てきれないでしょ。逆にらるくが女かもしれない感じで」


するとてりすが口に手を当てて吹いた。


「ぷっ! らるくがリアル女とかないない! 絆ちゃんも面白い考察するじゃないのー」

「何処までも徹底しておる……そもそもなんで子供部屋おじさんなどとわらわ達を思っておるのじゃ?」


顔文字さんが日記を指さして抗議するので事情を説明しなければならないようだ。


「そりゃあネトゲあるある的な感じでさ。可愛い女の子アバターで第二の人生楽しみたい的な発想?」

「……お主もしや出会う人全てをそんな風に接しておるのではあるまいな?」


え? うーん……まあ、姉さんと紡以外は割とその可能性を視野に入れて接しているとは思う。

おそらく違うだろうなってのは硝子と闇影辺りかな?

というか、みんなで楽しくゲームをするのは良いんだけど、出会いを求めている訳じゃないんだよ。


「その表情は確定じゃな。お主、自身の格好からみんなそうじゃと思うのは大間違いじゃぞ」