Wave of dimensions — страница 87 из 111


まあ……誰にも頼らず戦うって極論そうなっちゃうよね。


「ではまずバフを掛けるかのマジックアップ、マキシマイズパワー、スピードクロック!」


ぐぐっと顔文字さんが俺とてりすに強化魔法を掛けてくれた。

おお……これが強化、ゲーム用語でバフって奴か。

思えば今までの俺や硝子って個人の能力によるごり押しがメインでこう言ったサポートは全くしてなかった。

そりゃあこう言ったサポートは連携じゃ当然する事だよなー。

って事で顔文字さんがボスのデビルズドラゴンへと近づくとドラゴンゾンビの使い回しの演出でグググっとデビルズドラゴンが起き上がった。


「ガァアAAAAAAAA!」


って訳でボス戦に突入した。

俺も戦闘モードに入って周囲の時間の流れがゆっくりに感じ始める。


「ホーリーボールなのじゃ!」


顔文字さんが光の魔法を唱えてデビルズドラゴンにバシバシと攻撃する。

するとデビルズドラゴンが顔文字さんへと顔を向けて黒いブレスを放ってくる。

そのブレスに対して顔文字さんは魔法詠唱に入った。


「マジックシェル、ヒールフィールド」


魔法の膜のような物を展開、持続回復効果のある魔法を立て続けに唱え、デビルズドラゴンの攻撃を顔文字さんははね除けつつ回復していく。

顔文字さんが攻撃! っとばかりに振り向いて指示を出してきたので俺も攻撃に入ろう。


「プリズムマジック……からのールビーファイア!」


キラッとテリスの体に付いている宝石が光ってから装備しているアクセサリーが連動して輝き、赤く輝く炎の魔法がデビルズドラゴン目掛けて飛んで行く。

かなり派手な炎の魔法だ。

うちのドレイン忍者はドレインや雷、風の魔法ばかり使いたがるからあんまり見る機会はなかったけど、てりすの魔法はエフェクト派手だなー。

ゴウ! っと炎の魔法がデビルズドラゴンに命中して焼き焦がす。


「ギャオOOOO!」


おー……良いダメージが入ったなぁ。

カルミラ島のドラゴンゾンビと戦った頃は強力な装備がそこまで揃って無かったから工夫でどうにかしたけど顔文字さん達は装備を揃えてる。

腕も良いから簡単に勝てるってのも納得か。

さーて、俺も攻撃をする訳だけどいきなりルアーをぶつけて攻撃では顔文字さん達に呆れられてしまうかも知れないし、遠距離攻撃ばかりでは芸が無い。


「ギャアアアォオオオオオオオオOOOOO――」


っと、戦闘モードに入り、高速状態になると相変わらず俺は加速が掛かる。

……ブレスを吐き終わり、噛みつきを顔文字さんに放って耐えられた隙が発生している最中なのでこの隙を利用して冷凍包丁での近接攻撃をしよう。


「クレーバー」


俺は素早くデビルズドラゴンに近づき、冷凍包丁を握りしめてクレーバーを放つ。


「ギャ!?」


お? 仰け反った?

なら立て続けに追撃をさせて貰う!

ズバズバっと三回斬りつける。


「ギャアア!?」


お! 再度仰け反ったぞ。

どんどん行くぞ!


「ちょ――ちょっと――島主」

「ん?」


顔文字さんの音飛び気味の声が聞こえたので振り返る。


「ギャアアアオオオオオオオOOOO」


あ、デビルズドラゴンが俺に顔を向けてきてる。

攻撃しすぎてヘイトを取り過ぎてるって注意したいんだろう。

連携を意識すると攻撃しすぎちゃったか。

ここは一旦離れて顔文字さんがヘイトを取り直すまで待った方が良いな。


過剰火力



ダダッと尻尾を振り回しからの叩きつけを予測して脱兎の如く俺は走って逃げ、追いかけても距離を詰められない様に罠のトラバサミを一個設置。。

そこから置き土産に武器を釣り竿に変えて光のルアーでスナップを掛けてぶつけておく。

ガチ! っとデビルズドラゴンの足にトラバサミが掛かって足止めが作動、ボスだからすぐに外れるけど距離を稼ぐのに十分だろう。

って思ったんだけどー……デビルズドラゴンのHPが既に3分の1まで減ってしまっていた。

ふむ……思ったよりも柔らかいなぁ。

動きも鈍重だし……。


「ギャアアオオオ!」


ブワッとブレスを俺に吐いてきたけど距離があるのでそのまま横に走って避ける。

……このまま一気に削りきれそう。

ハイディング・ハントを使ってヘイトを顔文字さんへと戻そう。

サッと瞬間的に隠蔽状態になって、ヘイトを戻させようと……取り過ぎていた所為かデビルズドラゴンがキョロキョロと俺を探すモーションをしてる。

うーん……さすがに対策はされてるか。

当てずっぽうでも俺が居る所を攻撃しようとするようだ。

かといって速度は鈍重なのでそのまま距離を取って顔文字さん達が攻撃出来る様に逃げる。

再度冷凍包丁にモードチェンジして俺はブラッドフラワーのチャージをしながら逃げへと徹した。

別スキルを使った所為で隠蔽状態が解除されたのでデビルズドラゴンが俺の方へと走ってくる。


「ホーリーボール!」

「ルビーファイア!」


で、俺の意図を察したのか顔文字さん達が魔法で注意を引こうとしている。

シュンシュンと手元のチャージ音が鳴り響き、キン! っとチャージが完了する音がする。


「よし! ブラッドフラワー!」


ズバァ! っと俺はデビルズドラゴン目掛けてブラッドフラワーを放って駆け抜ける。

派手なエフェクトが発生し……ガクッとデビルズドラゴンのHPを削りきる事に成功、トドメに放ったお陰でデビルズドラゴンは解体素材となったのだった。

確かにかなり戦力差が出てるなぁ。

硝子と一緒に戦った時とは雲泥の違いだ。これが成長って事なんだろうなぁ。

何より顔文字さんのバフも効果が高かったんだろう。




「島主、攻撃力高すぎじゃろ」


戦闘終了後、顔文字さんが驚愕と呆れが混じった指摘をしてきた。


「もの凄く足が早かったわよね。武器チェンジの隙も無いし攻撃力がてりすの三倍以上はあったと思うわ。これでもてりす、らるくとそこそこやってたから分かるけど、絆ちゃん。ちょっとおかしくなーい? 何か秘訣あるの?」


てりすが俺の武器を見ながら呟く。


「前々から見てたけど、普通の武器……にしてはなんか違うのよねー。その宝石が付いてるの。何か新要素の武器付与をロミナちゃんがしたのかな? って思ったけど違う気がするわ」

「そうじゃな。いくら何でもおかしすぎるのじゃ。幾らわらわがしばらく前線から距離を置いていると言っても限度があるじゃろう」

「あー……」


そういやここに来てから俺のスキル構成とか細かい事を説明してなかったっけ。

島主で釣り構成、カニ籠漁の元締めにして解体技能持ちって又聞きでみんな知ってるから深く聞かれなかったってのが大きいのかも知れない。


「この武器ね」

「武器チェンジの隙が殆ど無かったのう。どれだけ早くても抜き直す必要があるのに攻撃中に変化しておったぞ」

「一見すると解体武器の冷凍包丁だけどー……」

「ああ、説明忘れてた。俺が使ってる武器とスキルは狩猟具って奴。特殊武器で該当武器への交換を高速化して攻撃力とか色々と引き上げてくれるんだ」


全く説明してなかったもんなぁ。

ステータス補正の影響で戦闘に入ると高速化するのもこのスキルのお陰だった。

強化合宿中はそんな気にならなかったからなぁ。

精々釣りをしている時にフィッシングマスタリーと重複するって所で使ってたけど、意識しないと気付かない。

顔文字さん達が釣りを経験してないのが大きいだろう。


「全体放送で流れた最初に放送されたユニークスキルじゃろそれ! わらわも聞いておったぞ! 島主が取得者じゃったのか!」

「ちょっとーそういうのは先に言わないといけなくなーい?」

「ごめんごめん」


水晶湖生活で全く聞かれなかったので説明してないのに気付かなかった。


「取得者がいるなら聞きたかったのじゃが、ユニークスキル。どのように習得したのじゃ?」

「え? 新しくアップデートした時にスキルを確認してたら妙に輝いてて、条件を満たしたら出てきた感じ」


俺は狩猟具のスキルが出てきた時の状況を話した。

もちろん、取得条件も。


「わー……もの凄く面倒な実績も混じってるのね」

「しかも早い者勝ちじゃろ? 確かに先に取っておかねばならん代物じゃな」


お? 顔文字さんもてりすも理解が早い。

この辺りは前線組って感じかな。


「しかし随分と性能が高いようじゃな」

「スキルの性能が高いのは元より重複するって所が大きいんだと思う。そういやここに呼び出される前に試しに赤鉄熊を一撃で仕留めれたっけ」

「赤鉄熊ってミカカゲで鉄鉱石ドロップするアレでしょ? そこそこ強い魔物じゃない」

「わらわは会っていない魔物じゃな。じゃが聞いた事はあるのう」


ああ、顔文字さんは未遭遇か。


「アレを一撃ってスキル使って?」

「ううん? 通常攻撃」

「どんだけよー絆ちゃん」

「まあ……大本の狩猟具が四天王素材で蒼海の狩猟具を装備してるからなー」


少なくとも現状で入手難易度の高い素材で構築された代物だから強力なのも当然か。

先ほどのデビルズドラゴン戦の手応え的にソロでごり押しすればすぐに削りきれる。

正直……強さを求めて戦う相手で考えるとプラド砂漠じゃ歯ごたえがないかも……。

硝子と一緒に色々と回ったお陰で底上げも出来てるし、ミカカゲの奥地を目指すかアップデートで何処か新しい所に行くのが正攻法だったんだと思う。


「何にしても島主、おぬし相当の猛者じゃな」

「さすがはトッププレイヤーね」


トッププレイヤーと前線組に該当する二人に言われてしまった。


「釣りの合間に色々とやってただけで、あんまり自覚無いんだけどなー……」


一応、カルミラ島の島主って事を考えると……確かにトッププレイヤーなんだよな。


「てりすも絆ちゃんの噂は聞いてたけど、こんな隠し球まで持ってるなんて知らなかったわー」

「そりゃあアプデした翌々日にプラド砂漠に来た訳だし」


狩猟具のスキルを取得してすぐに来たんだから分かるはずもない。

それだけこのスキルが強力って事だろう。

俺は顔文字さん達に取得条件を説明した。

改めて取得条件の確認。


☆狩猟具 ユニークスキル


フィッシングマスタリーⅩ以上もしくはスピアマスタリーⅩ以上・さらに100種以上の該当魚類の取得


トラップマスタリーⅩ以上もしくはボウマスタリーⅩ以上


夜目Ⅴ以上もしくは気配遮断Ⅴ以上


素潜りⅤ以上もしくは掘削Ⅴ以上


解体技能Ⅹ以上もしくは皮加工技能Ⅴ以上。


累積狩猟(魔物除外)2000000匹


累積罠設置数 100000個


狩猟系シークレットスキル所持


ヌシの5匹以上のサーバー初回釣り上げ、もしくはエリアボス初回討伐5回以上。


生活ランキング5位以内の入賞経験。


「いや……取らせる気あるのかという代物じゃろ」

「性能も納得ねー性能70%アップってどんだけよー」

「案外マメにしてたら取れる物が大半だけどさ」

「ヌシのサーバー初回釣り上げかエリアボス初回討伐が鬼門じゃろうな」


確かに、この辺りはどれだけ早く釣り上げられるかだから難しいかもしれない。競争要素が強すぎるしみんなが満遍なくヌシを釣ったら取得者が出ない事になってしまいかねない。

そういう意味は運が良かったのかなー。

強化するのにも実績とか必要そうだもんな。

まだ上げられる条件が分からないけど。


「強力とは言っても、プラド砂漠じゃ活躍の機会は無さそうだなー。参加出来るイベントに制限も掛かるし、対人はマイナス99%補正掛かるらしいよ」


ダンジョンのボスがこれじゃ過剰火力でしか無い。

作業的にダンジョン内の物資を探すには良さそうではあるけど……まあ俺向きなのかね。


「わらわに農業のコツを教えてくれて、ペックルを呼び出せる島主は十分な戦力じゃよ」


ホットでハード

「このまま一気に開拓を進めちゃえばいいのよ」

「まあ、そうなるか」

「後でみんなに話して情報共有はすべきじゃな。もちろん外に出た際には口外しない事は誓ってじゃ」

「妙な因縁付けられかねないもんねー」


おお、その辺りの理解も早くて顔文字さん達は良心的だなぁ。

妙な粘着行為とかされる可能性は確かにあるもんな。

俺の場合、釣りをしてるだけってみんなに思われてただけだったし、重要拠点のカルミラ島が使えなくなるって事で変なのも絡んで来なかったんだよな。


「島主にわらわ達は追いつけるのかのう」

「新スキル取得しただけだから、顔文字さん達もいずれは追いつけるでしょ」

「ユニークスキルの取得条件が複雑過ぎると思うわ。他のユニークがどんな代物かよね」

「じゃな。何にしても色々と挑戦して行かねばならんと言う事のようじゃ」


って事で話しを終えて顔文字さんはボス討伐後の次の部屋へと行く。

このままエレベーターに乗って帰るんじゃないの?


「島主よ。ブレイブウサウニーはこっちの部屋の宝箱から出たんじゃ」


と……俺がカルミラ島で見たブレイブペックルを手に入れた部屋を顔文字さんは指さす。


「俺もそうだったなー」

「一般プレイヤーが行くとそこに報酬の宝箱があるのよね。開拓中だと違うのね」

「へー」


そんな事まで変化してるのか。


「そういえばアップデートでダンジョンの先に行けるようになったとかカルミラ島だとあったらしい。プラド砂漠は?」

「そこが気になったので調査じゃ」


ああ、ついでに顔文字さんも確認したかったんだね。

で、閉まっていた扉を顔文字さんが確認するとガチャッと扉が開いてしまった。


「行けるみたいだね」

「そのようじゃな」

「ランタンを確認するともう少し行けそうだけどどうする? ノジャちゃん」

「島主が高火力のようじゃし、もう少し足早に行ってみるかの」


そんな頼りにされてもなー。

とは思いつつ行きがけのついでで俺も頷く。


「了解、難しかったらすぐに撤退すれば良いよね」

「未知のエリアへ出発じゃな」

「らるくと奏ちゃん辺りが既に行ってそうよねー」


そんな元も子もない。

なんて話をしながら俺達は更なる階層へと進んで行った。

そんな訳でダンジョンの101階。

なんかダンジョン内の壁がより一層暗さを増してる気がするなぁ。

溶岩っぽいものも混じって流れてて熱そう。

出て来る魔物は一部カルミラ島の魔物の色違いのようだ。ここはプラド砂漠での同種の魔物って事なんだろうけど。


「シャガアアアBAッコ!」

「グレーターデビルズダンボル」


なんかダンボル草原で見たような外見の邪悪そうなダンボルが取り巻きを引き連れて現われた。

取り巻きは呪われたくるみ割り人形って不気味な玩具の兵隊。ちょっとホラー感あるな。

接近してくる前にブラッドフラワーのチャージを終わらせて近づいてグレーターデビルズダンボルに放って一気に削りきる。


「思ったより強く無いな」

「そりゃあ島主の攻撃ではの」

「アップデートしたと言ってもカルミラ島のダンジョンと似たような所だからじゃない? 毛が生えた程度なのはしょうがないわよー」


そうなるか……。


「とはいえ、島主よ。ドロップ品に植物の種が色々と混じっておるようじゃぞ」


ああ、そうだった。

戦っていく内に魔物が時々種をドロップしてたりする。

他にも顔文字さんがダンジョン内で自生している植物を採取していた。

俺の釣りに対する情熱と同じく顔文字さんも結構目敏いなぁ。

そうして進んで行くとピストルプラントという植物やショットガンフラワーという……種を撃ち出すスミレみたいな花型の植物を発見。

罠カテゴリーだろうか?


「変わった植物じゃのー」


って顔文字さんがそんな植物を採取してる。

色々と凄いな。

まあ俺もゴーストフィッシュとか色々と収納した事あるけどね。


「鉱石もちょっと増えたみたいよ。ほら絆ちゃん! ジオード出てきたわ! 化石もあるみたい」


採掘ポイントを見つけたのでてりすも採掘をしてる。

ついでに来るのには良い場所だったようだなぁ。

なんて感じに進んで……うん。魔物はそこまで強く無いな。

ミカカゲの第二関所を超えた辺りの魔物の強さだ。

アップデートで新しい場所が見つかった場合は型落ちしてるくらいの強さで……本当、本来は出遅れた人を救済するダンジョンなのは変わらないみたいだ。

しかしまー……顔文字さんとてりすがそれぞれ関心のある発見が出来たみたいで良いんだけど俺はちょっと疎外感があるな。

なんて思いながら110階まであっさりと到達してしまった。

少し開けた場所……中継ポイント兼、休憩所って感じだ。

やっぱり先には扉があって開かない。アップデート後に開くって感じだろう。

でー……見た感じマグマ溜まりって感じの場所でなんとなく暑い。


「ここも農園に出来るようじゃな」

「温度的に夏って扱いかな? いや、それより高めだからちょっと育てるのは特殊な代物になるか? サボテンとか……ただ、地上も砂漠だしなぁ」

「あんまり差は無い感じー?」

「んー……砂漠は夜冷えるからずっと暑いって意味ではこっちでも良いのかも知れないけど……」


砂漠の植物としてサボテンとか変わり種で育つ可能性はある。


「うーん。もしかしたらゲーム独自の植物とかを育てられるかもしれない」

「該当する植物探しも楽しそうじゃな」


なんて雑談をしつつ帰ろうかと思って居るとバシャっと音がした。

振り返るとなんとマグマの中から魚の尾らしきものが一瞬見えた。


「溶岩の中に魚が!」


あんな所に魚が居るなんて思いもしなかった。

いや、よく考えたら奏姉さんや紡にやらされたハンティングゲームでそんな魚の敵がいたじゃないか。

なるほど……ディメンションウェーブにもそう言った魚が居るって事だ。

水場しか魚はいないという俺の考えが凝り固まっていたという事だ。


「島主の目が輝いておる」

「マグマの中に魚を見つけちゃったのね。釣ることになるのでしょうけどどうするのかしら?」

「普通に釣り竿を垂らせるのかの?」

「そこは実験だ! まずは普通に釣り針で挑戦!」


っと俺は釣り針に餌を適当に付けてマグマに向かって投げ込んでみた。

ジュ……っと音がして餌が焼け、釣り針が溶け糸が焼け切れる……。

うーむ……適した仕掛けじゃないようだ。


「火属性のルアーなら耐えきれるかなー……ただ、糸が焼けちゃったから糸をどうにかしないと厳しいか」


釣り場ならカニ籠も設置出来るだろうかと試しに一個、マグマに投入して見た。

案の定そのまま焼けてしまった。


「これは中々ホットでハードだぜ」

「HOTでHARDね!」

「お主等は何を言っておるんじゃ……」

「うーん……ここで釣る場合、釣り具を特注しないといけなさそうだなぁ……」


耐火性の高い糸、ワイヤーとかを確保いないといけない。

餌とかも吟味しないといけないし……。


「問題は釣り具の作成技能は俺持ってないんだよなー」


ロミナの知り合いに作って貰ったのが大半だ。

フィッシングマスタリーで自作するにしても技能は元より実績が足りない。


「ロミナのペックルが多少は鍛冶が出来るとは思うけど……それでも厳しいよなぁ」


どうしたら良いだろうか?


「釣り具のルアーって細工にも掛かってるから多少は釣り具を作れると思うわよ。地上で色々とやって見るわ」

「お? それは良いな! 良かったらお願いするよ」


俺は釣り具職人じゃなく釣り人だからな。

細工でも作れるならお願いしよう。どちらかと言えば鍛冶に近い代物になりそうな気がするけどさ。


「付与とかも視野に入れると良いかもしれないわよ。単純なのだと鎖を作って糸代わりにするんだけど、付与で火耐性を付けたりするのも効果ありそうじゃない」