Wave of dimensions — страница 89 из 111

フィーバールアーを使えば一発で分かりそうだけど一気に釣り上げてしまうか悩み所だな。

スキル効果が重複してしまっているからか歯ごたえがない位にはあっさりとどの魚も釣り上がってしまう。

こう……言ってはなんだけどヌシをサクッと釣り上げてしまったら他にある釣り場が限られてしまう。

開拓地に閉じ込められている現状から考えると手加減とかすべきか。

意識的にフィッシングマスタリーを下げて挑むとかをするのも良いかもしれない。


「カルミラ島ではナマズが釣れるのかい? 生憎釣りはしていないのでね」

「クレイさんも釣りします?」

「いや、調合とか色々とやる事が私にはあるので遠慮しておくよ」


ふむ……卒無く躱されてしまったぞ。

釣り仲間を増やしたい所ではあるが勧誘は中々上手く行かないな。


「そういえばクレイさんは調合技能持ちだけど、俺の釣った魚とかで何か作れない?」

「ポーション類だと魚から油を作ったりするものが多いかな。他に君が広めたカニポーションとかと似たようにフィッシュポーションとかもあるよ」


やっぱりその辺りが全体的に多めかー。


「一応油から色々とポーションの材料へと変換出来る訳だから使えない訳じゃ無いけどね」

「ヌシ素材とかは何か作れるものとかある?」


色々とこの辺りは気になる所だ。

良い物が作れるのなら最終的にロミナと相談して行く事になるだろうなぁ。


「君が水晶湖で釣り上げたヌシから得た、古代魚素材だと付与に使える結晶へと抽出する事が出来そうだね」

「付与に使う材料になるのか、となるとてりす達へと引き渡す感じ?」

「連携スキルで付与を施す事になるだろうね。確かブレイブペックルも付与が出来るとなると、ちょっと確認すると……うん。付与できる効果は遠距離攻撃強化と古代の力、採掘強化だね。古代の力はHPが一定以下になるとステータスが2割上昇だったかな」


あー……ピンチになると能力上昇系の効果を持つ付与が出来るのか。

結構色々と使う事が出来る性能を持っているんだなぁ。


「素材の系統的に化石とかも結晶にすると同じ事が出来そう」


俺の所持する化石はエンシェントドレスの強化に使われたし、似たことがきっと出来ると思う。


「可能性は高いね。てりすくんから報告で聞いた化石のクリーニングに関しても付与で補正を掛けたり出来るんじゃないかな?」

「なるほど……」

「まあ、素材をどう使うかは君が決めて良いとは思うけどね」

「みんなと相談って事にしてるけど……」


この辺りはまだみんな決めかねている段階だ。

顔文字さん達は付与効果よりも性能重視で良いって言ってるけど……。

初期のオプション効果が微妙でも付与で誤魔化すって事は割と手ではあるんだよな。

闇影用に作ったアクセサリーとかも中々強力だったわけだし。

しばらく装備を切り替える必要すらない位には優秀だったもんなー。


「採掘って農作業にも補正が掛かりそうだよな」

「確かにそうだね。君のしている化石のクリーニング……考古学をミリーはしたがっているから一緒にさせて貰えると良いね」


クリスタルフィッシュでも採掘系の結晶を作れるから色々と化石探しをするのは助かるとクレイさんは続ける。

うーむ……鍛冶やいろいろな釣り具調達担当のロミナが居ない状況ではあるけどクレイさん達が色々と作ってくれるのでこれまた新鮮な感じに挑戦出来るかな?


「確かブレイブウサウニーがエンシェントドレスを作れるのが分かったから後で作って貰って採掘系の付与を更に施して顔文字さんとミリーさんに着回して貰えば良いかな?」

「ドレスで農業するワラさんという状況になるようだね」


……ちょっとシュールな姿だなぁ。

装備の闇だろうか。


「なんかその辺りの問題とかどうにかならないのかなぁ?」

「出来なくは無いよ」


クレイさんが微笑みながら答える。


「え? そんな事出来るの?」

「ああ、最新のアップデートに重ね装備って項目が追加されてね。実際の装備と見た目を変える事が出来る様になったんだ。ファッションの統一感を出したいプレイヤーには朗報な話さ」


あー見た目に拘るって結構大事とは聞くよな。


「さすがに武器の見た目までは出来ないけど防具の方は割と融通が利くみたいだよ」

「へー」

「主に染色に該当するスキルで出来るのだけど錬金術はここもある程度補正が効くようでね」

「ちょっと」


ここで作業をしていた姉さんが会話に割り込んで来た。


「見た目を変えれるなら着ぐるみとかにも重ね装備出来るのかしら?」


リボン



……ビッグブレイブペックルの異名を持つ姉さんからしたら大事な事なのか?

いや、あの着ぐるみを脱げば良いだけだとは思うけどさ。

現に今は脱いで別の装備で作業をしている。


「現状だと対応可能な装備と出来ない装備があるようだよ。着ぐるみのようなファッション性の高い装備は対象外な事が多いようだね。ちなみに逆は可能である事が多いね」

「通常装備のビックブレイブペックルか。今後はビックブレイブペックルで固定かな?」

「逆はしないから安心しなさい」

「となると……俺のこの頭装備も対象外か?」


割とみんな自然に受け入れてしまっているけど俺の頭装備はクリスが脱ぎ捨てたサンタ帽子装備で固定化されてしまっている。

被っているだけで周囲のペックルの能力が上昇するから基本外せないんだよなぁ。

しかも範囲がかなり広いのでディメンションウェーブイベント中だと他プレイヤーのペックルにまで作用するし。

ロミナ曰く、いずれ強化とか出来そうな雰囲気があるそうだけどずっと使って居る。


「ちょっと見せてもらって良いかな?」


クレイさんに俺のサンタ帽子を確認して貰う。


「これは重ね装備を付ける事が可能な様だね」

「なんでよ! 絆!」


奏姉さんが抗議の声を上げる。

いや知らないよ。出来るなら良いだろと言いたいけど逆の立場だったら文句言ってるか。


「納得し難いわね! 私が戦闘に出る際は着ぐるみになるのよ!」

「攻撃力が下がりすぎるって愚痴ってたじゃないか。脱げば良いでしょ」

「そうだけどね! でも波での成績を思い出すと脱ぎがたいのよ」


一つの成功に固執するのは良くないのは姉さんも分かってるだろうに。

そんなにあの着ぐるみの性能が魅力的だったのか。


「あの着ぐるみ……若干料理と付与にも補正掛かるのよね」


着ぐるみ着用で作業とかシュールすぎる! そんなにもスキルを重視したいか!

ディメンションウェーブイベント中も効率に走った姉の性格に戦慄しか覚えられない。


「重ね装備ってどんなのがつけれる訳?」

「この帽子の場合は……ああ、丁度良いね。実験に作ったリボンが重ね装備に出来るみたいだよ」


そう言ってクレイさんは俺にリボンを手渡してくる。


リボン(重ね装備)

魔法の力で幻を見せ、本来着用している装備の見た目を偽り、リボンに見せる。


へー……こんな装備が追加されたんだな。

色々と項目を確認していたけど見逃してた。

付けてみろって事なので装備項目にセットしてみる。

すると被っていたサンタ帽子の感覚がフッと消えて髪にリボンが巻き付く。

水面で確認して見ると頭装備を付ける前のデフォルトにほぼ近い感じになった。

年中クリスマスな頭とはこれでおさらばと思うとちょっと嬉しい。


「どうだい?」

「これは良いなー」

「まあ、重ねを無視って設定してるプレイヤーからはサンタ帽子を被っているように見えるけどね。何を装備しているのかの確認は大事だからね」

「初期装備に偽装した高レベルプレイヤーとかありがちだもんね」


対人があったりするとやる奴が結構いるんだ。


「臨時パーティーをする際は装備に関しちゃ聞くこと多いものね」

「俺とは縁の遠い話だなー」

「むしろアンタはもう臨時に行けないでしょ。いや、行ったらどんな装備でも引く手数多かしらね。羨ましい限りよ!」


適切な装備じゃなくてもユニークスキル持ちで能力高めと姉さんは嫌みが言いたいのだろうなぁ。


「君は羨望と嫉妬の両方が広まっているからね。ユニークスキルまで持ってるとなると中々難しいだろうね」

「そう言った意味だとソロでも大丈夫なのは得かも知れないわね」


なんだか嫌な話をされている気がするなー。

まあ……火力お化けになってしまっている自覚は段々出てきた。

困ったら隠蔽スキルであるハイディング・ハントで移動すれば良いからな。

ただ、基本俺は釣り人な訳で変に弄ってこなければ問題無いぞ。

そもそもの話として高い攻撃力があったとしても開拓地に呼ばれてしまった現状、活躍させる機会が無い。

ああ……なんだろう。紡辺りがその辺りをネタにしてそうな気がしてきた。


『強キャラとかって、大事な時に抜ける事があるよねー。裏切ったり弱体化したりって感じでさ。もしくは再加入した頃には完全に型落ちしてるとかー』


く……アイツは絶対に言う。

兄である俺は確信を持って言える。

俺がらるくに言った冗談を先に姉さんが言ったように。

ここから出たら硝子と闇影辺りに言ったか聞いて見るか……。


「何にしても見た目の問題はどうにかなったか……個人的には麦わら帽子とか普通の帽子でも良いんだけどな」


主に釣り人が被ってそうな帽子でも良い。


「ワラさんもその辺りを要望していたね」


あー……確かに農業には似合う装備なのは否定しない。

顔文字さん、形から入るタイプっぽいしな。


「アンタとノジャ子ってそういう所は似てるわよね」

「そうかなー」


顔文字さんは農業で俺は釣りってだけなんだけどなー。

まあ、幼女アバターを使ってる所は似たり寄ったりなのか?


「……何か話が脱線した気がする。何の話をしてたんだっけ?」

「装備の見た目を重ね着で解消するという話だね」

「そうだった。衣装は大事。クレイさんは重ね着装備を作れるの?」

「重ね用の装備と一定の素材が必要になるよ。それと錬金術には媒介石の作成も出来るね」

「へー」


そうだったのか。


「媒介となる結晶は細工なんかにも掛かっているのだけどより精度を上げるのに錬金術が間に挟むんだ」

「となると俺の強化に錬金術って結構役立ちそうなんだなー」

「それこそヌシ素材で媒介石を最終的に作るという使い道もあるよ」

「うーん……そこは俺自身、そこまで装備に困って無いし他の人に回すのも手かなー」


ポーションとか薬にも使えたりするし、何が一番良いのかってのが大事だろう。


「私としては薬より媒介石とか永続的な方が良いと思うわよ。薬って一時的なバフでしょ?」

「効果が高いって所はあるけどね。他にワラさんの先行している農業での薬にも使い道はあるんじゃないかい?」

「具体的には?」

「効果はよく分からないけど太古の秘薬という薬がレシピにはあるようだよ。どうするかは相談になるけどね」


うーん……なんか化石を薬に回す事で再現とか出来そうな気もするなぁ。


「俺も管轄外のゲーム独自作物に知らない薬を蒔いて育てるとかありそうだなー」

「そこはトライアンドエラーって奴になりそうね」

「開拓地固有のミラカ鉱石を抽出する事で薬も作れるからね。ブラッドエキスって言う真っ赤な謎の薬がね。これも使えそうだね」


なんとも不気味な薬があるもんだ。


「トマトに投与したら良い気がする。まあ、ジャガイモなんかにも効果はあるだろうけど」

「なんでよ?」

「トマトって茎が粘液を出して虫を死ぬまで捕らえて肥料にするとばかりに地面に落したりするんだよ。赤いし……吸血植物的なものと相性良さそうじゃん?」

「このゲームで成功してるアンタの証言ってだけで信憑性ありそうで恐いわ」


ブラッドエキスってそのままだと吸収効果を増幅する付与に使えるんだったっけ?


「絆くんは装備にドレイン系の付与を入れないのかい?」

「なんで?」

「そういえばそうね。スピリット系は鉄板の構成だって話を忘れてたわ」

「スピリットとドレイン系は非常に相性が良くてね。エネルギーの消費を抑えつつ戦えるんだ」


ふとここで闇影が脳裏を過ぎる。

そういやアイツはドレイン忍者だったよな。

確かに魔物相手にドレイン連射してれば黒字だって言ってたっけ。

コストが重いから下げてたけど確かにその辺りはよく考えたら効率的か。

しかもネタキャラ演じている様に見えて、結構プレイヤースキル高いんだよな。


「ドレイン付与ねー……」


ブレイブペックルに命じれば出来るか?

クレイさんも錬金術専攻だし、協力スキルか何かでつけれるかも知れない。


スピリットテンプレ



「ドレイン強化は仲間の装備につけた事あったなぁ」

「強化だけなら良いね。ただ、まあ……確かに多少の問題はあるのだけどね」

「ドレイン付与すると何か問題が?」

「そうだねー……代償が少し発生するからスピリットはその辺りを前提に装備を持っている人が多いね」


やはり万事解決って事にはならないのが悩み所なのか。

ロミナは何故俺や硝子、闇影にそう言った相談をしなかったのか。

……単純に俺達が戦闘特化じゃないって所もありそう。

硝子は戦闘重視だけどさ。


「バランスの調整なのか、装備の性能が下がるマイナス効果が付くそうだよ。そうじゃない場合は武器を振る毎にエネルギー消費するとか」


まあ……よくある効果だよな。命中が極端に低いとかゲーマーだったらピンと来る。

アンデッドに使うと逆に回復されるとかも定番だ。

闇影の魔法だってコストが重すぎるんだ。

武器を振って相手を殴るだけでエネルギーがもりもりならスピリットは強すぎるだろう。

高火力で叩き続ければ無限に戦えてしまう。

ダメージなんて知った事かとばかりにさ。


「けど持っていると便利だって事でスピリットは所持して居る鉄板武器だそうだね」

「俺や硝子は持ってなかったけどなー」

「アンタ等は変わり者でしょ。ヒーラー無しでミカカゲの奥地にまで行ってるんだから」

「情報の仕入れ先はアルトとロミナが居るから問題は無かったんだがな……」

「情報漏洩でスピリットは弱種族だって話が広がっていたからね。スピリットの全体人口は少ないのは事実だろうね。私も知っているスピリットは当然少ないよ」


実際は中々優秀だって事がゲーム開始後に判明した訳だしなぁ。


「何にしても俺や硝子はドレインを必要に感じなかったなー」

「この辺りは個人差って事と噂の広まりとかでプレイスタイルの差異って事なんだろうね」


ドレイン装備は必須って程ではないってね。

まあ……元素変換とか手持ちの素材でエネルギーに変換出来るからなぁ。

無くても困んないし態々デメリットのある付与した装備を使う必要は無い。


「隣の芝生は青く見える。スピリットの情報網でテンプレートが出来てないって事じゃ無い? もしくはデマが広がったとか」

「どこで広がったのかしらね?」


何度も脳裏に浮かんで来るドレイン忍者の影。

まあ……アイツは波の成績良すぎるもんな。きっと参考にされすぎてスピリットが色々と勘違いされてるんだろう。

硝子も有名プレイヤーなんだけどなー。


「種族変更とかいずれアップデートに出て来るのかなー」

「ありそうよね。問題はアバターを再度組み直しをしないといけないプレイヤーとかもいる問題だけど」


あー……その辺りの設定が障害になりそうな気がしなくもない。


「君達の活躍からスピリットになりたいってプレイヤーは一定数いるだろうね」

「難点は死んだ時のペナルティが大きい所だと思うんだけどな」


しばらくは狩りとかには出られないくらいに大幅に弱体化するのは避けられない。


「実績までは解除されないからケアは出来そうだと私は思うのだがね」

「そこは運営の仕込み具合によるんじゃないかしら」

「確かにね」


何処までユーザーの望む仕込みをして居るかによるとは思う。

テストプレイヤーが居たんだし、要望はあったはずだよなー……。


「さてと、雑談はこれくらいにして作業再開するわよー」

「姉さん頑張ってー」

「アンタは……はぁ、好きに釣りしてなさい」

「はーい」


俺はちゃんと働いたもん。


「ははは、魚も調合素材に使えるし色々と楽しんで行くのが良いと思うよ」

「姉さんも狩り以外に何か趣味を見つければ良いと思う」


戦闘、採取に料理って生活に結びつけ過ぎなんだよね。姉さんは。


「うるさいわね。紡程じゃないから良いでしょうが」

「そこは否定しない。まあ、姉さんも暴れ足りないならダンジョンに行ってくれば良いもんね」

「そうよ。物資調達くらいは出来るでしょ」


オアシスに居るヌシはなんだろうなー……カルミラ島の海側みたいにヌシが釣れない可能性は大いにあるんだけどさ。

なんて考えつつ釣り竿を垂らし続けている。


「フィッシュ!」


また釣り上げたので姉さん達にピラニアを見せる。


「良くやるわ」

「場所によって魚が変わるからかなり奥深いよ? 適当なゲームだってあるのにこんなにあるのは凄いって」


メインコンテンツじゃ無いって事で魚の種類が3~5種類しか無いゲームだってあるだろうに、このゲームでは無数に出て来る。

戦闘がメインのゲームではあるようだけどね。このさじ加減が実に難しい。


「釣りは昔、金持ちの道楽に数えられていたようだね。私の友人も釣りが趣味な人が居てね。絆さんとは仲良く出来そうだね。このゲームに誘えば良かったよ」

「今のゲームが終わっても第二回ディメンションウェーブに参加して貰えば話題は通じるんじゃ無いかしら?」

「うーん……」


なんかクレイさんが苦笑している。


「私の耳に入った話ではあるのだけど。セカンドライフプロジェクトのゲームはプレイする毎に自動の変動を入れて居るそうなんだ」


おや? そんな話があるのか?


「ネット内の噂で聞いた事があるわね。ゲーム内容の口外はしてはならないと念押しされていて……デマだのなんだの騒がれていたわ」

「そう。だから別のセカンドライフプロジェクトで通じた方法が次のセカンドライフプロジェクトで通じるとは限らない。スピリットが強い種族と言う設定が事実だったとして、次も通じるとは限らないそうだよ」

「ありえるわね。ベータテストの時は弱かったって事で」

「強いかどうかは分からないけどなるほどなー隣の芝生だと俺は思うよ」


何度も思うけど隣の芝生って奴でしか無いと思うんだけどな。

だってディメンションウェーブイベント毎の限界突破以外だと魔物を倒して限界突破実績を達成しないと引き上げ出来ない。

戦闘をしなくても経験値に該当するエネルギーが溜まる種族だけど、その上限の所為で強さへの制限は強めだ。


「ディメンションウェーブイベント中はタフってだけで弱体化もする訳だし」

「まあ……アンタはディメンションウェーブイベントで大活躍したって話を聞くけど、それも運や装備に助けられているって話よね」

「ダメージキングなんて妬みも一時期言われていたね」


う……クレイさんも覚えて居たか俺の忌まわしき過去の名称を。


「それだけ耐えてたって事でしょうに、よく耐えきって居たわよね。あんたこそブレイブペックルが相応しいわ」

「まだゲームが始まったばかりで敵の攻撃が弱かったのが大きいよ姉さん」


だからそのネタ枠は姉さんこそ相応しいよ。


「あの頃からアンタ達、妙に強いって言われてたわよ」

「ネタバレはされていたはずだけど?」

「まあね。海の魔物が既存の大陸狩り場より効率が良かったんでしょ。解体の仕組みもすぐに気付いた。ゲームの熟知が早かったのよね」


あの頃は何もかも手探りでみんな思い思いにプレイしていた。

だから楽しい時期でもある。


「私はあの頃は娘を探していた所だったね。妻も戦いなんてしたくなくて町で人捜しをしていたよ」


クレイさん達はその辺りで出遅れていたのね。


「案外、プレイヤーの動きは規則性があるって事だろうね。絆さん達のように別の可能性を模索するのはゲーマーほど難しい」