Wave of dimensions — страница 94 из 111

「素直に領地開拓をさせてくれないってのは厄介ね」

「とはいえ魔物のドロップ品も無くは無いから対処さえ出来れば収入は見込めるね」


完全にシステム面で仕組まれた奴だ。


「プレイヤー数で対処するイベントじゃないのは分かるけどどうしたものかね」


姉さんが腕を組んで考えている。


「植物の攻撃の通りが良かったのを考えるとそれを畑に植えて回って防衛装置にするって流れにするのかしらね。些か非効率的だし、絆達の悪ふざけがこうして結果に繋がるのは腹立たしいわね」

「結果良ければ全てよしなのじゃ」


顔文字さんも言うなー。

俺もあの奇妙な植物がこんな結果になるとは思わなかったよ。

ただ、釣りでここまで上り詰めた俺も似たようなモノか?


防衛案



「何にしてもさ、顔文字さんにクレイさんに姉さんが居れば楽勝でしょ。こういうの得意そうな人が三人も居るんだし」


カルミラ島の時は問題に対して適材適所な人材を求められたけど、今回のイベントに関しちゃ得意として居る人が三人もいる。

ディメンションウェーブイベントの初期からリーダーをしていた最前線に立つ顔文字さん。

リアル会社の社長にして商人としてアルトと双璧を成すゲーム内での大商人のクレイさん。

システムを熟知すると途端に頭角を現し、効率化に関しちゃ他の追随を許さない姉さん。

この人材がいればタワーディフェンスイベントなんて余裕も余裕!


「そんな訳で俺は釣りに戻る! じゃあ後は任せた!」


逃げるが勝ちだ!

俺の出る幕なんて全く無い!

こういう面倒なのは頭の良い人にやってもらうに限るね!


「待ちなさい!」


っと、ダッシュで釣りに向かおうとした俺の首根っこを姉さんが掴んで持ち上げてきた。


「にゃーん。姉さん何するんだよう。釣り人がこの布陣に必要?」

「何がにゃーんよ。言わんとしてる事は分かるけど話を聞きなさい。何よりアンタの攻撃力は突き抜けてるんだから必須でしょうが」

「うむ。確かに妾達の得意として居る代物というのは否定せんが島主はちゃんと戦力としてカウントされるのじゃ」

「そんな訳で俺達は損害箇所の修繕に行くぜー」

「いってくるわねー」


あー! らるく達ずっりー! 俺も日課の釣りに戻りたいのにー!

何より仮眠とりたーい!


「ははは、絆さんは自由だね。悪いのだけどどうやら指定したプレイヤーには一定時間、ダメージ減算が掛からずパワーアップするギミックがあるようでね。その時には絆さんには頑張って貰いたいのさ」

「ええぇええー……」

「まだこのイベントは序章って事で途中でボスでも出てくるのが分かってるって事ね。何よりアンタはギミック無しで戦える位には火力があるんだからやりなさい」


うへ……つまり俺はアタッカーとして戦場で暴れろって事かよ。

このゲーム以外じゃあり得ない状況だぞ。


「そもそもの話よ。プレイヤーの直接攻撃も加味されたシステムを考えるとボス戦はプレイヤーに委ねるって事もあり得るのよ」

「どれだけ上手くやっても防衛戦をボスにひっくり返されて最終防衛ラインでプレイヤーとガチバトルってゲームがあるのじゃ」

「ダイナミックな展開で非常に盛り上がるけれどその後の被害を考えると全く笑えないギミックだね。正直、そう言った代物じゃ無い事を祈るよ」

「畑や建築物を守るように砦でも作る感じ?」

「出来なくは無いだろうけどウサウニーやペックルにそこまでの代物を詳細に作れるレシピが無いね。あるのは城だけだよ」

「侵入ルートを狭める柵は設置出来るようじゃがのう」


自由度のさじ加減も色々とあるからなー……効率を考えたら出来る事は無限大だ。

けれどそこまでのシステムにはしてないか。

できる所と出来ない所の区別はある。


「大工系のプレイヤーを呼ぶと言う手もあるけどそこは手詰まりになった際で良さそうだね」

「サンタ帽子ウサウニーも尋ねてこないのじゃ」


当面の問題はここのプレイヤーで対処出来るか待つって段階か。


「そんで襲撃に関してだけどどれくらいの周期でくる訳?」

「偵察から帰って来るウサウニーの情報次第じゃが、毎晩かのう?」


それはそれで面倒だなー。


「普段は雑魚で一定周期で強力なのが来るとかもありそうね」

「ありそう」


結構メタな発想が出来るのがゲーマー故の考えだよね。


「何にしても畑に防衛装置としての植物を設置せねばならんか……すぐに植え直せば楽なんじゃがそこまで便利に出来ておらんからどうしたものかの」


タワーディフェンスってユニットをその都度設置し直せたりするのがシステムにあるけど畑の作物はおいそれと植え直しは出来ない。

その都度、育てないといけないし、畑の相性もある。


「バリスタとか作って設置したら効果あるならそれでも良いと思うけど……」

「その辺りは作りやすい方に該当する設置物ではあるけど、最初から露骨にある植物に懸念点もあるね」


ああ……育てた植物の方が火力が出る的なのはお約束か。

バルカンフラワーの火力が高そうだもんな。こういうイベント時。


「植物での防衛案は色々と考えがあるから任せてくれないかい?」


なんかクレイさんに考えがあるようだ。

こういうの非常に得意そうだよね。顔文字さんも理解して居るのか頷いて居る。


「今後の事を考えるとノジャさんと絆さんでできる限り攻撃的な植物の品種改良研究をして貰いつつ、襲撃に備え、城を建築して行くって事だね」


やる事がどんどん増えて行くなー……それでも俺は釣りを辞めたりしないけどさ。


「効率的な配置に関しちゃ任せなさいな」


姉さんが一番得意な所は敵の侵攻ルートが分かってからって所だね。


「で、やる事はわかったけど、それで気になるのは今回の敵って何なのかって所よね」

「そうだね」

「まあ、ありそうなのは魔王軍が開拓地に攻め込んで来たと言う所だと私は思っているよ」


クレイさんがダインブルグホーンソルジャーを指さして告げる。

ダインブルグ……なんか聞いた覚えがあると思ったら四天王の名前か。


「開拓地が四つで四天王だからね」

「ダインブルグ、確か硝子が倒したって言ってた四天王だったはず」

「そうだね。絆さんのパーティーに居た箱庭硝子さんと紡さんが大健闘、ほぼあの二人で倒したと言っても過言じゃ無い相手だったそうだよ」


おお、やっぱ硝子って獅子奮迅の活躍をするトッププレイヤーなんだな。

余所でも聞けるって事は間違い無い。


「さすが硝子」

「まあ、絆さんの方が色々と話題をかっ攫っていったんだけどね」

「絆ちゃんとアクヴォル様ファンクラブってのが出来る位だし、河童装備が語られて居たわねー」

「それは忘れて結構、活躍はしたけどエースじゃ無いし」


戦場貢献はしたけどダメージはそこまで稼いで無いもん。


「わらわは既にその頃にはここにおったからのう。よく分からん話じゃな」

「土属性の四天王っぽい奴ね」

「要石の扇子を強化した武器で完封したと硝子は言ってたなー」


鯰装備の相性が抜群に良かったって話だっけ。


「となるとレッドテールキャットフィッシュから得られた素材で武器を作れば効果的になるのかな?」

「戦闘した場合はそうなるね。ロミナが育てたペックルが再現出来るかになりそうだけど……」

「いずれ出てきそうじゃな」


うーむ……。

今後の展開から考えてありえる話だな。


「何にしても開拓完了をするためにやっていくしかないのじゃ。ではみんな、お願いするのじゃ」

「そうね。しっかし……喧嘩とかせずに居たらアイツらもこのイベントに参加出来たってのに呆れたものよね。本当勿体ない」


姉さんが呆れているのは顔文字さんの元メンバーの事だ。

そうだね。こんな目新しい出来事が起こっている訳だから型落ちの開拓地とは言っても変化は期待出来る。

もしかしたら他の開拓地でも同様の事が起こっていてもおかしく無い。


「今回の襲撃で得られる素材で外界の装備に多少は近づけるだろうね。急いては事をし損じるとはこの事だね」

「慌てる乞食は貰いが少ないのよ」


姉さんもズバッと切り捨てるなー……。

まあ、開拓って別にそこまで難しいイベントでも無いんだし、協力すればもっと早く終わったとは思う。


「アヤツ等が果たしてこのイベントを楽しめたかじゃが……うーむ」


顔文字さんの苦言が物語っているなぁ。

まあ、普通に殴って倒すのはちょっと難しい魔物みたいだもんね。

ギミック重視だし。

アレだよね。優秀な人に寄生してるだけのプレイヤーって感じで頭を使わずに魔物を倒して美味しい思いをしたいって連中って事なのかも知れない。

それもゲームの楽しい所ではあるけど、ディメンションウェーブはそう言ったゲームじゃなかったって事で。


アシッドスプレー



「優しい言い方だと「制作者の我が強すぎてつまんねーんだよ! ふざけんな!」「ゲームってのは敵を倒すだけで良いんだよ!」とか言いそうじゃな」

「言いそう言いそう! ノジャ子もアイツらの事わかってるじゃない」


姉さんがご機嫌だ。酷い連中だったのは分かってるけどさ。

ギミックを楽しめないって辛いよね。

むしろ彼らってどんなゲームをやってたんだ?

戦場で撃ち合うゲームでやられたらキーボードでもクラッシュするような連中だったんだろうか?

精神年齢が不安な連中が今は何処にいるのか……。


「でもノジャ子も控えめじゃない。アイツらだったら――」


っと、ここで姉さんが放送コードに引っかかりそうなピー音が鳴り響く事を言っている。

うん。言いそうだけど姉さんの口から出るのは弟として複雑だ。

いや、姉さんが代わりに言う事自体は何も疑問に思わないんだけど、姉さんの品格は少なくとも落ちるからね。

将来は芸人にならない事を祈るばかりだ。


「確かにアヤツ等ならそこまで言うとは思うがのう……」


顔文字さんも複雑な顔をしてる。

わかってるって事なのね。


「結局、日課が少し増えたって事で終わりそうだね」


何にしても顔文字さんにクレイさんに姉さんが居れば防衛戦なんて苦でも何でも無い。

だってこの三人が最も得意としている事なんだからさ。

なんて感じに最初の会議は終わり方針は決まった。




それから……襲撃に関してだけど毎晩来るのが偵察指示したウサウニー達の帰還で判明した。

持ち帰った情報でどんな魔物がどっち方面からやってきて進路に関しての詳細が判明して行く流れっぽい。

襲ってくる魔物は家等の建物を攻撃するか、畑を攻撃するか、柵を重点的に攻撃するかに別れているのが二日目の晩には判明した。

そんで畑に一々設置しなきゃいけないかもしれない問題はクレイさん達がサクッと解決してくれた。

荷車を用意してそこに大きな鉢植えを置き、攻撃能力を持つバルカンプラントを敵の進路上に移動させていた。

バルカンプラントって結構大きいけどこれでどうにか出来るから凄いね。


「品種改良はダンジョンの方で行うのが良いじゃろうな」

「強化出来る範囲でって考えるとそうだね。これがメインだったら戦場で強化といけるのだけど事前の準備パートと言った扱いなんだよね」


ただ……と、クレイさんは話を続ける。


「防衛で活躍した植物のLvが上がって居るんだよね」

「そっちの成長要素もあるのか……そこから更に品種改良も視野に入れると良さそう」

「一点集中で育てて強い防衛植物を作り出すのじゃな」


この辺りはゲーマーの楽しみ所だよね。

顔文字さんが凄くワクワクしてる。

監修はするけど改良は任せるとするけどね。


「何処まで強化出来るかって事ではあるけど……問題は種の研究で育てるのは結局地上に持ってきて育てないといけないのが問題か」

「中々リソース管理が大変だよ。この辺りはノジャさんと絆さんに任せるしかないね」

「わかってるって……」


ただ、ダンジョンでの品種改良ってかなり面倒な感じになってきたなー。

より攻撃的な品種の研究か。

そうそう、ケミカルアシッドボムトマトは投擲武器として侵入してくる魔物にぶつけると鈍足と継続ダメージ、それと防御力低下効果が発生する便利植物なのが判明した。

更にポーションにも使えるので量産が開始されたぞ。


「ケミカルアシッドボムトマトがまさかここで役に立つようになるなんて何が幸いするか分からないね。顔文字さん」


姉さんの農薬ジャブジャブ発想も悪くなかったって事か。


「そうじゃな。ここまで悪乗りした代物が便利な植物になるとはのう」

「何が起こるか分からないけど本当、運良く進めてるよ」

「島主は幸運じゃな」

「俺じゃ無いと思うけどなー」


今回は顔文字さんと姉さんだと思うけどね。


「とにかく着実に育ちつつあるバルカンフラワーLv3を品種改良して更なるパワーアップを図るつもりじゃ」

「おー頑張れー!」

「やるのじゃ!」


と、顔文字さんがダンジョンに潜って行き、翌日にはアシッドスプレーなる鈍足と継続ダメージの溶解液を吹き付ける植物を研究して来たね。

タワーディフェンスで大事な要素、鈍足付与は戦略の要だね。

敵の侵攻を大幅に遅らせられると言うのは恐ろしい話だ。

なんて感じにオアシスの工房で顔文字さんと会議をしているとクレイさんが軽く手を上げて報告してくれる。


「私たちも多少技能上げをして居る最中で植物成長促進のポーション作成が出来たよ」

「お、農業系でも時々存在する代物だね」


収穫日数が1割短くなるとか高額だけど一瞬で育つとか便利な道具ってのが時々存在する。

ディメンションウェーブにもあるっぽい。


「研究用には使えるか。副作用次第だけどさ」

「そうじゃな。有効活用させて貰うとするかのう」

「まあ、そもそも植物図鑑とかあってそれを全部埋めないといけないって訳でも無いんだし、今は効率重視で良いね」

「そういった代物だと島主の推測だとどんなのがあるのじゃ?」

「例えば最高品質の作物同士を掛け合わせつつ希少な素材を畑に植えて255分の1の確率で実る作物とか、畑全部を同じ作物で植えると合体するとか」


顔文字さんが目を輝かせている。これはいずれやりたいって顔だ。

反面姉さん達が乾いた笑みを浮かべている。

今は辞めろって思って居るのは間違い無い。


「なんと言うか……ノジャさんと絆さんは同類なのが分かるね」

「領地持ちと言うのはみんなこんなタイプなんかねぇ?」


クレイさんとらるくがそんな俺達を見て言っている。

いやいや、顔文字さんの農業に対する飽くなき探究心ほど、俺は釣りに情熱は無いと思うよ?


「絆、アンタ、ノジャほどじゃないって思ってるけどアンタの方が変わり者だからね?」


なんて事を言うんだ姉さん。

確かに釣り場を見たら俺は釣りをして何が釣れるかのトライ&エラーをするけど調べ終えたら切り上げるぞ。

新種の魚の創造や交配まではして居ないというのに……。


「似たもの同士でしょ。アンタたちは」


人の事を言えない凝り性の姉さんが何か抜かしている。

非常に心外だぞ。




そんな感じで夜間の襲撃五日目。

徐々に敵が強化されて行ってるがこちらの植物強化がダンジョンのお陰でどうにか間に合っている。

専門家が三人ほど襲撃前に予測を立てているので敵が強くてもどうにかなるのが幸いか。

で、二日目をクリアした所でウサウニーが新たに数匹、開拓地に現われた。


「ふーどうにか逃げ延びてこられたピョン。アイツら僕たちを捕まえて支配しようとしているピョン」

「魔王軍の四天王、ダインブルグの支配域にウサウニーがまだ捕まっているピョン」

「アイツら、みんなの開拓地に攻撃して支配域にしようとしてるピョン。絶対に負けられないピョン」


などと新たに追加されたウサウニー達が言いながら加入したのである。

どうやら想定通りの展開のようだ。


B →  → →→↓

C     ●  ↓

D ↑†     ↓

↑ ↑

E   ↑

↑ ↑← ← ←←

1 2 3 4 5



と、顔文字さん達が巧みに誘導を……って本当に器用に誘導するよな。

敵のタイプが想定出来るからってここまで出来るってある意味感心する。

俺はそこでDの1と2の所に配置させられてズバズバと切り刻んで行ってるんだけどね。

大量に設置された植物の猛攻を受けて本日襲撃してきた魔物は速やかに掃除されようとしていたよ。


ダインブルグガーゴイル



「毎晩の事だけどよく来るわね。アンタのお陰で敵がメリメリ減って助かるわ」

「絆さんは特に強化を施さずにでも敵を掃除できるのが凄い頼りになりますね」


ここで姉さんとミリーさんが防衛中の俺にチャットを送って来た。


「そう言うんだったら姉さん達も手伝って欲しいんだけど?」

「一応やってるわよ。今日の私たちはEの3辺りで適度に攻撃してるわ」

「プレイヤーの攻撃は効果が薄いので投擲がメインですけどね。なんでも化石の骨を加工して短剣や矢にする事で良いダメージが入るんですよ」


ああ、そうなんだ?

トドメは俺と設置されたバルカンフラワーが仕留めてるから今日も防衛は完璧かな?


「さーて、今夜の襲撃が終わったら何処で釣りをするかねー」


なんて感じに日課になりつつ夜の襲撃を消化していると……。


『強敵が襲撃してくるピョン! ここが正念場! みんな気を張って欲しいピョン』


って今までとはちょっと違うメッセージがチャットに表示されAの5に大きな敵反応が表示される。

さて……どうしたもんかな。

こういう時に無理に動くのは得策じゃない。いきなり持ち場を離れられるのが顔文字さん達にとって困る事だろう。

まずは手近な雑魚を倒しておかないとな。

なんて思って掃除をしていると。


「おっす絆の嬢ちゃん」

「絆ちゃんやっほー」


らるくとてりすがやってきた。


「あれ? らるく達、どうしたの?」

「配置変更、絆の嬢ちゃんにも指示が行くと思うけど、どうもここに人を集めて絆の嬢ちゃんにボス狩りは任せるみたいだぜ」

「えー……ちょっと俺に期待しすぎじゃ無い?」


俺に戦闘貢献を期待するのは酷だってのにそんな配置はブラック人事も良い所だと思うけど。


「さすがにそこまで酷くはありませんよ」


ミリーさんもこっちにやってきた。


『島主、Aの5に出現したボスの方に来て欲しいのじゃ。わらわと奏が掃除をする事になったのじゃ。他の所はクレイに指揮が移るのじゃ』

「あいよー」


姉さんと顔文字さん。コンパクトに戦える陣形って感じだな。


「ですぴょん!」


って俺の隣に突如ブレイブウサウニーが地面から飛び出して近くの魔物を槍でチクチク攻撃し始める。

ペックル達も防衛戦には参加している……ブレイブペックルは足止め能力があって何処かで足止めをしているのだろう。


「それじゃ任せるけど……大丈夫?」

「絆の嬢ちゃん程じゃねえけど任せな」

「パワーアップ指示ピョン! 踊るピョン!」

「ウサウニーブレッシングだピョーン!」


ってらるくと話をしていると地面からウサウニー達が飛び出し、俺とらるくを取り囲むように踊り始める。

すると俺とらるくの体が発光し始める。

これが襲撃イベント限定のプレイヤーパワーアップのバフだ。

速度が向上して、攻撃力ダウンのデバフが解除される。

割と毎晩俺に施される加護だ。

一気に行けって事ね。わかったよ。


「そんじゃ後は任せた。行ってくる」


そんな訳で俺は戦闘モードで一気に戦場を駆ける事になった。


「行くぞー!」


って事でライブラリ・ラビットに乗って颯爽と俺は駆けていく。


「おーはえーな絆の嬢ちゃん。俺達の倍以上の速度で行っちまうぜ」

「後はてりす達がかたづけないとね。ほら、らるく。ぼけっとしてないで掃除するわよー」