「あいよ」
そうして顔文字さんに指示されたマップで大きく点滅して指示された場所に向かうと奏姉さんと顔文字さんが既に交戦中だった。
ボスは見上げる程の大きさをしているダインブルグガーゴイル。
露骨な感じで……角の鋭い羊っぽい造形で筋肉質で恰幅の良い二足歩行の魔物って感じか。
こう……無骨な武芸者の石像な雰囲気がある。
「……」
ドシーン! っと拳で地面を殴りつけると衝撃波が発生して周囲にダメージが出る攻撃をしてくるようだ。
「おーダイナミックな魔物が来てるねー」
「絆、やっと来たわね。サクッとやるわよ」
姉さんがブレイブペックル着ぐるみでヘイトを取って攻撃をいなしながら近寄って来た俺に声を掛ける。
「サポートは任せるのじゃ」
顔文字さんは姉さんにバフを施しつつ適度に魔法攻撃をして居る様だ。
「やると言っても俺は戦闘特化じゃないからね。硝子達みたいなアクロバットを期待されたら困る」
何せロープで渡る事が出来なかった位には運動神経が悪い。
システムアシスト無しでは鈍くさいとしか言いようが無いのでね。
「それでも高火力でしょうが」
本当、取得したスキルのお陰で火力が出る様になったもんだ。
「わかってるって、全く……この襲撃が終わったら釣りに戻るからね」
「わかっておるのじゃ。では行くのじゃ」
「あいよー」
っと、俺はダインブルグガーゴイルが衝撃波を出し終えた瞬間に素早く近寄りボス退治用の白鯨の太刀<モビーディック>を事前にセットしていたので形状変化させながらクレーバーを放つ。
ドン! っと派手なエフェクトが入ってダインブルグガーゴイルのHPがメリっと減った。
「やっぱ絆が攻撃した方が効率良いわねー」
「デバフ解除中だからこそじゃな。一気に削りきって終わらせるのじゃ。防衛ラインに近づけずに終わらせれば明日の防衛が楽なのじゃ」
「そうだね」
通常攻撃をしながらブラッドフラワーのチャージを行う。
狩猟具のデフォルト搭載のスピード上昇とイベント中の強化も合わさって俺の体感時間は異様に早くなっている。
なのでスローモーションの中でチャージがしっかりと完了してしまったぞ。
バシュバシュと顔文字さんが鈍足効果のケミカルアシッドボムトマトを投げているのもあって、本当……ダインブルグガーゴイルの動きが遅くて戦いやすい。
「おーし! ブラッドフラワー!」
ザシュッと一気にダインブルグガーゴイルへと猛攻を仕掛ける。
あ、さすがに削りきれないか。そのまま流れるように叩きつけるように白鯨の太刀で斬りかかる。
ただ……石像相手に解体武器って違和感あるな。
どうも解体対象では無さそう。
「ぶっちゃけこの石像はさ」
「なんじゃ?」
「何よ絆」
「てりすやミリーさん辺りにハンマーでも持たせて殴らせたら良いダメージ入るんじゃない? あの二人、石材確保組だし」
常日頃日課として上げて居る技能で上がる能力という代物を考えるとこう言った無機物の石なんかに効果ありそうじゃん?
鉱石掘りと化石掘りだし、あの二人。
何が効果を発揮するか分からないのがディメンションウェーブと言うゲームな訳で。
きっとあの二人なら石像系の魔物に効果的にダメージが入るはず。
「ふむ……確かにそうじゃな。またこの魔物が出てきたら任せるとしよう」
「そういうことを考えると戦闘以外のスキルってのも無駄にならないって事なのね。私はサバイバル技能と料理で良かったわ」
「あまいな姉さん。料理に命が宿ったって設定の魔物がいないと言えるかな? 植物系も効果的でしょ」
姉さんは薬草採取と料理系を取得している。その辺りで効果的な魔物がいないと誰が言えるか。
「今は居ないでしょ。出てこない事を祈るばかりね」
「大きなチキンが襲ってくる光景……ホラーじゃな」
「コメディじゃない?」
「ハロウィンイベントとかでカボチャモチーフの魔物とか出てきたら奏に任せるのが良さそうじゃな」
「カボチャ料理を作るんですね分かります」
「はいはい。出てきたら作ってあげるから今は戦いなさいな」
あ、姉さんがツッコミを流した。
そこまで露骨に流さなくても良いじゃないか。
ルーンハンマー
「後はアレだね。こう言ったボスに効果的なダメージを与えるギミックとか他に無いのかな?」
「クレイが言っておったぞ。建築中の城に設置する防衛装置に大型大砲などがあるそうじゃ」
ほう……その辺りはお約束なのね。
「植物型にするか大砲にするかと悩み中じゃ」
「あんまりネタに走りすぎないで欲しいわね」
「弾丸はトマト砲ですね分かります」
「提案者から名前を取ってカナデキャノンじゃな」
「本気で止めなさい! アンタ等、私と一緒だと本当、私で遊んで来るわね! いい加減にしないとパリィで敵の攻撃アンタ等当たるように受け流すわよ!」
なんて雑談が出来る程には余裕を持って戦えている。
ただ、石像を殴って戦うってのは狩猟とはやっぱり違うよなー。
ゲームとはいえあれに白鯨の太刀とか、刃こぼれしそうで恐い。
「……!!!」
やがてダインブルグガーゴイルのHPを削りきった所でヒビが入り、バラバラと砕け散った。
「おーし、ボス討伐完了っと」
「ドロップは、おお……濃縮魔力の宿った岩だそうじゃ。石材にも良さそうじゃし用途が色々とありそうじゃな」
「てりすからしたら微妙な代物そうだな」
宝石大好きのてりすからしたらこの岩の中に原石が入っていたら喜びそうだけど使い道は微妙そう。
ロミナに渡したらどんな物を作ってくれただろうか。
なんかそのまま切り出したっぽい石の剣とか提出してきそうな予感。
ロミナ自身も安直なレシピだったとか嘆く感じで。
……どっちかというとクレイさん達向けか。
錬金術とかで何かしてくれると思いたい。
「後はダインブルグトパーズの欠片ね」
「てりすに提出、設定的に考えるとガーゴイルの核って所かな?」
「そうなんじゃない? ま、毎日の日課で楽しめてきたわね」
「開拓イベント中の息抜きじゃな」
「そこは顔文字さん達の得意とするイベントだからってのが大きいんじゃない?」
そもそもこのボスだって面子が優秀だからサクサクと倒せてるけど本来はもう少し防衛ラインが後退する位置に出てきそうだし。
「あ、そう言えばさ。この防衛イベントの難易度ってどの辺り? 俺が島に閉じ込められていた時はアップデート以降の場所だろうって感じだったけど」
「徐々に敵の脅威度が上がっておるが型落ちではないのじゃ」
「そうね。ただ、このイベントが他の開拓地で起こっているかも知れないのを考えるとトントンよね」
まあ、ありそうな展開だよね。
全体チャットで放送されればこの辺り、察する事が出来るんだけどね。
「何にしてもお疲れー」
「はいはい。お疲れね。私は明日に備えて寝るけど絆、アンタは程々にするのよ」
「わかってるって」
「わらわはこれからダンジョンに行って研究じゃ。明日はクレイが指揮をするので任せるのじゃ」
本当、僅か数日で襲撃のある生活にも慣れたもんだなー。夜の娯楽化してるような気もする。
「ところでマグマでの釣り研究は進んでるのかな?」
「クレイがそろそろてりすの付与を含めて技能があがったので着手の目処が立ったと言っておったぞ」
おお、それは何より。
それじゃ近々マグマでの釣りが出来るようになるんだなー。
「では解散ー」
って訳で襲撃五日目もサクッと終わった。
ダインブルグガーゴイルは翌日から中ボス枠とばかりに当然の面をして出て来るようになった。
一応HPとかは調整されているのか減っているけど当たり前のように出てきたなー。
RPGあるあるとはいえ、せめて色違いで出てきて欲しかった。
クレイさん曰く、予想通りの出現パターンだそうだ。歯ごたえのある戦闘が楽しめるね。
六日目のダインブルグガーゴイルがレアドロップでルーンハンマーってのを落した。
所持スキルの関係で適性があるのが、てりすとミリーさんの二人なので使ってもらう。
中々の攻撃力が出る訳だけど……後衛の魔法担当の二人だから両者ともに反応に困るって顔をしていた。
「てりすがガーゴイルの処理担当って組みにさせられちゃってるのってどうなのー?」
「鉱石採掘のノリで近づいてぶったたく仕事だね」
「わかってるけど、なんか近接にされそうじゃない?」
「はは、てりす。近接戦闘も楽しいもんだぜ」
「えーてりす魔法でバンバンするのが好みよー」
中ボス枠として出てくるダインブルグガーゴイルへの専門としてらるくのサポートありで近づくてりす。
慣れると大ぶりなだけで隙は大きいもんな。
ちなみにダインブルグガーゴイルは建築物破壊能力が高いのがウサウニーの偵察で判明している。
「じゃあ行くわよーえーい」
ガツ! っとてりすがハンマーを振りかぶって隙を見せたダインブルグガーゴイルを叩きつけを行う。
「てりす。腰が入ってねえぞ」
「もっと勢いよくやらなきゃ」
「ああもう、奏ちゃんの気持ちが分かっちゃうじゃないのー! どっせええええええい!」
てりすが隠そうとしていたかけ声をして力強く殴りつけていた。
「う……アクティブスキルが出ちゃったわ。削岩撃ってスキル」
魔法担当のテリスが近接攻撃のスキルを習得か、ディメンションウェーブって何が起こるか分からないもんだなー。
「良かったね」
「うー今度ミリーさんもやって貰うわよー! 絆ちゃんもやりなさいな」
「俺は狩猟具が一番火力出るからなー」
「見てて思うけど絆の嬢ちゃん。攻撃力も高いけど会心率も高いよな」
「そうなの?」
「ああ、解体のスキルが関わってるんじゃねえの? 弱点を突くとクリティカルって概念で」
ありそうだな。
なんて雑談をしていると次のダインブルグガーゴイルがノシノシと歩いてくる。
「何にしてもてりす、次のお客様のお出ましだぜ!」
タイミング良く地面からウサウニー達が現われててりすに向かって祝福を施して行く。
「顔文字さんが得意だけどクレイさんもバフ管理、相当上手だよね。ちょうど効果が切れて必要になったタイミングで発動させてくるし」
「あーもう! やってやろうじゃないのー! どっせええええええええ! 削岩撃ー!」
てりすのやけくそ具合は姉さんと重なって来たなー。
なんにしても俺の火力ってやっぱり相当上がっているんだなと実感する毎日。
硝子達に再会出来るのは何時になることやら。
防衛クリアで入手するチケットでクレイさんが随時交換して行くお陰で、防衛設備がドンドン強化されて行っているようだ。
主にウサウニーが施す祝福、城からの援護射撃の特殊大砲とかがそれに当たるっぽい。
出し惜しみして防衛失敗からの修復とか考えると随時必要な代物に交換して行くのが良いって事だろう。
って感じに防衛戦は毎晩続いて居たのだが……。
防衛開始9日目の事。
「うーむ……」
「ぴょん」
サンタ帽子ウサウニーの前でクレイさんが考えるように腕を組んでいる。
一体どうしたんだろう?
「どうしたのじゃ?」
顔文字さんがそこでクレイさんに声を掛けた所で何やら話をしていた。
すると顔文字さんが俺を呼んで来た。
「なに? 何か問題でもあったの?」
「ああ、実の所ね」
と、クレイさんが砂漠を指さすと……なんか砂漠の背景としか言い様が無かった先に小さく……なんか居ないか?
何だあれ?
ヘビ?
それにしたって縮尺おかしいだろ。あの距離であの大きさって何だよ。
「明日から襲撃はどうやら無いようなのだけど六日後にあのダインブルグサンドワームがここに来るそうだよ」
「設定的にダインブルグの配下兼、作り出された化け物って事のようじゃな」
「どうやらこの開拓地に来るまでに小物は入れるけど大物は無理な強固な結界があるようで数日かかるって設定のようだよ」
湧き水
「……あんなの来たら壊滅しない?」
タワーディフェンスとかそう言った代物でどうにかなる相手?
マップのマス目で言うと2マスくらい横幅だけでありそうだよ?
オアシス近隣で1マスだってのにさ。
「そこは大損害って程度で完全壊滅は無さそうだね。建物の半分が壊れる的な失敗時の説明が入っているよ」
「で……どう対処するわけ? 植物とかの防衛でどうにかなるとは思えないよ」
次元ノ白鯨クラスの巨大魔物じゃん。
全プレイヤーが一丸になって船とか使って倒す相手だと思う。
モンスターをハンティングする類いのゲームのボスじゃない?
「一応みんなで頑張って倒す相手みたいだよ。ウサウニー達の案内だと砂漠に決戦の場所を決めてそこでみんなして色々と設置して待ち構えて仕留める形でね」
「動き速そうだなー」
「砂船とかロマンじゃな」
あんまり笑えないよ?
「船大工が欲しい案件になってきたな」
しぇりるが欲しいが一度呼んで居るので呼べない。
「ここはトライ&エラーでやっていく形かな。何度か失敗しても開拓地にダメージは無さそうだからね。だから計画を立てているよ。1日目は歩兵と設置物、2日目は石垣、3日目は砂船、4日目は……城塞と言うべきかな」
なお、4日目は建築中の城って事になりそう。
「様子見って事で良いよ。相手がどれほどか、絆さんが戦えない程なのかと言う指標にもなる。失敗しても大丈夫な様にウサウニー達をフル活動させないといけなさそうだね」
「カナデキャノンを毎日使えるほどに確保せんといかんな」
「顔文字さん。それ……姉さんの居ないところで言ってね」
却下されているケミカルアシッドボムトマトを使った大砲の愛称な訳だし。
下手に定着したら顔文字さん、姉さんにどれだけグチグチ言われるか分かってるのかな?
ケミカルアシッドボムトマトは相当優秀な代物なんだけどさ。
「問題は船にしろ何にしろ、得意技能にしてる人が居ないって所だけど……新たに人を呼ぶ感じ?」
「サンタ帽子ウサウニーの反応が無くてね。ここはペックルに任せる形になりそうだよ」
まあ……ウサウニー達の技能が相当上がったお陰でペックル達の能力も大分戻っては来ている。
そして船となるとペックル達の方が適正ありか。
何よりしぇりるが助手として結構使って居たから船造りの経験値は十分ありか。
「俺を呼んだ弊害で専門家を呼べないって所なのね」
「島主一人で十分じゃ」
「そうだね。出来ないと言う程の事では無いから助けを呼べないのだと私は思うよ」
顔文字さんとクレイさんは随分と俺を評価してるもんだなー。
「明日の戦闘フィールドには既に行くことが出来る様でね。ウサウニーに頼めば連れてってくれるよ」
「事前にフィールドまで完備とは……何処まで開拓でやらされる事になるんだろう」
少なくともカルミラ島ではあり得なかったイベントだぞ。
何にしてもやっていくほか無い。
「それじゃ下見に行ってみようかな」
「みんな一度は確認に行って地形を把握して貰う予定なのじゃ」
ウサウニーの案内で初日の決戦のバトルフィールドへと俺達は下見に向かった。
とは言っても……岩肌がチラホラとある砂漠なのは変わらないんだけどさ。
「でー……鉢植えと荷車を持って来る事出来るの?」
「生憎と別フィールド扱いでもって来れないようでね。現地に生えてる植物を利用するみたいだよ」
あ、なんかバルカンフラワーとか各所で生えてる。ニードルサボテン……ボムズライオ。
地形把握して植物を的確な形で発動させるって感じか?
「未発見の植物があるのう……研究用に持ち帰るのも良さそうじゃな」
「後は何処を通るのかはある程度予測はあるみたいでね。ただ、地面に潜られそうな蟻地獄のような代物があるね」
この辺りはイメージでどうにかしろって事か。
随分と大きな蟻地獄だけどプレイヤーが入る事や滑って落ちるとかは無いようだ。
「他に隠されたギミックとか探しておくと良さそうだけどー……」
って事で決戦のバトルフィールドを確認して回ると何個か蟻地獄モドキを確認した。
他に植物も確認していて思うのだけど、こう言った植物ってゲーム補正なんだろうけど野生の場合は水なしで良くもまあ自生してるもんだよなー。
って思ったのだけど蟻地獄に妙な蓋のような岩があるのを見つけた。
「ねえねえ、顔文字さん。クレイさん」
妙な蓋のような岩に近づいて確認した所で俺は二人を呼ぶ。
「どうしたんだい?」
「なのじゃ?」
「ここさ……水が漏れてる」
そう、蟻地獄のうち、岩が乗っている所がじんわりと水が漏れ出していたのだ。
「ふむ……もしやこの岩を壊すと水が出るのではないかい?」
「なのじゃ。早速壊すかのう?」
「事前に壊すことで水場として機能するのか……」
どちらが良いかとクレイさんが腕を組んで考え始める。
「ここを壊して水場になったとしたら何が釣れるかな?」
「島主らしい発想じゃな」
「そりゃあね。まあ……オアシスと同じ魚が釣れそうな気はするんだけどね」
「水源は同じ設定ではありそうじゃな」
「ノジャさん。上手くすれば良いダメージが稼げてすぐにあの魔物を倒せるかもしれないね」
「ほう……名案でも閃いたのかの?」
「言うほど名案と呼べる程では無いよ。ここまで仕掛けられているとね」
フラグを見つけるって意味だと意表は無いよ。とクレイさんは謙虚に答えた。
「少なくともディメンションウェーブイベント中にルアーを海中に投げ入れるって程、変わった発想を出来てないさ」
「それって俺の事?」
そりゃあ特殊フィールドの海って事で気になるじゃん。
釣り人ならやらない手は無い。
「実は件の釣りに関しても引っかけられるんじゃ無いかと思って居るんだ。砂の中にルアーを入れられるのが分かっているからね」
「ダインブルグサンドワームも釣れるかも知れないと!」
なるほど、確かにそれは良さそうだ。
「ついでに色々と用意するから、私の注意したタイミングでやってみて欲しい」
「了解」
「なのじゃ」
「ふふ……なんだろうね。上手く行ったらとても楽しい結果になりそうで私もワクワクしているよ」
クレイさんがイタズラを楽しみにしている子供のような顔をしている。
ミリーさんもだけど結構お茶目な両親の様ですよ。
家出中の娘さん。
後に武勇伝として語ってあげても良さそう。
そんな訳で決戦1日目。
ああ、結果だけで言えば一日で倒しちゃったよ。
「やって行きましょうかね。で、打ち合わせ通りに動けば良いのね」
「上手く行くことを祈るしかねえけど……でっけーなー」
ズモモモ……と見上げる程に大きい芋虫が砂の中から顔を覗かせながら決戦のバトルフィールドを悠々と泳いでいる。
それを俺と顔文字さんにらるく、奏姉さんの四人で見つめる。
クレイさん、ミリーさんとてりすは持ち場で待機。
飛び乗ってザクザクと斬りつけたらどうなのかとか気にはなるし、弓矢で射るって手もある。
「やるペン!」
「行くペン!」
「ペンペン!」
「頑張るピョン!」
「ここを守らなきゃいけないピョン」
ペックルとウサウニー達も待機中……俺と顔文字さんの指示で動く訳だけど連れてきたペックルとウサウニー達の動きを見て思うのは……何か軍隊を動かして大型の敵を倒すあのゲームを思い出す。
レトロなゲームで人参みたいなキャラクターを地面から引っこ抜いて戦わせる奴だ。
赤、青、黄色の軍団だったような気がする。
ロケットを修理するのが目的で宇宙人の小人が操作キャラだったな。
一応、他のペックルやウサウニー達は設置物の植物を的確にダインブルグサンドワームに狙いを定めるように配置させているんだったっけ。